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芸能界で相次いだ著名人の死を検証|2026年統計と報道指針の現在地

星野 あかり 星野 あかり • 更新: • 公開: • 読了約 28 分
目次

芸能界で活躍した著名人の突然の死は、社会に大きな衝撃を与えてきた。岡田有希子さん、上原美優さん、三浦春馬さん、芦名星さん、竹内結子さんなど、時代を代表する芸能人の訃報は、テレビや新聞だけでなく、インターネットやSNSを通じて広く伝えられてきた。

「芸能界自殺」「芸能人の自殺者一覧」「芸能人が自ら命を絶った理由」といった検索が続く背景には、報道された出来事の経緯を知りたいという関心に加え、華やかな芸能界の裏側にあるメンタルヘルス問題や労働環境への疑問がある。2026年11月現在、厚生労働省の自殺対策白書、警察庁の最新統計、WHOの報道ガイドライン、芸能従事者を対象とした調査を照らし合わせると、個人の死をめぐる報道と、業界全体が取り組むべき課題は分けて考える必要があることが分かる。

【歴代の事例】芸能界で報じられた著名人の死と公表された経緯

芸能界自殺

芸能界では、1980年代から現在まで、著名人の自死や自殺の可能性が報道された事例がある。ただし、報道で自殺と伝えられたケースと、所属事務所などが死因を公表したケースは必ずしも同じではない。

歴代の事例を確認するときは、死亡が発表された日、警察による確認、所属事務所の説明、動機に関する公表の有無を分ける必要がある。

1986年・岡田有希子さんの訃報と報道の影響

1986年、18歳で亡くなったアイドル歌手の岡田有希子さんは、日本の芸能界における著名人の自殺報道を考えるうえで、歴史的に重要な事例として知られている。

当時はテレビのワイドショーや新聞が大きく取り上げ、繰り返し報道することによる影響も社会問題として議論された。その後、著名人の死を伝える報道が、若年層や心理的に不安定な人々に及ぼす影響について研究が進められた。

この事例は、著名人の訃報をニュースとして扱う際、情報の量や表現方法にも責任が伴うことを示す歴史的な出来事となっている。

2011年・上原美優さんの訃報

2011年5月12日、タレントの上原美優さんが24歳で亡くなった。所属事務所が同日、訃報を発表し、当時の報道では自殺として伝えられた。

当時、所属事務所は本人が亡くなるに至った理由について把握できていない旨を説明していた。したがって、報道された出来事と、本人の内面にあった事情を同一視することはできない。

この訃報では、SNS上で特定の芸能人が番組内で自殺を勧めたという内容の情報が流れたものの、後に投稿者が根拠のない情報だったとして謝罪したことも報じられた。これは、著名人の訃報に便乗したデマが、無関係な人物への攻撃に発展する危険性を示した事例でもある。

2020年・三浦春馬さんをめぐる報道

2020年7月18日、俳優の三浦春馬さんが30歳で亡くなった。所属事務所のアミューズは当初、訃報を発表し、詳しい状況については確認中と説明した。

同年9月4日、所属事務所は四十九日に合わせて、当日の経緯や警察による確認結果を公表した。死因については、警察の検視結果から自死との報告を受けたと説明している。

また、本人が日頃から役作りなどの考えを記していたノートは発見されたものの、遺書は確認されず、ノートにも自死の動機や原因と直接結び付く内容はなかったと説明された。

この発表で重要なのは、死因が公表されたことと、亡くなった理由のすべてが明らかになったことは別だという点である。本人の心情や複雑な背景を、外部の人間が一つの出来事だけで説明することはできない。

2020年・芦名星さん、竹内結子さんの訃報

2020年9月14日には、女優の芦名星さんが36歳で亡くなった。所属事務所のホリプロは公式サイトで訃報を発表し、家族の悲しみに配慮して取材を控えるよう報道機関に要請した。

同年9月27日には、女優の竹内結子さんが40歳で亡くなった。所属事務所のスターダストプロモーションは突然の訃報を伝え、詳しい状況については確認中と説明した。

両者については当時、自殺の可能性を含む報道が行われた。一方、所属事務所の公表文で明らかにされた情報には限りがあり、本人の動機や詳しい心情について、公式に説明された事実と報道上の推測を区別する必要がある。

