厚塗りのやり方を覚えたいけれど、「どこから塗り始めればいいのかわからない」「色を重ねると濁る」「顔や髪に立体感が出ない」と悩んでいませんか。デジタルイラストの厚塗りは、ラフから下塗り、影と光の描き込み、色のなじませ方、仕上げまでを順序立てて進めると、初心者でも取り組みやすくなります。
2026年2月28日には、セルシス公式チャンネルで、厚塗り向けの自作ブラシ3種類やレイヤーマスク、グラデーションマップを使った仕上げを紹介するメイキング動画も公開されました。こうした制作例からもわかるように、厚塗りは特別なブラシだけで完成する技法ではありません。この記事では、クリスタを使う場合も含め、線画を活かす方法、線画なしで描く方法、顔の塗り方、失敗例の改善まで、実践的な手順に沿って解説します。
【まず理解】厚塗りとは?初心者が押さえたい基本と上達の考え方

厚塗りとは、色を重ねたり塗り直したりしながら、物の形や質感、光の当たり方を描き込んでいく塗り方です。油絵のような重厚感を目指すスタイルもあれば、アニメ風のキャラクターに柔らかな色の変化を加えるスタイルもあります。
アニメ塗りのように色の境界を明確に分ける方法と比べると、厚塗りでは色と色の境目を筆のタッチで調整し、形を描きながら塗りを整えていく場面が多くなります。ただし、厚塗りだからといって、すべての境界をぼかす必要はありません。輪郭をシャープに残す場所と、柔らかくなじませる場所を使い分けることで、画面にメリハリが生まれます。
厚塗りが初心者に難しく感じられる3つの理由- 完成形が見えにくい:色を何度も重ねるため、下塗りの段階では完成した印象になりにくい。
- 色が濁りやすい:混色ブラシで何度も往復すると、意図しない色が混ざり、明るさや鮮やかさが失われることがある。
- 描き込みの基準が曖昧:細部を描くことに集中しすぎると、顔や体の大きな形、光の方向が崩れやすい。
これらを防ぐ基本は、最初に大きな形と明暗を決め、次に中くらいの面、最後に細部を描くことです。目や髪の毛の一本一本から描き始めるのではなく、顔全体の明暗や髪の大きな束を先に捉えましょう。
厚塗りに向いている人・別の塗り方が向いている人厚塗りは、筆跡を残したい人、色の変化を楽しみたい人、描きながら形を修正したい人に向いています。一方、輪郭や色面を均一に保ちたいイラスト、複数のキャラクターを同じ塗り方で大量に仕上げたい制作では、工程を整理したアニメ塗りや、線画と塗りを分ける方法のほうが効率的な場合もあります。
また、厚塗りは必ずしも線画を使わない技法ではありません。線画を活かして塗る方法も、線画を塗りに取り込んで描く方法も、どちらも厚塗りとして成立します。初心者は、慣れた線画を残す方法から始めると、形を見失いにくくなります。
【初心者向け手順】ラフから仕上げまで7ステップで解説
厚塗りのやり方で最も大切なのは、作業の順序です。ここでは人物イラストを例に、クリスタなどのデジタルイラストソフトで実践できる基本工程を7段階に分けて紹介します。
STEP1:ラフでポーズと大きな形を決める最初に、人物のポーズ、顔の向き、頭身、髪型、服のシルエットをラフで決めます。この段階では、目のまつ毛や服の細かな装飾を描き込む必要はありません。
人物を少し離れて見たときに、顔・胴体・腕・髪の位置関係がわかるか確認してください。厚塗りでは、後の工程で輪郭を塗り直すことも多いため、最初のラフで大きな形を把握しておくと修正の負担を減らせます。
STEP2:色の方向性を決めるラフができたら、肌、髪、服、背景の基本色を選びます。色選びで迷う場合は、最初から多くの色を使わず、メインカラー、影色、明るい色の組み合わせを意識しましょう。
例えば、肌を単純な肌色だけで塗るのではなく、影には赤みや紫み、光が当たる部分には黄みを少し加えると、色の変化が生まれます。ただし、光源や周囲の色によって適切な色は変わるため、すべての肌に同じ配色を当てはめる必要はありません。
STEP3:厚塗りの下塗りをする下塗りでは、人物や物体をパーツごとの大きな色面で塗り分けます。肌、髪、服などの領域を把握できる状態にしておけば、その後の描き込みがスムーズになります。
下塗りの段階で影やハイライトを細かく描き込むのは避けましょう。まずは各パーツの形と基本色を整え、画面全体の配色を確認します。線画を残す場合は、線の内側を塗る方法でも、線画の上から一部を描き直す方法でも構いません。
