ホーム 芸能ニュース・ゴシップ 【2026年最新】イギリス地方選挙で何が変わった?172自治体と実施結果の全貌

【2026年最新】イギリス地方選挙で何が変わった?172自治体と実施結果の全貌

橘 悠人 橘 悠人 • 更新: • 公開: • 読了約 19 分
目次

最初に、2026年の選挙規模について、押さえておきたい数字がある。イギリス選挙委員会(Electoral Commission)の事前メディアガイドには、イングランド172自治体(ロンドン32区を含む)で地方選挙を行うと記載されていた。一方、9月に公表された実施後の報告書では、実際に選挙が実施された自治体数は136自治体と整理されている。両者は資料の時点・集計対象が異なるため、選挙結果を扱う場合は実施後の報告を基準にする必要がある。

背景には地方自治体の再編問題があった。政府は地方行政の効率化を目的に、複数の自治体を統合して単一自治体(ユニタリー・オーソリティー)に再編する計画を進めている。2026年1月には29自治体の選挙延期方針が発表されたが、2月16日に政府がその決定を撤回し、予定されていた選挙を実施する方向に戻した。地方行政改革と選挙日程が密接に結び付いていた年だった。

2026年5月の選挙結果

5月7日のイングランド地方選挙では、リフォームUK(Reform UK)が議席を大きく伸ばした。Sky Newsの集計では、136自治体の選挙で同党が1,455議席を獲得。労働党は1,068議席、自由民主党は844議席、保守党は801議席、緑の党は586議席だった。

労働党と保守党の双方が議席を減らし、リフォームUKと緑の党が存在感を強めたことは、英国政治の勢力図を考えるうえで重要な動きだ。ただし、地方議会選挙の議席数をそのまま庶民院の議席数や総選挙の結果に置き換えることはできない。選挙区の構成、候補者、投票率、地域固有の争点が異なるためだ。

2026年選挙の投票率




41.2%

イギリス地方選挙

都市部・区議会など
大都市、ロンドン区、ユニタリー、ディストリクト議会など




45.2%


カウンティ議会
県レベルの地方議会


この投票率は英国選挙委員会の2026年実施報告に基づく。都市部などの地方選挙では2016年以来の高い水準となり、カウンティ議会選挙も過去30年間で、総選挙や国民投票と同日開催されなかった地方選挙として最も高い投票率を記録した。

【暮らしへの影響】地方議会議員は何を決めるのか?

地方選挙で選ばれるのは、原則として地方議会の議員(Councillor)だ。議員は住民の代表として地域の意見を議会に届け、自治体の予算や行政方針を審議し、行政運営を監視する。

日本の地方議会と似た役割を持つが、英国では自治体の種類によって担当する行政サービスが異なる。特にイングランドでは、カウンティ議会とディストリクト議会が分担する地域と、ひとつの議会が幅広い行政サービスを担う地域がある。

生活に直結する主な政策分野



道路・交通政策

道路の補修、地域交通、歩道や公共交通の整備など。通勤や通学の利便性に影響する。


住宅・都市計画

公営住宅、住宅供給、開発許可、土地利用など。地域の住宅事情や街並みを左右する。


教育・子ども支援

学校関連サービス、教育支援、子どもの福祉など。特にカウンティ議会の担当分野として重要だ。


ごみ収集・環境政策

家庭ごみの回収、リサイクル、公衆衛生、地域環境の維持など。


福祉・地域施設

図書館、社会福祉、高齢者支援、地域施設の運営など。


英国選挙委員会の自治体制度の説明によると、カウンティ議会は学校、図書館、道路などを担当することが多く、ディストリクト議会は住宅サービスやカウンシル・タックス関連の業務などを担当する。ユニタリー・オーソリティーは、こうした機能をひとつの自治体が担う仕組みだ。

地方議員の役割は行政の実行だけではない

地方議員は自治体職員と同じ立場ではない。行政サービスを実際に提供する職員や専門部門に対し、住民の意見を伝え、予算の使い方や政策の優先順位を議会で判断する立場にある。

例えば、地域住民から道路の陥没について相談を受けた場合、議員は担当部門への働きかけや議会での問題提起を行える。一方、補修工事の具体的な実施や予算執行は行政組織の責任となる。この政治的な監視と行政執行の区別が、地方自治を理解するうえで大切だ。