2021年・神田沙也加さんの訃報で注意すべき点

2021年12月18日、女優・歌手の神田沙也加さんが35歳で亡くなった。所属事務所は12月19日に訃報を発表し、出演中だったミュージカルへの影響なども報じられた。

同月21日の事務所発表では、警察による確認の結果、事件性はなく、転落による多発外傷性ショックが死因だったと説明された。一方、転落の原因については本人の名誉や周囲への影響を考慮して公表を控えるとした。

この事例を、公開された公式発表だけを根拠に自殺と断定することはできない。芸能人の訃報を一覧化する際には、こうした分類上の違いにも注意が必要だ。

【事例比較表】芸能人の訃報・報道経緯・公表情報を整理

ここでは、検索されることの多い代表的な事例を整理する。網羅的な名簿ではなく、報道の経緯と公表情報の違いを理解するための比較資料である。

人物・時期 年齢 公表・報道で確認できる内容 動機に関する公表状況
岡田有希子さん・1986年 18歳 当時の報道で自殺として伝えられ、社会的に大きな影響を与えた 単一の原因を確定できる公的説明として扱うことはできない
上原美優さん・2011年 24歳 所属事務所が訃報を発表。当時の報道では自殺として伝えられた 所属事務所は理由を把握できていない旨を説明
三浦春馬さん・2020年 30歳 7月18日に逝去。9月4日に所属事務所が警察の検視結果に基づく死因を公表 遺書は確認されず、動機や原因に直接結び付く内容も確認されなかったと説明
芦名星さん・2020年 36歳 9月14日に所属事務所が訃報を発表。詳細な状況については調査中と説明 所属事務所から動機の公表はない
竹内結子さん・2020年 40歳 9月27日に所属事務所が訃報を発表。詳しい状況は確認中と説明 所属事務所の初回発表で動機は公表されていない
神田沙也加さん・2021年 35歳 12月18日に逝去。所属事務所が警察による確認結果と死因を公表 転落の原因は公表されていない。自殺と確定した事例として分類できない

この比較から分かるのは、訃報の公表、死因の確認、動機の説明という3段階が、それぞれ異なる情報であることだ。

特に、警察による死因の確認が行われたとしても、本人が何を考えていたのか、どのような問題を抱えていたのかまで自動的に明らかになるわけではない。

【2026年最新統計】厚生労働省・警察庁の数字で分かること

芸能界の問題を社会全体の自殺対策と結び付けて考える際、基礎となるのが警察庁と厚生労働省の公的統計だ。

2025年の確定値は19,188人

2026年3月27日に公表された「令和7年中における自殺の状況」によると、2025年の全国の自殺者数は19,188人だった。

2024年の20,320人から1,132人減少しており、男性は13,176人、女性は6,012人となっている。

一方で、19歳以下の自殺者数は830人で、前年の800人から30人増加した。加えて、小中高生の自殺者数は538人となり、統計のある1980年以降で最多を記録した。

総数が減少したことだけで社会全体の問題が解消したと判断できない理由は、年齢層によって異なる動きが見られるためだ。

2026年1~9月の最新暫定値は13,583人

警察庁が2026年10月に公表した9月末の暫定値によると、2026年1月から9月までの自殺者数は13,583人だった。

内訳は男性9,194人、女性4,389人。9月単月では1,296人となっている。

この数字は2026年10月9日集計の暫定値であり、年間の確定値ではない。今後の確認や集計によって数字が変わる可能性があるため、2025年の年間確定値と単純に比較することはできない。

2025年の原因・動機別統計が示す複雑な背景

2025年の公的統計では、原因・動機として、健康問題11,355件、経済・生活問題5,387件、勤務問題2,390件などが計上されている。

ただし、これらは一人につき最大4つまで複数計上できる仕組みであり、本人の死に対する唯一の原因を示すものではない。また、遺書などの資料だけでなく、家族などの証言から考えられる事情も含まれる。