なお、線画と下塗りを統合して作業する場合は、元の線画と塗りを別に保存しておくと安心です。セルシス公式のCLIP STUDIO TIPSに掲載された「あずまあや」の厚塗りメイキングでも、元の線画と塗りをまとめたフォルダーを複製し、複製側を統合して編集用にする手順が紹介されています。
STEP4:大きな影を入れる下塗りができたら、光が当たりにくい部分に影を加えます。顔なら前髪の下、鼻の下、あごの下、首元などが代表的な箇所です。服なら、袖の内側、脇、折れ目、体と接している部分などから考えます。
最初は影を細かく分割せず、大きな面として捉えてください。光がどちらから来ているのかを決め、画面全体で影の方向が矛盾していないかを確認します。
STEP5:中間色を加え、形を整える影と下塗りの境界に中間色を加えると、形の変化が滑らかに見えます。ただし、すべての境界をぼかすのではなく、頬や髪の丸みなど柔らかい部分はなじませ、鼻筋やあごの輪郭など形を伝えたい部分は比較的はっきり残します。
ブラシで色を混ぜるときは、広い範囲を何度も往復するよりも、必要な境界だけを短いストロークで調整するのがコツです。色が濁ってきたら、いったん新しい色を選び直して形を整えます。
STEP6:光と質感を描き込む大きな明暗が整ったら、光が当たる部分を描き込みます。肌には柔らかな明るい色、髪には束の流れに沿ったハイライト、金属には明暗差の大きな反射を加えるなど、素材に応じて描き方を変えましょう。
光は白で塗ればよいわけではありません。肌なら明るい肌色、髪ならベースカラーより明度の高い色など、周囲の色になじむ色を選ぶと自然です。ハイライトを増やす前に、光の方向と大きな明暗が正しく伝わっているかを確認します。
STEP7:細部を整え、画面全体を仕上げる最後に、目や口、髪の毛先、服の装飾、必要な反射光などを加えます。すべての場所を同じ密度で描き込む必要はありません。顔や手など、視線を集めたい場所に描き込みを集中させ、背景や画面の端は少し情報量を抑えると、主役が引き立ちます。
完成前には、キャンバスを縮小して全体の印象を確認してください。拡大表示ではきれいに見えても、縮小すると顔の明暗が弱い、髪の形がまとまっていない、背景と人物の色が似すぎているといった問題に気づくことがあります。
【ブラシ・レイヤー設定】厚塗りにおすすめの道具と使い分け
厚塗りに向いているブラシは、描きたい質感によって異なります。最初から大量のブラシをダウンロードするよりも、色をしっかり置くブラシ、色をなじませるブラシ、細部を描くブラシの3種類を使い分けるほうが、操作を覚えやすくなります。
厚塗りブラシは何を選ぶべき?セルシス公式のCLIP STUDIO PAINT解説では、筆ツールの「厚塗り」グループは、色を混ぜたり重ねたりする表現に向いていると説明されています。また、厚塗りのメイキングでは、柔らかな水彩系の筆と細かな描き込みに使うブラシを使い分ける例も紹介されています。
ブラシ名だけで選ぶのではなく、実際に試し描きをして、色の混ざり方、筆跡の残り方、筆圧による変化を確認しましょう。
- 不透明度の高いブラシ:形をはっきり描きたいときや、色面を修正したいときに使う。
- 混色ブラシ:隣り合う色をなじませたり、中間色を作ったりするときに使う。
- ドライ系・質感系ブラシ:髪や布、ざらついた表面などに筆跡や質感を加えるときに使う。
- 細い描き込み用ブラシ:目、髪の毛先、細かな輪郭など、視線を集めたい場所を仕上げるときに使う。
厚塗りでは、すべての色を最初から1枚のレイヤーに描く必要はありません。修正しやすさを優先するなら、ラフ、線画、下塗り、影、光、仕上げのように役割を分けておくと便利です。作業に慣れてきたら、必要な部分を統合して描き込む方法も試せます。
レイヤーの合成モードも、目的に合わせて選びます。通常レイヤーは自由に色を塗り重ねる基本の選択肢で、乗算レイヤーは下の色を暗くする影の表現に使いやすく、加算系の合成モードは発光や強い光の演出に役立ちます。ただし、合成モードによって色の見え方が変わるため、最終的な色を画面上で確認しながら調整してください。
| 目的 | おすすめの道具・設定 | 使うときのポイント |
|---|---|---|
| 下塗り・形の修正 | 不透明度の高いブラシ、通常レイヤー | 大きな色面を明確に作り、形を整える |
| 色のなじませ | 混色ブラシ、低めの不透明度のブラシ | 境界だけを調整し、全体をぼかしすぎない |
