両国の現在の実力差を考えるうえで、2024年と2025年のワールドカップアジア最終予選は欠かせない。2試合の結果は日本の1勝1分け。いずれも日本が無失点に抑えたが、試合内容には大きな違いがあった。
2024年10月10日:日本がアウェーで2-0の完勝2024年10月10日、サウジアラビアのジェッダにあるキング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムで行われたFIFAワールドカップ2026アジア最終予選。日本はサウジアラビアを2-0で下した。
得点者は次の2人だ。
- 14分:鎌田大地
- 81分:小川航基
日本にとって、この試合は特別な意味を持っていた。ジェッダでの過去3試合は、いずれも0-1で敗れており、得点すら奪えていなかったからだ。
森保一監督は3バックを採用。鈴木彩艶をGKに置き、谷口彰悟、板倉滉、町田浩樹が最終ラインを形成した。中盤では遠藤航と守田英正がバランスを取り、両サイドの三笘薫と堂安律が攻守に関わった。
日本の基本布陣は3-4-2-1。前線には上田綺世を置き、その後方で南野拓実と鎌田大地が攻撃を組み立てた。
一方、サウジアラビアは従来の3バックから4バックへ変更し、両サイドを起点に積極的な攻撃を仕掛けた。
日本は相手の変更を事前に想定していた。JFAの試合レポートでは、守田英正が相手の4バックへの変更などを予測し、対応策を準備していたことが紹介されている。
鎌田の先制点で試合を優位に進めた日本は、終盤に小川の追加点で勝利を決定づけた。ジェッダでの苦手意識を払拭した重要な一戦だった。
2025年3月25日:日本は主導権を握るも0-02025年3月25日、埼玉スタジアム2002で開催された第8節では、日本とサウジアラビアが対戦し、0-0の引き分けに終わった。
この試合の日本代表は、前回の対戦から大きくメンバーを変更していた。
日本の先発メンバーは以下のとおり。
- GK:鈴木彩艶
- DF:菅原由勢、高井幸大、板倉滉、伊藤洋輝
- MF:遠藤航、田中碧、中村敬斗、鎌田大地、久保建英
- FW:前田大然
基本布陣は3-4-2-1。前田を最前線に配置し、久保と鎌田がその後方から攻撃を支えた。
サウジアラビアはサレム・アルドサリやフェラス・アルブリカンを前線に配置し、5-4-1をベースとした守備的な布陣で対応した。
日本は序盤からボールを保持。9分には高井幸大の縦パスを起点に田中碧がスルーパスを送り、前田大然が決定的なシュートを放った。しかし、ボールはポストに阻まれた。
後半も日本は攻勢を続けた。伊東純也や堂安律、旗手怜央、古橋亨梧らを投入して攻撃の変化を狙ったが、サウジアラビアの守備を最後まで崩せなかった。
この試合の背景には、日本がすでにワールドカップ本大会出場を決めていた事情もある。3月20日のバーレーン戦で2-0の勝利を収め、本大会出場を確定させていたため、森保監督は前戦から先発6人を変更していた。
それでも日本はグループCの首位を確保。JFAによると、この時点で6勝2分けの勝ち点20を獲得していた。
2試合のスタメン・フォーメーション・得点者比較JFA、Jリーグ公式試合データを基に整理。
この比較で重要なのは、2024年の日本が相手の攻撃に対応しながら勝ち切ったのに対し、2025年は相手の守備ブロックを崩す課題に直面した点だ。勝敗だけでなく、相手の守備配置と日本の攻撃方法を比較することで、両国の現在の力関係が見えてくる。
【戦術を徹底比較】日本のポゼッション対サウジアラビアの堅守速攻

サウジアラビア代表と日本代表の対戦で、試合展開を左右するのはボール保持率だけではない。
両国の特徴は、攻撃の組み立て方と守備時の陣形に表れる。
日本代表:3バックを軸にした可変型の攻撃森保ジャパンの特徴は、選手の配置を柔軟に変えながら攻撃を組み立てることだ。
3-4-2-1では、中央に3人のDFを配置し、両ウイングバックが高い位置を取る。
攻撃時にはサイドで数的優位を作り、久保建英や鎌田大地のような技術と判断力に優れた選手が中央のスペースを活用する。
主な攻撃の要点は次のとおり。
