最相葉月(さいしょう・はづき)は、科学技術、音楽、スポーツ、精神医療、宗教など、幅広い分野を取材してきた日本を代表するノンフィクションライターです。1963年東京生まれ、神戸育ち。関西学院大学法学部を卒業し、会社勤務を経て執筆活動に入りました。1997年には『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。その後も『星新一―一〇〇一話をつくった人―』『セラピスト』『証し 日本のキリスト者』など、社会や人間の内面に迫る作品を発表しています。
2026年11月現在も、公益財団法人放送番組センターの理事、日本経済新聞エキスパート、神戸新聞客員論説委員、読売新聞「人生案内」の回答者など、執筆以外の活動も続けています。近年は音楽やAI、精神医療、信仰をテーマにした取材・執筆にも取り組んでおり、その仕事は一つのジャンルに収まりません。最相葉月の経歴、代表作、受賞歴、現在の役職を整理すると、その独自の取材姿勢が見えてきます。
【プロフィール】最相葉月とは何者?関西学院大学卒業後の経歴

最相葉月は、特定の専門領域だけを掘り下げる研究者型の書き手というより、さまざまな分野の専門家や当事者に話を聞き、社会の中にある見えにくい問題を読者に伝えるノンフィクションライターです。
最相葉月の基本プロフィール| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 最相葉月(さいしょう・はづき) |
| 生年 | 1963年(昭和38年) |
| 出身 | 東京都生まれ、神戸育ち |
| 最終学歴 | 関西学院大学法学部卒業 |
| 卒業後 | 会社勤務を経てノンフィクションライターに |
| 主な取材分野 | 科学技術、音楽、スポーツ、生命科学、精神医療、宗教、社会問題 |
| 代表作 | 『絶対音感』『星新一』『セラピスト』『証し 日本のキリスト者』 |
このプロフィールは、新潮社の著者紹介や本人の公式ウェブサイトに掲載されている情報と一致しています。
関西学院大学卒業からノンフィクションライターへ最相葉月は関西学院大学法学部を卒業した後、会社勤務を経験しています。その後、編集・執筆の仕事に携わり、ノンフィクションライターとして活動するようになりました。
法学部で学んだ経歴を持ちながら、作品のテーマは法律や政治に限定されていません。音楽家の能力、科学技術の可能性、スポーツに打ち込む人々、精神医療の現場、宗教を信じる人々など、取材対象は多岐にわたります。
この幅広さは、単に興味の対象が多いということではありません。最相の仕事には、専門家の知識だけでは説明しきれない人間の経験を記録するという共通点があります。
専門的なテーマを扱いながらも、最終的には「その問題に向き合う人間は何を考え、どのように生きているのか」という問いに行き着くのです。
【経歴・代表作】最相葉月のキャリアと受賞歴を年表で整理
最相葉月のキャリアを理解するうえで重要なのが、初期の『絶対音感』から、星新一の評伝、精神医療、宗教、音楽へと広がっていく作品の変化です。
それぞれの作品は独立したテーマを扱っていますが、専門的な事柄を当事者の証言や膨大な資料から読み解くという取材姿勢は一貫しています。
最相葉月の主要作品・経歴年表| 時期 | 作品・出来事 | 内容・実績 |
|---|---|---|
| 1963年 | 誕生 | 東京都生まれ、神戸育ち |
| 大学卒業後 | 会社勤務 | 関西学院大学法学部卒業後、会社勤務を経て執筆活動へ |
| 1997年 | 『絶対音感』 | 第4回小学館ノンフィクション大賞受賞 |
| 1998年 | 『絶対音感』刊行 | 音楽家や科学者への取材を通じて絶対音感の謎を追究 |
| 2007年 | 『星新一 一〇〇一話をつくった人』 | 星新一の生涯を描いた評伝を刊行 |
| 2007~2008年 | 『星新一』の受賞 | 大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞、日本推理作家協会賞、星雲賞 |
| 2009年~ | 読売新聞「人生案内」 | 回答者として活動 |
| 2014年 | 『セラピスト』 | カウンセリングと精神医療の現場を取材 |
| 2023年1月 | 『証し 日本のキリスト者』 | 全国のキリスト者135人への取材をまとめた大著 |
| 2023年8月 | 『中井久夫 人と仕事』 | 精神科医・中井久夫の生涯と仕事を記録 |
| 2024年 | 『母の最終講義』『なんといふ空』 | エッセイ集を刊行 |