【制度比較】イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの違い

英国は一つの国でありながら、地方自治や選挙制度には地域差がある。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドを同じ制度として理解すると、投票方法や選挙日程を誤解しやすい。

4地域の地方議会選挙



イングランド

FPTP
候補者ごとの得票数で当選者を決める。地方議会の選挙は原則として単純小選挙区制で、複数議席の選挙区では定数分まで候補者を選べる。


スコットランド

STV
地方議会選挙では候補者に順位を付ける単記移譲式投票を採用。2026年には地方議会ではなくスコットランド議会選挙が実施された。


ウェールズ

FPTP
地方議会選挙では単純小選挙区制を採用。2026年のセネッズ選挙では、地方議会とは別の非拘束ではない閉鎖式比例代表制が導入された。


北アイルランド

STV
地方議会選挙では候補者を希望順に並べる。2027年には地方議会と北アイルランド議会の選挙が予定されている。


この違いは英国議会下院図書館が2026年10月7日に公表した選挙制度の調査資料でも整理されている。地方選挙では、イングランドとウェールズがFPTP、スコットランドと北アイルランドがSTVという構成だ。

FPTPとSTVは何が違う?

単純小選挙区制(FPTP:First Past the Post)

FPTPは、候補者のうち最も多くの票を獲得した人が当選する制度だ。過半数の得票がなくても、ほかの候補者より得票数が多ければ当選できる。

イングランドの地方議会では、複数の議席を選ぶ選挙区も存在する。その場合、投票者は空席数と同じ人数まで候補者に印を付けられる。例えば3議席の選挙区なら、最大3人を選択する方式だ。

単記移譲式投票(STV:Single Transferable Vote)

STVでは、候補者に1位、2位、3位という希望順位を付ける。候補者が必要な得票基準に達して当選した場合の余剰票や、落選候補者に入った票を、投票者が示した次順位の候補者に移していく。

この仕組みは、複数議席を持つ選挙区で、政党や候補者への支持をより幅広く議席に反映させることを狙っている。

主要な選挙制度と関係する政治機関の比較表

英国の選挙を正しく理解するには、地方議会だけでなく、国政や地域議会との関係も把握しておく必要がある。

機関・選挙 選出対象・投票方式 主な役割 イングランド地方議会 地方議員・FPTP 地域の行政サービス、予算、都市計画 スコットランド地方議会 地方議員・STV 地域の公共サービスと自治行政 ウェールズ地方議会 地方議員・FPTP 地域の行政サービスと自治行政 北アイルランド地方議会 地方議員・STV 地域サービス、地域開発など 庶民院(下院) MP・FPTP 英国全体の立法、政府監視、国家予算 スコットランド議会 MSP・AMS スコットランドの権限分野に関する立法 ウェールズ議会(Senedd) MS・閉鎖式比例代表制 ウェールズの権限分野に関する立法

特に注意したいのは、スコットランド地方議会選挙のSTVと、スコットランド議会選挙のAMSは別の制度だという点だ。また、ウェールズ地方議会のFPTPと、2026年に新制度へ移行したSeneddの閉鎖式比例代表制も混同できない。

【総選挙との違い】庶民院を選ぶ選挙と地方選挙は別物

日本の読者が最も混乱しやすいのが、イギリス総選挙と地方選挙の違いだ。どちらもFPTPが使われる選挙だが、選出する人物も、決定できる政策も異なる。

庶民院(下院)選挙で選ぶのは国会議員

英国の総選挙は、英国議会の下院に当たる庶民院(House of Commons)の議員を選ぶ選挙だ。英国は650の小選挙区に分かれ、それぞれの選挙区から1人のMP(Member of Parliament)が選出される。

総選挙では、国の税制、外交、安全保障、移民政策、国家予算など、英国全体に関わる政治が問われる。選挙後には議会の勢力構成が決まり、政権運営にも影響する。

地方選挙は地域の公共サービスを左右する

地方選挙では、住民の生活圏を代表する議員を選ぶ。国全体の法律や外交方針を決めるのではなく、道路、住宅、学校関連サービス、地域福祉、ごみ収集など、自治体が担当する政策が中心だ。


