乳がんと診断されたとき、多くの患者や家族が最初に考えるのは「どの病院で治療を受ければよいのか」「本当に信頼できる名医は誰なのか」という問題だ。治療実績が豊富な有名病院を選ぶべきなのか、それとも乳がん専門医として高い評価を受ける医師を探すべきなのか。病院選びは、その後の治療生活にも大きく関わってくる。
2026年11月現在、民間の医療情報サイトでは、手術数を基準にした「乳がん病院ランキングベスト100(2025年度最新版)」や、全国の乳がん名医・専門医182名の紹介情報が公開されている。また、日本乳癌学会の公式情報では、2026年1月現在の乳腺専門医は2,105名、指導医は941名と公表されている。ただし、これらは同じ基準で作成されたランキングではない。手術件数、専門医資格、診療体制を分けて確認することが、納得できる医療機関選びにつながる。
【2026年最新】乳がん名医ランキングと2025年度病院ベスト100を検証

最初に押さえておきたいのは、「乳がん名医ランキング」と「乳がん病院ランキング」は別の評価軸であるという点だ。
医師個人の技術や診療能力を全国一律の基準で順位付けした公的な名医ランキングは存在しない。一方、病院の乳がん手術件数や治療実績を集計し、多い順に並べた民間ランキングは複数公開されている。
2025年度最新版・乳がん病院ランキング上位10施設日本の名医・専門医情報を扱う「doctor-cancer.com」では、2025年度最新版として、乳がん治療病院ベスト100を手術数順に掲載している。2026年5月18日にも更新表示があり、病院の実績と名医・専門医の掲載情報をまとめている。
同サイトに掲載された上位10施設と手術件数は次のとおりだ。
| 順位 | 病院名 | 掲載手術数 | 所在地 |
|---|---|---|---|
| 1位 | がん研究会有明病院 | 1,535件 | 東京都 |
| 2位 | 聖路加国際病院 | 961件 | 東京都 |
| 3位 | 聖マリアンナ医科大学病院 | 907件 | 神奈川県 |
| 4位 | 相良病院 | 900件 | 鹿児島県 |
| 5位 | 国立がん研究センター中央病院 | 699件 | 東京都 |
| 6位 | 東京都立駒込病院 | 657件 | 東京都 |
| 7位 | さいたま赤十字病院 | 640件 | 埼玉県 |
| 8位 | 北海道がんセンター | 621件 | 北海道 |
| 9位 | 虎の門病院 | 613件 | 東京都 |
| 10位 | 大阪国際がんセンター | 604件 | 大阪府 |
出典は、民間の医療情報サイト「日本の名医リスト一覧」に掲載された2025年度版の順位と件数である。これは同サイトの掲載値であり、国が公表する公式な病院評価ではない。
ランキング上位病院に掲載された乳がん専門医同ランキングでは、病院の実績だけでなく、専門医や診療責任者として紹介されている医師の情報も掲載されている。
- がん研究会有明病院:上野貴之、高野利実、尾崎由記範、宮城由美など。
- 聖路加国際病院:吉田敦、北野敦子など。
- 聖マリアンナ医科大学病院:津川浩一郎。
- 相良病院:相良吉厚、大野真司など。
- 国立がん研究センター中央病院:高山伸、下井辰徳など。
- 虎の門病院:川端英孝、田村宜子など。
- 大阪国際がんセンター:中山貴寛。
これらはランキング掲載ページで紹介されている医師の名前であり、医師個人の全国順位を示すものではない。役職や所属は異動などによって変更されるため、実際に受診する際には各医療機関の最新の診療案内を確認したい。
2026年11月時点の最新手術実績ランキングにも注目2025年度のベスト100とは別に、2026年11月2日時点で更新されている「病院のご案内」の全国集計も参考になる。
こちらは厚生労働省の医療情報ネットに各病院が報告した前年度の手術件数と、厚生労働省のDPC調査による入院手術データを組み合わせたものだ。
同サイトの乳がん手術件数ランキングでは、上位に次の病院が並んでいる。
- 1位:有明病院(東京都)1,323件
- 2位:相良病院(鹿児島県)836件
