天藤製薬を代表するボラギノールには、複数のシリーズと剤形があります。
商品名が似ているため、違いが分かりにくいと感じる人も少なくありません。選ぶ際に特に確認したいのが、ステロイドの有無、有効成分、使用する部位、剤形の4点です。
ボラギノールA軟膏の特徴ボラギノールA軟膏は、ステロイド成分を配合した外用薬です。
主な有効成分は次の4種類です。
- プレドニゾロン酢酸エステル:炎症を抑え、出血・はれ・かゆみを鎮める
- リドカイン:局所の痛みやかゆみを鎮める
- アラントイン:傷ついた組織の修復を助ける
- ビタミンE酢酸エステル:末梢の血液循環を改善する
主に肛門の外側や肛門付近の痔に使用する軟膏タイプです。
公式製品情報では、15歳以上を対象とし、1日1~3回の使用が案内されています。10日程度使用しても症状が改善しない場合は、使用を中止して医師や薬剤師などに相談するよう記載されています。
ボラギノールM軟膏の特徴ボラギノールM軟膏は、ステロイドを配合していないシリーズです。
主な有効成分は以下の4種類です。
- リドカイン:痛みやかゆみを鎮める
- グリチルレチン酸:炎症を和らげる
- アラントイン:傷ついた組織の修復を助ける
- ビタミンE酢酸エステル:血液循環を改善する
A軟膏と比較すると、ステロイド成分を含まないことが大きな違いです。
また、公式に示されている効能は、いぼ痔・きれ痔による痛みやかゆみの緩和です。Aシリーズと同じ効能表示ではない点にも注意が必要です。
ボラギノールプレミアムとは?ボラギノールプレミアムは、2025年11月17日に販売開始が発表された新しいシリーズです。
従来のA・Mシリーズとは別に、より多くの有効成分を組み合わせた製品群として登場しました。
主なラインアップは次の3種類です。
- プレミアム注入軟膏:肛門の内側と外側の痔に対応
- プレミアム坐剤:主に肛門内側の痔に対応
- プレミアム軟膏:主に肛門外側や肛門付近の痔に対応
いずれもステロイド配合の第2類医薬品です。注入軟膏と軟膏には6種類、坐剤には5種類の有効成分が配合されています。
従来のAシリーズと比較して、単純に効果が強いと判断するのではなく、製品ごとの成分と効能を確認することが大切です。
内服ボラギノールEPの特徴外用薬とは異なるアプローチを採用しているのが、内服ボラギノールEPです。
顆粒タイプの第2類医薬品で、3種類の生薬エキスとビタミンE酢酸エステルを配合しています。
主な生薬は以下のとおりです。
- ボタンピエキス
- セイヨウトチノキ種子エキス
- シコン水製エキス
外側から塗るのではなく、服用によって体の内側から痔の症状を改善することを目指した製品です。
公式情報では、15歳以上を対象とし、成人は食後に1回1包、1日2回服用する用法が示されています。
なお、内服薬だから外用薬より優れているという意味ではありません。製品ごとに対象となる症状や使用方法が異なります。
AとMの違いを理解するポイント特に検索されやすい「ボラギノールAとMの違い」は、ステロイド成分の有無だけでなく、効能表示にも注目すると理解しやすくなります。
- A:ステロイド配合。痛み・出血・はれ・かゆみの緩和。
- M:ステロイド非配合。痛み・かゆみの緩和。
どちらが適しているかは症状や体質によって異なります。持病がある場合や、ほかの薬を使用している場合は薬剤師・登録販売者に相談してください。
また、肛門からの出血が続く場合は、痔だと自己判断せず医療機関を受診することも重要です。
【2026年最新情報】天藤製薬の新製品・海外展開・自主回収

2026年の天藤製薬は、ボラギノールの既存シリーズを維持しながら、新しい内服薬や女性向け商品、海外販売を展開しています。
一方で、主力商品の一部について自主回収のお知らせも公表しており、企業の動向を判断するうえでは、販売拡大だけでなく品質管理に関する情報も押さえておく必要があります。
2026年1月:フェムボラサプリメントを発売1月28日、FEMBORRAから3種類のサプリメントが発売されました。
- フェムボラサプリメント ラフマ・ヒハツ
- フェムボラサプリメント for 睡眠
- フェムボラサプリメント for 冷え・むくみ
女性のライフステージに伴う健康課題に向き合う商品展開で、従来の痔疾用薬中心のイメージから事業領域を広げる動きです。
2026年5月:内服ボラギノールEXがヒット商品賞を受賞5月26日、天藤製薬は「内服ボラギノールEX」が第38回「ヒット商品賞」の医薬品・指定医薬部外品部門で優秀賞を受賞したと発表しました。
表彰式は4月22日に東京ガーデンパレスで開催されています。
