カリウムが多い食材を選ぶなら、ほうれん草や小松菜などの野菜、アボカドやバナナなどの果物、納豆やきのこ類が有力な候補です。ただし、同じ100gでも食品の種類や生・ゆでなどの調理状態によって含有量は変わります。効率よく摂るには、食材ごとの数値だけでなく、実際に食べる量や調理方法まで考えることが大切です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のカリウム摂取目標量が男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上とされています。一方、腎機能が低下している人などは、カリウムの摂取量に注意が必要です。2026年時点の公的な食品成分データや健康情報をもとに、含有量の比較、1日の摂取目標量、コンビニでの選び方、調理による変化、摂りすぎへの注意点を解説します。
【まず押さえたい】カリウムの働きと1日の摂取目標量

カリウムは、体内の水分バランスや浸透圧の調整、神経や筋肉の働きなどに関わる必須ミネラルです。特に、ナトリウムの排出を促す働きがあり、食塩の摂りすぎが問題になりやすい日本人の食生活では、両者のバランスが重要になります。
厚生労働省の情報提供サイト「e-ヘルスネット」でも、カリウムの摂取とナトリウムの摂取を適切に管理することが、高血圧や心血管疾患の予防に役立つと説明されています。ただし、カリウムを増やせば塩分を多く摂ってもよい、という意味ではありません。減塩と、野菜や果物などを活用した食生活の改善を組み合わせることが基本です。
成人のカリウム摂取目標量2026年に適用されている「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病の発症予防を目的としたカリウムの目標量が、成人で次のように設定されています。
- 男性:3,000mg/日以上
- 女性:2,600mg/日以上
この数値は、健康な人が生活習慣病の予防を目指す際の目標量です。全員が毎日必ず同じ量を摂らなければならないという意味ではなく、腎臓病などで医師から制限を指示されている場合は、そちらを優先します。
なお、厚生労働省が公表した令和5年の国民健康・栄養調査では、20歳以上のカリウム摂取量の平均は男性2,370mg/日、女性2,190mg/日でした。いずれも現在の成人の目標量を下回っています。食事全体を見直し、日々の献立にカリウムを含む食品を取り入れる余地があることが分かります。
【野菜・果物・豆類・きのこ】カリウム含有量を100gあたりで比較
カリウムが多い食べ物を比較する際は、文部科学省の「食品成分データベース」が役立ちます。2026年6月9日更新の同データベースは、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に対応し、2026年3月27日付の正誤表も反映しています。
以下は、同データベースに掲載された代表的な食材のカリウム含有量です。原則として可食部100g当たりの数値を示しています。食品群ごとに並べていますが、すべての食品を対象にした厳密な順位ではありません。生・ゆで・乾燥などの状態が異なる食品を比較する場合は、条件をそろえる必要があります。
| 食品群 | 食材・状態 | カリウム(100g当たり) | 取り入れ方の例 |
|---|---|---|---|
| 野菜 | ほうれん草・生 | 690mg | おひたし、炒め物、スープ |
| 野菜 | 小松菜・生 | 500mg | 炒め物、汁物、和え物 |
| 野菜 | ブロッコリー・生 | 460mg | サラダ、温野菜、スープ |
| 果物 | アボカド・生 | 590mg | サラダ、和え物 |
| 果物 | バナナ・生 | 360mg | 朝食、間食 |
| 果物 | キウイフルーツ・緑肉種・生 | 300mg | 朝食、ヨーグルトへの追加 |
| 豆類 | 糸引き納豆 | 660mg | ご飯のおかず、冷ややっこへの追加 |