- サイド攻撃: 三笘薫や伊東純也の突破力を生かす。
- 中央突破: 久保建英や鎌田大地が相手の中盤と最終ラインの間で受ける。
- 前線からのプレス: 前田大然らが相手のビルドアップを制限する。
- ボランチの連携: 遠藤航や田中碧が攻守の切り替えを支える。
また、2026年10月5日のニュージーランド戦では4-2-3-1を採用している。日本代表は3バックだけに依存せず、相手の特徴や試合状況に応じて4バックにも変更できる柔軟性を見せた。
サウジアラビア代表:コンパクトな守備とカウンターサウジアラビアの強みは、守備時に選手間の距離を詰め、相手の中央突破を制限することにある。
2025年3月25日の日本戦では5-4-1を採用。最終ラインに5人を並べ、中盤にも4人を配置することで、日本の攻撃スペースを狭めた。
この形では、中央へのパスコースを遮断しながら、相手をサイドに誘導できる。
ボールを奪った後は、サレム・アルドサリの個人技やフェラス・アルブリカンの前線での動きを利用し、素早く攻撃に移る。
注目選手は次のとおりだ。
- サレム・アルドサリ: 攻撃の創造性を担う主力選手。代表の主将としても存在感を持つ。
- フェラス・アルブリカン: 前線でボールを受け、ゴールに迫るストライカー。
- サウード・アブドゥルハミド: サイドの攻守を担う重要なDF。
- ムサブ・アルジュワイル: 中盤でボールを動かし、攻撃の起点を作る若手MF。
ただし、2026年4月には監督が交代している。2024~2025年のエルベ・ルナール体制の戦術を、そのまま現在のサウジアラビアに当てはめることはできない。
両国の戦術的な違い| 比較項目 | 日本代表 | サウジアラビア代表 |
|---|---|---|
| 基本的な特徴 | 組織的な攻撃 | 守備のコンパクトさ |
| 攻撃の起点 | 中盤のパス交換 | 奪取後の素早い展開 |
| 主な武器 | サイド突破・連係 | カウンター・個人技 |
| 守備の狙い | 前線からのプレス | ブロック形成 |
| 試合の鍵 | 相手守備の攻略 | 日本の攻撃を封じること |
日本が優勢に試合を進めても、必ずしも大量得点につながるわけではない。2025年3月の0-0は、その典型的なケースだった。
日本に必要なのは、単純にボールを回すことではなく、相手の守備ブロックを横方向に動かし、選手間に生まれるわずかなスペースを突くことだ。サウジアラビア側は、日本のウイングバックが前進した背後を狙えるかが重要になる。
【2026年最新情報】FIFAランキングとワールドカップで見えた両国の実力差
2026年11月3日時点では、2026年FIFAワールドカップがすでに終了している。
したがって、両国の現状を判断するには、過去のアジア最終予選だけでなく、本大会の成績も確認する必要がある。
FIFAランキングは日本17位、サウジアラビア58位FIFA公式の男子ランキングで、2026年7月20日発表の最新順位は次のとおり。
日本代表17位
サウジアラビア代表
58位
FIFA公式ランキング・2026年7月20日更新。次回更新予定は11月18日。
両国の順位には41ランクの差がある。
日本は2026年4月に17位まで上昇し、アジアのトップを維持。一方のサウジアラビアは58位となっている。
ただし、FIFAランキングは過去の国際試合の結果を反映した指標であり、特定の試合の勝敗を保証するものではない。ホーム・アウェーの条件、監督の戦術、招集メンバーによって実際の試合内容は変わる。
2026年ワールドカップでの日本代表日本代表はグループFに入り、オランダ、チュニジア、スウェーデンと対戦した。
グループステージの結果は以下のとおり。
- オランダ戦:2-2
- チュニジア戦:4-0
- スウェーデン戦:1-1
日本は1勝2分け、勝ち点5でグループ2位となり、決勝トーナメントに進出した。
特にチュニジア戦では、鎌田大地、上田綺世、伊東純也が得点し、4-0で勝利。攻撃陣の厚みを示した。
しかし、ラウンド32ではブラジルと対戦し、1-2で敗退した。
日本は佐野海舟のゴールで先制したものの、後半にブラジルに逆転され、ベスト16進出を逃した。