- 3位:聖路加国際病院(東京都)783件
- 4位:さいたま赤十字病院(埼玉県)695件
- 5位:国立がん研究センター中央病院(東京都)669件
- 6位:聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県)647件
- 7位:埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県)606件
- 8位:順天堂医院(東京都)583件
- 9位:広島市立広島市民病院(広島県)552件
- 10位:大阪国際がんセンター(大阪府)537件
この集計では、全国1,087病院が乳がん診療を実施しており、乳がん手術の報告件数は合計95,467件とされている。
2025年度版と2026年の集計では、病院の順位や件数に違いがある。これは集計対象や件数の定義、参照する年度が異なるためで、数字だけを横並びにして増減や治療能力を断定することはできない。
重要なのは、ランキングの順位よりも、その病院がどのような治療を、どの程度の規模で提供しているかを把握することだ。
【全国182名】乳がん専門医の掲載情報と47都道府県の名医探し
病院のランキングを確認した後に気になるのが、実際に診療を担当する医師の情報だろう。
「乳がんの名医・専門医182名」というページでは、全国の乳腺科・乳腺外科で乳がんの診療や手術に携わる医師を地域別に紹介している。
全国182名のリストは何を基準にしているのか同ページは、医療機関や学会などの公式情報をもとに、医師の専門分野、所属、役職、学会資格、学会活動、著書などの公開情報を参考に編集された医師情報の一覧である。
2026年の更新情報が掲載されており、北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄の各エリアから医師を探せる構成になっている。
ここで注意したいのは、182名という数字が、日本国内にいる乳がん専門医の総数を示すものではないということだ。
この182名は民間サイトが選定・整理した掲載人数であり、日本乳癌学会の公式資格保有者名簿とは性質が異なる。また、掲載されていること自体が特定の医師への推薦や治療成績の保証を意味するわけではない。
日本乳癌学会の公式専門医数は2,105名資格を確認する際に基準となるのが、一般社団法人日本乳癌学会の認定情報だ。
同学会の公式「認定者・認定施設一覧」によると、2026年1月現在の人数は次のとおりである。
- 乳腺専門医:2,105名
- 乳腺指導医:941名
- 乳腺認定医:2,039名(2025年11月現在)
- 学会認定施設:998施設(2026年7月現在)
これらはそれぞれ異なる資格・施設区分であり、人数を合算して医師の総数とすることはできない。
日本乳癌学会が認定する乳腺専門医は、所定の研修カリキュラム、診療経験、学会・論文発表などの研究業績に加え、専門医試験による知識の確認を経て認定される。
つまり、単に乳がんの診療を担当しているというだけでなく、専門領域での研修や診療能力について学会の認定を受けている点が大きな違いだ。
47都道府県から病院を探すときの考え方東京都や大阪府などの大都市には大規模ながん専門病院や大学病院が集まる一方、地方にも乳腺診療を専門とする医療機関や地域のがん診療連携拠点病院がある。
47都道府県の病院情報を比較するときは、全国ランキングに掲載されているかどうかだけで判断しないことが大切だ。
例えば、北海道なら北海道がんセンターや大学病院、東北地方なら東北公済病院、関東なら有明病院や聖路加国際病院、中部なら各県のがんセンター、関西なら大阪国際がんセンター、中国・四国なら広島市立広島市民病院や四国がんセンター、九州なら相良病院や九州がんセンターなど、地域の中核となる施設が候補になる。
実際の候補は、居住地からの通院時間、治療内容、紹介状の必要性、地域連携体制を考慮して絞り込むとよい。
【比較・検証】乳がん手術数と専門医資格から見る病院の実力
