京都の春を華やかに彩る「都をどり」は、祇園甲部の芸妓・舞妓が京舞を披露する、日本を代表する花街の舞踊公演です。1872年(明治5年)に始まり、戦争や新型コロナウイルス感染症による休演を乗り越え、2024年には通算150回という大きな節目を迎えました。
2026年の第152回公演は、4月1日から30日まで祇園甲部歌舞練場で開催され、演題は「寛永行幸都華麗」でした。次回の2027年は第153回として4月1日から30日までの開催が公式に案内されています。この記事では、2026年の開催実績、2027年の最新予定、チケット料金、見どころ、150年以上続く歴史と伝統をまとめて解説します。
【2026年最新情報】都をどりの開催日程・会場・演題を振り返る

2026年の都をどりは、京都市東山区にある祇園甲部歌舞練場で開催されました。祇園甲部歌舞会の公式発表によると、第152回公演の期間は4月1日から30日まで。1日3回の公演が組まれ、京都の春を代表する恒例行事として舞台が披露されました。
2026年の演題は「寛永行幸都華麗」です。寛永3年(1626年)、後水尾天皇が二条城へ行幸した歴史的な出来事から400年という節目に合わせ、当時の文化や時代背景に思いを寄せる構成となりました。華やかな舞踊に歴史的な題材を組み合わせる点は、都をどりが単なる季節の催しにとどまらない理由の一つです。
公演の基本情報は次のとおりでした。
- 開催期間:2026年4月1日(水)〜4月30日(木)
- 会場:祇園甲部歌舞練場
- 開演時間:12時30分、14時30分、16時30分
- 演題:寛永行幸都華麗
- 観覧料金:茶券付き一等7,000円、一等6,000円、二等4,000円、二等学生2,000円
なお、4月23日と24日の1回目は貸切公演でした。上記は2026年の実績であり、これから観覧を計画する場合は次回の開催情報を確認する必要があります。
【歴史と由来】1872年に都をどりが始まった理由とは?
都をどりの誕生を理解するには、明治初期の京都が置かれていた状況を知る必要があります。明治2年(1869年)の東京奠都によって、京都は政治の中心としての役割を大きく変えました。人口や産業の衰退が懸念されるなか、京都の再興と産業振興は重要な課題となっていました。
そこで京都の魅力を内外に発信する取り組みの一つとして企画されたのが、京都博覧会です。京都市公式の文化遺産関連資料や祇園甲部歌舞会の公式沿革によると、1872年(明治5年)の第1回京都博覧会で、芸妓・舞妓の舞踊が「附博覧」、つまり博覧会に付随する余興として披露されたことが都をどりの始まりです。
企画に関わったのは、現在の一力亭につながる万亭の九代目当主・杉浦治郎右衞門と、京舞井上流の三世井上八千代です。従来の座敷での舞を大きな舞台で見せるため、芸妓・舞妓による群舞という趣向を取り入れました。これが好評を得て、毎年春の恒例公演として発展していきます。
ここで注目したいのは、都をどりが伝統の継承だけを目的として生まれたわけではないことです。京都の文化を舞台芸術として発信し、街の活力につなげるという、当時の復興策としての側面がありました。伝統を守りながら新たな観客に魅力を伝える姿勢は、現在の都をどりにも受け継がれています。
また、祇園甲部の舞は京舞井上流を基盤としています。毎年の演題や舞台美術、楽曲には変化がありながら、流派の芸と群舞の様式が一貫して継承されている点が、長い歴史を支える特徴です。
【歴代公演の歩み】戦争・疫病による中断から通算150回へ
都をどりは1872年の創始以来、長い年月をかけて舞台の形式や会場を変えながら受け継がれてきました。ただし、150年以上の歴史が一度も途切れずに続いたわけではありません。戦争や新型コロナウイルス感染症によって休演した時期があり、歌舞練場の耐震改修に伴って別会場で開催した年もあります。
祇園甲部歌舞会の公式年表をもとに、歴代公演の主な節目を整理します。
| 時期 | 主な出来事 | 歴史的な意味 |
|---|---|---|
| 1872年(明治5年) | 第1回都をどりを開催 | 京都博覧会の附博覧として誕生 |
