「御社」と「貴社」は、どちらも相手の会社を敬って呼ぶ言葉です。しかし、面接で「貴社」と言うべきか、メールで「御社」と書いてもよいのか、迷う場面は少なくありません。就職活動や転職活動だけでなく、取引先との商談、電話対応、社外向けの文書でも使い分けが大切です。
基本ルールは、話し言葉では「御社(おんしゃ)」、書き言葉では「貴社(きしゃ)」です。リクルートエージェントやリクナビ就活準備ガイドの解説でも、この区別が紹介されています。2026年9月更新の情報も踏まえ、使い分けの理由からメール・履歴書・面接・電話の具体例、間違えやすい敬語、自社を指す「弊社」「当社」との違いまで整理します。
【基本を整理】御社と貴社の違いは?読み方と意味、使い分けの理由

「御社」と「貴社」は、どちらも相手の会社を敬って表す言葉です。意味そのものに大きな違いはなく、最も重要なのは、話しているのか、文章を書いているのかという使用場面です。
「御社」の読み方は「おんしゃ」、「貴社」の読み方は「きしゃ」です。どちらも相手企業を指すため、同じ会話や文書の中で、意味を変える目的で使い分けるものではありません。
では、なぜ似た意味の言葉が2つあるのでしょうか。大きな理由は、口頭での聞き取りやすさと、文章での表現の慣習にあります。「御社」は会話で使いやすく、「貴社」は文章の中で相手企業を指す表現として定着しています。
特に電話では、「貴社」と発音すると「記者」や「帰社」などの同音異義語と混同される可能性があります。「御社」であれば区別しやすいため、電話でも「御社」を使うのが一般的です。
ここで押さえておきたいのは、話し言葉と書き言葉の区別は、単に対面かオンラインかで決まるわけではないという点です。画面越しの面接でも、声に出して話すなら「御社」。パソコンで作成する履歴書やメールなら「貴社」が基本になります。
なお、この使い分けは一般的なビジネスマナーとして広く定着した慣習です。言葉を一度取り違えただけで、必ず重大な失礼になるという意味ではありません。場面に合った表現を選び、相手に伝わるコミュニケーションを心がけることが大切です。
【早見表】御社と貴社はどっちを使う?場面別の正しい選び方
御社と貴社の使い分けは、相手との関係よりも、コミュニケーションの形式を基準に考えると簡単です。次の表で、就職・転職活動や一般的なビジネスシーンの呼び方を確認しましょう。
| 使用場面 | 基本の表現 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 採用面接 | 御社 | 面接官と口頭でやり取りするため |
| 電話・問い合わせ | 御社 | 聞き取りやすく、同音異義語との混同を避けやすい |
| 会社説明会・商談 | 御社 | 声に出して相手企業を指すため |
| 履歴書・職務経歴書 | 貴社 | 正式な応募書類などの書き言葉に当たるため |
| エントリーシート・志望動機 | 貴社 | 文章の中で応募先企業を指すため |
| ビジネスメール | 貴社 | 社外向けの正式な文章では貴社が一般的 |
| お礼状・送付状 | 貴社 | 書面で相手企業に敬意を示すため |
| チャット・メッセージ | 貴社が無難 | 文章としての性格や、相手企業の運用に合わせて選ぶ |
この早見表の要点は、媒体の種類だけでなく、実際に何をしているかで判断することです。例えば、オンライン面接はインターネットを利用しますが、会話であることに変わりはありません。そのため「御社の事業に魅力を感じています」と話します。
一方、オンライン説明会の終了後に送るお礼メールでは「貴社の事業について理解が深まりました」と書くのが自然です。同じ会社について話していても、口頭で伝えるか、文章にするかによって表現を切り替えます。
リクルートエージェントやマイナビ転職の使い分け解説でも、面接や電話では御社、メールや応募書類では貴社という考え方が示されています。迷ったときは、この基本ルールから判断するとよいでしょう。
【文章では貴社】メール・履歴書・志望動機の使い分け例文
