カリウムを多く含む食品には、ほうれん草やアボカド、バナナ、さつまいも、納豆、魚や肉など、毎日の食卓で取り入れやすいものが数多くあります。一方、乾燥わかめや昆布、ひじきなどの乾物は、可食部100gあたりの含有量が非常に多く、一般的な生鮮食品とは数値に大きな差があります。
2026年10月現在、食品ごとの含有量を比較する際に活用できる公的資料が、文部科学省の「食品成分データベース」と「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」です。この記事では、これらの食品成分データを中心に、カリウムが多い食品ランキング、1日の摂取目標、調理による変化、血圧との関係、腎臓病や高カリウム血症がある人の注意点まで詳しく解説します。
【基礎知識】カリウムの働きと1日の摂取量・目標量

カリウムは、体内の水分バランスや神経・筋肉の働き、酸塩基平衡の維持などに関わる必須ミネラルです。体内に存在するカリウムの多くは細胞内にあり、血液中の濃度は腎臓などによって厳密に調節されています。
食事から摂取したカリウムは、通常、腎臓を通じて尿中へ排泄されます。腎機能が正常であれば、摂取と排泄のバランスが保たれますが、腎機能が低下すると血液中のカリウム濃度が上昇する場合があります。そのため、カリウムは不足を防ぐことと、必要に応じて過剰摂取を避けることの両方が大切です。
成人のカリウム摂取目標量はどのくらい?厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病の発症予防を目的としたカリウムの目標量が設定されています。成人の基準は次のとおりです。
- 男性:3,000mg/日以上
- 女性:2,600mg/日以上
一方、同基準の目安量は、成人男性で2,500mg/日、成人女性で2,000mg/日です。目安量と目標量は意味が異なり、目標量は生活習慣病の予防を考慮して設定された摂取量の目標です。
また、厚生労働省の令和5年(2023年)国民健康・栄養調査によると、20歳以上のカリウム摂取量の平均は男性2,370mg/日、女性2,190mg/日でした。平均値を目標量と比較すると、男性は630mg、女性は410mg下回っています。
この差を埋めるために、特定の食品だけを大量に食べる必要はありません。野菜や果物、豆類、いも類などを組み合わせ、普段の食事全体から少しずつ摂取量を増やす方法が現実的です。ただし、この目標量は主に健康な人を対象としたものであり、腎機能の低下などで食事療法を受けている人にそのまま当てはめることはできません。
【含有量ランキング】カリウムが多い食品を100gあたりで徹底比較
カリウムを多く含む食品を比較する際は、食品の種類だけでなく、生・ゆで・乾燥といった状態にも注目する必要があります。文部科学省の食品成分データベースを参考に、代表的な食品の可食部100gあたりの含有量をまとめました。
| 食品群 | 食品名・状態 | カリウム含有量 | 食事に取り入れる際のポイント |
|---|---|---|---|
| 海藻・乾物 | ほしひじき(ステンレス釜・乾) | 6,400mg | 乾燥状態の数値。実際は水で戻して少量ずつ使う。 |
| 海藻・乾物 | まこんぶ(素干し・乾) | 6,100mg | だしや煮物などに利用する。乾燥重量に注意。 |
| 海藻・乾物 | わかめ(乾燥・素干し) | 6,000mg | 戻すと重量が増え、100gあたりの値も変わる。 |
| 野菜・乾物 | 切干し大根(乾) | 3,500mg | 戻した状態では100gあたりの含有量が変化する。 |
| 海藻・乾物 | 焼きのり | 2,400mg | 一度に食べる量が少ないため、摂取量は実際の枚数で考える。 |
| 豆類 | 大豆(黄大豆・国産・乾) | 1,900mg | 乾燥重量。ゆで大豆や豆腐とは数値が異なる。 |
| 野菜 | ほうれん草(生) | 690mg | おひたしや炒め物など、調理方法で変化する。 |
| 豆類 | 糸引き納豆 | 660mg | 1パック40gなら約264mgが目安。 |
| 果物 | アボカド(生) | 590mg | 脂質も多いため、エネルギー量も考慮して食べる。 |
| 野菜 | ほうれん草(ゆで) | 490mg | ゆでた後の可食部100gあたりの数値。 |
| いも類 | さつまいも(皮なし・生) | 480mg | 蒸す・焼く・ゆでるなど、調理後の状態を区別する。 |
