2026年11月現在、首都直下地震への警戒が改めて高まっている。2025年12月19日、中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループが新たな被害想定を公表し、最も被害が大きくなるケースでは、死者数が最大約1万8,000人、建物の全壊・焼失が約40万棟、経済的被害が約83兆円に達するとの推計を示した。
加えて、2026年6月12日には政府が「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を改定。今後10年間で死者数と建物の全壊・焼失棟数をそれぞれ半減以上させる目標を掲げた。首都直下地震はいつ起きるのか、30年以内の発生確率70%とは何を意味するのか。そして、帰宅困難者840万人、避難者480万人という規模の災害に対し、家庭では何を準備すべきなのか。2025年12月の政府想定と2026年の最新対策を基に、被害の全貌と具体的な防災行動を整理する。
【2026年最新】首都直下地震とは?都心南部直下地震が注目される理由

首都直下地震とは、東京を中心とする首都圏の直下や周辺地域で発生する、マグニチュード7クラスを中心とした大規模地震の総称だ。
特定の一つの断層や震源を指す名称ではない。南関東では、プレートの沈み込みに伴う地震や地下の活断層による地震など、さまざまなタイプの地震が想定されている。
首都圏で地震が発生した場合、被害が深刻化する背景には、人口と都市機能の集中がある。2026年版防災白書によると、東京圏とその周辺地域には約4,660万人が暮らし、約1,530万棟の建物が集積している。
加えて、国会や中央省庁、金融機関、大企業の本社、交通網、物流拠点など、日本の政治・行政・経済を支える機能も集中している。首都圏の被害は、被災地域だけでなく、全国の企業活動や国民生活、海外との経済取引にも波及する可能性がある。
被害想定の中心となる「都心南部直下地震」とは2025年12月19日に公表された新たな被害想定では、複数の地震モデルの中から、首都中枢機能への影響や発生可能性などを考慮し、都心南部直下地震が代表的な被害想定の対象として選ばれた。
この地震モデルはマグニチュード7.3。東京都心の南部付近を震源とする想定で、政府が首都直下地震の被害規模を具体的に評価するために使用している。
ただし、都心南部直下地震が実際に発生すると予測されているわけではない。政府は首都圏で発生し得るM7クラスの地震として19の地震モデルを検討しており、実際の震源がどこになるかは事前に特定できない。
つまり、都心南部直下地震の被害想定は、首都直下地震への備えを具体化するための代表的なシミュレーションと理解する必要がある。
【いつ起きる?】首都直下地震の発生確率は30年以内に約70%
首都直下地震について多くの人が気にしているのが、実際にいつ発生するのかという問題だ。
地震調査研究推進本部の地震調査委員会によると、南関東地域の直下でプレートの沈み込みに伴うM7程度の地震が発生する確率は、今後30年以内に約70%と評価されている。
対象となる地震の規模は、おおむねマグニチュード6.7~7.3程度。首都直下地震の危険性を示す際に使われる代表的な数字だ。
「30年以内に70%」は何を意味するのか70%という数字は、今後30年間という期間に、対象となる南関東地域のM7程度の地震が発生する可能性を確率で表したものだ。
注意したいのは、特定の日に地震が起きる確率ではないという点である。また、東京都心の特定の地点で都心南部直下地震が発生する確率を、そのまま70%と表しているわけでもない。
地震の発生確率は、過去の地震活動や地殻の構造などの科学的知見を基に評価される。確率が高いからといって、翌日に必ず地震が発生するわけではなく、逆に直近で発生しなかったからといって危険性がなくなるわけでもない。
首都直下地震の発生日を予測できるのか現時点で、首都直下地震が何年何月何日に起きるかを科学的に特定する方法は確立されていない。
また、都心南部直下地震だけでなく、都心東部直下地震、都心西部直下地震、千葉市直下地震、立川市直下地震など、複数の震源モデルが検討されている。
震源の位置が異なれば、強い揺れが発生する地域も変わる。自宅や職場が東京都内にあるからといって、同じ震度になるわけではない。