この賞は、全国の有力ドラッグストアや薬局、ヘルスケア卸各社などの投票によって選ばれるものです。
商品が市場でどのように評価されているかを知るうえで、参考になる業界内の実績です。
2026年5月:ボラギノールM軟膏20gの自主回収一方、注意したいのがボラギノールM軟膏20gの自主回収です。
天藤製薬は2026年4月に回収を発表し、5月にも更新した案内を公開しました。
理由は、安定性モニタリングにおいて有効成分グリチルレチン酸の含量が規格値からごくわずかに外れたことです。
会社の発表では、規格値からの逸脱はごくわずかであり、重篤な健康被害が発生するおそれはないとの見解が示されています。また、発表時点で本件に起因すると考えられる健康被害の報告はなかったと説明しています。
対象は20g入りの特定製造番号です。すべてのボラギノールM製品が回収対象というわけではありません。
該当する製造番号は720、800~813です。
現在も対象製品を保有している場合は、製造番号を確認し、天藤製薬の回収に関する最新案内に従う必要があります。
2026年7月:タイのEC市場に進出7月15日、天藤製薬はタイのECプラットフォーム「Shopee」で、ボラソフトとボラケアの販売を開始しました。
発表によると、タイのEC市場の成長や日本製品への信頼を背景に、現地の消費者に向けて商品を展開する取り組みです。
注目したいのは、海外展開の対象が痔疾用薬だけではない点です。
スキンケアと健康食品も販売対象に含まれており、天藤製薬が複数のブランドを活用して海外市場へ進出していることが分かります。
2026年8月:内服ボラギノールPROを発売2026年8月27日には、新製品「内服ボラギノールPRO」の販売が始まりました。
第2類医薬品で、12包入り。発売時の公式発表価格は税抜2,700円です。
特徴は、西洋生薬のメリロートエキスと東洋生薬の乙字湯エキスを組み合わせたことです。
加えて、ビタミンE酢酸エステルを配合し、痔の症状だけでなく、うっ血の緩和にも着目した設計になっています。
ここで知っておきたいのが、製造販売元と販売会社の関係です。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報では、内服ボラギノールPROの製造販売元は全薬工業株式会社、販売会社は天藤製薬株式会社と掲載されています。
つまり、天藤製薬のブランド商品だからといって、すべてを自社で製造販売しているわけではありません。医薬品の製造販売元とブランドの販売会社を区別することも、企業の実態を把握するポイントです。
2026年10月:企業としての取り組みも公表10月1日には、天藤製薬の公式お知らせに採用活動におけるハラスメント防止への取り組みが掲載されました。
同日にはロートグループのカスタマーハラスメントに対する基本方針も案内されています。
商品開発や販売だけでなく、採用活動や従業員の職場環境に関する取り組みも、企業活動の一部として確認できます。
【評判・企業の実態】天藤製薬は信頼できる会社なのか?
天藤製薬の評判を考える際には、ブランドの知名度だけでなく、企業の経営基盤、製造体制、製品の品質管理、情報提供の4つの視点が参考になります。
1.長い事業の歴史と専門性1813年に始まる薬種商としての歴史と、1921年から続くボラギノールの製造販売は、同社の大きな特徴です。
特定の疾患領域に長く取り組み、外用薬・坐剤・内服薬など複数の剤形を展開してきました。
長い歴史だけで医薬品の品質が保証されるわけではありませんが、痔疾用薬の専門性を継続して蓄積してきた企業であることは、公式沿革から確認できます。
2.製造体制と品質管理天藤製薬は京都府福知山市に加え、2018年には兵庫県三田市に工場を新設しました。
公式沿革によると、三田工場はグローバルGMPを踏まえた設計で、PIC/Sへの対応や自動生産に取り組む施設です。
GMPとは、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準です。
医薬品メーカーにとって、製品の有効性だけでなく、製造工程で一定の品質を維持する仕組みが欠かせません。
一方、2026年のボラギノールM軟膏の自主回収は、品質管理上の課題が実際に発生した事例でもあります。回収の公表と対象製品の説明、健康被害に関する情報提供も含めて評価する必要があります。
3.ロートグループの経営基盤2021年以降、天藤製薬はロート製薬グループの一員です。
ロート製薬は医薬品、化粧品、機能性食品などを展開する企業であり、天藤製薬の事業領域との共通点があります。
グループ入りによって、海外市場や商品開発、販売網の面で連携できる環境が整ったことは、企業の将来性を考えるうえで注目すべき材料です。