| 1873年(明治6年) | 第2回公演 | 初回の好評を受けて継続開催へ |
| 1913年(大正2年) | 祇園甲部歌舞練場が現在地に竣工 | 現在の会場につながる拠点が整備される |
| 1944〜1949年(昭和19〜24年) | 戦争により休演 | 戦時下の社会情勢によって公演が中断 |
| 1950〜1952年(昭和25〜27年) | 南座で公演 | 戦後の再開を経て舞台を継続 |
| 2017〜2018年(平成29〜30年) | 京都芸術劇場・春秋座で開催 | 歌舞練場の耐震改修に伴う会場変更 |
| 2020〜2021年(令和2〜3年) | 新型コロナ禍により休演 | 感染拡大防止と安全確保を優先 |
| 2022年(令和4年) | 南座で公演を再開 | コロナ禍による休演を経て3年ぶりに開催 |
| 2023年(令和5年) | 祇園甲部歌舞練場の新開場記念公演 | 改修を終えた本来の会場に復帰 |
| 2024年(令和6年) | 通算150回記念公演 | 「都をどり百五十回源氏物語舞扇」を上演 |
| 2026年(令和8年) | 第152回公演 | 「寛永行幸都華麗」を上演 |
※公演回数は公式年表に基づくものです。奉祝行事などで春と秋の2回公演が行われた年もあるため、単純に創始からの経過年数を数えた数字とは一致しません。
とりわけ大きな節目となったのが、2024年の第150回記念公演です。演題は「都をどり百五十回源氏物語舞扇」。祇園甲部歌舞会が公表した記念公演の資料では、芸妓・舞妓が出演する華やかな舞台として紹介されました。
一方、戦争による休演は1944〜1949年の6年間に及び、コロナ禍では2020年と2021年の公演が中止となりました。加えて、歌舞練場の耐震改修期間には会場を移して公演を続けた時期もあります。こうした経緯から分かるのは、都をどりの伝統が単に古い形式を保存することで維持されてきたのではなく、社会情勢や施設の変化に対応しながら再開を重ねてきたということです。
【見どころ】芸妓・舞妓の京舞、四季の物語、舞台美術を楽しむ
都をどりの魅力は、華やかな衣裳だけではありません。舞、音楽、舞台美術が一体となって京都の四季や歴史を表現する点にあります。初めて観覧する人は、次の4つに注目すると舞台の構成が分かりやすくなります。
1.「ヨーイヤサー」の掛け声と銀襖の前の総をどり公演の幕開けを象徴するのが、「都をどりは〜、ヨーイヤサー」という掛け声と、銀襖の前で繰り広げられる総をどりです。大勢の芸妓・舞妓がそろって舞う姿は、都をどりを代表する場面として知られています。個々の踊り手の美しさに加え、集団としての動きや構図にも目を向けたいところです。
2.春から冬、そして再び春へと移る四季の表現都をどりでは、春の花見から夏、錦秋の秋、雪景色の冬へと移り、再び春へ戻る季節の流れが舞台の大きな魅力です。四季折々の情景を舞踊や衣裳、舞台装置によって描き出すため、京都の自然や年中行事を物語として楽しめます。
3.芸妓・舞妓の所作と京舞井上流の美都をどりの舞は、祇園甲部に受け継がれる京舞井上流を基盤としています。手の動き、視線、身体の向き、扇の扱いなど、細かな所作に注目すると、華やかさの奥にある芸の精緻さが伝わります。
舞台上で舞う「立方」だけでなく、唄や三味線などを担う「地方」、囃子や鳴り物を担う出演者にも注目しましょう。舞踊と音楽が呼吸を合わせることで、舞台全体に統一感が生まれます。
4.毎年変わる演題、衣裳、舞台美術都をどりは、同じ演目をそのまま繰り返す公演ではありません。専属の作家による新しい楽曲や、京舞井上流家元による振付を通じて、その年ならではの舞台を作り上げます。2026年の「寛永行幸都華麗」も、寛永行幸400年という歴史的な節目を題材にした公演でした。
また、祇園甲部歌舞会の公式資料では、舞台転換の際に幕を下ろさず、場面を展開していく形式も特徴として紹介されています。舞台が切り替わる瞬間を見逃さず、衣裳や背景の変化を追うと、演出の工夫をより深く味わえます。
【チケット料金・予約方法】2027年の都をどりはいつ開催?