重要なのは、発生日を当てることではなく、いつ発生しても対応できる状態を整えておくことだ。
【政府の被害想定】死者最大1万8,000人・全壊焼失40万棟・経済被害83兆円の内訳
2025年12月19日に公表された中央防災会議の報告書では、都心南部直下地震について、人的被害、建物被害、経済的被害などを複数の条件で推計している。
特に注目されるのが、冬の夕方、風速毎秒8メートルという条件で発生した場合の人的・建物被害だ。
死者数は最大約1万8,000人、火災による被害が約7割政府の新たな被害想定では、直接的な死者数は最大約1万8,000人と推計されている。
その内訳は、地震の揺れによる建物倒壊などが約6,000人、地震火災によるものが約1万2,000人。つまり、想定される直接死の約7割を火災が占める。
この数字が示すのは、首都直下地震では建物の倒壊だけでなく、地震直後に発生する火災や、その後の延焼が極めて大きな脅威になるということだ。
特に木造住宅が密集する地域では、複数の火災が同時に発生することで、消防活動や避難経路の確保が難しくなる可能性がある。
全壊・焼失は約40万棟、約7割が火災による被害建物の全壊・焼失棟数は最大約40万棟と推計されている。
内訳は、揺れによる建物被害が約13万棟、地震火災による焼失が約27万棟。こちらも約7割が火災による被害だ。
住宅が倒壊しなくても、周囲で火災が発生すれば避難を余儀なくされる。加えて、道路の閉塞や電気・水道の停止などが重なると、建物そのものが無事でも自宅で生活を続けられないケースが出てくる。
経済被害約83兆円の内訳は?経済的被害は約83兆円。単に建物や設備が壊れるだけではなく、企業活動や交通、物流、金融などが停滞する影響も含まれている。
政府資料では、約83兆円を次の2つに分類している。
- 資産等の被害:約45兆円。被災地域における建物、設備、社会インフラなどの資産への被害。
- 経済活動への影響:約38兆円。企業活動や生産、サービス、物流などの停滞による全国規模の影響。
特に深刻なのは、東京圏の企業や金融機関の機能が停止した場合、その影響が被災地域の外にも広がることだ。
東京に本社を置く企業の業務停止は、地方の工場や取引先、海外のサプライチェーンにも影響する。首都圏に直接的な被害がない企業であっても、部品や原材料の調達、決済、輸送などが滞る可能性がある。
災害関連死は別途約1万6,000~4万1,000人と推計今回の被害想定で見落とせないのが、災害関連死の推計だ。
中央防災会議の報告書では、過去の災害における実績などを参考に、災害関連死者数を約1万6,000~4万1,000人と推計している。
災害関連死とは、地震の揺れや火災による直接的な死亡ではなく、避難生活や医療・介護環境の悪化、心身への負担など、災害に関連する要因によって亡くなることを指す。
この約1万6,000~4万1,000人は、直接死の最大約1万8,000人に含まれていない別の推計である。両者を混同してはいけない。
避難所の過密化や医療機関の機能低下、薬の不足などが長引けば、発災後の健康被害が拡大する可能性もある。発災直後の救命活動だけでなく、避難生活の環境を整えることも重要な課題となっている。
なお、これらの数値はいずれも被害が最大となる条件を組み合わせた推計であり、すべてが同一の発生条件で同時に起きることを示すものではない。
【震度分布と都市機能への影響】帰宅困難者840万人・避難者480万人の現実
首都直下地震の被害は、建物の倒壊や火災だけでは終わらない。交通機関や電力、通信、水道などが同時に影響を受けることで、都市生活そのものが大きく変化する。
都心南部直下地震の震度分布はどうなる?政府が公表した都心南部直下地震の震度分布図では、震源に近い地域を中心に震度7や震度6強、震度6弱などの強い揺れが想定されている。
震度7は、耐震性の低い建物の倒壊や家具の転倒、地盤の変状などが発生し得る非常に強い揺れだ。震度6強でも、固定していない家具の多くが移動・転倒し、建物の損傷や道路の通行障害が発生する可能性がある。
ただし、震度分布図は特定の震源モデルに基づいたシミュレーションである。都心南部直下地震の地図を、そのまま首都圏で起こり得るすべての地震に当てはめることはできない。
