2026年11月現在、青山学院大学陸上競技部を率いる原晋監督は、箱根駅伝で通算9度の総合優勝を達成した大学駅伝界を代表する指導者だ。2026年1月の第102回箱根駅伝では大会新記録となる10時間37分34秒で優勝。2024年からの3連覇を成し遂げ、青学にとって2度目となる3連覇を実現した。
原晋氏は1967年3月8日生まれで、現在59歳。2004年の監督就任以前は中国電力で競技生活を送り、引退後は約10年間、会社員として働いていた異色の経歴を持つ。現在は監督だけでなく、青山学院大学地球社会共生学部の教授としても活動している。さらに2026年4月には、女子駅伝チームも創設された。
青学はなぜこれほど強くなったのか。原監督の経歴、就任の背景、独自の「技体心」指導法、チームづくり、そして女子駅伝への新たな挑戦まで、2026年の最新情報をもとに整理する。
【2026年最新】原晋監督は現在何をしている?青学で9度目の優勝を達成

監督就任23年目・59歳・箱根駅伝3連覇
原晋監督は2026年現在も青山学院大学陸上競技部の長距離ブロック監督を務めている。大学公式情報や本人の公式プロフィールでは、監督就任23年目を迎えたことが紹介されている。
現在の主な肩書きは次のとおりだ。
- 青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督
- 青山学院大学地球社会共生学部教授
- 青山学院大学女子駅伝チーム監督
- 講演活動やメディア出演を通じたスポーツ・人材育成の発信
2019年4月からは地球社会共生学部の教授も務めている。競技指導に加えて、組織づくりや人材育成に関する知見を大学教育や社会に還元している点も特徴だ。
2026年箱根駅伝で史上初の快挙2026年1月2日・3日に開催された第102回東京箱根間往復大学駅伝競走で、青山学院大学は総合優勝を果たした。
総合タイム10:37:34
大会新記録
総合優勝回数9回
大学史上最多ではなく、歴代6位
連続優勝3連覇
2024~2026年
監督就任2004年
2026年で23年目
青山学院の2026年大会は、序盤から順調だったわけではない。
原監督が大学の優勝報告会で説明したところによると、1区は16位でスタート。3区から4区にたすきが渡る時点では、首位の中央大学と3分以上の差があった。
それでも、原監督は勝負を諦めなかった。4区の平松選手の快走が流れを変え、その後の山上りでもチームの力を発揮。最終的に大会新記録でゴールした。
原監督はこの優勝について、単なる連覇の数字だけではなく、毎年入れ替わる学生たちが新しいチームをつくり、その中で成果を積み重ねてきたことに意義があると語っている。
2026年夏には、日本銀行の広報誌「にちぎん」で植田和男総裁との対談にも登場。学生スポーツにおける組織力や人材育成について語った。
また、2026年9月には政府広報オンラインのスポーツ安全に関するロングインタビューにも登場している。競技結果だけでなく、安全なスポーツ環境や指導者の責任についても発信を続けている。
【経歴と就任経緯】原晋監督はなぜ中国電力から青学へ移ったのか
原晋監督の経歴を理解するうえで欠かせないのが、中国電力時代の経験だ。
現在の原監督は箱根駅伝の名将として知られているが、本人は選手時代に箱根駅伝へ出場した経験がない。競技者としての挫折と、会社員としての経験が、その後の指導方法を形づくった。
世羅高校から中京大学へ原晋氏は1967年3月8日、広島県三原市生まれ。
広島県立世羅高校で陸上競技に取り組み、3年時には全国高校駅伝の4区を走って区間2位の成績を残した。
その後、中京大学に進学。大学3年時には日本インカレ5000メートルで3位に入賞している。
卒業後の1989年、中国電力陸上競技部の第1期生として入部した。
中国電力時代に経験した競技引退と会社員生活実業団選手として競技を続けたものの、故障に悩まされ、1995年に現役を引退する。
ここで原監督の人生は大きく変わった。
競技を離れた後は中国電力の営業部門などで会社員として働き、営業成績を伸ばした。日本銀行の2026年夏の対談では、新商品の販売で社内トップの売り上げを記録した経験も紹介されている。
加えて、会社員時代の最後の3年間には仲間とベンチャー企業を立ち上げた経験もあったという。
この時期に学んだのが、目標設定、人材配置、組織運営、経営資源の活用だ。
後に原監督が駅伝チームのマネジメントへ応用する考え方の土台になった。