| 2025年 | 『口笛のはなし』 | 口笛奏者・武田裕煕との共著を刊行 |
| 2026年7月 | 放送番組センター理事 | 公益財団法人放送番組センターの理事に就任 |
初期の『絶対音感』では音楽と認知能力を取り上げ、その後の『星新一』では作家の人生と創作活動を掘り下げました。
さらに『セラピスト』では心の治療に関わる人々を取材し、『証し』では信仰を持って生きる人々の人生に焦点を当てています。
2025年刊行の『口笛のはなし』では、口笛世界大会で実績を持つ武田裕煕とともに、音楽、文化、歴史、科学という複数の視点から口笛の世界を紹介しました。
この変遷を見ると、最相葉月の活動は専門分野を次々に乗り換えているのではなく、人間の営みを理解するために取材対象を広げてきたものだと分かります。
【代表作と受賞歴】『絶対音感』と『星新一』が高く評価された理由
最相葉月の知名度を大きく高めた作品として、特に重要なのが『絶対音感』と『星新一―一〇〇一話をつくった人―』です。
『絶対音感』は音楽の才能だけを扱った本ではない『絶対音感』は1997年に第4回小学館ノンフィクション大賞を受賞した作品です。単行本は1998年3月に小学館から刊行されました。
絶対音感とは、外部の基準音と比較することなく、聞こえた音の高さを認識できる能力です。音楽家にとって重要な能力として語られる一方、その実態や習得過程については誤解も少なくありません。
本書では、五嶋みどり、五嶋龍、千住真理子、矢野顕子などの音楽家をはじめ、科学者ら200人以上への取材を通じて、絶対音感の仕組みや音楽との関係を追究しています。
注目すべきなのは、絶対音感を単純に優れた才能として称賛していない点です。その能力が音楽家の人生や日常の聞こえ方にどのような影響を及ぼすのかまで掘り下げています。
そのため、音楽教育に関心のある読者だけでなく、人間の知覚や脳の働きに興味を持つ人にも読み応えのある作品です。
『星新一―一〇〇一話をつくった人―』が獲得した5つの文学賞もう一つの代表作が、2007年に刊行された『星新一―一〇〇一話をつくった人―』です。
ショートショートの名手として知られる作家・星新一の生涯を、作品だけでなく家族関係、事業経営、交友関係、創作上の葛藤などから描き出した評伝です。
新潮社の作品紹介によると、最相葉月は星新一と親交のあった関係者134人に取材し、膨大な遺品も調査しました。
この取材によって浮かび上がるのは、作品数の多さや知名度だけでは説明できない、一人の作家の人生です。大企業の家庭に生まれ、会社経営にも関わった星新一が、どのような経緯で小説家になったのか。その背景を丹念に追っています。
本作が受賞した主な賞は次の5つです。
- 第34回大佛次郎賞
- 第29回講談社ノンフィクション賞
- 第28回日本SF大賞
- 第61回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)
- 第39回星雲賞(ノンフィクション部門)
2007年から2008年にかけて、これら5つの賞を受賞しました。ジャンルの異なる文学賞から評価されたことは、作品が単なる作家紹介にとどまらず、ノンフィクション、SF研究、文学評論など複数の領域で評価されたことを示しています。
最相葉月の代表作を1冊選ぶなら、人物の人生を掘り下げる取材力を知るうえで、この『星新一』は外せません。
【精神医療と信仰】『セラピスト』『中井久夫 人と仕事』『証し』の深い関係
最相葉月の仕事を理解するうえで、精神医療と宗教に関する作品群も欠かせません。ここには、目に見える成果や数字だけでは測れない、人間の心や生き方への関心が表れています。
『セラピスト』で描いた心の治療の現場2014年に新潮社から刊行された『セラピスト』は、心の病をどのように理解し、どのような方法で治療するのかを問いかけるノンフィクションです。
本書では、心理療法の歴史やカウンセリングの現場を取材し、臨床心理学者の河合隼雄や精神科医の中井久夫らの仕事にも迫っています。
特徴的なのは、最相自身が河合隼雄の箱庭療法を試み、中井久夫から絵画療法を受けるなど、取材対象の世界に深く関わっていることです。自らカウンセリングを学びながら、セラピストとクライエントの関係を考察しています。
取材期間は5年間に及び、単なる制度解説や心理学の入門書とは異なる、人間の心と治療の関係を描く作品になりました。
なお、タイトルに「セラピスト」とありますが、これは最相葉月自身の職業や資格を示すものではありません。彼女の本業はノンフィクションライターであり、作品のテーマが心理療法と精神医療なのです。