| きのこ類 | ぶなしめじ・生 | 370mg | 炒め物、鍋、スープ |
出典:文部科学省「食品成分データベース」掲載値。食品の状態は表記のとおり。実際の摂取量は、調理後の重量や食べる量によって異なります。
野菜のカリウム含有量を比較する野菜では、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどが日常の献立に取り入れやすい候補です。表の数値を比べると、ほうれん草は生100g当たり690mgで、今回取り上げた野菜の中では最も多くなっています。
ただし、野菜はゆでるとカリウムが水に流れ出るため、生の数値をそのまま調理後の含有量として考えることはできません。生食できる野菜と、加熱して食べる野菜を組み合わせ、調理方法も含めて考えるのが実用的です。
果物ならアボカド・バナナ・キウイ果物の中では、アボカドが生100g当たり590mgと比較的多く、バナナは360mg、緑肉種のキウイフルーツは300mgです。果物は洗って皮をむくなどの手間が少なく、忙しい朝や間食に取り入れやすい点が利点です。
一方、果物は糖質やエネルギーも含みます。含有量だけを見て大量に食べるのではなく、食事全体のバランスや適切な量を意識しましょう。アボカドはカリウムだけでなく脂質も多いため、食べる量によってエネルギー摂取量も変わります。
豆類・きのこ類も見逃せない豆類では納豆が便利です。糸引き納豆は100g当たり660mgのカリウムを含み、たんぱく質や食物繊維も摂れます。1パックの重量は100gより少ないため、実際の摂取量は商品の内容量に合わせて考えます。
きのこ類では、ぶなしめじが生100g当たり370mgです。炒め物や鍋料理、スープに加えれば、野菜や豆類と一緒に食べられます。きのこを加えることは、カリウムだけでなく、食物繊維などを含む食品の種類を増やす方法としても有用です。
100g当たりのランキングだけでは判断できない食品の含有量ランキングを見るときに注意したいのが、100g当たりの数値と、実際に一度に食べる量は別だという点です。例えば、乾燥食品は水分が少ないため、100g当たりのミネラル量が高くなる傾向があります。しかし、乾燥した状態で100gを食べるとは限りません。
また、同じ野菜でも生とゆででは数値が異なります。食材を選ぶときは、含有量だけでなく、食べる量、調理後の状態、塩分、エネルギー、ほかの栄養素も含めて判断しましょう。
【コンビニでも実践】カリウムを効率よく摂る食材と組み合わせ
カリウムを効率よく摂るために、特別な健康食品を買う必要はありません。野菜、果物、豆類などを普段の食事に分散して加える方法が続けやすい選択肢です。
コンビニで選びやすい食品- バナナ:皮をむくだけで食べられ、朝食や間食に便利です。
- カットフルーツ:キウイなど、好みの果物を食事に加えられます。
- 野菜サラダ:葉物野菜やブロッコリーなどを含む商品を選ぶと、野菜の種類を増やせます。
- 納豆:豆類を手軽に食事へ加えられます。たれの量にも注意しましょう。
- きのこや野菜を使った惣菜:普段の食事で不足しがちな野菜類を補う選択肢になります。
商品によって原材料や内容量、栄養成分は異なるため、具体的なカリウム量を知りたい場合は栄養成分表示やメーカーの情報を確認してください。特に惣菜や味付き食品では、カリウムだけでなく食塩相当量もチェックすることが大切です。
1日の食事に分散して取り入れるカリウムを一度に大量に摂ろうとするより、朝・昼・夕の食事に分けて取り入れるほうが実践しやすくなります。例えば、朝食に果物、昼食に野菜を使った副菜、夕食に豆類やきのこを使った料理を組み合わせる方法があります。
厚生労働省の「健康日本21」関連情報では、成人の野菜摂取量について1日350g以上が目標とされています。カリウムを含む野菜を増やす際は、この目安も参考になります。ただし、野菜の種類や調理方法によってカリウム量は異なり、野菜の摂取量だけで1日の目標量を満たせるとは限りません。