2004年、青山学院大学監督への就任監督就任のきっかけは、世羅高校時代の後輩からの紹介だった。
2013年のスポーツコミュニケーションズのインタビューでは、青山学院大学の卒業生でもある後輩から、母校が駅伝を強化しようとしているので監督を務めてみないかと誘われた経緯を明かしている。
一方、2026年の神奈川県生涯学習情報サイトのインタビューでは、監督候補者の中から自分が選ばれた理由についても語っている。
原氏によると、選考に関わった陸上部の責任者から伝えられた理由は、競技者として挫折を経験していたことだった。
優秀な選手だけでなく、競技で思うような結果を出せなかった人の気持ちも理解できる。その経験が、学生を育てる立場に適していると評価されたという。
原氏は監督就任に際して、箱根駅伝出場から優勝までを見据えた10年計画のビジョンを作成し、大学側にプレゼンテーションした。
そして2004年、青山学院大学陸上競技部の監督に就任した。
原晋監督の経歴・年表【箱根駅伝の歴代優勝回数】青学は何位?9回優勝の価値を検証
青山学院大学の箱根駅伝での成績は、原監督の指導力を客観的に評価する重要な材料になる。
2026年の第102回大会終了時点で、青学の総合優勝は9回。箱根駅伝公式サイトの歴代優勝回数ランキングでは、全国6位に位置している。
箱根駅伝の歴代優勝回数ランキング2026年大会までの公式記録を
| 順位 | 大学名 | 総合優勝回数 |
|---|---|---|
| 1位 | 中央大学 | 14回 |
| 2位 | 早稲田大学 | 13回 |
| 3位 | 日本大学 | 12回 |
| 4位 | 順天堂大学 | 11回 |
| 5位 | 日本体育大学 | 10回 |
| 6位 | 青山学院大学 | 9回 |
青学の優勝年は以下の9大会だ。
- 2015年・第91回
- 2016年・第92回
- 2017年・第93回
- 2018年・第94回
- 2020年・第96回
- 2022年・第98回
- 2024年・第100回
- 2025年・第101回
- 2026年・第102回
注目したいのは、優勝回数だけでなく、その継続性だ。
2015年に初優勝を飾った青学は、2018年まで4連覇を達成。その後も2020年、2022年と優勝を重ね、2024年から2026年にかけて再び3連覇を実現した。
つまり、特定の世代が強かっただけでは説明できない実績がある。
2026年の3連覇はなぜ特別なのか2026年の優勝で青学が達成したのは、同一校による史上初の2度目の3連覇だ。
2015~2018年の4連覇に続き、2024~2026年にも3連覇を実現したことは、チームの強化体制が長期間機能している証拠でもある。
原監督は文化放送の優勝後インタビューで、連覇や優勝回数を選手に強く意識させているわけではないと説明している。
毎年メンバーが入れ替わる大学スポーツでは、前年の成功体験をそのまま再現することはできない。選手の個性や能力、チームの状態に合わせて、毎年新しい組織をつくる必要がある。
青学の強さは、過去の優勝に安住せず、次の世代に合わせてチームをつくり直す仕組みにある。
【青学駅伝が強い理由】原晋監督の「技体心」と独自の指導法
原晋監督の指導法を語るうえで欠かせないキーワードが、「技体心(ぎたいしん)」だ。
一般的には「心技体」という言葉が広く知られているが、原監督は技術を先に置く考え方を採用している。
1.心よりも先に正しい技術とメソッドを整える原監督の考え方は、正しい練習方法と技術を身につけることが、身体の成長につながり、最終的に精神面の成長にも結びつくというものだ。
つまり、精神論だけで選手を強くしようとはしない。
適切なトレーニング方法を理解し、身体に合った練習を積み重ねることで、選手は自分の成長を実感できる。その成功体験が自信につながるという順序である。
日本銀行の植田和男総裁との2026年の対談でも、原監督はこの指導理念を詳しく説明している。
2.心理的安全性を重視したチームづくり青学のチームづくりで特に特徴的なのが、学年による上下関係を過度に強くしないことだ。
原監督は選手が自由に意見を出せる環境を重視している。
その考えを象徴するのが、次の言葉だ。
「4年生威張るな、下級生萎縮するな。」
これは日本銀行の2026年夏号の対談で紹介された原監督の指導方針である。
従来の体育会系組織では、上級生の指示に下級生が従う構造が強くなりやすい。しかし、原監督は年齢や経験にかかわらず、正しいと思う意見を発言できる環境を整えることを重視する。
