洗濯機の引っ越しでは、自分で運んで費用を抑えるか、引っ越し業者や家財輸送サービスに任せるかが大きな判断ポイントです。しかし、洗濯機は水抜きや給排水ホースの取り外し、運搬時の固定、新居での設置まで、いくつもの作業を正しく進めなければなりません。手順を誤ると、水漏れや床の損傷、運搬中の故障につながるおそれがあります。
2026年に洗濯機を引っ越しさせるなら、縦型とドラム式の違いを把握し、輸送費だけでなく取り外し・取り付け費用も含めて比較することが大切です。パナソニック、日立、シャープなどのメーカー公式サポート情報と、引っ越し関連サービスの料金例を踏まえ、自分で運ぶ方法から設置後の水漏れ対策まで、失敗を避けるための判断基準を整理します。
【まず結論】洗濯機の引っ越しは自分で運ぶ?業者に任せる?

洗濯機を自分で運ぶかどうかは、単純な料金比較だけでは決められません。運搬する機種、階段の有無、移動距離、手伝える人数、新居の排水設備などを総合的に判断する必要があります。
縦型洗濯機で、近距離の移動が中心となり、十分な人手と適切な車両を確保できるなら、自分で運ぶ選択肢があります。一方、重量のあるドラム式や、階段を使った搬出入が必要なケースでは、専門業者への依頼が現実的です。
自分で運ぶ場合と業者に依頼する場合の判断基準- 自分で運ぶのに向いている人:縦型洗濯機を使用しており、搬出入経路が広く、複数人で安全に持ち上げられる人。
- 業者への依頼が向いている人:ドラム式を使用している人、階段や狭い通路がある人、適切な運搬車両や手伝い手を確保できない人。
- 設置だけ専門業者に頼みたい人:運搬は自分でできても、給排水ホースの接続や水漏れ確認に不安がある人。
見落としやすいのが、洗濯機本体を運ぶ作業と、給排水設備に接続する作業は別だという点です。自力で運搬しても、蛇口の形状が合わない、排水口が本体の真下にある、かさ上げ台が必要といった理由で、追加作業が発生することがあります。
日立の家電品公式サポートでも、設置場所や搬入経路の確認を事前に行い、設置については販売店や専門業者へ依頼するよう案内しています。運搬だけでなく、設置まで含めて誰が担当するかを先に決めておきましょう。
【手順を解説】洗濯機の水抜きと給排水ホースの取り外し方
洗濯機の引っ越し準備で欠かせないのが水抜きです。運転が終わった洗濯機でも、給水ホースや排水ホース、機種によっては糸くずフィルターなどに水が残っている場合があります。
パナソニックや日立の公式案内では、運搬前に給水ホースと排水ホース、本体の水抜きを行う方法が紹介されています。水漏れを防ぐため、できれば引っ越し前日までに済ませ、機種ごとの取扱説明書も確認してください。
手順1:水道の蛇口を閉め、給水ホースの水を抜く- 洗濯槽の中を空にし、水道の蛇口を完全に閉めます。
- 機種の取扱説明書に従い、ふたやドアを閉じて短時間の運転を行います。パナソニックでは約1~2分の運転が案内されています。
- 運転を停止し、電源を切ります。
- 給水ホース内に残った水をタオルや洗面器で受けながら、蛇口側のホースを外します。
- 本体側のナットを緩め、給水ホースを取り外します。
給水ホースを外す際は、水道栓を閉めることが先決です。水圧が残ったまま外すと、水が飛び散る可能性があります。また、ホースを無理に引っ張ったり、固着した接続部を力任せに回したりすると、部品の破損につながります。
蛇口側の接続部品や給水栓継ぎ手は、新居で必要になる場合があります。ホースだけを取り外して、接続部品を旧居に残さないようにしてください。
手順2:洗濯槽の水を脱水で抜く- 電源を入れ、取扱説明書に従って短時間の脱水運転を行います。
- 運転終了後、洗濯槽内の水気をタオルで拭き取ります。
- ドラム式の場合は、機種の説明書に従って糸くずフィルターなどの残水も確認します。
日立の公式案内では、脱水を1分に設定する方法が紹介されています。ただし、運転モードやボタンの名称は機種によって異なるため、すべての洗濯機で同じ操作ができるとは限りません。
