手縫いの最後に必要な「玉留め」。やり方は知っているつもりでも、結び目が布から浮いたり、玉が大きくなったり、引っ張ると糸がほどけたりして、きれいに仕上がらないことがあります。
玉留めを上手に作る要点は、縫い終わりに針を添え、糸を2〜3回巻き、巻いた部分を指で押さえながら針を引き抜くことです。特に、結び目を作る位置と糸を引く力を意識すると、裁縫初心者でも仕上がりを整えやすくなります。ここでは、玉留めの基本手順から、布際に小さく作るコツ、失敗したときの直し方まで詳しく解説します。
【基本を理解】玉留めと玉結びの違いは?手縫いでの役割を解説

玉留めと玉結びは、どちらも糸に結び目を作る裁縫の基本技術です。しかし、使うタイミングと目的は異なります。最初に違いを理解しておくと、縫い始めと縫い終わりの処理で迷わなくなります。
| 項目 | 玉結び | 玉留め |
|---|---|---|
| 使うタイミング | 縫い始め | 縫い終わり |
| 主な目的 | 糸が布から抜けるのを防ぐ | 縫い終わった糸を固定する |
| 基本の作り方 | 糸端に結び目を作る | 針に糸を巻いて結び目を作る |
| 仕上がりのポイント | 縫い始めの位置で糸を止める | 最後の針目の近くで糸を止める |
簡単にいえば、縫い始めに作るのが玉結び、縫い終わりに作るのが玉留めです。どちらも、糸が抜けて縫い目がほどけるのを防ぐために使います。
なお、玉留めは「玉止め」と表記されることもあります。裁縫の解説や手芸の教材では、両方の表記が使われていますが、一般的には同じ技法を指します。
ブラザーの家庭用ミシン情報や、裁縫の基本を紹介するCraftie Styleなどでも、玉留めは手縫いの縫い終わりに行う基本作業として解説されています。特別な道具は必要なく、針と糸、布があれば練習できます。
【写真を見るように手順を確認】玉留めのやり方を5ステップで解説
玉留めの仕方は、慣れれば短時間でできるシンプルな作業です。大切なのは、糸を巻くことだけではありません。針を置く位置、巻いた糸のまとめ方、引き抜くときの指の動きまで、順番に確認しましょう。
ステップ1:縫い終わりの位置に針を添える最後の針目まで縫ったら、糸を切らずに針を縫い終わりのすぐ近くへ添えます。針先を布に軽く当て、糸が出ている場所と針の位置が離れないようにするのがポイントです。
針を置く位置が縫い終わりから離れていると、糸を引いたときに結び目が浮いたり、縫い目が緩んだりする原因になります。最初は針を布に沿わせ、結び目を作りたい位置を確認してから次の工程に進みましょう。
ステップ2:針に糸を2〜3回巻く布から出ている糸を持ち、針の先端寄りから軸にかけて、糸を2〜3回巻きつけます。初めての場合は、まず2回巻く方法から練習すると、結び目の大きさを調整しやすくなります。
ここで注意したいのは、糸を巻く回数を増やせば必ず丈夫になるわけではないことです。巻き数が多すぎると、結び目が大きくなったり、糸が絡まったりする場合があります。糸の太さや布の目の粗さに合わせて調整してください。
ステップ3:巻いた糸を布際に寄せる針に糸を巻いたら、巻き目を指先で整え、糸が一か所に集まるようにします。そのまま巻いた部分を針の根元、つまり布に近い位置へ寄せましょう。
糸が針の上でばらばらになっていると、引き抜く途中で輪が広がり、結び目が大きくなったり、布から離れた場所にできたりします。巻いた糸をまとめてから針を引くことが、玉留めをきれいに仕上げる近道です。
ステップ4:巻き目を親指で押さえながら針を引く巻いた糸を親指で押さえ、針をゆっくり引き抜きます。最初は指の腹で押さえ、結び目が締まってきたら爪先も使うと、糸がずれにくくなります。
小学館の情報メディア「kufura」で紹介された洋裁講師の解説でも、巻いた糸をまとめることと、針を引き抜く間にしっかり押さえることが、結び目を布から浮かせないためのポイントとして取り上げられています。
針を急に引っ張ると、巻いた糸がずれたり絡まったりすることがあります。結び目の位置を保ちながら、一定の力でゆっくり引きましょう。
ステップ5:結び目を締めて糸端を切る針を引き抜いたら、結び目が最後の針目の近くにあることを確認し、糸をゆっくり引いて締めます。布が引きつれない程度に固定できたら、余分な糸を切ります。
糸端は結び目のすぐ際で切り落とさず、2〜3mm程度残すと安心です。短く切りすぎると、結び目が緩んだときに糸端が抜けやすくなるためです。