この仕組みには大きな利点がある。
- 選手が自分の課題を発見しやすくなる
- 下級生も意見を出せるため改善の機会が増える
- 上級生が後輩を支える役割を担う
- チーム全体で問題を解決する習慣が生まれる
強い個人を集めるだけでなく、全員が機能する組織を育てることが狙いだ。
3.半歩先の目標を設定する原監督は、最初から大きすぎる目標を選手に押しつけるのではなく、少し努力すれば届く目標を設定する。
日本銀行との対談では、これを「半歩先の目標」として説明している。
例えば、最初から箱根駅伝優勝だけを目指すのではなく、まず生活習慣を整える。その後、練習の質を高め、個人記録を伸ばし、出場権を獲得し、上位進出を目指す。
こうした段階的な成功体験を積み重ねることで、選手自身が成長を実感できる。
青学が監督就任から5年目の2009年に箱根駅伝出場を果たし、11年目の2015年に初優勝した歩みは、この考え方と重なる。
4.データと科学的根拠を取り入れる原監督は経験や勘だけに依存する指導から、データを活用する指導へと進化させてきた。
2017年には早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に進学。自分が現場で実践してきた指導法を振り返り、心理学や組織論、スポーツマネジメントの観点から検証した。
その結果、成功の背景にある考え方を理論として整理できたという。
2026年の日本銀行との対談でも、過去の成功について根拠を検証したことが、その後のデータに基づく指導につながったと説明している。
5.日常生活とコンディション管理を徹底する駅伝は走力だけで勝敗が決まる競技ではない。
練習、食事、睡眠、体調管理など、日常生活の積み重ねが本番のパフォーマンスに直結する。
2026年の箱根駅伝後、原監督は文化放送のインタビューで、寮の食事を改善するために栄養コーチを導入したことにも触れた。
同インタビューでは、40人の部員のうち年間を通じた大きな故障は3~4人程度だったと説明している。
こうした取り組みからも、原監督が練習メニューだけでなく、選手の生活環境全体をマネジメントしていることが分かる。
青学の強さは、才能のある選手を集めるだけでなく、選手が能力を発揮し続けられる環境を整えていることにある。
【原晋監督のチームづくりと評判】メディア出演にも意味がある
原監督は駅伝の指導者であると同時に、テレビ出演や講演活動でも知られている。
箱根駅伝の名物監督として、レース前の作戦発表や独特の表現が話題になることも多い。
しかし、本人がメディア出演に込めている目的は、単なる知名度の向上ではない。
メディア出演で陸上競技の価値を高める2026年3月に公開された神奈川県のインタビューで、原監督はメディアで発信する目的について、陸上競技の社会的価値を高めることだと説明している。
スポーツビジネスには「トリプルミッション」という考え方がある。
- 資金:競技を支える資金やスポンサーを確保する
- 勝利:競技力を高めて結果を出す
- 普及:競技への関心を広げ、次の支援や参加につなげる
この3つが好循環を生むという考え方だ。
青学が箱根駅伝で勝ち続けることで注目を集め、陸上競技への関心が広がり、スポンサーや競技人口の拡大につながる。原監督はその循環を意識して活動している。
原晋監督の評判をどう評価すべきか原監督に対する評価を考える際には、メディアでの知名度と、指導者としての実績を分けて見る必要がある。
指導者としての客観的な実績は明確だ。
- 箱根駅伝総合優勝9回
- 2015~2018年の4連覇
- 2024~2026年の3連覇
- 大学教授としての教育活動
- 女子駅伝チームの創設
加えて、2026年には日本銀行総裁との対談や政府広報オンラインでのスポーツ安全に関する発信など、競技の枠を越えた活動も確認できる。
一方、今後の課題は、原監督個人のカリスマ性だけに依存しない組織を維持できるかという点だ。
原監督自身も、指導者が変わっても成長し続けるチームを理想として語っている。
つまり、本当に評価すべきなのは優勝回数だけではない。指導者の考え方を学生が理解し、次の世代に受け継げる組織をつくれているかどうかだ。
【2026年新展開】青山学院大学女子駅伝チームの創設と今後の目標
2026年の青学駅伝を語るうえで、もう一つ重要なニュースがある。
それが、青山学院大学女子駅伝チームの創設だ。
青山学院大学は2026年3月19日に創設を発表し、2026年4月1日付で正式にチームを発足させた。監督には原晋氏が就任している。