それでもグループステージでオランダやスウェーデンと引き分けたことは、日本の国際競争力を示す結果だった。
2026年ワールドカップでのサウジアラビア代表サウジアラビアはグループHでスペイン、ウルグアイ、カーボベルデと対戦した。
試合結果は次のとおり。
- ウルグアイ戦:1-1
- スペイン戦:0-4
- カーボベルデ戦:0-0
最終成績は2分け1敗、勝ち点2。グループ4位で大会を終え、決勝トーナメントには進出できなかった。
ウルグアイとの引き分けは一定の評価に値する一方、スペインに4失点を喫した試合では、強豪国との戦力差も表れた。
日本がグループ2位で決勝トーナメントへ進んだのに対し、サウジアラビアはグループ最下位。この大会の結果を踏まえると、2026年時点の国際舞台での実績は日本が上回っている。
【日本代表・サウジアラビア代表の2026年最新メンバー】監督と主力選手の変化
2026年は両国にとって、チーム作りの転換期でもある。
日本は森保一監督のもとで新戦力を加えながらチームを再構築。サウジアラビアはワールドカップ直前に監督を交代し、新体制で大会に臨んだ。
日本代表:森保体制で若手と経験者を融合JFAが2026年9月17日に発表した9月・10月の代表活動メンバーは31人だった。
主な選手は以下のとおり。
| ポジション | 主な選手 |
|---|---|
| GK | 鈴木彩艶、早川友基、小久保玲央ブライアン |
| DF | 板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝、渡辺剛 |
| MF | 鎌田大地、堂安律、久保建英、田中碧、佐野海舟 |
| FW | 上田綺世、前田大然、中村敬斗、伊東純也 |
この招集では、谷村海那、松木玖生、中野就斗、斉藤俊秀らではなく、正しくはMF/FWの谷村海那、松木玖生、中野就斗、斉藤俊輔の4選手が代表初招集となった。
特に注目したいのは、若手の台頭と海外組の充実だ。
鈴木彩艶はGKの中心選手として成長を続け、久保建英や堂安律、鎌田大地らは攻撃の中核を担う。加えて、松木玖生や谷村海那といった新戦力が加わることで、チーム内の競争も活発になっている。
監督は引き続き森保一。2026年10月のキリンカップでは、3バックと4バックを使い分け、戦術的な選択肢を広げた。
2026年10月の日本代表は4連勝ワールドカップ終了後、日本代表は9月から10月にかけて国内で4試合を戦った。
結果は次のとおり。
- 9月24日:ウルグアイに3-1で勝利
- 9月28日:ベネズエラに2-1で勝利
- 10月1日:エクアドルと0-0、PK戦5-3で勝利
- 10月5日:ニュージーランドに2-1で勝利
10月5日のキリンカップ決勝では、上田綺世と堂安律が得点。日本が優勝を飾った。
特筆すべきは、森保監督がニュージーランド戦で4-2-3-1を採用したことだ。
これまでの3試合で3バックを使用していた日本は、決勝では4バックに変更。佐野海舟と鎌田大地をボランチに置き、久保建英、堂安律、前田大然が上田綺世をサポートする形を取った。
90分間で20本のシュートを放ち、相手のシュートを3本に抑えた内容は、攻守両面での進歩を感じさせるものだった。
サウジアラビア代表:ドニス新監督のもとで再出発サウジアラビア代表では、2026年4月23日に大きな変化があった。
サウジアラビアサッカー連盟は、エルベ・ルナール監督との契約を終了し、ギリシャ人指導者のゲオルギオス・ドニスを新監督に任命した。
契約期間は2027年7月まで。
ドニスはアル・ヒラルやアル・ワフダ、アル・ファテフなど、サウジアラビアのクラブを指導した経験を持つ。国内サッカーの環境や選手の特徴を理解していることが、代表監督就任の背景にある。
2026年ワールドカップの26人の代表メンバーでは、主将サレム・アルドサリが攻撃の中心を担った。
また、フランスでプレーするサウード・アブドゥルハミドや、フェラス・アルブリカン、サーレハ・アルシェフリらが選出され、国内リーグを基盤とした構成となった。