自分が暮らす地域の危険性を調べる際は、自治体が公開している地域別の地震ハザードマップや液状化・火災の危険度情報も確認したい。
帰宅困難者は約840万人に達する可能性首都直下地震では、最大約840万人の帰宅困難者が発生すると推計されている。
これは、通勤や通学、買い物などで自宅から離れた場所にいる人が、鉄道やバスなどの交通機関の停止によって帰宅できなくなる問題だ。
東京圏では鉄道への依存度が高く、複数の路線が同時に運転を見合わせれば、駅周辺や主要道路に人が集中する。無理に徒歩で帰宅しようとすると、余震や火災、落下物、道路の混雑などによる二次被害の危険性もある。
東京都などが進める帰宅困難者対策では、大規模災害発生時にむやみに移動を開始しないことが基本方針とされている。
勤務先や学校などで安全を確保できる場合は、施設内で待機することが望ましい。企業側にも、従業員が一定期間職場に滞在できるよう、飲料水や食料、簡易トイレなどを備蓄することが求められる。
避難者は約480万人、避難所だけでは対応しきれない避難者数は最大約480万人と想定されている。
この人数は、避難所に向かう人だけでなく、地震によって自宅での生活が難しくなった人々の膨大な需要を示している。すべての人が避難所に集中すれば、施設の収容人数や食料、トイレ、医療体制が不足する可能性がある。
政府の試算では、避難所における発災後7日間の食料不足は約1,300万食に達する。
そのため、住宅の安全が確保されている場合には、自宅で生活を続ける在宅避難が重要な選択肢となる。マンションなどでは、建物の安全性や水・電気の状況を確認したうえで、在宅避難と避難所への移動を判断する必要がある。
電力低下が約1か月続く可能性も2026年版防災白書では、電力供給力の低下が約1か月程度続くことで、通信、上下水道、鉄道など、電力に依存する社会インフラにも影響が及ぶおそれが指摘されている。
停電が発生すると、スマートフォンの充電や情報収集が難しくなる。加えて、ポンプ設備が停止すれば水道や下水道にも支障が出る可能性がある。
電車が止まり、コンビニやスーパーへの商品配送が滞り、通信環境も不安定になる。こうした複数の障害が重なることこそ、首都直下地震の被害を大きくする構造的な要因だ。
2026年の首都直下地震対策における大きな動きが、政府による「首都直下地震緊急対策推進基本計画」の改定だ。
2025年12月に中央防災会議のワーキンググループが新たな被害想定を公表したことを受け、政府は2026年6月12日の閣議で基本計画の変更を決定した。
前回の基本計画は2015年3月に変更されており、今回の改定は約10年ぶりとなる。
10年間で死者数と建物被害を半減以上にする目標今回の基本計画で最も重要なのは、今後10年間で都心南部直下地震の想定死者数と建物の全壊・焼失棟数を、それぞれ半減以上させるという減災目標だ。
目標達成に向けて、政府は189個の具体的な目標を設定。住宅の耐震化や火災対策、インフラの強靱化、企業の事業継続体制など、幅広い分野で対策を進める方針を示した。
首都直下地震対策に関係する主体と役割今回の対策は、国だけで完結するものではない。地震の発生可能性を評価する機関、被害想定をまとめる組織、実際の防災活動を担う自治体や企業、そして各家庭が連携する必要がある。
| 主体・対象 | 主な役割 | 2026年時点の位置づけ・関係 |
|---|---|---|
| 地震調査研究推進本部 | 地震発生確率の評価 | 南関東地域のM7程度の地震について30年以内の発生確率を約70%と評価 |
| 中央防災会議 | 国の防災政策の検討・推進 | 防災対策実行会議の下にワーキンググループを設置 |
| 首都直下地震対策検討ワーキンググループ | 被害想定と新たな防災対策の検討 | 2025年12月19日に新たな報告書を公表 |
| 都心南部直下地震 | 被害想定の代表モデル | M7.3の地震モデルとして死者約1.8万人などを推計 |
| 内閣府・政府 | 基本計画の策定・改定 | 2026年6月12日に基本計画の変更を閣議決定 |
| 自治体・企業 | 地域防災、インフラ維持、事業継続 | 耐震化、BCP、帰宅困難者対策、避難体制の強化を推進 |
| 家庭・個人 | 自助・共助による減災 | 住宅の耐震化、家具固定、備蓄、在宅避難への備えを実施 |
