IQOS(アイコス)は、紙巻きたばこのように葉を燃焼させず、加熱によって発生するエアロゾルを吸入する加熱式たばこだ。「煙が少ない」「有害物質が少ない」といった特徴から、紙巻きたばこより健康への影響が小さいと考えている人も少なくない。しかし、IQOSの発がん性は2026年現在、どのように評価されているのだろうか。
2026年3月に公表された厚生労働科学研究班の報告書「加熱式たばこに関するこれまでの知見の整理」では、NNK、NNN、ベンゾ[a]ピレンなどの発がん関連物質について具体的なリスク評価が行われた。一方、がんの発症そのものを評価した疫学研究は存在せず、長期的な発がんリスクは判定できないという結論も示されている。加えて、2026年4月には米国FDAがIQOSの曝露低減に関する販売許可を更新したが、これは安全性やがんリスクの低減を認定したものではない。
【2026年最新】IQOSの発がん性は現在どう評価されている?

最初に押さえておきたいのは、IQOSに発がん性があると医学的に確定したという話と、発がん性物質への曝露が確認されているという話は別だという点だ。
2026年現在、IQOSを含む加熱式たばこについて、使用によって何%がんの発症率が上昇するのか、紙巻きたばこと比べて何%がんのリスクが低いのかを確定できるだけの疫学的証拠はそろっていない。
2026年3月の厚生労働科学研究が示した重要な結論2025年度の厚生労働科学研究では、国立保健医療科学院の牛山明氏を研究代表者とする専門家グループが、加熱式たばこの化学的特性と健康影響について調査・分析した。
研究では、2010年から2025年12月22日までに公表された関連文献を検索し、英文1,132報、日本語58報を抽出。疫学、公衆衛生学、衛生学など複数の専門領域から知見を整理している。
その研究成果をまとめた2026年3月の報告書では、発がん性について次のような評価が示された。
加熱式たばこについては、がんの発症を評価項目とした疫学研究が存在しないため、現時点では判定できない。
これは、IQOSが発がん性のない製品だと認められたことを意味しない。実際、研究班は発がんリスクを示唆する化学分析や実験研究の結果も確認している。
つまり、発がん性を否定できないだけでなく、発がん関連物質による健康リスクが懸念される一方、実際のがん発症率を確定する段階には至っていないというのが、2026年時点の科学的な位置づけだ。
2026年7月の厚生労働省の見解も重要2026年7月時点の「たばこの健康影響に関する見解」でも、加熱式たばこの長期的な健康影響は明らかになっていないと整理されている。
同資料では、加熱式たばこの主流煙・副流煙から発がん物質を含む有害物質が検出されていること、紙巻きたばこより健康への影響が低いと判断できる科学的根拠が確認されていないことが示された。
この見解はIQOSだけを対象とした臨床試験の結果ではなく、加熱式たばこ全般についての公的な評価である。ただし、IQOSもたばこ葉を加熱して吸入する製品であり、この評価を無関係なものとして扱うことはできない。
2026年の判断を整理すると、次のようになる。
- 発がん関連物質が含まれること:確認されている。
- 一部の発がん物質によるリスク:懸念されている。
- IQOS使用による実際のがん発症率:判定できない。
- 紙巻きたばこより安全であること:十分な証拠がない。
- 長期使用による影響:引き続き研究が必要。
【厚生労働科学研究】IQOSに含まれるNNK・NNN・ベンゾ[a]ピレンとは?