| 影の追加 | 通常レイヤー、必要に応じて乗算レイヤー | 光源の方向を決め、暗さと色味を調整する |
| 光・反射の表現 | 通常レイヤー、必要に応じて加算系の合成モード | ハイライトを増やしすぎず、光源との整合性を保つ |
| 質感・細部 | ドライ系ブラシ、細い描き込み用ブラシ | 素材ごとに筆跡を変え、描き込みの密度を調整する |
なお、乗算や加算などの合成モードは、厚塗りに必須の機能ではありません。通常レイヤーで直接色を重ねても十分に描けます。最初は基本のブラシとレイヤー操作を覚え、必要になった段階で設定を増やしていきましょう。
クリスタで厚塗りを始めるときの設定CLIP STUDIO PAINTでは、筆ツールの「厚塗り」グループにある混色系ブラシなどから試すと、色を重ねる感覚をつかみやすくなります。ブラシサイズや筆圧への反応を調整し、同じ色を重ねたときにどの程度筆跡が残るかも確認しておきましょう。
混色を強く効かせたブラシは便利ですが、何度も塗り重ねると色が意図せず変化する場合があります。下塗りや輪郭の修正には色が混ざりにくいブラシ、境界をなじませるときには混色ブラシというように役割を分けると、作業が安定します。
また、ブラシのサイズや複雑な設定は、描画の動作にも影響します。セルシス公式サポートでも、ブラシ設定のパラメータや先端画像のサイズなどが動作負荷に関係することが説明されています。動作が重いときは、ブラシを増やす前に、不要な設定や大きすぎるブラシ先端画像を見直すのも一つの方法です。
【線画なし・線画あり】自分に合った厚塗りの描き方を選ぶ
厚塗りの描き方には、大きく分けて線画を残す方法と、線画を塗りに取り込む方法があります。どちらを選ぶかによって作業の進め方は変わりますが、完成度を左右するのは線画の有無だけではありません。形の正確さと明暗の整理ができているかが重要です。
線画を活かす厚塗りの方法初心者におすすめなのは、線画を残したまま色を重ねていく方法です。顔や手、服の輪郭がわかりやすいため、塗りを進める途中で形を見失いにくくなります。
- 線画と下塗りを別のレイヤーに分ける。
- 下塗りの上に影や中間色を加える。
- 線画の色が強すぎる場所は、線画の色や不透明度を調整する。
- 必要に応じて塗りを線画の上に重ね、輪郭の一部を柔らかくする。
- 最後に、残したい線と塗りに統合したい線を見極める。
線画が黒く目立ちすぎる場合は、肌や髪の輪郭線を暗い茶色などに調整すると、塗りとなじみやすくなります。ただし、すべての線を薄くすると形がぼやけるため、目元や口元など、形をはっきり伝えたい部分は残すとよいでしょう。
線画なしで描く厚塗りの方法線画なしの厚塗りでは、色の境界そのものを輪郭として使います。最初にラフで形を決めたら、人物の大きなシルエットを色で描き、その上から明暗を重ねて形を整えます。
この方法では、輪郭線の代わりに明度差や色相差を使って形を見せる必要があります。例えば、暗い髪と明るい背景が接する場所は輪郭が見えやすくなりますが、髪と背景が似た明るさだと形が曖昧になります。色が接する部分の明るさや色味を変え、シルエットが読み取れるように調整しましょう。
線画なしの描き方は、塗りながら形を修正することが多いため、最初から細部を描き込むと修正範囲が広がりがちです。大きな形、中くらいの面、細部の順序を守ることが、線画なしで仕上げるための近道です。
初心者はどちらから練習すべき?輪郭や顔のバランスにまだ不安がある人は、線画ありから始めるのがおすすめです。線画をガイドとして使えば、厚塗り特有の色の重ね方や明暗の作り方に集中できます。
一方、ラフの段階で立体やシルエットを把握できる人は、線画なしの方法にも挑戦しやすいでしょう。最初からどちらか一方に決める必要はなく、顔は線画を活かし、髪や服は線画を塗りに取り込むといった組み合わせも可能です。
【顔・影・光】厚塗りで立体感を出すための実践テクニック
厚塗りの仕上がりを大きく左右するのが、顔の立体感、影の形、光の入れ方です。細かな筆跡を増やす前に、物体がどのような面で構成されているのかを意識すると、塗りが整理されます。
厚塗りで顔を描くときの順序顔は目や口などのパーツだけでなく、額、頬、鼻、あごといった大きな面のつながりで捉えます。顔の厚塗りでは、次の順番で進めると立体感を作りやすくなります。