乳がんの病院選びでは、手術数の多さが注目されやすい。しかし、手術件数と治療の質は同じものではない。
手術件数が多い病院を選ぶメリット年間の乳がん手術件数が多い医療機関には、診断から手術、術後治療までの経験を蓄積しやすいという特徴がある。
乳がんは、腫瘍の大きさや位置、リンパ節転移の有無だけでなく、ホルモン受容体やHER2などの生物学的な性質によって治療方針が変わる病気だ。
症例経験の豊富な施設では、乳腺外科医だけでなく、病理医、画像診断医、腫瘍内科医、放射線治療医、形成外科医などが連携する体制を整えている場合がある。
特に、乳房温存手術、乳房全切除術、乳房再建、遺伝性乳がんへの対応など、複数の選択肢を検討する患者にとって、診療科間の連携は重要な判断材料となる。
手術数だけでは分からない5つの評価項目- 医師の専門資格:日本乳癌学会の乳腺専門医・指導医などの資格を確認する。
- 診療チーム:外科、薬物療法、放射線治療、病理診断などの連携体制を見る。
- 手術の選択肢:乳房温存、全切除、再建などについて説明を受けられるか確認する。
- 再発・転移への対応:再発時の薬物療法や臨床試験、専門的な支持療法に対応できるか調べる。
- 患者支援:遺伝カウンセリング、妊孕性温存、就労支援、リンパ浮腫ケアなどの相談体制を確認する。
日本乳癌学会の認定施設は、診断、手術療法、薬物療法、放射線治療などに必要な設備や診療・教育環境を備え、認定医や専門医による専門外来と一定の症例数などの基準を満たしている。
したがって、病院ランキングとあわせて学会認定施設であるかどうかを調べることには意味がある。
手術件数と医師個人の手術経験は区別する見落とされやすいのが、病院全体の手術件数と、担当医個人が執刀した件数の違いだ。
例えば、年間1,000件以上の手術を行う病院であっても、特定の医師がその全件を担当しているわけではない。複数の医師が役割を分担している場合もある。
初診やセカンドオピニオンでは、次のような質問をすると、担当医の経験や治療方針を具体的に把握しやすい。
- 年間にどのくらいの乳がん手術を担当しているか。
- 自分と同じ病期・サブタイプの治療経験はどの程度あるか。
- 乳房温存手術と全切除の両方について説明できるか。
- 乳房再建が必要な場合、形成外科との連携はどうなっているか。
- 術後の薬物療法や再発時の治療は、どの診療科が担当するか。
こうした質問に対し、具体的な数字や治療の選択理由を説明できる医師は、患者が納得して治療を選ぶうえで心強い存在となる。
【国立がん研究センター統計】乳がんステージⅠの10年生存率98%は正確か
乳がんの名医を探す人が、病院選びと同じくらい気にするのが生存率だ。
検索結果では「乳がんステージⅠの10年生存率98%」という数字を見かけることがある。しかし、この数字には5年生存率と10年生存率の混同がある。
ステージⅠの98.9%は5年生存率国立がん研究センターが公表した院内がん登録2014~2015年診断例の5年生存率では、女性乳がんのステージⅠのネット・サバイバルは98.9%だった。
これは診断から5年後の生存率であり、10年後の数字ではない。
一方、2025年2月13日に公表された2012年診断例の10年生存率では、女性乳がんのステージⅠのネット・サバイバルは93.7%となっている。
同じステージⅠでも、観察期間や診断された年代が違えば数値も異なる。検索上で見かける98%という数字を、そのまま10年生存率として理解しないようにしたい。
2012年診断例の10年生存率国立がん研究センターの公表資料に基づく女性乳がんの10年ネット・サバイバルは次のとおりだ。
- ステージⅠ:93.7%
- ステージⅡ:85.4%
- ステージⅢ:63.8%
- ステージⅣ:17.0%
- 全体:82.5%
この調査は356施設、33,715例を対象としたものである。なお、2012年診断例は院内がん登録の開始から間もない時期のデータであり、登録精度や当時と現在の治療環境の違いにも注意が必要だ。
また、5年生存率の2014~2015年診断例では、女性乳がん全体のネット・サバイバルは91.6%だった。