IQOSの発がん性を考えるうえで、特に注目したいのが、たばこ特異的ニトロソアミンと多環芳香族炭化水素だ。
厚生労働科学研究の2026年報告書では、加熱式たばこの化学成分を分析し、発がん性に関係する物質についてリスク評価を実施している。
1. NNK:肺がんとの関連が懸念される物質NNK(4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン)は、たばこ特異的ニトロソアミンの一種だ。
国際がん研究機関(IARC)ではグループ1に分類されており、人に対する発がん性がある物質として扱われている。
厚生労働科学研究のリスク評価では、NNKについて肺がんを評価対象とした場合に、リスクが強く懸念される水準と判断された。
重要なのは、紙巻きたばこより排出量が低いという分析結果があっても、NNKが完全に消失するわけではないことだ。加熱式たばこにも残存する発がん関連物質として注意が必要になる。
2. NNN:上気道の腫瘍リスクに関係する物質NNN(N-ニトロソノルニコチン)も、たばこ特異的ニトロソアミンに分類される発がん物質だ。
NNNについてもIARCグループ1に分類されている。厚生労働科学研究の初期リスク評価では、鼻腔や気管の腫瘍が評価対象となり、発がんリスクが懸念される結果となった。
NNKとNNNは同じたばこ特異的ニトロソアミンでも、評価された腫瘍の種類や研究上の評価項目が異なる。両者を一括して肺がんだけの問題として理解するのは正確ではない。
3. ベンゾ[a]ピレン:DNA損傷に関係する発がん物質ベンゾ[a]ピレンは、多環芳香族炭化水素(PAH)の一種で、代表的な発がん性物質として知られている。
体内に取り込まれると代謝によって反応性の高い物質に変化し、DNAと結合して遺伝子の変異を引き起こす可能性がある。
2026年の厚生労働科学研究では、ベンゾ[a]ピレンについても肺がんリスクが強く懸念される評価結果が示された。
加熱式たばこは燃焼を伴わないため、紙巻きたばこより燃焼由来の有害物質が少なくなる傾向がある。しかし、燃焼させないことと、発がん性物質が発生しないことは同じではない。
3物質の関係を整理- NNK: 肺がんとの関連が懸念される。
- NNN: 鼻腔・気管など上気道の腫瘍リスクが懸念される。
- ベンゾ[a]ピレン: DNA損傷を通じた発がん作用が知られ、肺がんリスクが懸念される。
なお、これらのリスク評価は化学物質の測定値や毒性情報などを用いた初期評価であり、IQOSを吸った人のがん発症率を直接測定した結果ではない。推計上のリスクと実際の患者数を混同しないことが大切だ。
【徹底比較】IQOSと紙巻きたばこは有害物質がどれほど違う?
IQOSと紙巻きたばこの最大の違いは、たばこ葉を燃焼させるか、加熱するかという点にある。
厚生労働科学研究の報告書では、紙巻きたばこはおおむね500〜900℃で燃焼するのに対し、加熱式たばこは約200〜350℃で加熱する仕組みと説明されている。
燃焼を伴わないことで、一酸化炭素などの燃焼由来成分は減少する。しかし、すべての有害物質が同じ割合で減るわけではない。
有害物質の比較一覧| 比較項目 | IQOSを含む加熱式たばこ | 紙巻きたばこ | 評価・注意点 |
|---|---|---|---|
| 一酸化炭素 | 概ね少ない | 燃焼により多く発生 | 加熱式で低減する傾向 |
| NNK | 低減傾向だが残存 | 発生する | 製品・測定条件による差がある |
| NNN | 低減傾向だが残存 | 発生する | 発がん性が懸念される |
| ベンゾ[a]ピレン | 検出される場合がある | 発生する | 肺がんリスクに関係する物質 |
| ニコチン | 紙巻きたばこと同程度の製品もある | 含有する | 依存性に注意 |
| フルフラール | 紙巻きより多い場合がある | 含有する | 気道への影響が懸念される |
| その他の有害化学物質 | 低減するものと増加するものがある | 多様な有害物質を含む | 単純な総量比較では評価できない |
※比較は厚生労働科学研究の加熱式たばこ全般に関する成分分析・評価を整理したもの。すべての数値や傾向がIQOS単独の測定結果を示すものではない。製品や銘柄、測定方法によって結果は異なる。
「有害物質90%以上削減」という説明の落とし穴加熱式たばこの説明でよく見かけるのが、紙巻きたばこと比較して有害物質を90%以上削減したという主張だ。
しかし、厚生労働科学研究の報告書では、この種の削減率について比較対象の違いが指摘されている。
企業側が示す削減率は、研究用に製造された標準紙巻きたばこと比較した排出量を基に算出されている。一方、実際の喫煙者の尿中曝露バイオマーカーを比較した研究では、紙巻きたばこと比べた低減は約半分程度にとどまるという結果も整理されている。
つまり、実験室で測定した排出量の削減率が、そのまま人体への曝露量の削減率になるわけではない。
加えて、紙巻きたばこより少ない物質がある一方で、加熱式たばこの方が多く検出される成分や、紙巻きたばこには含まれない化学物質も報告されている。
「有害物質が減った」という事実だけで「健康リスクも同じ割合で減った」と判断することはできない。 これが比較データを読む際の要点だ。
【受動喫煙のリスク】IQOSなら家族や周囲の人は安全なのか?