なお、洗濯槽を動かしたときに水が流れるような音がしても、必ずしも水抜きが不十分というわけではありません。パナソニックや日立の説明によると、槽のバランスを保つための密閉された液体が移動して音を立てる機種があります。
手順3:排水ホースを外して残水を処理する- 排水口から排水ホースをゆっくり抜きます。
- ホース内に残った水を洗面器やタオルで受けながら排出します。
- 本体側から水が出る場合もあるため、床にタオルを敷いておきます。
- 取り外したホースを確認し、破損やひび割れがないかチェックします。
排水ホースが途中で立ち上がっている場合、その部分に水が残りやすくなります。ホースを抜くときは、床や壁を濡らさないように注意してください。本体を大きく傾けると故障につながるおそれがあるため、無理に傾けて水を出すのは避けましょう。
最後に、取り外したホース類は袋にまとめて洗濯槽内などに保管し、電源コードとアース線は本体に固定します。日立は、運搬中の破損を防ぐため、排水ホースやコード類を本体に固定する方法を案内しています。
【費用比較】洗濯機の引っ越し料金相場と業者の選び方
洗濯機の引っ越し費用は、運搬距離、洗濯機のサイズ、搬出入条件、取り外し・取り付けの有無によって変わります。洗濯機だけを運ぶ場合は、通常の引っ越し便に組み込む方法のほか、大型家財の輸送サービスを利用する方法もあります。
引越し見積もりサービス「引越し侍」の掲載例では、全自動洗濯機(幅54cm・奥行65cm・高さ107cm)の輸送費として、東京都から神奈川県が7,740円、東京都から大阪府が9,400円、東京都から福岡県が13,030円という料金例が紹介されています。これは特定の条件における掲載例であり、2026年のすべての事業者や機種に適用される一律料金ではありません。
費用を比較する際は、次の項目を分けて確認することが大切です。
| 依頼方法・費用項目 | 料金の考え方 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 自分で運ぶ | 車両レンタル代、燃料代、保険料、養生資材など | 人手や車両の確保、安全に運べる経路があるか |
| 大型家財の輸送サービス | 引越し侍の掲載例では7,740~13,030円の輸送例あり | 荷物のサイズ、輸送距離、取り外し・取り付けの追加料金 |
| 引っ越し業者へ依頼 | 荷物量や移動距離、作業条件に応じて見積もり | 洗濯機の取り外し、運搬、設置が料金に含まれるか |
| 取り外し・取り付け | 運搬費とは別料金になる場合がある | 給排水接続、試運転、部品交換、特殊な設置作業の費用 |
| 追加部品・設備工事 | 必要な部品や工事内容によって変動 | かさ上げ台、給水栓ジョイント、真下排水用部品など |
サカイ引越センターの公式案内では、引っ越し料金はトラックの大きさ、移動距離、作業人数、作業時間、オプションなどによって変わると説明されています。洗濯機の移設についても、基本料金だけで判断せず、どこまでの作業が含まれているかを確認しましょう。
- 運搬:旧居から新居までの輸送が含まれているか。
- 取り外し:給水ホースや排水ホースの取り外しを依頼できるか。
- 設置:新居での給排水接続や試運転まで対応しているか。
- 追加料金:階段作業、特殊な蛇口、かさ上げ台、部品交換などの費用はいくらか。
- 補償:輸送中の破損や設置後の不具合について、補償範囲と申告期限はどうなっているか。
見積もりを取る際は、洗濯機のメーカー・型番・サイズ、縦型かドラム式か、旧居と新居の階数、エレベーターの有無、設置場所の写真を伝えると、条件の食い違いを減らせます。
複数社を比較するときは、金額だけでなく作業範囲をそろえてください。運搬のみの安いプランと、取り外しから設置までを含むプランを比べても、同じ条件の比較にはなりません。
【運搬時の注意点】縦型とドラム式では何が違う?