生存率は治療の見通しを理解するための重要な統計だが、個人の将来を予測する確定値ではない。年齢、病理組織、サブタイプ、治療内容、合併症などによって経過は異なる。
病院ごとの生存率を単純比較できない理由同じ乳がんでも、病院によって診療する患者の状態は異なる。
早期乳がんの患者が多い施設と、進行がんや再発・転移の患者を多く受け入れる施設では、患者構成が大きく違う。
そのため、病院別の生存率が公開されていても、数字が高い病院ほど優秀だと単純に評価することはできない。国立がん研究センターも、施設ごとの患者構成の違いを考慮せずに生存率を比較することには注意を促している。
生存率を見るときは、対象となった診断年、病期、年齢、実測生存率かネット・サバイバルかという指標の違いを確認することが欠かせない。
【初期症状から再発・転移まで】乳がんの治療実績を確認するポイント
乳がんの病院選びは、手術を受ける施設を決めて終わりではない。診断、初期治療、術後の薬物療法、長期的な経過観察、再発時の治療までを見通しておく必要がある。
乳がんの初期症状と早期発見国立がん研究センターのがん情報サービスによると、乳がんの代表的な症状は乳房のしこりだ。
ほかにも、次のような変化が見られることがある。
- 乳房にくぼみや引きつれができる。
- 乳頭や乳輪にただれが生じる。
- 左右の乳房の形が非対称になる。
- 乳頭から分泌物が出る。
- 乳房やわきの下にしこりがある。
ただし、しこりがあるからといって必ず乳がんとは限らない。乳腺症や線維腺腫などの良性疾患でもしこりが生じることがある。
反対に、初期の乳がんでは自覚症状がない場合もある。症状がなくても、年齢や自治体の案内に応じた乳がん検診を受けることが早期発見につながる。
気になる変化がある場合は、次の検診を待たずに乳腺科や乳腺外科で診察を受けることが大切だ。
乳がんの治療はステージとサブタイプで変わる乳がんの治療では、病期だけでなく、ホルモン受容体、HER2、Ki67などの検査結果が重要になる。
主な治療法は手術、放射線治療、薬物療法の3つだ。
ステージⅠ~ⅢAでは、病変の広がりや状態に応じて乳房部分切除術または乳房全切除術を検討する。乳房温存手術を行った場合には、通常、術後の放射線治療を組み合わせる。
また、手術前に薬物療法を行って腫瘍を小さくし、乳房温存手術を可能にするケースもある。
薬物療法は、がん細胞の性質によって選択肢が変わる。
- ホルモン受容体陽性:ホルモン療法を中心に、必要に応じてほかの薬剤を組み合わせる。
- HER2陽性:抗HER2薬を中心とした分子標的治療などを検討する。
- トリプルネガティブ:抗がん薬を中心に、病状によって免疫チェックポイント阻害薬などを検討する。
このため、手術件数が多いだけでなく、薬物療法を専門とする腫瘍内科医や放射線治療医が在籍し、治療方針を連携して決定できる病院は重要な候補となる。
再発・転移した乳がんに対応できる病院とは乳がんは、初期治療が終了した後も長期的な経過観察が必要になる場合がある。
局所再発と遠隔転移では治療方針が異なる。手術した乳房や周囲のリンパ節に再発した場合には、再切除や放射線治療、薬物療法などを検討する。
骨、肺、肝臓など、乳房から離れた臓器に転移した場合は、がん細胞の性質や過去の治療歴、全身状態に応じた薬物療法が中心となる。
転移した臓器に生じる症状を和らげる治療も並行して行われる。必要に応じて放射線治療や手術が加わることもある。
再発・転移の治療実績を確認するときは、単に年間の手術件数を見るのではなく、薬物療法の選択肢、臨床試験への参加体制、緩和ケア、長期的な副作用管理なども確認したい。
【失敗しない選び方】乳がん名医の見分け方と評判・口コミの読み解き方
名医を探すとき、検索結果の上位表示やテレビ出演、口コミの評価が目に入りやすい。しかし、知名度と診療能力は必ずしも一致しない。
信頼できる乳がん専門医を見分ける5つの条件受診先を比較する際は、次の5点を確認すると判断しやすくなる。
1.日本乳癌学会の専門医資格がある