- 顔全体のベース色:肌の基本色を置き、顔の形を確認する。
- 大きな影:前髪の下、鼻の下、頬の下側、あごから首にかけての影を整理する。
- 中間色:額から頬、鼻筋、あごへとつながる面の変化を調整する。
- 明るい部分:額や鼻筋、頬など、光が当たる場所に明るい色を置く。
- 細部:目元、唇、鼻の形を整え、必要に応じて赤みや反射光を加える。
鼻の形を線だけで表現しようとすると、顔全体の塗りから浮いてしまうことがあります。鼻筋には明るい面、側面には少し暗い面、鼻の下には影を置くなど、色の変化で立体を表現してみましょう。ただし、すべての顔に同じ影を入れるのではなく、顔の向きと光源に合わせて位置を調整します。
厚塗りの影の付け方:暗くするだけでは不十分影は単にベースカラーを黒くした色で塗ればよいわけではありません。影の色は、光源の色、周囲の環境、物体の材質によって変わります。肌なら赤みや紫みを含む影、髪ならベースカラーに近い色相の暗い色などを試すと、色の豊かさを表現できます。
まずは影を大きな面で置き、影の中に必要な濃淡を加えてください。物体同士が接している部分や、光が届きにくい部分は比較的暗くなりやすく、光が回り込む部分では影が柔らかく見える場合があります。
ここで意識したいのが、影の境界です。顔の丸みや肌の柔らかさを表現したい場所では境界をなじませ、服の折れ目や物体の角などでは境界を残すと、形の違いが伝わりやすくなります。
厚塗りの光の入れ方:ハイライトを増やす前に確認することハイライトを入れる前に、光がどこから当たっているのかを決めましょう。光源が左上にある設定なら、額や頬の左上側、髪の上面などに光が当たりやすくなります。影もその光源と矛盾しない位置に配置します。
光を描くときは、明るさの違いを段階的に使うのがポイントです。ベース色より少し明るい色で中間的な光を作り、最も強く光る場所だけをさらに明るくします。最初から白いハイライトを多く入れると、肌や髪の質感が硬く見えたり、画面全体の明暗差が弱く見えたりすることがあります。
髪のハイライトは、一本一本を均等に描くよりも、髪の大きな束に沿って面として捉えると立体的になります。肌は柔らかな明暗の変化、金属は鋭い明暗差、布は素材に応じた控えめな光沢というように、質感によって光の描き方を変えてください。
厚塗りの色の混ぜ方:混色ブラシだけに頼らない色をなじませるには、混色ブラシで直接混ぜる方法のほか、隣り合う色を少しずつ塗り重ねる方法、透明度の低い色を上から重ねる方法があります。デジタルペイントソフトのKrita公式マニュアルでも、半透明の色を重ねるグレージングや、乗算などの合成モードを使った色の調整が解説されています。
色が濁ったときは、ブラシを動かし続けるのではなく、いったん筆を止めて色を選び直しましょう。特に明るい肌色と暗い影色を何度も混ぜると、狙っていない中間色になり、明暗差が弱くなることがあります。
また、色を混ぜることと、境界をぼかすことは同じではありません。色を混ぜなくても、隣接する色の明るさや色相を調整すれば、自然なつながりを表現できます。混色ブラシを使う場所と、色をはっきり残す場所を意識的に分けることが大切です。
【失敗例と改善方法】厚塗りが汚く見える原因と直し方
厚塗りを練習していると、色が濁る、立体感が出ない、描き込みすぎて完成しないといった問題が起こりやすくなります。こうした失敗は、単にブラシの技術が足りないからとは限りません。工程の順序や、明暗の整理方法を見直すだけで改善する場合があります。
失敗1:色を混ぜすぎて画面が濁る原因:同じ場所を混色ブラシで何度も往復し、異なる色が意図せず混ざっている。
改善方法:混色ブラシの使用をいったん止め、明るい色・中間色・影色を置き直します。境界をなじませる範囲を限定し、色が必要以上に混ざらないようにしましょう。混色の弱いブラシを併用するのも有効です。
失敗2:塗り込んでも立体感が出ない原因:細部は描き込まれていても、大きな明暗の差が不足している。または、光源の方向が統一されていない。
改善方法:キャンバスを縮小し、影と光の配置を確認します。細部を追加する前に、明るい面・中間の面・暗い面の違いが伝わるように調整してください。必要なら一度細部を描く手を止め、大きな影を描き直します。
失敗3:顔が平面的、または不自然に見える原因:目や口などのパーツを先に描き込み、額・頬・鼻・あごの面のつながりを整理できていない。