厚生労働省の資料自体も、自殺の背景には多様な要因があり、複数の事情が連鎖して起きることに留意するよう説明している。

なぜ芸能人だけの自殺者数は分からないのか

ここで重要なのが、警察庁の自殺統計には、芸能人だけを抽出した全国集計が存在しないという点だ。

厚生労働省によると、警察の自殺統計原票には、亡くなった人の氏名や生年月日は記載されず、住所も市区町村までの情報となっている。集計の目的は、全国的な傾向や地域別の状況、職業別の特徴などを把握することにある。

したがって、一般の自営業者や会社員などの統計から芸能人の人数を推計することも、個別の著名人の死を公的統計に直接結び付けることもできない。

2026年現在、芸能界の自殺者が全国で何人いるのかを示す、警察庁・厚生労働省の公式な一覧統計は確認できない。ネット上の歴代一覧は、個別の報道や公表資料を集めた民間の整理として扱う必要がある。

【理由と真相】芸能人の自殺理由はどこまで公表されているのか

芸能人の訃報が報じられると、検索では「本当の理由」「自殺の真相」「仕事のストレス」「誹謗中傷との関係」といった疑問が急増する。

しかし、死因と動機は別の情報である。警察による死因の確認、所属事務所による発表、家族の説明、報道機関の取材内容は、それぞれ異なる役割を持っている。

死因が公表されても動機まで分かるとは限らない

三浦春馬さんのケースでは、所属事務所が警察の検視結果を受けて死因を公表した一方、遺書は確認されず、本人のノートにも直接的な動機や原因に結び付く記述はなかったと説明している。

このように、死因が確認されていても、本人の心理状態や複数の生活上の事情まで明らかになるわけではない。

本人が生前に出演した作品、SNSでの発信、仕事の予定、周囲の人間関係などを後から並べても、それだけで亡くなった理由を特定することはできない。

ネット上で広がる「真相」情報の落とし穴

著名人の訃報をめぐっては、次のような情報が繰り返し拡散される。

  • 特定の共演者や関係者が原因だったという断定。
  • 事務所や制作会社が問題を隠しているという未確認情報。
  • 過去のSNS投稿を、亡くなる直前の心理状態を示す証拠として扱う説明。
  • 匿名アカウントによる内部告発や、出所が分からないとされる遺書の情報。
  • 複数の著名人の死を、一つの組織的な問題に結び付ける推測。

これらは、一次資料や複数の信頼できる報道による裏付けがなければ、確定した事実とはいえない。

実際、上原美優さんの訃報が伝えられた際にも、テレビ番組で別のタレントが自殺を勧めたというデマがSNS上に流れた。後に投稿者自身が根拠を確認していなかったと認めている。

一つの誤情報が、遺族や関係者だけでなく、無関係な人物の名誉まで傷つける可能性がある。芸能人の自殺の真相を調べるときほど、情報の発信者と根拠を確認する必要がある。

公表情報を読むための3つの区別

第一に、警察や公的機関が確認した事実。死因や事件性に関する発表など、公式な確認結果に該当する。

第二に、所属事務所や家族が発表した情報。訃報、葬儀、本人の活動歴、遺族の意向などが含まれる。ただし、発表されていない個人的な事情まで推測することはできない。

第三に、報道機関による取材情報や解説。複数の関係者への取材によって明らかになる情報もあるが、匿名証言や推測を含む場合は、その性質を見極める必要がある。

この3つを区別すれば、検索結果の見出しだけで人物の人生や死の理由を決め付ける危険を減らせる。

【芸能界の労働環境】メンタルヘルスと誹謗中傷の問題

芸能界の自殺問題を考える際、個人の精神状態だけに注目しても、業界全体の課題は見えてこない。撮影、舞台、ライブ、収録、移動、宣伝活動など、芸能従事者の仕事には一般的な会社員とは異なる働き方が存在する。

過重労働や不規則なスケジュール

厚生労働省が公表した2023年版「過労死等防止対策白書」では、芸術・芸能従事者を対象とした調査結果が掲載されている。

同調査では、1週間当たりの拘束時間等が60時間以上だった人の割合は、俳優・スタントマンで21.5%、音楽・舞踊・演芸で17.2%だった。

ここでいう拘束時間等には、準備時間や芸術・芸能に関連する副業、芸能と関係のない副業の時間も含まれ、通勤時間は除かれている。一般的な雇用者の労働時間とは定義が異なるため、数字の読み方には注意が必要だ。