『中井久夫 人と仕事』で記録した精神科医の生涯『セラピスト』以降も、最相葉月は中井久夫との関係を通じて、精神医療の世界を取材し続けました。
その成果の一つが、2023年8月にみすず書房から刊行された『中井久夫 人と仕事』です。
本書は、精神科医・中井久夫の生涯と仕事を扱った240ページの作品です。精神医学の臨床、統合失調症やトラウマ研究、災害と心のケア、執筆や翻訳、人との交流など、多方面から中井の業績をたどっています。
精神医療を専門家だけの世界に閉じ込めず、患者との関係や社会との接点から描いている点が特徴です。
『セラピスト』が心理療法の現場と治療する側・される側の関係を描いた作品だとすれば、『中井久夫 人と仕事』は、その現場を支えてきた一人の医師の思想と実践を記録した作品といえます。
『証し 日本のキリスト者』は135人の人生を取材した大著2023年1月13日にKADOKAWAから刊行された『証し 日本のキリスト者』も、最相葉月の重要な仕事です。
本書は、全国の教会を訪ね、135人のキリスト者にインタビューした全1,096ページの大著です。
中心にある問いは、人はなぜ神を信じるのかということです。病気、災害、戦争、家族関係、人生の困難など、さまざまな経験を経て信仰を持ち続ける人々の人生を記録しています。
宗教を教義や組織の説明だけで理解しようとするのではなく、実際に信仰を持つ人々の言葉から、その意味を探ろうとしている点に本書の特徴があります。
本作は2024年にキリスト教書店大賞を受賞しました。最相の取材対象が科学や精神医療から宗教にまで広がっていることを示す、重要な実績です。
【2026年最新】最相葉月の現在の役職・連載・執筆活動
2026年11月現在、最相葉月は単に過去の受賞作で知られる作家ではありません。新聞、テレビ関連団体、文学賞の選考、連載など、複数の分野で活動しています。
2026年現在の主な役職本人の公式ウェブサイトに掲載されている現在の役職・活動は次のとおりです。
- 公益財団法人放送番組センター理事:2026年7月から。
- 日本経済新聞エキスパート:2022年から。
- 神戸新聞客員論説委員:「針路21」を担当。2020年から。
- 読売新聞「人生案内」回答者:2009年から。
- こども海の文学賞選考委員:2023年から。
- 子どもノンフィクション文学賞選考委員:2009年から。
- フジテレビ番組審議会委員:2019年から。
特に注目したいのは、2026年7月から公益財団法人放送番組センターの理事を務めていることです。同センターが公表した2026年7月10日現在の役員名簿にも、最相葉月の名前が理事として掲載されています。
放送番組センターは、テレビやラジオの番組を保存・公開する事業などを行う公益財団法人です。ノンフィクションライターとしての経験を持つ最相が、放送文化に関わる団体の役員を務めていることは、活動領域の広がりを示しています。
2026年の最新執筆・対談活動2026年の本人公式サイトには、秋までの活動が掲載されています。
- 2026年10月15日:動物言語学者の鈴木俊貴との対談を実施。雑誌「ちゃぶ台」15号に関連する企画。
- 2026年10月6日:ミシマガの連載「ギター熱」第13回「ジャンゴロジー」を公開。
- 2026年9月23日:星新一の生誕100年に関連する寄稿を発表。現代を先取りしたショートショートと作家の世界を取り上げた。
- 2026年5月29日:神戸新聞の「針路21」に「科学への信頼とAI 先人の足跡の上に」を寄稿。
- 2026年4月:日本経済新聞のAI小説に関する企画への取材協力や、書評を掲載。
こうした活動を見ると、最相葉月は過去の代表作を中心に活動するだけでなく、AIと科学への信頼、音楽、動物のコミュニケーションなど、現在進行形のテーマにも取り組んでいることが分かります。
近年の刊行作品『口笛のはなし』にも注目2025年2月25日には、口笛奏者・ウィスリング研究家の武田裕煕との共著『口笛のはなし』がミシマ社から刊行されました。
本書は、口笛の科学、歴史、文化、音楽、演奏技術などを扱った280ページの作品です。口笛世界チャンピオンとして活躍する武田に、最相が質問を重ねる対談形式で構成されています。
『絶対音感』で音楽と人間の知覚を取材した最相が、今度は口笛という身近な音の文化に向き合っている点は興味深いところです。
2026年にもギターをテーマにした連載を続けていることから、音楽への関心は一時的なものではなく、現在の執筆活動にもつながっていると考えられます。