書き言葉で相手企業を指す場合は「貴社」を使います。特に採用担当者が目を通す履歴書、エントリーシート、職務経歴書、応募メールでは、表記を統一することが大切です。
1.ビジネスメールでの使い分け企業への問い合わせ、面接日程の調整、応募のお礼など、正式なメールでは「貴社」を使います。相手の会社名を毎回書く必要はありませんが、宛名や本文の敬語を適切に整えましょう。
例文:応募先企業への問い合わせメール
件名:営業職への応募について
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
求人情報を拝見し、貴社の営業職に応募したく、ご連絡いたしました。
これまでの法人営業の経験を活かし、貴社の事業に貢献したいと考えております。応募方法や必要書類について、ご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
この例文では、相手企業を指す表現として「貴社」を使っています。「御社の営業職に応募したく」と書いても意味は伝わりますが、正式なメールでは貴社に統一するほうが一般的です。
2.履歴書・職務経歴書での使い分け履歴書や職務経歴書、エントリーシートなどの応募書類では「貴社」を使います。志望動機だけでなく、自己PRや本人希望欄など、文章中で応募先企業を指す場合も同様です。
例文:履歴書の志望動機
貴社が展開するサービスと、顧客の課題解決を重視する姿勢に魅力を感じ、応募いたしました。前職で培った提案力と調整力を活かし、貴社の事業の発展に貢献したいと考えております。
例文:本人希望欄
勤務条件につきましては、貴社の規定に従います。
履歴書で「御社」と書いたからといって、文章の意味が通じなくなるわけではありません。ただし、提出前に「御社」と「貴社」が混在していないか確認すると、表現の統一につながります。
3.お礼状・送付状・チャットでの使い分けお礼状や送付状など、改まった文書では「貴社」が基本です。例えば、面接後のお礼状なら「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました」といった表現に続けて、「貴社の事業について理解を深めることができました」と記載できます。
一方、チャットやビジネス向けメッセージは、文面の形式や相手企業の慣習によって判断します。正式な応募連絡や記録に残る業務連絡なら「貴社」が無難です。会話に近い短いやり取りでは、相手が使っている表現やコミュニケーションの雰囲気に合わせてもよいでしょう。
ただし、文章である以上、チャットなら必ず御社でよいというわけではありません。迷う場合は、フォーマルな文面に「貴社」を使うと判断しやすくなります。
【会話では御社】面接・電話・オンライン会議での正しい使い方
面接や電話、商談など、相手と声に出してやり取りする場面では「御社」を使います。相手企業への敬意を示しながら、自分の考えや質問を自然に伝えることがポイントです。
1.面接での御社と貴社の使い分け面接では、志望動機や入社後に実現したいことを話すときに「御社」を使います。履歴書に書いた志望動機をそのまま暗唱する場合も、実際に話すときには御社に置き換えるのが基本です。
例文:志望動機を伝える場合
「御社が取り組まれているサービスの改善に関心があります。前職で培った顧客対応の経験を活かし、利用者の満足度向上に貢献したいと考えています」
例文:面接官に質問する場合
「御社では、入社後の社員研修や配属後のフォローについて、どのような取り組みをされていますか」
面接では、敬語を意識するあまり、文章のような硬い言い回しになりすぎる必要はありません。「御社」を正しく使いながら、自分の経験や考えを具体的に伝えることが重要です。
2.電話での御社と貴社の使い分け電話では「御社」を使うのが一般的です。「貴社」は「きしゃ」と読み、「記者」「帰社」などと音が重なるため、口頭では誤解を招く可能性があります。
例文:採用担当者に電話する場合
「お忙しいところ失礼いたします。求人情報を拝見し、お電話いたしました〇〇と申します。御社の採用担当の方におつなぎいただけますでしょうか」