それでも、長時間の拘束や複数の仕事を掛け持ちする人がいることは、業界の健康管理を考えるうえで無視できない。

仕事関係者による精神的な負担とハラスメント

同じ白書の調査では、仕事関係者から心が傷つくことを言われた経験があると回答した人の割合は、俳優・スタントマンで54.6%、声優・アナウンサーで68.6%だった。

また、身体的な攻撃や怒鳴られる経験、セクシュアルハラスメントに関する経験も一定割合で報告されている。

ただし、これらは調査対象者が過去に経験したことを尋ねたものであり、すべての芸能従事者に当てはまる数字ではない。また、この調査から個別の著名人の死の原因を説明することもできない。

フリーランスという働き方の不安定さ

芸能界では、俳優、声優、歌手、演奏家、舞台関係者などが個人事業主やフリーランスとして活動するケースがある。

文化庁は、芸術家等が個人で活動する場合、企業に雇用されている労働者とは異なる法的な位置付けになることを説明している。

実際に労働者に該当するかどうかは、契約書の名称だけではなく、仕事の指揮監督や報酬の支払われ方など、働き方の実態によって判断される。

仕事が途切れた際の収入、社会保障、休業時の生活、健康管理、契約トラブルなど、個人が対応しなければならない問題もある。

文化庁は文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインを整備し、フリーランス・事業者間取引適正化等法も2024年11月に施行された。2026年には同法の考え方に関する運用資料も更新されている。

SNSの誹謗中傷と終わらない評価への対応

テレビや雑誌が主な情報源だった時代と異なり、現在の芸能人はSNSや動画配信サービスを通じて、一般の視聴者から直接評価される環境に置かれている。

作品への批評と、人格を攻撃する投稿は異なる。仕事上の失敗や私生活に関する情報が拡散されると、投稿が削除されてもスクリーンショットや転載によって情報が残り続けることがある。

また、芸能人本人だけでなく、家族、友人、共演者、所属事務所のスタッフにまで批判が広がる場合がある。

2026年5月25日には、日本芸能従事者協会が「芸能従事者とフリーランスの労災と安全衛生の実態調査2026」を公表した。回答数は100件で、長時間就業、睡眠不足、精神的不調、ハラスメント、相談先の不足などが調査対象となっている。

この調査は回答者100人によるインターネット調査であり、芸能界全体の発生率を示すものではない。しかし、現場の安全衛生や精神面の支援が、2026年にも継続して取り組むべき課題であることを示している。

芸能界のメンタルヘルス対策では、本人の努力だけに依存しない仕組みが求められる。制作会社、事務所、興行主、配信事業者など、仕事に関わる組織が相談窓口や健康管理の責任を明確にすることが必要だ。

【厚生労働省・WHOの指針】著名人の訃報をどう報じるべきか

芸能人の訃報が社会に及ぼす影響については、日本の厚生労働省と世界保健機関(WHO)が、メディアに向けた具体的な指針を示している。

WHO自殺報道ガイドライン2023年版

WHOは2023年9月、「Preventing suicide: a resource for media professionals, update 2023」を公表した。日本語版は、厚生労働大臣指定法人であるいのち支える自殺対策推進センターによって翻訳され、厚生労働省のウェブサイトでも公開されている。

2023年版では、著名人の自殺報道に特別な注意を払うことが明記されている。報道が大きく、繰り返され、センセーショナルになるほど、自殺リスクを抱える人々に悪影響を与える可能性があるためだ。

特に、次のような報道は避けるべきものとして整理されている。

  • 具体的な自殺の手段を説明すること。
  • 自殺が起きた場所を詳しく紹介すること。
  • 遺書の詳細や個人的な記述を公開すること。
  • 一つの出来事を唯一の原因として説明すること。
  • 自殺を美化したり、問題を解決する方法のように描いたりすること。
  • 自殺に関する写真や映像を繰り返し掲載すること。