改善方法:目元や唇の細部をいったん後回しにし、顔全体を大きな形として見直します。頬の明るさ、鼻の側面の影、あごから首への影を調整し、顔の向きに合った立体感を作りましょう。
失敗4:すべての輪郭をぼかして形が曖昧になる原因:厚塗りは色をなじませるものだと考え、境界を均一に柔らかくしてしまっている。
改善方法:顔の輪郭、髪と背景の境界、服の折れ目など、形を伝えたい部分には明確な境界を残します。一方、頬や柔らかな布などは必要に応じてなじませます。シャープな境界と柔らかな境界を使い分けることで、立体感と視線誘導が改善します。
失敗5:細部を描き続けて完成しない原因:画面全体の優先順位を決めず、すべての部分を同じ密度で描き込んでいる。
改善方法:顔や手などの注目させたい場所を優先し、背景や画面の端は必要な情報だけに絞ります。作業の区切りごとに縮小表示で確認し、作品全体の印象が整っていれば、細部を追加しすぎない判断も必要です。
仕上げで迷ったときのチェックリスト- 光源の方向と影の位置が一致しているか。
- 顔や体の大きな形が、縮小しても読み取れるか。
- 影と光の明暗差が十分にあるか。
- 色を混ぜすぎて、全体が灰色っぽくなっていないか。
- シャープな境界と柔らかな境界を使い分けているか。
- 最も見せたい部分に描き込みが集中しているか。
この6項目を確認するだけでも、ブラシの種類を増やす前に改善できる問題が見つかります。厚塗りの上達では、描き足す技術と同じくらい、不要な描き込みをやめて形を整理する判断が重要です。
【厚塗りやり方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:厚塗りは初心者でもできますか?
A1:できます。最初は線画を残し、下塗り、大きな影、中間色、ハイライトの順で進める方法がおすすめです。細部から描き始めず、大きな形と明暗を先に整えると、完成までの流れをつかみやすくなります。
Q2:厚塗りにおすすめのブラシは何ですか?
A2:最初は、不透明度の高いブラシ、色を混ぜるブラシ、細部を描くブラシの3種類を用意すると十分です。クリスタなら筆ツールの「厚塗り」グループにあるブラシなどから試し、色の混ざり方や筆跡の残り方を確認しましょう。
Q3:厚塗りは線画なしで描く必要がありますか?
A3:いいえ。線画を残したまま厚塗りする方法も一般的です。初心者は線画をガイドとして活用し、慣れてきたら髪や服など一部の輪郭を塗りに取り込む方法を試すと、無理なく表現の幅を広げられます。
Q4:厚塗りの色が濁るときはどうすればいいですか?
A4:混色ブラシで同じ場所を何度も往復するのをやめ、色を選び直して境界を整えましょう。混色ブラシと、色が混ざりにくいブラシを使い分けることも効果的です。明暗差が失われている場合は、影色と明るい色を置き直します。
Q5:クリスタで厚塗りをする際、レイヤーは統合すべきですか?
A5:最初からすべてを統合する必要はありません。修正しやすいように線画や下塗りを別に保存し、必要に応じて複製したレイヤーを統合して描き込む方法がおすすめです。元のレイヤーを残しておけば、形や色を戻したいときにも対応できます。
Q6:厚塗りで立体感を出すには何を優先すべきですか?
A6:細かな筆跡よりも、大きな形、光源の方向、影と光の明暗差を優先してください。顔なら額・頬・鼻・あごの面を意識し、髪なら束の大きな形を整えます。その後に細部を描き込むと、塗りの情報量が増えても形が崩れにくくなります。
厚塗りのやり方を身につけるうえで大切なのは、特別なブラシや複雑なレイヤー設定を最初からそろえることではありません。ラフで大きな形を決め、下塗りで色面を整理し、影と光で立体感を作り、最後に色のなじませ方や質感を調整する。この基本の流れを繰り返すことが、上達への近道です。
線画なしの描き方に挑戦する場合も、線画を活かす方法を選ぶ場合も、明暗の設計と輪郭の整理は欠かせません。色が濁ったら混ぜすぎていないかを確認し、立体感が弱ければ細部を増やす前に大きな影と光を見直しましょう。
まずは一枚のイラストで、肌・髪・服の3つのパーツだけを使い、下塗りから仕上げまでの工程を練習してみてください。ブラシを使い分けながら、どこをなじませ、どこに筆跡を残すのかを判断できるようになると、厚塗りの表現は少しずつ安定していきます。完成した絵を縮小して確認する習慣もつければ、立体感と画面全体のまとまりを両立しやすくなります。