例文:訪問日時を確認する場合
「承知いたしました。それでは、〇月〇日の午後2時に御社へ伺います。ご案内いただき、ありがとうございます」
なお、「御社へ伺います」の「伺う」は、自分が相手のもとを訪問することをへりくだって表す言葉です。「御社」と組み合わせても問題ありません。
3.オンライン面接・会社説明会・商談の場合オンライン面接やウェブ会議でも、声に出して話す場合は「御社」を使います。対面かオンラインかではなく、話し言葉か書き言葉かで判断するためです。
会社説明会で質問するなら「御社では、若手社員が新しい企画を提案する機会はありますか」と表現できます。商談でも「御社のご要望を踏まえ、次回までに改善案をご提案いたします」と伝えれば自然です。
会議の終了後に議事録やお礼メールを送る場合は、文章に切り替わるため「貴社」を使います。オンライン環境でも、この区別を覚えておけば迷いません。
【間違えやすい敬語】御社様・貴社殿や銀行・学校・病院の呼び方
御社と貴社を正しく使い分けられるようになっても、敬称を重ねたり、会社以外の組織に同じ呼び方を使ったりすると、表現が不自然になる場合があります。よくある間違いと、その対処法を確認しましょう。
1.「御社様」「貴社殿」は使わない「御社様」や「貴社殿」は、一般的なビジネスマナーでは避けたい表現です。「御社」「貴社」自体に相手企業を敬う意味があるため、さらに「様」や「殿」を付けると、敬意を重ねすぎた不自然な言い回しになります。
一方、「御社の担当者様」のように、担当者個人を敬って表現することは可能です。企業そのものへの敬称と、個人への敬称を区別すると、適切な表現を選びやすくなります。
2.銀行・学校・病院には専用の呼称がある「御社」「貴社」は主に会社を指す表現です。応募先が銀行や学校、病院、官公庁などの場合は、その組織に合った呼称を確認しておきましょう。
- 銀行:会話では「御行(おんこう)」、文章では「貴行(きこう)」が一般的。
- 学校:会話では「御校(おんこう)」、文章では「貴校(きこう)」が一般的。
- 病院:会話では「御院(おんいん)」、文章では「貴院(きいん)」が使われる。
- 官公庁:「御庁」「貴庁」など、相手の組織名に応じた表現を確認する。
ただし、組織の種類や正式名称、実際の慣習によって適切な表現が異なる場合があります。応募先の採用案内や公式な表記を確認するのが確実です。呼び方に自信がない場合は、組織の正式名称を使う方法もあります。
3.面接やメールで間違えたらどうする?面接でうっかり「貴社」と言ってしまった場合は、必要以上に慌てず、そのまま話を続けて構いません。気づいた時点で自然に「失礼しました。御社では……」と言い直せば十分です。
メールや履歴書を提出する前なら、「御社」と「貴社」の混在を修正しましょう。送信後に軽微な表現の誤りに気づいた場合は、内容の理解に支障がない限り、訂正だけのメールを重ねるよりも、その後の連絡で正しい表現を使うほうが自然な場合もあります。
マイナビ転職やリクナビ就活準備ガイドの解説でも、使い分けの基本に加え、誤って使った場合に過度に動揺しないことが紹介されています。敬語の正確さは大切ですが、面接では質問への回答内容、経験の具体性、相手とのコミュニケーションも含めて評価されます。
【プロの結論】弊社と当社の違いまで押さえればビジネス敬語に迷わない
御社と貴社の使い分けを理解したら、次は自分の会社を指す「弊社」と「当社」の違いも覚えておきましょう。相手の会社を敬う言葉と、自分の会社を表す言葉は、役割が異なります。
弊社と当社の違い「弊社(へいしゃ)」は、自分が所属する会社をへりくだって表す言葉です。取引先や顧客など、社外の相手に対して使うのが一般的です。
一方、「当社(とうしゃ)」は、自分の会社を指す表現です。自社の事業内容や実績を説明する場合、会社の公式資料や社内文書などで使われます。弊社ほどへりくだった意味合いはありません。
弊社の例文:「弊社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます」