IQOSを使用する本人だけでなく、周囲の人への影響も見逃せない。
加熱式たばこは、紙巻きたばこのように燃焼による煙を大量に発生させる仕組みではない。しかし、吸入されるエアロゾルや使用者が吐き出す呼出エアロゾルには、ニコチンや有害化学物質が含まれる。
室内でも有害物質への曝露が起こる2026年3月の厚生労働科学研究報告書では、加熱式たばこの使用によって室内の有害化学物質濃度が増加し、周囲の非喫煙者にも受動喫煙が生じると整理された。
特に注目されるのは、受動喫煙を受けた人の尿などから、ニコチンの代謝物や発がん物質に関連する代謝物が検出された研究結果だ。
また、研究報告では、特定の発がん物質について、加熱式たばこの受動喫煙による体内取り込み量が、紙巻きたばこの受動喫煙と同程度になる場合があることも指摘されている。
ただし、これはすべての物質やすべての使用環境で同じ曝露量になるという意味ではない。製品、使用頻度、室内環境、換気状況などによって違いが生じる。
子どもや妊婦がいる家庭では特に注意子どもや妊婦など、たばこの有害物質への曝露を避ける必要性が高い人がいる環境では、加熱式たばこであっても室内使用を避けることが望ましい。
見た目に煙が少ないことや、紙巻きたばこ特有の臭いが弱いことは、周囲への健康影響がないことを意味しない。
2026年7月時点の厚生労働省の見解でも、加熱式たばこの副流煙から発がん物質を含む有害物質が検出され、受動喫煙による曝露が懸念されると整理されている。
また、WHO欧州地域の2026年の健康影響資料では、加熱式たばこのエアロゾルへの曝露について、喘息や喘息様症状、のどの痛み、頭痛、胸部の不快感などとの関連を示す研究が紹介されている。
現時点では、加熱式たばこの受動喫煙によって、どの程度がんの発症率が上昇するのかを確定できる研究は不足している。しかし、有害物質への曝露そのものは確認されているため、無害な空気として扱うことはできない。
【FDA・WHOの見解】IQOSの曝露低減は安全性の証明ではない
IQOSの発がん性をめぐって混乱が生じやすい理由の一つが、米国FDAによる販売許可だ。
2026年4月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、IQOSの一部製品について、曝露低減をうたう販売許可を更新した。
FDAが2026年4月に更新した許可の内容今回の更新対象は、IQOS 2.4とIQOS 3.0の本体・充電器、および3種類のHeatSticks製品だ。
FDAが認めた主張の要点は次のとおり。
- IQOSはたばこを燃焼させずに加熱する。
- その結果、有害または有害となる可能性のある化学物質の発生が大幅に減少する。
- 紙巻きたばこからIQOSに完全に切り替えた場合、身体が有害化学物質に曝露される量が大幅に減少することを科学的研究が示している。
ここで最も重要なのが「完全に切り替えた場合」という条件だ。
紙巻きたばことIQOSを併用する場合、紙巻きたばこからの有害物質への曝露が残る。したがって、FDAが認めた曝露低減の主張を、併用者にもそのまま当てはめることはできない。
FDAはIQOSを安全な製品と認定したのか?答えはNOだ。
FDAが認めたのは、特定製品についての「曝露低減(Exposure Modification)」に関する主張であり、「リスク低減(Risk Modification)」や安全性の認定ではない。
つまり、有害化学物質への曝露が減るというデータが存在することと、がんを含む病気の発症リスクが実際に減少することは、科学的に別の問題として扱われている。
FDAの許可更新に関する公式発表でも、この販売許可によって製品が安全だとFDAが判断したと消費者に誤認させるような表示は認められないと説明されている。
WHOは加熱式たばこをどう評価している?WHOも、加熱式たばこについて慎重な立場を維持している。
2026年6月26日更新のWHOファクトシートでは、加熱式たばこからニコチンや有害化学物質を含むエアロゾルが発生し、その中にはがんを引き起こす可能性のある物質も含まれると説明されている。
加えて、WHO欧州地域の資料では、一部の有害物質は紙巻きたばこより少ないものの、同程度またはそれ以上の濃度で検出される物質や、紙巻きたばこには含まれない有害物質も存在すると指摘されている。
FDAとWHOの見解は、必ずしも矛盾しているわけではない。
- FDA: 指定されたIQOS製品について、完全な切り替えによる有害物質への曝露低減を認めている。
- WHO: 加熱式たばこを有害なニコチン・たばこ製品として扱い、健康リスクが低いという主張には慎重な立場を示している。
- 厚生労働省: 長期的な健康影響は不明であり、紙巻きたばこより健康影響が低いという十分な証拠はないとしている。
したがって、FDAの許可を「IQOSは発がん性がないと証明された」と解釈するのは誤りだ。
【長期使用とニコチン依存】IQOSを吸い続けると健康にどう影響する?