汁物はカリウムを無駄にしにくい食べ方野菜をゆでた湯を捨てると、溶け出したカリウムも一緒に失われます。一方、野菜をスープや鍋料理にして煮汁ごと食べれば、水に溶け出した分も摂取できます。
ただし、みそやスープの素、加工食品などを使うと食塩が増えやすくなります。カリウムを意識しながら、だしや香辛料、酸味などを活用して薄味に仕上げると、ナトリウムの摂りすぎも防ぎやすくなります。
【調理で変わる】カリウムを逃がさない方法と減らす方法
カリウムには水に溶けやすい性質があります。そのため、同じ食材でも、ゆでる、水にさらす、電子レンジで加熱する、蒸すといった調理方法によって、食べるときに残る量が変わります。
カリウムをなるべく残して摂りたい場合- 汁物や鍋料理にする:煮汁ごと食べれば、溶け出したカリウムも摂れます。
- 蒸し料理を活用する:ゆで汁を捨てる工程がないため、水への流出を抑えやすくなります。
- 電子レンジを使う:大量の湯でゆでる方法と比べ、水に溶け出す機会を減らせます。
- 複数の食品を組み合わせる:野菜だけに偏らず、果物や豆類なども活用します。
ただし、加熱による水分の減少や食品自体の変化もあるため、調理前後の100g当たりの数値を単純に比較することはできません。カリウムを残す調理法を選んでも、元の含有量がすべて維持されるわけではありません。
カリウムを減らしたい場合は「ゆでこぼし」反対に、医師からカリウム制限を指示されている人は、水に溶けやすい性質を利用して、食品中のカリウムを減らす方法があります。野菜やいも類では、細かく切ってゆでこぼす、あるいは水にさらしてから水を捨てる方法が一般的です。
福岡県薬剤師会の質疑応答資料では、食品の種類や条件によって差があるものの、野菜やいも類はゆでこぼしで約20〜50%、水にさらす方法で約10〜40%のカリウムを減らせると説明しています。これはすべての食材に一律に当てはまる割合ではありません。
実践する場合は、次の点がポイントです。
- 野菜は細かく切り、切断面を増やす。
- ゆでた湯やさらした水は捨てる。
- 水にさらした後は流水で洗い、水気をしっかり切る。
- 長時間さらす場合は、途中で水を替える。
電子レンジ加熱や蒸し調理は、水への流出が少ないため、カリウムを減らす目的には向きません。なお、健康な人がカリウムを積極的に摂りたい場合と、腎臓病などで摂取量を減らす必要がある場合では、選ぶべき調理法が反対になることがあります。
【誤解に注意】カリウムとナトリウムの関係・摂りすぎの注意点
カリウムはナトリウムの排出を促し、血圧の管理に役立つ栄養素です。しかし、「カリウムを摂れば塩分を気にしなくてよい」「多ければ多いほど健康によい」という理解は適切ではありません。
減塩とカリウム摂取はセットで考える食塩に含まれるナトリウムを摂りすぎると、血圧が上がる要因になります。カリウムは体内のナトリウム排出を助けるため、野菜や果物などを食事に取り入れることが役立ちます。
ただし、漬物や味の濃い惣菜、塩分の多い調味料を使いながらカリウムの多い食品を追加するだけでは、食事全体のバランスは改善しない場合があります。カリウムを含む食品を増やすことと、食塩相当量を抑えることを同時に進めるのが基本です。
カリウムの摂りすぎに注意したい人健康な腎臓は余分なカリウムを尿中に排出します。一方、腎機能が低下すると排出能力が落ち、血液中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」を起こすことがあります。重症の場合は、不整脈などの深刻な問題につながる可能性があります。
特に注意したいのは、次のような人です。
- 慢性腎臓病などで腎機能が低下している人
- 血液検査でカリウム値の上昇を指摘された人
- 医師からカリウム制限を指示されている人
- 服用薬の影響で血中カリウム値が上がる可能性がある人
腎機能に問題がある場合、カリウムを多く含む食品を増やしたり、カリウム入りの減塩調味料やサプリメントを自己判断で使ったりするのは避けてください。服薬中の人も、必要に応じて主治医や薬剤師に確認しましょう。
【腎臓病の人は要確認】カリウム制限中に食べていいものの考え方