2026年10月時点で、祇園甲部歌舞会は2027年の第153回都をどりについて、4月1日から30日までの開催予定を公式サイトで案内しています。これから観覧を計画する人は、2026年の料金と混同しないよう、次回の料金を確認しておきましょう。
2027年の開催予定
- 公演期間:2027年4月1日(木)〜4月30日(金)
- 会場:祇園甲部歌舞練場
- 開演時間:12時30分、14時30分、16時30分の1日3回
- チケット発売開始:2027年1月6日(水)10時
2027年のチケット料金は、公式発表で次のように案内されています。いずれも税込価格です。
- 茶券付き一等観覧券:8,000円
- 一等観覧券:7,000円
- 二等観覧券:5,000円
- 二等学生観覧券:3,000円
- 公演プログラム:1,000円
茶券付きの観覧券は、舞台鑑賞に加えてお茶席を楽しみたい人に向いています。お茶席は開演1時間前から順次案内され、開演40分前までの来場が求められています。公演終了後はお茶席を利用できないため、余裕を持った到着が必要です。
二等学生観覧券は、中学生・高校生・大学生・専門学校生・高等専門学校生のほか、保護者同伴の小学生以下が対象です。中学生以上は当日に学生証を持参する必要があります。
チケットは公式サイトのオンライン受付または電話で申し込めます。公式案内では、購入後のキャンセル・変更・払い戻しはできないとされています。日程や券種、人数を確かめてから申し込みましょう。2027年の演題や追加の公演詳細については、今後の公式案内も確認するのがおすすめです。
【プロの結論】都をどりを深く楽しむための判断基準
都をどりを観覧する価値は、華やかな舞台を楽しむことだけにありません。京都の近代化と文化発信を背景に生まれ、戦争や疫病、会場の改修という困難を経ながら継承されてきた歴史そのものが、公演の背景にあります。
その意味で、都をどりは「古い伝統をそのまま見せる舞台」というより、毎年の新作を通じて伝統を現在につなぐ舞踊公演です。2024年の通算150回、2026年の第152回、そして2027年の第153回へと続く歩みは、継承と更新が両立していることを示しています。
都をどりを特におすすめしたい人は、京都の文化や歴史に興味がある人、日本舞踊を初めて鑑賞する人、芸妓・舞妓の所作や衣裳を間近に感じたい人です。四季の移ろいや歴史的な題材を舞台芸術として楽しみたい人にも向いています。
一方、出演者との交流や写真撮影を主な目的にしている人、現代的なミュージカルのような会話中心の物語を期待する人は、鑑賞前に舞踊公演の形式を理解しておくとよいでしょう。都をどりの魅力は、会話や説明に頼らず、舞と音楽、衣裳、舞台美術によって情景や季節を表現するところにあります。
初めて訪れるなら、まずは総をどりの構図と掛け声に注目し、その後は扇の扱いや出演者の所作、季節ごとの舞台転換を追ってみてください。歴史を知ってから観ることで、同じ華やかな舞台の中にも、長い年月をかけて守られてきた芸の奥行きが見えてきます。
【都をどり】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:都をどりは毎年いつ開催されますか?
A1:例年4月に開催されます。2026年の第152回公演は4月1日から30日まで行われ、次回の第153回も2027年4月1日から30日までの開催が公式に案内されています。
Q2:都をどりはどこで観覧できますか?
A2:主な会場は京都市東山区の祇園甲部歌舞練場です。2026年の公演も同会場で行われました。京阪電車の祇園四条駅から徒歩約8分、阪急電車の京都河原町駅から徒歩約10分がアクセスの目安です。
Q3:都をどりのチケット料金はいくらですか?
A3:2027年は茶券付き一等観覧券8,000円、一等観覧券7,000円、二等観覧券5,000円、二等学生観覧券3,000円です。料金や販売条件は公演年によって異なるため、購入前に公式案内を確認してください。
都をどりは、1872年に京都博覧会の附博覧として始まった祇園甲部の舞踊公演です。戦争による6年間の休演や、2020〜2021年のコロナ禍による中断を乗り越え、2024年には通算150回を達成しました。2026年は第152回公演として「寛永行幸都華麗」が上演され、2027年には第153回公演が予定されています。
見どころは、「ヨーイヤサー」の掛け声と総をどり、四季を描く舞台構成、芸妓・舞妓の京舞井上流の所作、そして毎年変わる演題や舞台美術です。2027年のチケットは1月6日午前10時から発売予定で、茶券付き一等観覧券は8,000円。京都の春を代表する伝統行事を楽しみたい人は、開催日程と券種を早めに確認し、舞台の背景にある歴史も知ったうえで観覧すると、都をどりの魅力をより深く味わえるでしょう。