医師の所属先や公式プロフィールで、乳腺専門医、乳腺指導医などの資格を確認する。資格の有効状況や現在の所属もあわせて調べたい。
2.自分の病状に近い症例の経験がある
早期乳がん、若年性乳がん、遺伝性乳がん、HER2陽性、トリプルネガティブなど、病状やサブタイプによって必要な専門性は異なる。
3.複数の治療選択肢を説明できる
手術方法だけを一方的に説明するのではなく、温存手術と全切除の違い、術前薬物療法の必要性、再建の選択肢などを説明してくれるかがポイントだ。
4.他科との連携体制がある
乳腺外科だけでなく、腫瘍内科、放射線科、形成外科、病理診断科などと連携しているか確認する。
5.患者の質問に具体的に回答する
治療のメリットとデメリット、再発リスク、副作用、仕事や生活への影響などについて、理解できる言葉で説明してくれる医師を選びたい。
乳がん名医の評判・口コミはどこを見るべきか病院口コミサイトや患者の体験談は、受診前に医療機関の雰囲気を把握するための参考情報になる。
ただし、口コミの星の数が高いことと、乳がんの治療成績が優れていることは別問題だ。
口コミには、待ち時間、受付対応、看護師の接遇、医師の説明の丁寧さ、予約の取りやすさなどが反映されやすい。一方、手術の正確性や再発率、薬物療法の効果などは、一般の患者が口コミだけで評価することが難しい。
特に、次のような情報は慎重に受け止めたい。
- 「絶対に治る」「再発しない」といった断定的な表現。
- 具体的な治療内容や資格を示さず、名医とだけ紹介している情報。
- 極端に肯定的、または否定的な口コミだけを強調する情報。
- 個人の体験を、すべての患者に当てはまるように説明する投稿。
口コミで確認するなら、説明の分かりやすさ、質問への対応、治療中の相談体制、通院時の負担など、実際の受診生活に関係する項目が役立つ。
セカンドオピニオンを受けるべきケース最初に診断を受けた病院の治療方針に疑問がある場合や、複数の手術方法を提示された場合には、セカンドオピニオンを検討する価値がある。
特に、乳房温存手術と全切除の選択、術前薬物療法の必要性、乳房再建、遺伝性乳がんへの対応などで意見が分かれる場合は、別の専門医の見解を聞くことで判断材料が増える。
セカンドオピニオンでは、紹介状、病理検査結果、画像データ、これまでの治療経過などを準備すると、より具体的な意見を得やすい。
ただし、治療開始を不必要に遅らせないよう、担当医と相談しながら進めることが大切だ。
【プロの結論】乳がん名医と有名病院を選ぶときに本当に重視すべきこと
乳がんの病院選びで最も避けたいのは、全国ランキングの順位だけで治療先を決めてしまうことだ。
有明病院や聖路加国際病院、相良病院、国立がん研究センター中央病院などは、手術件数の多さや専門的な診療体制から、全国規模で検討される有力な医療機関である。
しかし、患者にとって最適な病院は、病状や希望によって変わる。
症例別に考える病院選び- 初期乳がんと診断された人:手術方法の選択肢、温存手術、放射線治療、術後薬物療法の説明が充実している病院を検討する。
- 若年性乳がんの人:妊孕性温存や将来の妊娠、仕事との両立について相談できる施設を優先する。
- 遺伝性乳がんが疑われる人:遺伝カウンセリングや遺伝学的検査、リスク低減手術に対応できる病院を調べる。
- 乳房再建を希望する人:乳腺外科と形成外科の連携、再建方法、手術時期について相談できる施設を選ぶ。
- 再発・転移がある人:腫瘍内科や放射線科を含め、薬物療法や臨床試験、症状緩和まで対応できる医療機関を検討する。
全国ランキングに掲載されていない病院だからといって、診療の質が低いとは限らない。
ランキングの対象外となる施設や、手術件数が公表されていない施設にも、地域の乳がん診療を支える医療機関はある。
また、乳がんの治療では、必ずしも大都市の有名病院に通い続ける必要があるとは限らない。専門性の高い病院で診断や初期治療を受け、その後の経過観察や一部の治療を地域の医療機関と連携して行う方法もある。
遠距離通院による身体的・経済的負担、家族の支援、仕事との両立なども、治療を継続するうえで無視できない要素だ。