総選挙と地方選挙の違い



総選挙

650人


庶民院のMPを選出

外交・国防・国家予算・税制・国政全般


地方選挙

地域の議員


自治体の議会を構成

道路・住宅・福祉・地域施設・公共サービス


いずれもFPTPを採用する場合があるが、選挙の目的と権限は異なる。

英国議会の公式説明では、庶民院の650議席は各選挙区で最も多くの票を得た候補者が獲得する仕組みになっている。総選挙は通常5年ごとに行われる。一方、地方選挙は自治体ごとに異なる選挙周期で実施される。

地方首長選挙は議員選挙とも違う

英国には、議会議員とは別に、住民が直接投票して選ぶ首長も存在する。特にイングランドでは、自治体の首長と広域自治体の首長を区別する必要がある。

- Local Authority Mayor(自治体首長):特定の自治体の行政を率いる直接選挙制の首長。
- Combined Authority Mayor(広域自治体首長):複数の自治体が連携する広域行政機関を率いる首長。交通や住宅など広域的な課題を扱う。
- Mayor of London(ロンドン市長):ロンドン全体の政策方針や予算を担い、ロンドン議会の監視を受ける。
- Ceremonial Mayor(儀礼的市長):式典などで自治体を代表する役職。直接選挙で選ばれる政治的首長とは異なる。

投票方式も一律ではない。自治体首長やロンドン市長はFPTPが使われる一方、広域自治体の首長選挙では候補者数などに応じて補足投票方式が適用される。英国選挙委員会は、首長の種類によって責任と選出方法が異なることを説明している。

【投票資格・日程】日本人もイギリス地方選挙に参加できる?

イギリス地方選挙の投票資格は、英国籍を持つ人だけに限定されていない。一定の条件を満たす外国籍住民にも投票権が認められている。ただし、居住地域と国籍によって条件が異なる。

地域別の投票資格と年齢
地域 投票できる年齢 主な対象
イングランド 18歳以上 英国・アイルランド・適格な英連邦国籍者、対象となるEU市民
北アイルランド 18歳以上 英国・アイルランド・適格な英連邦国籍者、対象となるEU市民
スコットランド 16歳以上 英国・アイルランド・適格な英連邦国籍者、一定の在留資格を持つ外国籍住民
ウェールズ 16歳以上 英国・アイルランド・適格な英連邦国籍者、EU市民、一定の外国籍住民

いずれの地域でも、原則として選挙人名簿への登録と対象地域での居住が必要だ。海外有権者として登録しているだけでは、地方選挙には投票できない。

日本国籍の住民はどうなる?

日本人にとって重要なのは、英国に居住していることやビザを持っていることだけで、自動的にすべての地方選挙で投票できるわけではないという点だ。

- イングランド:日本国籍だけでは投票資格を満たさない。英国籍、アイルランド国籍、適格な英連邦国籍、対象となるEU国籍などが必要。
- 北アイルランド:イングランドと同様に、一般的な日本国籍の居住者は投票できない。
- スコットランド:必要な在留資格を持ち、選挙人登録などの条件を満たせば、日本国籍者も地方選挙に参加できる。
- ウェールズ:一定の在留資格を持ち、登録などの条件を満たせば、日本国籍者も地方選挙に参加できる。

これは英国の地方選挙制度が、国籍だけでなく地域住民としての政治参加を重視していることを示す。ただし、投票資格は在留資格や登録状況によって判断されるため、居住地域の選挙管理当局による確認が必要だ。

2026年から2027年にかけての選挙日程

2026年の選挙はすでに終了している。次に注目されるのは2027年の地方選挙と北アイルランドの議会選挙だ。

日程 選挙 対象
2026年5月7日 地方議会選挙 イングランド
2026年5月7日 スコットランド議会選挙 スコットランド
2026年5月7日 Senedd選挙 ウェールズ
2027年5月 地方議会選挙 スコットランド
2027年5月 地方議会選挙 ウェールズ
2027年5月6日 議会・地方議会選挙 北アイルランド

北アイルランドでは、2027年5月6日に北アイルランド議会と11の地方議会の選挙を同日に行う計画が公表されている。2026年10月27日には選挙を同時実施するための規則案に関する情報も発表された。スコットランドの地方議会選挙も2027年5月6日が予定日となっている。