ただし、ワールドカップ後の代表チームは、新監督のもとで再編が進む段階にある。大会時の26人をそのまま現在の最新メンバーとみなすことはできない。
【プロの結論】日本とサウジアラビアの対戦で勝敗を分ける3つのポイント
歴代の対戦記録、直近の試合、2026年の国際大会を総合すると、日本代表が優位な立場にあることは明らかだ。
しかし、両国の対戦で見落としてはいけないポイントが3つある。
1. 日本はボール保持だけで満足してはいけない2025年3月の0-0が示したように、ボールを保持しても相手の守備を崩せなければ勝利にはつながらない。
特にサウジアラビアの5バックに対しては、サイドからのクロスだけでなく、中央への侵入や選手間の連係が必要になる。
2. サウジアラビアのカウンターを警戒するサウジアラビアにはサレム・アルドサリのように、少ないチャンスから局面を変えられる選手がいる。
日本のウイングバックが高い位置を取った際、その背後を突かれる可能性がある。
したがって、日本の攻撃時にはセンターバックとボランチのリスク管理が重要になる。
3. 監督交代後のサウジアラビアを過去のデータだけで評価しない2026年4月のドニス監督就任は、サウジアラビアにとって大きな転換点だ。
ルナール時代の戦術や選手起用が、そのまま新体制に引き継がれるとは限らない。
次に両国が対戦する場合、過去の対戦成績だけでなく、直近の代表招集メンバー、監督の選択、直前の試合内容を確認する必要がある。
対戦相手を評価する際の判断基準は、FIFAランキング、直近5試合の成績、主力選手の出場状況、守備時のフォーメーションの4点だ。 これらを合わせて確認すれば、単純な順位比較よりも実際の勝敗に近い分析ができる。
【サッカーサウジアラビア代表対サッカー日本代表】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:サウジアラビア代表と日本代表の通算対戦成績は?
日本のAマッチ基準では18試合11勝2分け5敗。日本が大きく勝ち越している。集計対象を広げたデータベースでは20試合12勝2分け6敗という数字もある。
Q2:2024年10月10日のサウジアラビア戦の得点者は?
鎌田大地が14分、小川航基が81分に得点した。日本はアウェーで2-0の勝利を収めた。
Q3:2025年3月25日のサウジアラビア戦の結果は?
埼玉スタジアム2002で行われた試合は0-0の引き分け。日本は多くの攻撃機会を作ったものの、サウジアラビアの守備を崩せなかった。
Q4:サウジアラビア戦で日本代表がよく使うフォーメーションは?
近年は3-4-2-1が代表的な布陣。相手や試合展開によって4-2-3-1などにも変更している。
Q5:2026年のFIFAランキングで日本とサウジアラビアは何位?
2026年7月20日更新の公式ランキングでは、日本が17位、サウジアラビアが58位。次回の公式更新は2026年11月18日の予定となっている。
サッカーサウジアラビア代表対サッカー日本代表の歴史を振り返ると、日本がAマッチ通算で11勝2分け5敗と勝ち越している。
2024年10月10日の試合では、鎌田大地と小川航基の得点によって日本が2-0で勝利。一方、2025年3月25日の試合では、サウジアラビアの守備的な戦術を攻略できず0-0で引き分けた。
2026年には両国がワールドカップに出場し、日本はグループステージを突破したもののラウンド32で敗退。サウジアラビアはグループステージで敗退した。FIFAランキングでも日本17位、サウジアラビア58位と差がついている。
一方で、サウジアラビアはドニス新監督の就任によって新たなチーム作りを進めている。日本も森保監督のもとで新戦力を加え、3バックと4バックを使い分ける柔軟なチームへと変化している。
今後の対戦を予想するうえで重要なのは、過去の勝敗だけではない。日本の攻撃力とサウジアラビアの守備力、そして両監督の戦術的な駆け引きが、次の試合の大きな見どころになる。
歴史的には日本が優勢。しかし、2025年の0-0が証明したように、サウジアラビアは日本にとって決して簡単な相手ではない。両国の次の対戦でも、その戦術的な攻防に注目したい。