これで玉留めは完成です。写真付きの解説を見ながら練習する場合も、「針を添える」「糸を巻く」「巻き目を寄せる」「押さえて引く」という4つの動きを確認すると、手元の動きを理解しやすくなります。
【失敗の原因を比較】玉留めが大きい・ほどける・できないときの対処法
玉留めがうまくできない場合、手先の器用さだけが原因とは限りません。糸の巻き数、針の位置、押さえる力など、工程のどこかを調整するだけで改善することがあります。
代表的な失敗と対処法を整理すると、次のとおりです。
| 失敗の状態 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 結び目が大きい | 巻き数が多い、糸が太い、巻き目が広がっている | 2回巻きから試し、巻き目を布際にまとめる |
| 玉留めがほどける | 結び目の締め不足、糸端の切りすぎ、固定位置のずれ | 最後の針目に近づけ、巻き目を押さえて締める |
| 結び目が布から浮く | 針の位置が離れている、引く途中で糸がずれる | 針を縫い終わりに添え、巻き目を根元に寄せる |
| 糸が絡まる | 巻いた糸が交差している、針を急に引いている | 巻き目を整え、針を一定の速さで引き抜く |
| 結び目が小さすぎて抜ける | 糸が細い、布の目が粗い、巻き数が足りない | 巻き数を1回増やすなど、布に合わせて調整する |
| 糸が短くて結べない | 縫い終わりに残した糸が短い | 可能なら最後の針目をほどき、糸の長さを確保する |
玉留めが大きくなるときは、最初に糸の巻き数を見直しましょう。3回巻いていた場合は2回に減らし、巻いた糸が針の上で広がらないように整えます。
太い糸を使っている場合は、結び目そのものが大きくなりやすいため、糸の太さに合った針を選ぶことも大切です。無理に強く引っ張ると布がつれるため、結び目を小さくすることと、布を傷めないことの両方を意識してください。
玉留めがほどける場合玉留めがほどける原因として考えられるのは、結び目が最後の針目から離れていること、巻いた糸が十分にまとまっていないこと、糸端を短く切りすぎていることなどです。
結び目が緩んでいる場合は、糸を無理に引っ張り続けるのではなく、状態を確認してからやり直します。縫い目が緩んでいる場合は、最後の数針をほどいて縫い直すと、仕上がりを整えやすくなります。
玉留めができない場合針を引くと巻いた糸が一緒に動いてしまう人は、巻き目を押さえる指の位置を変えてみましょう。指の腹だけでは滑る場合、爪先を軽く使うと糸を固定しやすくなります。
また、巻いた糸を針の根元へ寄せずに引き抜くと、結び目が離れた位置にできることがあります。針を引く前に、巻き目が布際に集まっているかを確認してください。
【布際・裏側がポイント】玉留めをきれいに仕上げる方法
玉留めの仕上がりを左右するのは、結び目の大きさだけではありません。どこに結び目を作るか、布のどちら側に見せるかによっても、完成した作品の印象は変わります。
玉留めを布際に作るには?布際に玉留めを作るには、縫い終わりから離れた場所に針を置かないことが基本です。最後の針目から糸が出ている位置に針を添え、巻き目を布に近づけてから針を引き抜きます。
糸を引くときは、結び目が布に触れる位置までゆっくり締めましょう。結び目と布の間に隙間ができている場合は、糸が浮いていないか確認します。
一方で、力を入れすぎるのも避けたいところです。強く締めすぎると布が引っ張られ、しわやくぼみができることがあります。布が自然な状態を保てる力加減を目指してください。
玉留めは裏側に作るべき?衣服や小物など、表面の見た目を重視する作品では、玉留めを裏側や縫い代の内側など、目立ちにくい場所に作ると仕上がりがきれいになります。
ただし、単に裏側へ移動すればよいわけではありません。最後の針目から離れた位置に結び目を作ると、その間の糸が浮いてしまいます。縫い終わりに近い場所で固定し、必要に応じて縫い代の中に結び目を収めるようにしましょう。
縫い目が表に出るデザインの場合は、裏側に結び目を作ることで見た目を整えやすくなります。反対に、裏側も見えるハンカチやリバーシブルの小物では、両面の仕上がりを確認してから位置を決めると安心です。
糸の太さや布に合わせて巻き数を調整する玉留めは、すべての布で同じ巻き数にすればよいわけではありません。一般的な手縫いでは2回巻きから試し、結び目が抜けやすい場合は3回巻きを検討します。