政府の説明資料では、今回の基本計画の方向性として、次の4つの取り組みが示されている。
1. 防災意識の醸成と社会全体の防災体制の構築
行政だけで膨大な被災者を支援することには限界がある。国民、企業、地域、行政がそれぞれの役割を理解し、平時から防災活動を進めることが求められている。
2. 首都中枢機能の継続性の確保
政府機関や金融機関、企業などの重要な業務を地震発生後も継続できるよう、業務継続計画(BCP)の見直しやインフラの耐震化・多重化を進める。また、首都中枢機能が維持できなくなった場合に備え、代替拠点の確保についても検討する。
3. 膨大な人的・物的被害への対応強化
住宅の耐震化、木造住宅密集地域の改善、ライフラインの強靱化などを進めるとともに、救助や応急対応の体制を強化する。在宅避難、広域避難、マンション防災なども重要な対策として位置づけられている。
4. 迅速な復興と、より良い復興への備え
発災後に復興方針を一から考えるのではなく、復興の優先順位や手順、必要な施策を事前に検討する。事前復興計画の策定や地籍調査などを進め、被災後の再建を迅速化する考え方だ。
政府は、これらの具体目標や施策について毎年進捗を確認し、課題を共有する方針を示している。計画の公表だけで終わらせず、実際に対策が進んでいるかを継続的に検証することが問われる。
【家庭の防災対策】首都直下地震に備えて今すぐできる7つの行動
首都直下地震への備えは、特別な防災用品を大量に購入することだけではない。住宅の安全性を高め、生活に必要な物資を確保し、家族で発災時の行動を決めておくことが基本となる。
1. 飲料水と食料は最低3日分、できれば1週間分政府が推奨している家庭備蓄の目安は、最低3日分、可能であれば1週間分だ。
飲料水は、食事に使う分も含めて1人1日約3リットルが目安となる。
例えば、4人家族なら次の量が必要になる。
- 3日分:36リットル
- 7日分:84リットル
食料はレトルト食品、缶詰、アルファ化米、乾麺、栄養補助食品など、普段から食べ慣れているものを中心に準備する。
また、カセットコンロとボンベ、紙皿、ラップ、ウェットティッシュなどもあると、停電や断水時の生活を維持しやすい。
2. 携帯トイレと衛生用品を確保する災害時に見落とされがちなのがトイレの問題だ。
断水や下水道の機能停止が起きると、自宅のトイレが使えなくなる場合がある。水が出ない状態で無理に水洗トイレを使用すると、排水設備に問題が生じる可能性もある。
携帯トイレ、トイレットペーパー、ゴミ袋、消毒用品、生理用品などを備蓄しておきたい。
食料や水だけでなく、排泄や衛生を維持するための用品を準備することが、長期の在宅避難を支える。
3. 家具・家電を固定して室内の安全性を高める地震による負傷を防ぐには、家具の転倒・落下対策が欠かせない。
タンス、本棚、冷蔵庫、テレビなどは、転倒防止器具や固定金具を使用して対策する。寝室や子ども部屋では、就寝中に家具が倒れてこない配置を優先したい。
また、玄関や廊下に大きな家具を置かず、避難経路を確保することも大切だ。
4. 住宅の耐震性を確認する住宅そのものの耐震性も、命を守る重要な要素となる。
特に1981年以前に建築された住宅については、耐震診断や必要な改修を検討したい。自治体によっては耐震診断や耐震改修に対する補助制度を設けている。
マンションの場合は、建物の耐震性だけでなく、エレベーター停止時の移動、給水設備、非常用電源、共用部の備蓄なども確認しておきたい。
5. 感震ブレーカーや消火器で地震火災を防ぐ今回の被害想定では、直接死と建物被害の約7割を火災が占める。家庭の防火対策は特に優先度が高い。
消防庁が推奨する対策の一つが感震ブレーカーだ。一定以上の揺れを感知すると自動的に電気を遮断し、停電後の電気復旧時などに発生する通電火災のリスクを抑える。
住宅用消火器や火災警報器の設置・点検、暖房器具の周辺に燃えやすい物を置かないことも重要になる。
ただし、感震ブレーカーは製品によって遮断方法や作動条件が異なる。夜間の避難時に照明が使えなくなる可能性なども考慮し、住まいに合った製品を選ぶ必要がある。
6. 家族の安否確認方法と避難先を決める大地震が起きると、携帯電話がつながりにくくなったり、通信サービスが利用できなくなったりする可能性がある。
家族で事前に決めておきたいのは、次の項目だ。