IQOSの健康影響を考える際には、がんだけでなく、心血管疾患や呼吸器への影響、ニコチン依存についても確認する必要がある。
ニコチン依存性は紙巻きたばこと同様に問題となるIQOSにはニコチンが含まれている。ニコチンは依存性が高い物質であり、使用を続けることで身体的・心理的な依存につながる可能性がある。
厚生労働科学研究の2026年報告書では、加熱式たばこの使用とニコチン依存との間に強い関連性が認められ、証拠の確からしさもやや高いと評価された。
ニコチンには心拍数や血圧など循環器系に影響を及ぼす作用もある。研究班は、加熱式たばこの使用と循環器疾患についても強い関連性があると評価している。
したがって、IQOSに切り替えたからといって、ニコチン依存から解放されるわけではない。
長期使用によるがん以外の健康影響2026年の研究レビューでは、加熱式たばこと循環器疾患やニコチン依存との関連に加え、喘息、代謝異常、妊娠・周産期の健康問題などについても検討されている。
一方、COPDや発がんについては、発症までに必要な観察期間や研究数が十分ではなく、現段階で判定できない項目が残っている。
これは健康への影響がないという意味ではない。長期にわたる使用者の健康状態を追跡し、病気の発症と製品使用との関係を検証する研究が必要だということだ。
IQOSは禁煙に効果があるのか?IQOSへの切り替えを禁煙と同じものだと考えている人もいるが、両者は明確に異なる。
IQOSはニコチンを摂取するためのたばこ製品であり、使用を続けている限り、ニコチン依存が維持される可能性がある。
厚生労働科学研究の2026年報告書では、加熱式たばこが禁煙の成功を妨げたり、禁煙していた人の再喫煙を誘発したりするリスクが指摘されている。禁煙補助としての有効性を裏づける質の高い科学的証拠も確認されていない。
禁煙を目的とするなら、IQOSへの置き換えをゴールにするのではなく、ニコチン依存そのものから離れることを目指したい。
禁煙外来や医療機関での相談、科学的根拠のある禁煙支援を利用することが、長期的な健康改善につながる現実的な選択肢となる。
【プロの結論】IQOSの発がん性を判断するときに知っておきたいこと
2026年の研究結果を踏まえると、IQOSの評価で特に重要なのは、化学物質の削減、実際の健康リスク、がん発症の疫学的証拠という3つを分けて考えることだ。
誤解しやすい3つのポイント誤解1:煙が少ないから発がん性もない。
IQOSは燃焼を伴わないため、一部の燃焼由来物質が少なくなる。しかし、発がん性物質を含む有害化学物質が検出されている。煙や臭いの少なさは安全性の証明にはならない。
誤解2:がん発症の疫学研究がないから安全。
疫学研究が存在しないことは、発がんリスクがないことを意味しない。長期的な健康影響を判断するための証拠が不足しているという意味である。
誤解3:FDAが認めたから紙巻きたばこより安全。
FDAが2026年に更新したのは、指定された製品の曝露低減に関する許可だ。がんの発症率や長期的な疾病リスクが低下することを認定したわけではない。
健康面から考えた場合の判断基準- たばこを吸ったことがない人: IQOSを新たに始める健康上のメリットはない。
- 紙巻きたばこを使用している人: IQOSへの切り替えを安全対策と考えず、禁煙を優先する。
- 紙巻きたばことIQOSを併用している人: 曝露低減の研究結果をそのまま当てはめることはできない。
- 禁煙を目指している人: IQOSへの変更ではなく、禁煙外来などの支援を活用する。
- 家族に子どもや妊婦がいる人: 加熱式たばこであっても、家庭内や周囲での使用を避ける。
大切なのは、紙巻きたばことIQOSのどちらが相対的に有害物質を多く出すかだけで判断しないことだ。比較対象を変えれば数値も変わり、化学物質の種類によっても結果は異なる。
健康を守るという観点では、たばこ製品を使用しない状態が最も確実な選択となる。
【IQOSの発がん性】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:IQOSには発がん性がありますか?