| 肉類 | 鶏むね肉(皮なし・生) | 370mg | たんぱく質の摂取源としても活用できる。 |
| 果物 | バナナ(生) | 360mg | 1本の可食部を約96gとすると約346mg。 |
| 魚介類 | しろさけ(生) | 350mg | 主菜からもカリウムを摂取できる。 |
| 野菜 | トマト(生) | 210mg | サラダや付け合わせなどに取り入れやすい。 |
| 果物 | いちご(生) | 170mg | 食べる量に応じて摂取量を計算する。 |
出典:文部科学省「食品成分データベース」「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。食品の状態や品種、調理条件によって数値は異なります。上記は代表的な食品の比較であり、すべての食品を網羅した厳密な総合順位ではありません。
100gあたりの数字だけでランキングを判断しない表を見ると、ひじきや昆布、乾燥わかめが上位を占めています。しかし、乾燥食品は水分が少ないため、同じ重量で比較すると栄養成分が濃縮された数値になります。乾燥わかめ100gと、戻したわかめ100gでは、実際に食べる量もカリウムの濃度も大きく異なります。
日々の食事でどの食品を選ぶか考える際は、100gあたりの含有量に加えて、1食で食べる量、調理後の重量、食塩やエネルギーの摂取量も確認することが大切です。
【食品群別】カリウムが多い野菜・果物・いも類・豆類の選び方
カリウムが多い野菜はほうれん草や葉物野菜野菜は、日常の食事からカリウムを摂取するうえで重要な食品群です。ほうれん草は生の状態で100gあたり690mgを含み、ゆでた状態では490mgです。野菜を選ぶときは、含有量だけでなく、1食に食べる量や調理後の栄養価にも目を向けましょう。
ほうれん草のほか、ブロッコリー、トマト、にんじん、かぼちゃなども食卓に取り入れやすい食材です。野菜はカリウムだけでなく、ビタミン、食物繊維、葉酸などを摂取できる点にも利点があります。
ただし、カリウムの摂取量を増やす目的で野菜ジュースを大量に飲む方法は、必ずしも最適とは限りません。製品によって含有量が異なるほか、加工方法や飲む量によって摂取量が変わります。腎機能に問題がある人は、ジュースも含めて主治医や管理栄養士に確認してください。
カリウムが多い果物はアボカドやバナナ果物では、アボカドが100gあたり590mg、バナナが360mgのカリウムを含みます。緑肉種のキウイフルーツも100gあたり300mg程度を含む食品です。
アボカドはカリウムを多く含みますが、脂質も比較的多い食品です。健康的な食事に取り入れる場合は、カリウムだけでなく、全体のエネルギー量や脂質のバランスも考慮しましょう。
バナナは皮をむくだけで食べられ、朝食や間食に利用しやすい果物です。例えば可食部96gのバナナ1本なら、カリウムは約346mgとなります。食品の重量を基準に考えると、日々の摂取量を把握しやすくなります。
なお、果物を食べること自体がすべての人にとって問題になるわけではありません。腎臓病でカリウム制限が必要な場合は、果物の種類、1回量、1日の総摂取量を個別に調整します。
いも類は主食や副菜として取り入れやすいさつまいもは皮なしの生の状態で100gあたり480mgのカリウムを含みます。じゃがいもや里いもなども、カリウムを摂取できる食品です。
いも類は、主食の一部や副菜として使いやすく、エネルギー源にもなります。蒸す、焼く、ゆでるなど調理方法によって栄養成分が変化するため、食品成分表の値を参照するときは、生の食品と調理済みの食品を混同しないようにしましょう。
豆類は納豆・大豆・豆腐を使い分ける豆類では、乾燥大豆や納豆がカリウムを多く含む食品として挙げられます。納豆は100gあたり660mgで、40g入りの1パックなら約264mgです。大豆は乾燥状態で100gあたり1,900mgですが、水で戻してゆでた大豆は水分量が増えるため、100gあたりの含有量が変わります。
豆腐、豆乳、ゆで大豆、納豆は、同じ大豆由来でも製造方法や水分量が異なります。カリウムの摂取量を計算するときは、「大豆だから同じ」と考えず、実際に食べる食品の成分値を使うことが重要です。
【魚・肉も対象】カリウムを多く含む食べ物は植物性食品だけではない
カリウムの摂取源は野菜や果物だけではありません。厚生労働省の健康情報でも、肉類、果物、牛乳・乳製品、お茶など、さまざまな食品がカリウムの摂取源として紹介されています。