なお、2026年5月7日に実施されたスコットランド議会選挙とウェールズ議会選挙は、地方議会選挙とは別のものだ。ウェールズでは2026年から議員数が60人から96人に増え、閉鎖式比例代表制が採用された。選挙制度の変更も、2026年の英国政治を理解するうえで欠かせない要素だ。

【プロの結論】イギリス地方選挙を理解するための3つの判断基準

イギリス地方選挙をニュースで読むとき、政党の勝敗だけを追っていては、地域社会への影響を十分に理解できない。制度を正しく読み解くには、次の3点を確認することが重要だ。

1.選挙の対象が地方議会なのか国政議会なのか

最初に確認すべきなのは、選挙で選ばれる機関だ。庶民院のMPを選ぶ総選挙なのか、自治体のCouncillorを選ぶ地方選挙なのか、スコットランド議会やSeneddの議員を選ぶ地域議会選挙なのかによって、選挙の意味は大きく変わる。

2.どの投票方式が採用されているか

FPTPでは候補者個人の得票数が重視される。STVでは有権者の順位付けと票の移譲が当選者を決める。比例代表制では政党などへの支持が議席配分に反映される。選挙結果を比較する場合は、投票方式をそろえて考える必要がある。

3.自治体の権限と再編計画を確認する

同じ地方議会でも、カウンティ議会とディストリクト議会では担当する行政サービスが違う。加えて、2026年の英国では地方自治体の再編が進んでおり、既存の議会が将来統合される可能性もある。

英国下院図書館の2026年7月の調査資料によれば、新しいユニタリー・オーソリティーの最初の選挙は2028年5月、法的な権限移行は2029年4月1日が想定されている。もっとも、9月には一部の再編決定が撤回され、10月にも見直しの動きが続いている。地方選挙の結果と行政区画の再編は、切り離して考えられない。

【イギリス地方選挙】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:イギリス地方選挙は何年ごとに行われますか?

自治体によって異なる。全議席を4年ごとに改選する自治体、半数を2年ごとに改選する自治体、3年間にわたり毎年3分の1ずつ改選する自治体などがある。スコットランドやウェールズでは5年周期の地方議会選挙が基本となっている。

Q2:イギリス地方選挙と総選挙は同じ投票方式ですか?

イングランドでは地方議会選挙と庶民院選挙の双方でFPTPが採用されている。ただし、スコットランドと北アイルランドの地方議会選挙ではSTVが使われる。ウェールズの地方議会選挙はFPTPだが、Senedd選挙は2026年から閉鎖式比例代表制となった。

Q3:2026年のイギリス地方選挙では何が注目されましたか?

5月7日のイングランド地方選挙では、リフォームUKが大幅に議席を増やしたことが注目された。また、投票率は都市部などで41.2%、カウンティ議会選挙で45.2%となった。地方自治体の再編問題や選挙延期をめぐる政府の方針転換も、大きな政治的論点だった。

イギリス地方選挙は、地域の議会議員や首長を選び、住民の日常生活に直結する行政の方向性を決める重要な選挙だ。2026年5月7日の選挙では、イングランドの地方政治に大きな勢力変化が見られ、リフォームUKの躍進や労働党の議席減少が注目された。

ただし、英国の選挙制度は地域ごとに異なる。イングランドとウェールズの地方議会ではFPTP、スコットランドと北アイルランドではSTVが使われる。加えて、庶民院の総選挙、スコットランド議会選挙、Senedd選挙、地方首長選挙も、それぞれ異なる役割を持っている。

今後は2027年の地方議会選挙に加え、イングランドの自治体再編がどのように進むかが重要な焦点になる。英国政治の動向を正しく理解するには、政党の勝敗だけでなく、誰が選ばれ、どの行政権限を担い、地域住民の暮らしにどのような変化をもたらすのかまで見る必要がある。

地方選挙は国政の縮小版ではない。英国の民主主義を理解するうえで、地域政治そのものに目を向けることが欠かせない。

同じカテゴリの記事

橘 悠人
SEOスペシャリスト 橘 悠人
プロフィールを見る →

配給会社のプレスシートと配信サービスの公式作品情報を出典とし、再生数や興収は発表元の数値のみを掲載します。

おすすめの関連記事