反対に、正確な情報を伝え、相談先を案内し、困難を乗り越えた人の経験や支援につながった事例を紹介する報道は、予防につながる可能性がある。

2026年6月15日、厚生労働省が改めて報道に注意喚起

2026年6月15日、厚生労働省といのち支える自殺対策推進センターは、著名人の訃報などをめぐる報道について、改めて注意を呼びかけた。

発表では、自殺の手段や場所を詳しく伝える報道が、心理的な危機にある人々に影響を及ぼし、模倣行動につながる可能性を指摘している。

また、テレビや新聞だけでなく、報道機関がウェブサイトやSNSに掲載したニュースが、受け手によって新しい情報を付加されながら拡散する問題にも言及した。

これは2026年のデジタル報道を考えるうえで重要な指摘だ。最初のニュース記事が適切に作られていても、SNS上で刺激的な見出しや未確認情報が付け加えられれば、元の報道とは異なる内容が広まってしまう。

ウェルテル効果とパパゲーノ効果

自殺報道を考えるうえで知られている概念に、ウェルテル効果とパパゲーノ効果がある。

ウェルテル効果とは、著名人などの自殺報道が、その後の自殺関連行動に影響を及ぼす可能性を指す。特に、報道量が多く、特定の人物への共感や同一視が強まる場合には注意が必要とされる。

一方、パパゲーノ効果は、困難を抱えた人が支援を受けたり、別の対処方法を見つけたりした経験を伝えることで、危機を乗り越える選択肢を示す効果を指す。

WHOの2023年版では、この肯定的な報道の重要性についても説明が加えられた。

著名人の訃報を何度も取り上げるだけではなく、心の不調に気付く方法、周囲の人ができる支援、専門機関への相談方法などを伝えることが、報道の社会的役割として求められている。

【プロの結論】芸能界の自殺問題を変えるために必要なこと

芸能界で起きた著名人の死をめぐる問題は、個人の人生、報道の責任、業界の労働環境、社会全体のメンタルヘルス対策が重なる複雑なテーマだ。

2026年の公的資料と過去の報道を照らし合わせると、今後の改善に向けて、少なくとも4つの視点が必要になる。

1. 芸能事務所と制作会社の健康管理責任

芸能従事者が安心して働ける環境を整えるには、長時間拘束の把握、十分な休息、健康診断、精神面の相談体制を整備する必要がある。

特にフリーランスの場合、本人が不調を訴えなければ周囲が問題に気付かないという状況を避けなければならない。仕事の継続や出演機会を失う不安から、相談をためらう人がいることも想定した仕組みが求められる。

2. ハラスメントと誹謗中傷への組織的な対応

仕事関係者からのハラスメントと、インターネット上の誹謗中傷は、発生する場所も対応方法も異なる。

現場内の問題には独立性のある相談窓口や調査体制を設け、SNS上の問題には投稿の記録、削除申請、法律相談、必要に応じた警察への相談など、状況に応じた対応が必要になる。

本人がすべてを一人で処理するのではなく、事務所や制作会社が支援する体制を持つことが重要だ。

3. 著名人の訃報に関する報道基準の徹底

報道機関には、死因が確定していない段階での断定的な報道を避け、公式発表と推測を区別することが求められる。

また、記事の公開後も誤情報の訂正、SNS上での拡散状況の確認、相談先の案内などを継続する必要がある。

アクセス数や話題性を優先して刺激的な見出しを付けるのではなく、読者に必要な事実を適切な範囲で伝える姿勢が問われている。

4. 読者自身が情報を見極める基準を持つ

芸能人の訃報に関する情報を読む際には、次の基準を意識するとよい。

  • 発表主体:警察、所属事務所、家族、報道機関のどこが発信した情報なのか。
  • 情報の種類:死因の説明なのか、本人の動機についての説明なのか。
  • 裏付け:匿名投稿だけでなく、公式資料や複数の報道で確認できるか。
  • 更新状況:初報の後に訂正や追加発表が出ていないか。
  • 表現方法:必要な事実を伝えているのか、刺激的な表現で関心を集めようとしているのか。

芸能人の死をめぐる情報は、本人や家族の人生に関わるものである。事実を知ろうとすることと、私生活を過度に詮索することは同じではない。

報道を受け取る側にも、情報を拡散する前に根拠を確かめる姿勢が求められる。

つらい気持ちを抱えている人が利用できる相談先

著名人の訃報や関連報道を見て気持ちが不安定になった場合、ニュースやSNSから一度距離を置き、身近な人や専門の相談機関に話すことも選択肢となる。

厚生労働省が案内している主な相談先には、次の窓口がある。

  • #いのちSOS:0120-061-338。無料、24時間365日対応。
  • よりそいホットライン:0120-279-338。無料、24時間対応。
  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556。地域の公的相談機関につながる。