女子駅伝チームをつくった理由大学の公式発表によると、創設の背景には女子長距離競技を取り巻く環境への問題意識がある。
女性アスリートには、競技とライフイベントの両立、身体的な課題、十分な指導体制の確保など、男子選手とは異なる課題が存在する。
青学は女子駅伝チームの創設によって、女性が競技者として長く活躍できる環境を整えることを目指している。
チームのコンセプトは次の3つだ。
美しさ
爽やかさ
力強さ
青山学院大学の公式発表では、次の企業・自治体がパートナーとして紹介されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設日 | 2026年4月1日 |
| 監督 | 原晋 |
| パートナー | I'm donut ?、ワコール、アディダス ジャパン、鹿児島県垂水市 |
| 活動拠点 | 相模原キャンパス、町田市、相模原市周辺 |
| 主な目的 | 女性アスリートの競技環境の整備と活躍の場の拡大 |
女子駅伝チームが掲げている目標も注目される。
青山学院大学が2026年4月4日に開催した創設記者会見では、次の大会への初出場・初優勝を見据えた方針が示された。
- 2027年:全日本大学女子駅伝への初出場・初優勝
- 2028年:富士山女子駅伝への初出場・初優勝
これらは今後の目標であり、すでに達成した成績ではない。
原監督は男子チームで培ってきた主体性を重んじる指導や、高い目標に挑戦する文化を女子チームにも生かす考えを示している。
この取り組みは、単に青学の駅伝部門を拡大するという話にとどまらない。
女性アスリートが長期的に競技を続けられる環境を大学が整え、次世代の女性に新しいロールモデルを提示する試みでもある。
男子チームの成功を女子チームへどう応用するのか。2027年以降の大会で、その成果が問われることになる。
【原晋監督・青学駅伝】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:原晋監督は現在何歳ですか?
1967年3月8日生まれで、2026年11月現在59歳です。青山学院大学陸上競技部の監督と地球社会共生学部教授を務めています。
Q2:原晋監督はなぜ青山学院大学の監督になったのですか?
2004年、世羅高校時代の後輩で青山学院大学OBの知人から紹介されたことがきっかけです。監督候補者の選考では、競技者としての挫折や会社員としての経験も評価されたと本人が語っています。
Q3:青山学院大学は箱根駅伝で何回優勝していますか?
2026年の第102回大会終了時点で9回です。2024年、2025年、2026年と3年連続で総合優勝しています。
Q4:原晋監督の「技体心」とは何ですか?
正しい技術や練習方法を身につけることを重視し、身体を育て、その結果として精神面も成長させるという指導理念です。精神論だけに頼らない指導が特徴です。
Q5:青山学院大学に女子駅伝チームはありますか?
あります。2026年4月1日に正式創設され、原晋監督が指揮を執っています。2027年の全日本大学女子駅伝、2028年の富士山女子駅伝への初出場・初優勝を目標にしています。
Q6:原晋監督は選手時代に箱根駅伝へ出場していますか?
箱根駅伝への出場経験はありません。世羅高校、中京大学を経て中国電力の陸上競技部に入部しましたが、故障のため1995年に現役を引退しています。
原晋監督は、2004年に青山学院大学の指揮を執って以来、チームを箱根駅伝の強豪へと成長させてきた。
2026年1月には、3年連続9回目の総合優勝を大会新記録で達成。2015年の初優勝から現在まで、学生が毎年入れ替わる大学スポーツで勝ち続ける組織を築いている。
その背景にあるのは、中国電力時代に身につけたビジネス感覚と、競技者としての挫折から学んだ人材育成の考え方だ。
「技体心」、心理的安全性、半歩先の目標設定、データに基づく指導。これらを組み合わせたチームマネジメントが青学の強さを支えている。
そして2026年4月には女子駅伝チームも誕生した。男子チームで培った組織づくりを女子競技にどう展開するのか、新たな挑戦が始まっている。
今後の注目点は、箱根駅伝の10回目の優勝だけではない。女子駅伝チームの競技力向上、選手の育成、指導法の継承まで含めて、青学がどのようなスポーツ組織へ成長していくかだ。
原晋監督の本当の功績は、優勝という結果だけでなく、選手が自ら考え、次の世代へ強さを引き継げる仕組みをつくったことにある。