洗濯機は外見が似ていても、運搬時の注意点は機種によって異なります。特にドラム式は、内部のドラムを固定する輸送用ボルトが必要になる機種があり、準備を怠ると輸送中の振動によって故障するおそれがあります。
縦型洗濯機は持ち運び方と固定方法に注意縦型洗濯機でも、内部に水が残っていないか、ホースや電源コードが固定されているかを確認する必要があります。シャープの公式案内では、縦型・二槽式を含む洗濯機について、運搬時に本体を真横に倒さず、複数人で持ち運ぶよう注意を促しています。
自力で運ぶ場合は、洗濯機の底や角をぶつけないように養生し、持ち上げる人の足元と進行方向を確保してください。車両に載せた後も、急ブレーキやカーブで動かないよう、適切に固定することが大切です。
ドラム式洗濯機は輸送ボルトの有無を必ず確認ドラム式洗濯機の運搬では、洗濯槽を固定する輸送用ボルトが重要です。日立とシャープの公式サポートでは、運搬前に輸送用ボルトを取り付け、設置後は取り外してから使用するよう案内しています。
輸送ボルトの本数や形状、取り付け位置は機種によって異なります。日立の公式案内でも、製品によって2本または4本などの違いがある例が示されています。別の機種の手順をそのまま流用せず、型番に対応した据付説明書を確認してください。
輸送ボルトの取り付け方と設置後の取り外し- 取扱説明書で、輸送用ボルトの位置、本数、必要な工具を確認します。
- 本体背面の指定位置にあるカバーを、説明書に従って取り外します。
- 指定された輸送用ボルトを取り付け、指示どおりに締め込みます。
- 運搬中はボルトを取り付けた状態を維持します。
- 新居で設置した後は、指定の手順でボルトを取り外し、穴に付属カバーを取り付けます。
- 外したボルトと工具は、次の引っ越しに備えて保管します。
日立の公式案内では、輸送用ボルトの取り付け時に2人以上で作業し、ドラムを持ち上げながら作業すると取り付けやすいとされています。無理にねじ込むのは避け、うまく取り付けられない場合はメーカーや専門業者に相談してください。
輸送用ボルトが見つからない場合は、引っ越し当日まで放置せず、メーカーや購入店に問い合わせましょう。ボルトを取り付けずに運ぶことや、ボルトを外さずに運転することは、どちらも避ける必要があります。
【新居での設置方法】水漏れ・故障を防ぐ確認ポイント
新居に洗濯機を搬入できても、設置場所や排水設備が合わなければ、すぐには使えません。洗濯機の設置では、給水ホースの接続だけでなく、排水口の位置、本体の水平、アース線、蛇口の高さなどを確認する必要があります。
搬入前に寸法と設置場所を確認する新居では、洗濯機本体の幅・奥行・高さに加えて、玄関、廊下、曲がり角、階段、エレベーターの寸法も測っておきましょう。ドラム式は本体が大きく、設置スペースに収まっていても、搬入経路で通らない場合があります。
日立の公式サポートでは、本体の寸法や設置場所、搬入経路を事前に確認する必要性が案内されています。蛇口の高さや防水パンの内寸、排水口の位置も含めてチェックしておくと、当日の作業中断を防ぎやすくなります。
洗濯機の設置は水平・給排水接続・アースを確認- 本体を安定した床面に置き、水平になるように調整します。
- 排水ホースを排水口に正しく接続し、折れ曲がりやつぶれがないことを確認します。
- 給水ホースを蛇口と本体に接続し、接続部に緩みがないことを確認します。
- アース線を指定の端子に接続します。電気工事が必要な場合は専門業者に依頼します。
- ドラム式は輸送用ボルトが取り外されていることを確認します。
- 水道の蛇口をゆっくり開き、接続部から水が漏れていないか確認します。
- 取扱説明書に従って試運転を行い、給水、排水、脱水時の振動や異音を確認します。
給水ホースの接続部は、運転中だけでなく蛇口を開いた時点でも漏水がないかを確認してください。排水ホースが外れていたり、接続部が緩んでいたりすると、洗濯中に床が水浸しになるおそれがあります。
かさ上げ台は必要?設置条件によって判断する洗濯機のかさ上げ台は、すべての家庭で必要なものではありません。ただし、排水口が洗濯機本体の真下にある場合や、排水ホースの接続スペースを確保できない場合には、かさ上げ台や専用の排水部品が必要になることがあります。
ニトリの公式FAQでは、設置場所によってかさ上げ台が必要になる場合があると案内されています。また、アイリスオーヤマの公式FAQでも、縦型・ドラム式それぞれについて、排水口が真下にある場合の対応部品が紹介されています。
一方で、かさ上げ台を使えば必ず安全になるわけではありません。製品に合わない台や不安定な設置台を使用すると、振動や騒音が大きくなる場合があります。日立も、キャスター付きの台や不安定な場所への設置を避けるよう注意しています。