病院の規模や知名度だけでなく、自分の治療方針と生活環境に合っているかを総合的に判断したい。
【乳がん名医ランキングに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:乳がんの名医ランキングで全国1位の医師は誰ですか? A1:医師個人の診療能力を全国統一基準で順位付けした公的ランキングはありません。病院の手術件数や日本乳癌学会の専門医資格、担当医の診療経験などを組み合わせて比較することが大切です。
Q2:乳がん病院ランキング2025年度最新版の1位はどこですか? A2:民間サイト「日本の名医リスト一覧」が掲載する2025年度版では、がん研究会有明病院が1位で、手術数は1,535件とされています。これは同サイト独自の集計順位です。
Q3:乳がん専門医182名は日本全国の専門医全員ですか? A3:いいえ。182名は民間の専門医情報サイトが公開情報をもとに整理した掲載人数です。日本乳癌学会の公式情報では、2026年1月現在の乳腺専門医は2,105名とされています。
Q4:乳がんの手術件数が多い病院ほど治療成績も良いですか? A4:必ずしもそうではありません。手術件数は症例経験を把握する目安ですが、治療の質を直接示す指標ではありません。専門医の資格、チーム医療、病状に応じた治療選択肢なども確認してください。
Q5:乳がんステージⅠの10年生存率は98%ですか? A5:国立がん研究センターの2012年診断例の集計では、ステージⅠの10年ネット・サバイバルは93.7%です。98.9%は2014~2015年診断例の5年ネット・サバイバルであり、10年生存率とは異なります。
Q6:乳がんの名医は口コミで探しても大丈夫ですか? A6:口コミは説明の丁寧さや通院環境を知る参考になりますが、医師の技術や治療成績を保証するものではありません。日本乳癌学会の資格情報や医療機関の公式な診療実績とあわせて確認しましょう。
Q7:地方に住んでいても乳がんの専門医を探せますか? A7:探せます。日本乳癌学会の認定施設一覧や、地域別の専門医情報、厚生労働省の医療情報ネットなどを利用できます。必要に応じて地域のがん診療連携拠点病院から専門施設を紹介してもらう方法もあります。
2026年11月現在、乳がんの病院選びでは、2025年度の手術数ランキング、全国182名の専門医情報、日本乳癌学会の公式認定情報、厚生労働省の医療情報ネットなど、複数の情報を組み合わせて判断することができる。
2025年度の民間ランキングでは、がん研究会有明病院が手術数1,535件で1位となり、聖路加国際病院、聖マリアンナ医科大学病院、相良病院などが続いた。2026年11月時点の別集計でも、有明病院や相良病院、聖路加国際病院などが上位に入っている。
一方、日本乳癌学会の公式情報では乳腺専門医2,105名、指導医941名、認定施設998施設が公表されている。民間の182名リストと公式資格情報を区別して確認することも、信頼できる医師を探すうえで欠かせない。
最終的に重視すべきなのは、病院の順位ではなく、自分の乳がんの性質や病期に合った治療を受けられるかどうかだ。
手術実績、専門医資格、薬物療法、放射線治療、乳房再建、再発・転移への対応、患者支援体制を比較し、必要ならセカンドオピニオンも活用したい。
乳がんは早期発見と適切な治療によって長期的な経過が期待できる病気である。ランキングは医療機関を探す出発点として活用し、最後は担当医との十分な対話を通じて、自分が納得できる治療先を選んでほしい。
主な根拠資料・参照した公表情報
- 2025年度乳がん病院ランキング、掲載医師情報:日本の名医リスト一覧。
- 全国182名の医師情報:乳がんの名医・専門医掲載ページ。
- 2026年の専門医・指導医・認定施設数:日本乳癌学会公式資料。
- 乳がん手術件数:医療情報ネットおよび厚生労働省DPC調査をもとにした全国集計。
- 生存率:国立がん研究センター「院内がん登録2012年10年生存率集計」「2014~2015年5年生存率集計」。
- 症状・治療方法:国立がん研究センターがん情報サービス。