電話で話すことが難しい場合は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」でSNSやチャットによる相談先も確認できる。

自分自身や身近な人の安全に差し迫った危険がある場合は、相談窓口への連絡を待たず、緊急の支援を求めてほしい。

【芸能界の自殺問題】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:芸能界の歴代の自殺者をすべて掲載した公式一覧はありますか?
A1:警察庁や厚生労働省が公表する自殺統計には、芸能人だけを対象にした公式一覧はありません。個別の報道や所属事務所の発表をもとに整理された民間の一覧はありますが、死因が公表されていないケースや、自殺の可能性が報道された段階のケースが混在しているため、情報の分類に注意が必要です。

Q2:2026年の最新の自殺者数は何人ですか?
A2:警察庁が2026年10月に公表した9月末の暫定値では、2026年1~9月の累計は13,583人です。9月単月では1,296人でした。これは全国の集計であり、芸能人だけの人数ではありません。また、2026年の年間確定値ではありません。

Q3:亡くなった芸能人の自殺理由は公表されていますか?
A3:人物によって異なります。三浦春馬さんについては、所属事務所が警察の検視結果に基づく死因を公表しましたが、動機や原因に直接結び付く情報は確認されなかったと説明しています。死因が公表されていても、本人の心理状態や背景のすべてが明らかになるわけではありません。

Q4:芸能界の労働環境にはどのような問題がありますか?
A4:公的調査では、長時間の拘束、仕事関係者からの精神的な攻撃、ハラスメントなどが報告されています。また、フリーランスとして働く人には、契約、収入、健康管理、相談体制などの課題もあります。ただし、こうした業界全体の問題と個別の死亡事例の因果関係は区別する必要があります。

Q5:著名人の訃報を報じる際、WHOは何を求めていますか?
A5:WHOの2023年版ガイドラインは、自殺の手段や場所の詳細、遺書の内容、センセーショナルな表現を避けることを求めています。また、原因を一つに決め付けず、相談先や支援につながる情報を提供し、希望や回復につながる経験を伝えることも推奨しています。

芸能界で報じられてきた著名人の死は、個人の人生だけでなく、日本社会におけるメンタルヘルスや報道倫理を考えるきっかけとなってきた。

2026年の公的統計では、2025年の全国の自殺者数が19,188人、2026年1~9月の暫定値が13,583人と公表されている。しかし、これらの数字から芸能界だけの実態を判断することはできない。

一方、厚生労働省の過労死等防止対策白書や芸能従事者を対象とした調査は、長時間労働、ハラスメント、契約の不安定さ、精神面の相談体制といった課題を示している。

今後、芸能界に求められるのは、事務所や制作会社による健康管理、フリーランスへの支援、誹謗中傷への組織的な対応、そして安心して相談できる環境の整備だ。

報道機関にはWHOの自殺報道ガイドラインを踏まえた情報発信が求められ、読者には公式発表と憶測を区別する姿勢が必要になる。

著名人の死を単なる話題として消費するのではなく、その人が残した仕事や功績を尊重しながら、同じ問題を繰り返さないための社会的な改善につなげること。それが、芸能界の自殺問題と向き合ううえで忘れてはならない視点である。

主な根拠資料・参照先

- 厚生労働省「令和8年版自殺対策白書」「令和7年中における自殺の状況」
- 警察庁「令和8年中の月別自殺者数について(9月末の暫定値)」
- WHO「自殺予防を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識(2023年版)」
- 厚生労働省・いのち支える自殺対策推進センター「自殺に関する報道にあたってのお願い」(2026年6月15日)
- 厚生労働省「令和5年版過労死等防止対策白書」
- 文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」
- 日本芸能従事者協会「芸能従事者とフリーランスの労災と安全衛生の実態調査2026」

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星野 あかり

栄養情報は公的食品データベース、調理法はメーカー公式表記で裏取り。体験談は取材の了承を得た範囲でのみ引用します。

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