【プロの結論】最相葉月の作風とノンフィクション作家としての評価
最相葉月の作品を横断して読むと、テーマは違っても共通する取材方法と視点が見えてきます。
共通点は「専門知識の先にいる人間」を描くこと『絶対音感』では、音の能力を持つ人々の経験に迫りました。『星新一』では、作品の背後にある作家の人生を追いました。『セラピスト』では、心理療法の理論だけでなく、治療に関わる人々の関係性を描いています。
『証し』では、信仰を持つ135人の人生を取材し、『中井久夫 人と仕事』では、一人の精神科医が社会や患者と向き合った軌跡を記録しました。
これらに共通するのは、テーマを表面的な知識だけで説明しようとしないことです。専門家の言葉、当事者の経験、歴史的な背景、社会制度などを組み合わせることで、問題の立体的な姿を伝えています。
最相葉月の作品が向いている読者- 専門分野を分かりやすく理解したい人:音楽、科学、心理療法、宗教などのテーマを取材に基づいて学びたい読者。
- 人物の生涯を深く知りたい人:有名人の経歴だけでなく、その選択や葛藤、時代背景まで知りたい読者。
- 社会問題を人間の視点から考えたい人:統計や制度の説明だけでは見えてこない当事者の経験に関心がある読者。
- じっくり読み進める本が好きな人:多数の証言や資料を重ねた長編ノンフィクションを読みたい人。
一方、短時間で結論だけを知りたい人や、実用的な手順をすぐに学びたい人には、長い取材過程を追う作品がやや重く感じられる可能性があります。最相の著作は、答えを簡単に提示するというより、読者自身が対象について考えるための材料を積み重ねるタイプの本です。
【プロの結論】ジャンルを超えて読み継がれる理由最相葉月の評価を『絶対音感』や『星新一』の受賞歴だけで説明するのは十分ではありません。
本質的な強みは、音楽家、作家、医師、患者、信仰を持つ人々など、立場の異なる人々の言葉を集め、その背景にある社会や歴史を読み解く力にあります。
また、取材対象を一つの専門領域に限定しないことで、科学と人間、医療と社会、信仰と生活といった、異なるテーマの間に共通する問いを見つけています。
2026年の役職や執筆活動からも、最相葉月の仕事が過去の代表作にとどまっていないことは明らかです。これからも、社会の変化と人間の経験をつなぐノンフィクションライターとして、その活動が注目されます。
【最相葉月のプロフィール・現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:最相葉月はどこの大学を卒業していますか?
A1:関西学院大学法学部を卒業しています。卒業後は会社勤務を経て、ノンフィクションライターとして活動するようになりました。
Q2:最相葉月は実際にセラピストとして働いているのですか?
A2:いいえ。最相葉月の本業はノンフィクションライターです。『セラピスト』は精神医療やカウンセリングの現場を取材した著作であり、本人の職業資格を示すものではありません。
Q3:最相葉月は2026年現在、どのような活動をしていますか?
A3:公益財団法人放送番組センター理事、日本経済新聞エキスパート、神戸新聞客員論説委員、読売新聞「人生案内」回答者などを務めています。また、音楽や科学、AIなどをテーマにした連載・寄稿・対談も続けています。
最相葉月は、関西学院大学法学部卒業後、会社勤務を経てノンフィクションライターとして歩み始めた人物です。
『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞を受賞し、『星新一―一〇〇一話をつくった人―』では5つの主要文学賞を獲得。さらに『セラピスト』『中井久夫 人と仕事』『証し 日本のキリスト者』などを通じて、精神医療や信仰といった人間の内面に関わるテーマにも取り組んできました。
2026年には放送番組センター理事に就任し、日本経済新聞エキスパートや読売新聞「人生案内」などの活動も継続しています。2025年の『口笛のはなし』や2026年の「ギター熱」の連載からは、音楽分野への関心も引き続きうかがえます。
最相葉月の著作を読む際には、受賞歴だけでなく、何を取材し、誰の声を記録し、どのような社会的背景を描こうとしているのかに注目すると、その作品の魅力がより深く伝わります。ジャンルを越えて人間の姿を記録し続ける彼女の今後の仕事にも注目です。
主な確認資料: 最相葉月公式ウェブサイト、新潮社、KADOKAWA、みすず書房、ミシマ社、公益財団法人放送番組センターの公開資料。