当社の例文:「当社は、法人向けの業務支援サービスを提供しています」
なお、転職面接で現在の勤務先について説明する場合は、「現職では営業を担当しています」「前職では顧客対応を担当していました」のように、現職・前職という言葉を使うと自然です。応募先企業に対して、自分の勤務先を必ず「弊社」と呼ばなければならないわけではありません。
ビジネス敬語は言葉の組み合わせで考える敬語で迷ったときは、単語だけを暗記するのではなく、誰を指しているか、誰に向けて話しているか、口頭なのか文章なのかを順番に考えると整理しやすくなります。
- 相手の会社を会話で指すなら「御社」。
- 相手の会社を文章で指すなら「貴社」。
- 自分の会社を社外向けにへりくだって表すなら「弊社」。
- 自分の会社を客観的に説明するなら「当社」。
加えて、敬語を重ねすぎないことにも注意しましょう。「御社様」のように同じ対象への敬意を重ねるよりも、「御社のご担当者様」「貴社のご担当者様」のように、会社と担当者を区別して表現するほうが自然です。
【プロの結論】御社と貴社の使い分けは、言葉の知識だけでなく、相手に伝わる形で敬意を示すための基本です。会話では御社、正式な文章では貴社という軸を覚えたうえで、相手の組織に合った呼称を選び、必要以上に難しい敬語を重ねないことが、実務で迷わないための判断基準になります。
【御社貴社使い分け】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:御社と貴社はどっちを使うのが正しいですか?
A1:どちらも正しい敬称ですが、使う場面が異なります。面接・電話・商談などの話し言葉では「御社」、履歴書・メール・エントリーシートなどの書き言葉では「貴社」を使うのが一般的です。
Q2:メールで御社と書いてしまったら失礼ですか?
A2:意味は通じますが、正式なビジネスメールでは「貴社」を使うのが一般的です。送信前なら修正し、送信後であれば内容に支障がない限り、次の連絡から正しい表現を使えばよいでしょう。
Q3:面接で貴社と言ってしまった場合、不採用になりますか?
A3:「貴社」と言い間違えたことだけで、必ず不採用になるわけではありません。気づいたら自然に「御社」と言い直し、回答の内容や質問への受け答えに集中しましょう。
Q4:電話ではなぜ御社を使うのですか?
A4:「貴社」は「記者」「帰社」などと同じ読み方のため、電話では聞き間違いが起きる可能性があります。口頭で相手企業を指すときは「御社」を使うのが一般的です。
Q5:履歴書の志望動機に御社と書いてもよいですか?
A5:意味は伝わりますが、履歴書や職務経歴書、エントリーシートでは「貴社」を使うのが基本です。提出前に文中の表現が統一されているか確認しましょう。
Q6:御社様や貴社様という表現は正しいですか?
A6:一般的なビジネス文書では避けるのが無難です。「御社」「貴社」自体に敬意が含まれているため、会社を指す言葉にさらに「様」を付ける必要はありません。担当者個人を指す場合は「御社のご担当者様」などと表現できます。
Q7:銀行や病院にも御社・貴社を使いますか?
A7:銀行には「御行・貴行」、病院には「御院・貴院」、学校には「御校・貴校」など、組織に応じた呼称があります。応募先の公式な案内や慣習を確認し、適切な表現を選びましょう。
御社と貴社は、どちらも相手企業への敬意を表す言葉です。違いは主に使う場面にあり、会話では「御社」、文章では「貴社」という基本を押さえれば、多くのビジネスシーンに対応できます。
- 面接・電話・商談:御社
- 履歴書・職務経歴書・メール:貴社
- 自社をへりくだって表現する場合:弊社
- 自社を客観的に説明する場合:当社
また、「御社様」のような敬意の重ねすぎを避け、銀行・学校・病院などには組織に合った呼称を使うことも大切です。仮に言い間違えたとしても、落ち着いて言い直せば対応できます。
2026年の就職・転職活動でも、敬語の使い分けは履歴書や面接、企業との連絡に欠かせない基礎知識です。まずは「口頭なら御社、文章なら貴社」と覚え、相手や場面に合わせた自然な言葉遣いを身につけましょう。