かさ上げ台を購入する前に、洗濯機の型番、排水口の位置、防水パンの形状、排水ホースの取り回しを確認してください。必要な部品が分からない場合は、設置業者に現場の写真を送って相談すると判断しやすくなります。
【引っ越し当日の準備】故障・水漏れを防ぐチェックリスト
洗濯機の引っ越しでトラブルを防ぐには、作業の直前に慌てないことが大切です。前日までに水抜きと付属品の整理を済ませ、当日は搬出入経路と設置条件を再確認しましょう。
前日までに済ませておくこと- 洗濯槽と給排水ホースの水抜きを行う。
- ドラム式は輸送用ボルトの保管場所と取り付け方法を確認する。
- 給水ホース、排水ホース、接続部品、取扱説明書をまとめる。
- 洗剤や柔軟剤の自動投入タンクがある場合は、機種の説明書に従って液漏れ対策を行う。
- 電源コードとアース線を本体に固定する。
- 新居の防水パン、排水口、蛇口、搬入経路を確認する。
- 業者に依頼する場合は、取り外し・取り付け・試運転の範囲を再確認する。
- 洗濯機を真横に倒して運ぶ。
- 1人だけで無理に持ち上げる。
- 給排水ホースや電源コードを引っ張って持ち上げる。
- ドラム式の輸送用ボルトを取り付けずに運ぶ。
- 本体を強く傾けたり、落下させたりする。
- 車両内で本体が動く状態のまま走行する。
設置後に水漏れを見つけた場合は、まず安全を確保してください。濡れた手で電源プラグに触れず、水道の蛇口を閉めます。安全に操作できる場合は電源を切り、漏水の状況に応じて専門業者やメーカーの相談窓口に連絡しましょう。
脱水時の大きな振動や異音がある場合は、本体の水平、輸送用ボルトの取り外し、ホースの挟み込み、設置台の安定性などを確認します。ただし、異常が続く場合は運転を繰り返さず、点検を依頼してください。
引っ越し直後は、給排水ホースの接続不良が起きても気づきにくいものです。初回の洗濯では、給水中と排水中に接続部や床面を確認し、運転終了後にも漏水の有無を確認しておくと安心です。
【洗濯機引っ越し】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:洗濯機の水抜きは引っ越し当日に行っても間に合いますか?
A1:当日でも作業できる場合はありますが、前日までに済ませるのがおすすめです。水抜き後に槽内やホースの水気を拭き取り、乾燥させる時間を確保できるためです。作業時間は機種や残水の状況によって異なるため、取扱説明書に従って準備してください。
Q2:洗濯機は1人でも運べますか?
A2:1人での運搬はおすすめできません。洗濯機は重量があり、持ち上げる際に腰を痛めたり、転倒や落下によって本体や建物を傷つけたりする危険があります。メーカーの案内でも複数人での運搬が推奨されています。安全に持ち運べる人手を確保できない場合は、業者へ依頼しましょう。
Q3:ドラム式洗濯機の輸送ボルトを紛失した場合はどうすればよいですか?
A3:メーカーや購入店に問い合わせ、機種に合った輸送用ボルトを手配してください。形状や本数は機種によって異なるため、代用品を自己判断で使用するのは避けましょう。引っ越し日までに用意できない場合は、輸送方法について専門業者と相談してください。
Q4:洗濯機の引っ越し費用を安くする方法はありますか?
A4:洗濯機だけを運ぶなら、通常の引っ越し便への追加と大型家財の輸送サービスを比較するとよいでしょう。自分で運ぶ場合も、車両代や燃料代、保険、手伝い手の確保などを含めて計算します。取り外しや設置が別料金になる場合もあるため、総額で比較することが大切です。
Q5:新居にかさ上げ台がないと洗濯機を設置できませんか?
A5:必ずしも必要ではありません。排水口の位置や防水パンの形状、洗濯機の機種によって判断が変わります。排水口が本体の真下にある場合や、ホースを接続する空間が確保できない場合には、かさ上げ台や専用部品が必要になることがあります。購入前に設置条件を確認してください。
洗濯機の引っ越しは、自分で運べば必ず安くなるわけでも、業者に頼めばすべての設置作業が含まれるわけでもありません。機種、移動距離、搬出入経路、設置環境を確認し、運搬と設置の総費用で判断することが大切です。
縦型洗濯機を近距離で移動し、複数人で安全に運べるなら、自力運搬も選択肢になります。一方、ドラム式、階段作業、狭い搬入経路、設置条件が複雑なケースでは、専門業者への依頼を優先してください。
引っ越し前日までに水抜きと部品の整理を済ませ、運搬前には輸送ボルトの有無を確認します。新居では給排水ホースの接続、本体の水平、アース線、試運転時の水漏れをチェックしましょう。
費用を抑えるために大切なのは、必要な作業を省くことではなく、不要な追加料金や故障リスクを減らすことです。見積もりの段階で作業範囲を明確にし、自分で行う作業と専門家に任せる作業を切り分けることが、安全で無駄のない洗濯機の引っ越しにつながります。