- 薄手の布:結び目が目立たないよう、2回巻きを基本にする。
- 普通の厚さの布:2〜3回巻きの中から、糸の太さに合う方法を選ぶ。
- 目の粗い布:結び目が抜けないか確認し、必要に応じて巻き数を調整する。
- 太い糸:結び目が大きくなりやすいため、巻きすぎないようにする。
これらはあくまで基本の目安です。布の織り方や糸の種類、縫い目にかかる力によって適切な方法は変わります。仕上がりが不安な場合は、端切れで試してから本番の布を縫うと失敗を減らせます。
【応用編】糸が短いとき・ほどけやすい縫い目での玉留め
基本の玉留めができるようになったら、糸が短い場合や、力がかかりやすい縫い目での対処法も覚えておきましょう。
糸が短くなってしまった場合縫い終わりの糸が短すぎると、針に糸を巻くことも、巻き目を指で押さえることも難しくなります。そのまま無理に結ぼうとすると、糸が針から外れたり、結び目が不安定になったりします。
まだ縫い直せる状態なら、最後の数針をほどいて糸の長さを確保する方法が確実です。ほどいた糸を針に通し直し、結び目を作れる余裕を持たせてから玉留めをしましょう。
力がかかる部分では縫い目も確認するバッグの持ち手や衣服の負荷がかかる部分などは、玉留めだけで縫い目全体の強度が決まるわけではありません。縫い目そのものが弱い場合、結び目を大きくしても、縫い目が引っ張られてほどけることがあります。
必要に応じて最後の数針を返し縫いにするなど、縫い方そのものも見直してください。生地や用途によって適切な固定方法は異なるため、負荷が大きい部分では縫い目の強度と玉留めの両方を確認することが大切です。
【プロの結論】玉留めは「巻く回数」より「押さえる位置」が決め手
玉留めをきれいに仕上げるために、最初から複雑なテクニックを覚える必要はありません。まずは、最後の針目の近くに針を添え、糸を2回巻き、巻き目を布際に寄せてから、親指で押さえながら引き抜く。この基本動作を繰り返すことが上達への近道です。
失敗したときは、次の3点を順番に確認してください。
- 結び目の位置:縫い終わりから離れていないか。
- 巻いた糸の状態:巻き目が一か所にまとまり、布際に寄っているか。
- 引き抜くときの力:糸を押さえながら、布がつれない程度に締めているか。
玉留めの上達で大切なのは、巻き数を増やすことではなく、布や糸に合った大きさの結び目を、適切な位置で安定させることです。結び目が大きいからといって、必ずしも固定力が高いとは限りません。
初めての人は、端切れを使って2回巻きと3回巻きを試し、結び目の大きさや布からの浮き方を比べてみましょう。自分が使っている布と糸に合う力加減をつかめば、衣服の補修や小物作りでも、仕上がりを安定させやすくなります。
【玉留めやり方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:玉留めは針に何回糸を巻けばよいですか?
A1:一般的には2〜3回が目安です。まずは2回巻きから試し、結び目が抜けやすい場合や布の目が粗い場合は、3回巻きに調整してください。糸が太い場合は、巻きすぎると結び目が大きくなるため注意しましょう。
Q2:玉留めが布から離れた場所にできるのはなぜですか?
A2:針を縫い終わりから離れた位置に置いているか、巻いた糸を布際に寄せずに引き抜いている可能性があります。最後の針目の近くに針を添え、巻き目を指で押さえながら針を引くと、結び目の位置を整えやすくなります。
Q3:玉留めの糸端はどれくらい残して切ればよいですか?
A3:一般的な目安は2〜3mm程度です。結び目のすぐ際で切ると糸端が抜けやすくなるため、少し余裕を残して切りましょう。ただし、糸端が長すぎると表側に出たり、作品の見た目を損ねたりすることがあります。
玉留めのやり方は、針を縫い終わりに添え、糸を2〜3回巻き、巻いた部分を布際に寄せてから針を引き抜くのが基本です。最後に結び目を適度に締め、糸端を2〜3mm程度残して切れば完成します。
玉留めが大きくなるときは巻き数を見直し、ほどけるときは結び目の位置や押さえ方、糸端の長さを確認しましょう。布際に結び目を作り、必要に応じて裏側や縫い代の内側に収めることも、きれいに仕上げるポイントです。
裁縫初心者でも、基本の動きを覚えて端切れで練習すれば、玉留めは少しずつ安定して作れるようになります。巻き数だけに頼らず、布に合った結び目の大きさと適切な位置を意識して、毎日の手縫いに役立ててください。