魚では、しろさけが生の状態で100gあたり350mgのカリウムを含みます。肉類では、鶏むね肉の皮なし・生が100gあたり370mg程度です。食品によって含有量に差はありますが、主菜からもカリウムを摂取できることが分かります。
そのため、カリウムを十分に摂取したい人が野菜だけに偏る必要はありません。野菜の副菜に、魚や肉の主菜、豆類などを組み合わせることで、たんぱく質やほかの栄養素も含めた食事全体のバランスを整えられます。
カリウムを摂るなら塩分にも目を向ける食品選びでは、カリウムの量と同時に食塩相当量を確認することも大切です。魚や肉は、素材の状態と、塩漬け・加工済み・味付け済みの状態とで、食塩の量が大きく異なる場合があります。
たとえば、カリウムを摂取しようとして塩分の多い加工食品を増やすと、血圧管理の観点では逆効果になる可能性があります。野菜、豆類、魚、肉などの素材を組み合わせ、薄味を基本にすることが実践しやすい方法です。
【調理のコツ】カリウムを効率よく摂取する方法と減らす調理方法
カリウムは水に溶けやすい性質を持っています。そのため、食品を水で洗う、長時間水にさらす、たっぷりの湯でゆでるといった操作によって、食品中のカリウムが減少する場合があります。
カリウムを多く残したいときの調理方法- 蒸す:ゆで汁にカリウムが流出するのを抑えやすい。
- 電子レンジで加熱する:水に浸してゆでる工程を減らせるため、カリウムを保持しやすい。
- 焼く・炒める:大量の湯を使わずに調理できる。油や調味料の使用量にも注意する。
- 煮汁を利用する:カリウムが煮汁に溶け出した場合も、煮汁を料理に使えば一部を摂取できる。
これらはカリウムをできるだけ摂取したい人向けの考え方です。蒸す、焼く、炒める方法がすべての食品で同じ効果を示すわけではなく、実際の含有量は食品や調理条件によって変わります。
カリウムを減らしたいときは「ゆでこぼし」と「水さらし」腎臓病などで医師からカリウム制限を指示されている場合は、野菜やいも類を小さく切り、たっぷりの湯でゆでて湯を捨てる「ゆでこぼし」が利用されます。生で食べる野菜などでは、細かく切って水にさらす方法もあります。
日本腎臓学会の食事指導資料でも、ゆでこぼしや水さらしは、カリウム制限のための調理方法として紹介されています。食品や条件によっては、こうした操作でカリウムを2割程度減らせる場合がありますが、減少率は一律ではありません。
注意したいのは、ゆでこぼしによってカリウムだけでなく、水溶性ビタミンなども失われる可能性があることです。制限が必要な場合は、食材の種類、切り方、加熱時間、食事全体の栄養バランスを考慮しながら調理する必要があります。
毎日の食事で無理なく摂取する3つの工夫- 副菜を組み合わせる:ほうれん草のおひたし、ブロッコリー、トマトなどを食事に取り入れる。
- 果物を間食に使う:バナナやキウイフルーツなどを、食べる量を把握しながら利用する。
- 主菜も活用する:魚、肉、納豆などを組み合わせ、特定の食品だけに頼らない。
健康な人がカリウムの摂取量を増やす場合は、極端な食事変更よりも、普段の食事の中で食品の種類を増やす方法が続けやすいでしょう。腎機能の低下がある人は、同じ方法を自己判断で実践する前に、医師や管理栄養士に確認してください。
【健康上の注意】カリウムと血圧の関係、腎臓病で気をつけたい食品
カリウムは血圧管理にどう関係する?カリウムには、体内のナトリウムの排泄を促す働きなどがあり、血圧の調節に関係しています。食塩の摂り過ぎは高血圧のリスクを高める一方、カリウムを適切に摂取することは血圧管理に役立つと考えられています。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」や日本高血圧学会の一般向け情報でも、減塩とカリウム摂取の両方が重視されています。カリウムを増やすことだけを考えるのではなく、食塩を減らし、野菜や果物を含むバランスのよい食事を心がけることが基本です。
ただし、カリウムを多く食べれば必ず血圧が下がるわけではありません。血圧には体重、運動、飲酒、遺伝的要因、服用薬なども関係します。高血圧の治療中の人は、食事療法を薬物治療の代わりにするのではなく、主治医の方針に沿って取り組みましょう。
腎臓病ではカリウムを制限する必要がある?腎臓病がある人は、カリウムを多く含む食品をすべて避けなければならない、と考えられがちです。しかし、カリウム制限が必要かどうかは、腎機能の状態、血液検査の結果、服用している薬、排泄機能などによって異なります。