ただし、グループ企業であることと、個々の商品の効果や安全性が保証されることは別問題です。医薬品は必ず製品単位で確認する必要があります。
4.企業規模はどの程度なのか経済産業省の企業情報データベース「Gビズインフォ」では、天藤製薬の職場情報総合サイト由来の従業員数として153人が掲載されています。
これは大手総合製薬企業と比較すると、専門領域に軸足を置いた企業規模を示す参考情報です。
ただし、掲載されている従業員数については集計時点を確認する必要があり、2026年11月現在の確定人数として扱うことはできません。
また、企業の売上高や利益についても、過去の資料と現在の業績を混同しないことが大切です。
天藤製薬の評判を判断する際のポイント口コミサイトの評価だけで企業全体の実態を判断するのは適切ではありません。
特に次の3点は分けて考える必要があります。
- 商品に対する評価: 使用感や使いやすさ、購入者の感想など。
- 企業に対する評価: 経営基盤、製造管理、情報公開、事業展開など。
- 従業員に対する評価: 職場環境、待遇、働き方、社内制度など。
また、2026年の自主回収のような情報も、企業評価から切り離せません。
天藤製薬は、長い歴史とロートグループの経営基盤を持つ一方、品質管理や情報提供について継続的な取り組みが求められる医薬品メーカーです。
この両面を理解することが、企業の実態を把握するための現実的な判断材料になります。
【天藤製薬に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:天藤製薬は1813年に設立された会社ですか?
A1:厳密には異なります。1813年は京都の雑貨商「天津屋藤助」を起源とする創業年です。天藤薬化学研究所の設立とボラギノールの発売は1921年、天藤製薬株式会社への改組は1950年です。
Q2:天藤製薬の代表取締役社長は誰ですか?
A2:公式会社概要では、代表取締役社長として宮﨑尚志氏が掲載されています。
Q3:ボラギノールA軟膏とM軟膏の違いは何ですか?
A3:A軟膏はプレドニゾロン酢酸エステルというステロイド成分を配合し、痛み・出血・はれ・かゆみの緩和を目的としています。M軟膏はステロイド非配合で、痛み・かゆみの緩和を目的としています。
Q4:ボラギノールプレミアムは従来のAシリーズと何が違いますか?
A4:プレミアムは2025年11月に発売された新シリーズです。ステロイドを配合し、注入軟膏・坐剤・軟膏の3種類を展開しています。Aシリーズより多くの有効成分を配合した製品設計が特徴です。
Q5:内服ボラギノールEPは2026年も販売されていますか?
A5:2026年11月時点で、天藤製薬の公式製品情報には内服ボラギノールEPが掲載されています。なお、2026年8月には新製品の内服ボラギノールPROも発売されており、両者は別の商品です。
Q6:天藤製薬はロート製薬の子会社ですか?
A6:はい。2021年8月31日にロート製薬による子会社化が完了し、現在はロートグループの一員です。
天藤製薬は、1813年に京都で始まった薬種商を起源とし、1921年にボラギノールを創製・発売した歴史ある製薬会社です。
その歩みには、薬種商から製薬会社への発展、坐剤や注入式軟膏の開発、製造設備の強化など、時代に合わせた技術的な変化がありました。
現在はロート製薬グループの一員として、次のような事業を展開しています。
- ボラギノールA・M・プレミアムなどの痔疾用薬
- 内服ボラギノールEP・EX・PROなどの内服薬
- ボラソフトの化粧品
- ボラケアの健康食品
- FEMBORRAの女性向け健康商品
- 台湾やタイなどを含む海外市場への展開
2026年には内服ボラギノールPROの発売やタイ市場への進出が進み、事業の幅がさらに広がっています。一方、ボラギノールM軟膏の自主回収もあり、品質管理への取り組みも引き続き注視すべきポイントです。
【プロの結論】
天藤製薬を理解するための重要な視点は、単なる「ボラギノールの会社」として捉えないことです。
1813年から続く薬に関する知識、1921年から培ってきた痔疾用薬の専門性、2018年の製造体制強化、2021年のロートグループ入り、そして2026年の新製品・海外展開。これらをつなげると、同社が専門領域を守りながら、新たな健康関連市場へ挑戦している姿が見えてきます。
今後の天藤製薬を評価する際には、ブランドの歴史だけでなく、製品の品質、情報公開、海外展開の成果、事業領域の広がりを継続して確認が必要です。
長い歴史を持つ老舗企業が、次の100年に向けてどのような変化を遂げるのか。天藤製薬の動向は、今後も注目に値します。