2026年、読売ジャイアンツでプレーする松本剛。かつて北海道日本ハムファイターズの中心選手として活躍し、2022年には打率.347でパ・リーグ首位打者に輝いた外野手は、なぜ長年所属した日本ハムを離れる決断をしたのか。
移籍の出発点となったのは、2025年11月の国内FA権行使だった。日本ハムからの提示に感謝を示しながらも、他球団からの評価を聞きたいという本人の意思が、移籍を考えるうえで重要な手掛かりとなる。2025年は66試合出場、打率.188と苦しんだ一方、2026年は巨人で130試合に出場し、打率.274、115安打を記録。新天地で再び存在感を示した。
【移籍理由】松本剛が日本ハムを離れ巨人を選んだ本当の背景

松本剛の巨人移籍は、単純に日本ハムとの契約条件が折り合わなかったためではない。2025年11月11日、日本ハムは松本が国内FA権を行使し、申請書類を提出したと公式発表した。
球団からの提示に対して本人は感謝を示しつつ、FA宣言の理由を次のように説明している。
「ファイターズからはありがたい提示をしていただき、感謝しています。ただ、自分に対する他球団の評価を聞いてみたく、この決断に至りました」
このコメントから読み取れるのは、古巣への不満を前面に出した移籍ではなく、自分の市場価値を確かめ、新しい可能性を探るための選択だったということだ。
2025年の不振と出場機会の減少FA宣言の背景には、2025年シーズンの苦しい成績があった。
松本は同年、66試合の出場にとどまり、打率.188、30安打、0本塁打、7打点という結果だった。2022年に首位打者を獲得した選手としては、本人にとっても納得できる数字ではなかったはずだ。
さらに日本ハムでは万波中正、水谷瞬、五十幡亮汰、矢沢宏太ら若い外野手が台頭。外野のポジション争いが激しくなり、松本の出場機会にも影響していた。
つまり、過去の実績だけで現在の立場が保証される状況ではなかった。環境を変えて再びレギュラーを目指すことには、競技人生を立て直す意味もあった。
阿部監督からの直接の誘いが決め手に2025年11月27日の巨人入団会見では、移籍を決断した理由について、さらに具体的な説明があった。
松本によると、巨人が最初に声をかけてくれた球団であり、阿部慎之助監督から直接「来年、力になってほしい」という趣旨の言葉を受けたという。
本人は悔しいシーズンが続いていたことを踏まえ、もう一度自分を鍛え直して挑戦したいという気持ちが強くなったと説明した。巨人側が外野手の補強を必要としていたことも、両者の考えが一致した背景にある。
また、2026年1月に元日本ハムの杉谷拳士氏との対談で語った内容も興味深い。松本は新しい環境に移ることが自分にとってプラスになると考えたこと、そして「まだやれる、まだやってやる」という思いが強かったことを明かしている。
移籍は単なる待遇の比較ではない。2025年の不振を受けて自分を奮い立たせ、再び競争の中に身を置くという決断だった。
【日本ハム退団の経緯】FA宣言から巨人の背番号9まで
松本剛の移籍は、2025年11月11日のFA宣言から約2週間で大きく動いた。
日本ハムは宣言残留を認めており、松本を慰留する姿勢を示していた。したがって、球団から戦力外通告を受けて退団したわけではない。本人がFA権を行使し、他球団との交渉を経て巨人入りを決めた移籍である。
移籍決定までの主な出来事| 時期 | 出来事・関係者 | 内容と意味 |
|---|---|---|
| 2011年 | 帝京高校・日本ハム | ドラフト2位で日本ハムに入団 |
| 2022年 | 新庄剛志監督 | 打率.347で首位打者、ベストナインを獲得 |
| 2023年 | 日本ハム選手会 | 選手会長に就任 |
| 2025年9月 | 国内FA権 | 出場選手登録日数の条件を満たして権利を取得 |
| 2025年11月11日 | 日本ハム球団 | 国内FA権行使を正式発表 |
| 2025年11月24日 | 読売ジャイアンツ | 巨人への移籍を決断したと報道 |
| 2025年11月26日 | 巨人球団 | 選手契約の合意を発表 |
| 2025年11月27日 | 入団記者会見 | 背番号9に決定 |
| 2026年 | 読売ジャイアンツ | 新天地で130試合に出場 |
移籍決定後、松本は自身のSNSを通じて古巣と新天地のファンにメッセージを送った。
「迷ったらチャレンジ!新しいところで勝負します。」
加えて、日本ハムへの感謝を伝え、「僕は北海道が大好きです。ファイターズも大好きです。それはずっと変わりません!」と記した。
14年間在籍した球団への愛着と、新しい環境に挑戦する意思。その両方が表れたメッセージだった。
巨人の背番号9を選んだ意味2025年11月27日の入団会見で発表された背番号は9番。巨人では清水隆行や亀井善行ら外野手として活躍した選手が背負ってきた番号だ。
松本自身も背番号9を希望していたと報じられ、会見ではその番号を背負えることへの喜びを語った。
なお、日本ハム時代の背番号は7番だった。2023年シーズンから背負っていた番号を離れ、巨人では新たな背番号で再出発することになった。
日本ハム側のFA補償については、2025年12月、人的補償ではなく金銭補償のみとすることが決まった。
【帝京高校出身】松本剛のプロフィールと年度別通算成績
松本剛は1993年8月11日生まれ、埼玉県出身。帝京高校では主将を務め、2009年夏、2010年春、2011年夏の3度、甲子園に出場した。
2011年ドラフト2位で北海道日本ハムファイターズに入団。右投右打の外野手としてプロ生活をスタートさせた。
プロ入り後すぐに主力となったわけではない。2013年に一軍初出場を果たしたものの、出場機会が限られる時期も経験している。2017年には115試合に出場し、打率.274を記録。レギュラー争いで存在感を示した。