腎機能が低下していても、血清カリウム値などを踏まえて制限が不要な場合があります。一方、血清カリウム値が高い人や高カリウム血症を起こしたことがある人では、食事からの摂取量を調整する必要が生じます。日本腎臓学会の診療・食事指導に関する資料でも、カリウムの管理は病状に応じて行うことが重要とされています。
特に、腎臓病で食事療法を受けている人は、バナナ、アボカド、納豆、いも類、野菜ジュース、海藻などを一律に禁止するのではなく、主治医や管理栄養士に摂取量を確認してください。食品の選択だけでなく、1回量、調理方法、ほかの食品との組み合わせも調整の対象になります。
高カリウム血症と食事の注意点高カリウム血症は、血液中のカリウム濃度が高くなった状態です。腎機能の低下、薬剤の影響、体内のカリウム移動の変化など、複数の要因で起こることがあります。重症化すると不整脈などにつながる可能性があるため、注意が必要です。
高カリウム血症は、必ずしも自覚症状がはっきり現れるとは限りません。食事の内容だけで判断するのではなく、医療機関での血液検査や服用薬の確認が重要です。
腎機能が低下している人は、食品そのものに加えて、カリウムを含む塩代替品にも注意してください。塩化カリウムを使用した減塩調味料などは、一般的な食塩とは異なり、カリウムの摂取量を増やす可能性があります。使用する前に、医師や薬剤師へ相談するのが安全です。
また、カリウム制限が必要な人は、食事から摂るカリウムの量だけでなく、便秘、薬剤、サプリメントなども含めて管理することが大切です。自己判断で食品を大幅に制限すると、エネルギーやほかの栄養素が不足するおそれもあります。
【カリウムを多く含む食品】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:カリウムが最も多い食品は何ですか?
A1:文部科学省の食品成分データでは、乾燥状態のひじきや昆布、わかめなどが、可食部100gあたり数千mgのカリウムを含む食品として挙げられます。ただし、乾物は実際に食べる量が少なく、水で戻すと重量や100gあたりの含有量が変わります。日常の食事では、食べる量と食品の状態も含めて比較することが大切です。
Q2:カリウムを効率よく摂取するには、どの食品がおすすめですか?
A2:健康な人であれば、ほうれん草、アボカド、バナナ、さつまいも、納豆などを、普段の食事に無理なく取り入れる方法があります。野菜や果物だけでなく、魚や肉、豆類なども組み合わせると、栄養バランスを整えやすくなります。腎臓病などで制限が必要な場合は、食べる前に医療従事者へ確認してください。
Q3:腎臓病の人はバナナや納豆を食べてはいけませんか?
A3:必ずしも禁止されるわけではありません。腎機能、血清カリウム値、服用薬、医師から指示された食事療法によって判断が異なります。カリウム制限が必要な場合は、食べる量や頻度を調整することがあります。自己判断で食べるのをやめたり、反対に大量に食べたりせず、主治医や管理栄養士に相談してください。
カリウムを多く含む食品は、乾物、野菜、果物、いも類、豆類、魚、肉など幅広い食品群に存在します。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を参考にすると、乾物では100gあたりの含有量が非常に多い一方、日々の食事ではほうれん草、アボカド、バナナ、さつまいも、納豆、魚や肉なども重要な摂取源になります。
成人の目標量は、男性が3,000mg/日以上、女性が2,600mg/日以上です。ただし、目標量を満たすために特定の食品を大量に食べる必要はありません。食品の状態や食べる量を把握し、食事全体のバランスを整えることが基本です。
【プロの結論】健康な人がカリウムを摂取する際は、野菜、果物、豆類、いも類、魚や肉を組み合わせ、減塩も並行して進めることが実践的です。一方、腎臓病や高カリウム血症がある人にとっては、「カリウムが多い食品は健康によいから積極的に食べる」という考え方が適さない場合があります。大切なのは、食品の含有量だけで判断せず、自分の腎機能や血液検査の結果、医師からの指示を踏まえて食べ方を決めることです。
主な参照資料:文部科学省「食品成分データベース」「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」「令和5年国民健康・栄養調査」「e-ヘルスネット」、日本高血圧学会の一般向け情報、日本腎臓学会の診療・食事指導に関する資料。