A1:IQOSを含む加熱式たばこからは、NNK、NNN、ベンゾ[a]ピレンなどの発がん関連物質が検出されている。ただし、IQOSの使用によって実際にがんの発症率がどの程度上昇するかは、2026年現在の疫学研究では確定していない。
Q2:IQOSは紙巻きたばこより発がんリスクが低いですか?
A2:一部の有害物質への曝露は低くなる傾向があるが、発がんリスクそのものが低いと確定できる科学的根拠は不足している。すべての有害物質が減少するわけでもない。
Q3:IQOSを長期間吸うと肺がんになりますか?
A3:IQOSの長期使用と肺がん発症との因果関係は、2026年現在、疫学研究で確定されていない。一方、NNKやベンゾ[a]ピレンなど肺がんリスクが懸念される物質が確認されており、無害と判断することはできない。
Q4:IQOSの受動喫煙でも発がんリスクがありますか?
A4:加熱式たばこのエアロゾルには有害物質が含まれ、周囲の人がそれらに曝露されることも確認されている。特定の発がん物質については、紙巻きたばこの受動喫煙と同程度の体内取り込み量となる場合も報告されている。ただし、実際のがん発症リスクはまだ確定していない。
Q5:FDAがIQOSを認めたのは安全だからですか?
A5:違う。2026年4月のFDAの許可更新は、指定されたIQOS製品について、紙巻きたばこから完全に切り替えた場合の有害物質への曝露低減を認めたもの。安全性や発がんリスクの低減を認定したものではない。
Q6:IQOSは禁煙に効果がありますか?
A6:禁煙補助としての有効性を示す質の高い科学的証拠は確認されていない。ニコチン依存が続く可能性もあるため、禁煙を目指す場合は禁煙外来や医療機関の支援を利用することが望ましい。
IQOSの発がん性について、2026年時点で明らかになっているのは、発がん関連物質への曝露が存在する一方、実際のがん発症率や紙巻きたばこと比較した長期的なリスクの差は確定していないということだ。
2026年3月の厚生労働科学研究では、NNK、NNN、ベンゾ[a]ピレンなどの発がん関連物質について懸念が示された。加えて、受動喫煙による有害物質への曝露や、ニコチン依存、循環器疾患との関連も重要な課題として整理されている。
一方、2026年4月のFDAによる許可更新は、特定のIQOS製品における曝露低減を認めたものであり、安全性を保証するものではない。WHOや厚生労働省も、加熱式たばこの健康リスクについて慎重な見解を維持している。
今後、長期的な疫学研究が進めば、IQOSの使用とがん発症との関係について、さらに具体的な評価が可能になると考えられる。
現段階で押さえておきたいのは、「紙巻きたばこより一部の有害物質が少ないこと」と「健康に安全であること」は同じではないという点だ。発がん性が判定できないことを安全の根拠にせず、健康を守るためには、IQOSを含むたばこ製品を使用しない選択を優先したい。
主な根拠資料
- 厚生労働科学研究「加熱式たばこに関するこれまでの知見の整理」(2026年3月)
- 厚生労働省「たばこの健康影響に関する見解」(2026年7月)
- 米国FDA「FDA Renews Authorization for Five IQOS Products」(2026年4月17日)
- WHO「Tobacco and nicotine」(2026年6月26日)
- WHO欧州地域「Effects of tobacco on health」