腎臓病と診断されても、すべての人が同じようにカリウムを制限するわけではありません。慢性腎臓病のステージ、血液検査の結果、治療内容、服用薬などによって、必要な食事管理は異なります。
厚生労働省が紹介する慢性腎臓病の食事療法でも、腎機能や病状に応じた管理が示されています。腎機能が比較的保たれている段階では一律のカリウム制限が必要とは限らず、病状が進んでいる場合や血清カリウム値が高い場合には、制限が必要になることがあります。
カリウム制限中に検討される食材と調理法カリウム制限が必要な場合は、単純に「食べてよい食品」と「食べてはいけない食品」に分けるのではなく、食べる量や調理方法を含めて調整します。
- 野菜:細かく切ってゆでこぼすなど、カリウムを減らす調理法を活用する。
- 果物:種類と量を主治医や管理栄養士に確認し、指示された範囲で取り入れる。
- 豆類・きのこ類:含有量と1回に食べる量を踏まえ、献立全体で調整する。
- 加工食品:栄養成分表示や原材料を確認し、カリウム添加物や食塩相当量にも注意する。
例えば、果物はすべて避ける、野菜は生で食べない、といった一律のルールが、すべての腎臓病患者に当てはまるわけではありません。医師から具体的な摂取上限を示されている場合は、その指示を基準に食事を組み立てます。
自己判断で制限を始めないことも重要カリウムは筋肉や神経の働きにも必要なミネラルです。腎臓病を心配して自己判断で野菜や果物を極端に減らすと、食事の栄養バランスを崩すおそれがあります。
腎機能や血液検査の結果に不安がある人は、主治医や管理栄養士に、1日の摂取目標や食材別の目安量、調理方法を確認してください。食べてよいものを探す際も、食品名だけで判断せず、量と調理後の状態を含めて考えることが大切です。
【カリウム多い食材】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:カリウムが多い食材を手軽に摂るなら何がおすすめ?
A1:バナナ、納豆、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどがおすすめです。果物はそのまま食べられ、納豆は普段の食事に加えやすい食品です。腎臓病などで制限がある場合は、摂取量を主治医に確認してください。
Q2:カリウムが多い野菜や果物は、加熱すると栄養がなくなる?
A2:加熱しただけですべてのカリウムがなくなるわけではありません。カリウムは水に溶けやすいため、ゆで汁を捨てると一部が流出します。カリウムをなるべく摂りたい場合は、スープなどで煮汁ごと食べる方法が役立ちます。
Q3:カリウムを摂りすぎると、健康な人でも危険?
A3:通常の食事では、健康な腎臓が余分なカリウムの排出を調整します。ただし、腎機能の低下や服用薬などによっては、血液中のカリウム値が上がることがあります。カリウムサプリメントやカリウム入りの減塩調味料を使う場合は、必要に応じて医師や薬剤師に相談しましょう。
カリウムが多い食材を選ぶなら、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどの野菜、アボカドやバナナなどの果物、納豆やきのこ類を組み合わせるのが実践的です。食品成分データベースの100g当たりの数値は、食材を比較する際の有力な目安になります。
ただし、含有量の順位だけで食品を選ぶのではなく、実際に食べる量、調理後の状態、食塩相当量、エネルギーなども確認しましょう。カリウムを効率よく摂りたい場合は、複数の食品群を食事に分散させ、煮汁ごと食べられる料理なども活用できます。
一方、腎臓病などでカリウム制限が必要な人は、一般向けの摂取目標量をそのまま当てはめてはいけません。食材選びや調理方法を含め、医師や管理栄養士の指示に合わせることが重要です。
2026年の食生活で意識したいのは、特定の食品だけに頼るのではなく、食品成分データを参考にしながら、体の状態に合った量と食べ方を選ぶことです。毎日の献立を少しずつ見直し、無理なく続けられる方法を見つけましょう。