- 自宅近くの指定避難所と広域避難場所
- 家族が離れている場合の集合場所
- 災害用伝言ダイヤル171などの安否確認手段
- 親族や知人を介した連絡方法
- 乳幼児、高齢者、障害のある家族などへの支援方法
特に子どもが学校や習い事にいる時間帯に地震が発生した場合、どこで合流するかを決めておくと、混乱を減らせる。
7. 在宅避難と外出先での待機を使い分ける自宅が安全で、倒壊や火災などの危険がない場合は、在宅避難が有効な選択肢になる。
避難所に人が集中することを避けられるうえ、住み慣れた環境で生活できるメリットもある。ただし、建物の損傷や周囲の火災、津波などの危険がある場合には、速やかに安全な場所へ避難しなければならない。
一方、通勤・通学中に被災した場合は、無理に帰宅を始めず、施設の管理者や自治体の案内に従って安全な場所で待機することが基本だ。
東京都の2026年9月の広報でも、外出先で被災した場合には、発災後72時間はむやみに帰宅せず、職場や学校、一時滞在施設などで安全を確保する行動が案内されている。
自宅に帰ることだけを優先せず、自分自身と救助活動の安全を守る行動を選びたい。
【よくある質問】首都直下地震に関する疑問を解説(FAQ)
Q1:首都直下地震は2026年中に発生する可能性がありますか?
A1:2026年中に発生するかどうかを具体的に予測することはできない。南関東地域のM7程度の地震については今後30年以内の発生確率が約70%と評価されているが、特定の年や月を示す数字ではない。
Q2:首都直下地震の死者数は本当に最大1万8,000人ですか?
A2:2025年12月に公表された政府の被害想定では、都心南部直下地震の冬・夕方、風速8m/sという条件で、直接死が最大約1万8,000人と推計されている。災害関連死の約1万6,000~4万1,000人は別途推計された数字であり、直接死には含まれない。
Q3:首都直下地震に備えるための備蓄は何日分必要ですか?
A3:最低3日分、できれば1週間分が政府の推奨目安だ。飲料水は1人1日約3リットルを目安に、食料、携帯トイレ、常備薬、衛生用品なども準備しておきたい。
首都直下地震は、発生時期や震源地を特定できない一方、南関東地域でM7程度の地震が今後30年以内に発生する確率は約70%と評価されている。2025年12月に公表された新たな政府想定では、死者最大約1万8,000人、全壊・焼失約40万棟、経済被害約83兆円という甚大な被害が示された。
特に注目すべきなのは、直接死や建物被害の約7割を火災が占めること、そして帰宅困難者840万人、避難者480万人という膨大な人数が想定されていることだ。地震の揺れに耐えるだけでなく、火災、停電、断水、通信障害、避難生活への対策が必要になる。
2026年6月12日に改定された首都直下地震緊急対策推進基本計画では、今後10年間で死者数と建物の全壊・焼失棟数を半減以上にする目標が掲げられた。しかし、政府の計画だけで被害を防ぎきれるわけではない。住宅の耐震化、家具固定、感震ブレーカーの設置、備蓄、家族との連絡方法の確認など、各家庭でできる対策も不可欠だ。
【プロの結論】首都直下地震対策で優先すべきなのは、まず命を守る住環境を整えること、次に最低3日分・できれば1週間分の生活物資を確保すること、そして発災時の行動を家族や職場と共有することだ。
防災用品を購入しただけで安心するのではなく、実際に停電や断水が起きた場合、自宅で何日生活できるのか、避難が必要になったときどこへ向かうのかを具体的に確認しておきたい。
地震は待ってくれない。2026年の新しい政府想定と対策計画を、自分の住まいや働き方、家族の生活に当てはめること。それが、首都直下地震から命と暮らしを守るための第一歩となる。
主な公的根拠資料
- 2026年版防災白書・首都直下地震の被害想定
- 中央防災会議「首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書」(2025年12月19日)
- 首都直下地震緊急対策推進基本計画(2026年6月12日改定)
- 地震調査研究推進本部「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価」
- 防災庁・消防庁の家庭防災、備蓄、地震火災対策資料