松本剛の年度別主要打撃成績以下は日本野球機構(NPB)の個人年度別成績を基にした主要シーズンの比較だ。数字を見ると、2022年の大きな飛躍と2025年の不振、そして2026年の復調がはっきり分かる。
| 年度 | 所属球団 | 試合 | 打率 | 安打 | 本塁打 | 打点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017年 | 日本ハム | 115 | .274 | 110 | 5 | 33 |
| 2022年 | 日本ハム | 117 | .347 | 137 | 3 | 44 |
| 2023年 | 日本ハム | 134 | .276 | 140 | 3 | 30 |
| 2024年 | 日本ハム | 127 | .236 | 103 | 1 | 19 |
| 2025年 | 日本ハム | 66 | .188 | 30 | 0 | 7 |
| 2026年 | 巨人 | 130 | .274 | 115 | 3 | 25 |
| 通算 | 日本ハム・巨人 | 903 | .266 | 723 | 17 | 182 |
※通算成績は2026年シーズン終了時点。年度別成績はNPB公式記録。
特に注目したいのは、2023年の140安打だ。2022年に首位打者を獲得した翌年も、打率.276で134試合に出場し、安打数では自己のキャリアでも高い水準を維持していた。
一方、2024年には打率.236、2025年には.188まで低下。数字の下降が続いたことが、環境を変える決断を考えるうえで重要な背景となった。
【2022年の栄光】松本剛が首位打者とベストナインを獲得した理由
松本剛のキャリアを語るうえで、2022年は欠かせないシーズンだ。
新庄剛志監督が就任した1年目、松本は117試合に出場して395打数137安打、打率.347を記録。パ・リーグの首位打者に輝いた。
加えて、外野手部門のベストナインにも初選出。打撃面での実績が高く評価されたシーズンだった。
本塁打よりも安打を積み重ねる打撃スタイル2022年の成績を見ると、137安打に対して本塁打は3本。長打力で圧倒するタイプというより、バットコントロールを生かして安打を重ねる巧打者としての特徴が表れている。
出塁率は.398、長打率は.438。盗塁も21個を記録しており、塁に出るだけでなく、次の塁を狙える走力も持ち味だった。
この年の活躍は、一時的な打率上昇だけではない。出塁、走塁、状況に応じた打撃を組み合わせ、チームの攻撃を支えたことが評価につながった。
首位打者から選手会長へ2022年のオフには日本ハムの選手会長に就任。個人成績だけでなく、チームを支える立場も担うことになった。
首位打者という実績を持ちながら、後輩の相談に乗り、チーム内の意見をまとめる役割も果たしてきた。選手としての成長とリーダーとしての責任が重なった時期だった。
2022年の松本を評価する際には、打率.347という数字だけでなく、チームの中心選手として存在感を高めた点も見逃せない。
【2026年最新】巨人・松本剛の現在と打率、本塁打、OPSを分析
2026年の松本剛は、巨人の背番号9としてシーズンを戦った。NPBの2026年シーズン終了時点の公式記録では、130試合に出場し、打率.274、115安打を記録している。
2025年の打率.188から大きく数字を戻したことは、移籍後の大きな成果だ。
2026年の打撃成績一覧- 所属:読売ジャイアンツ
- 背番号:9
- 試合数:130試合
- 打率:.274
- 安打数:115本
- 本塁打:3本
- 打点:25打点
- 得点:43
- 盗塁:17
- 出塁率:.324
- 長打率:.337
- OPS:.661
OPSは出塁率と長打率を足した指標で、松本の2026年の数値は.324+.337=.661となる。NPB公式年度別成績に掲載された出塁率と長打率から算出した値だ。
打率.274への復調をどう評価するか2025年の打率.188から2026年の.274への回復は、数字の上でも明確だ。出場試合数も66試合から130試合へ増えており、シーズンを通じて戦力として起用されたことが分かる。
115安打という数字も、安定して打席に立ち、安打を積み重ねた結果といえる。
一方、本塁打は3本、長打率は.337。OPSも.661であり、2022年の出塁率.398、長打率.438と比較すると、首位打者を獲得した時期の打撃水準に完全に戻ったわけではない。
2026年の評価では、打率の回復と130試合出場という安定感を評価する一方、長打力や出塁率のさらなる向上が今後の課題になる。
松本の持ち味は、豪快な本塁打だけで試合を決めることではない。コンタクト能力、走塁、外野手としての経験を組み合わせ、チームに貢献するタイプの選手だ。17盗塁という数字も、その特徴を裏付けている。
したがって、2026年は巨人移籍が成功だったかを判断するうえで、単純な本塁打数だけでなく、出場機会、安打数、走塁を総合的に見るべきシーズンだった。
【選手会長としての評判】日本ハム時代に後輩から慕われた理由
松本剛は2023年から2025年まで、日本ハムの選手会長を務めた。選手会長はグラウンド上の成績だけでなく、選手側の意見をまとめ、球団との間をつなぐ役割も担う。
2026年4月のスポーツニッポンの記者コラムでは、松本について「細かい気配りもでき、誰もが認めるリーダー」と紹介されている。
具体例として挙げられたのが、後輩の野村佑希や浅間大基らとの関係だ。チームを離れて巨人に移籍した後も、野村は松本から外野守備の助言を受けていたという。
野村は松本について、細かいところまで見てくれることへの感謝を口にしている。こうしたエピソードは、松本が単に役職として選手会長を務めていたのではなく、日頃から後輩を支えていたことを示している。
巨人移籍後は一選手としての役割に集中巨人移籍によって、松本は日本ハムで担っていた選手会長の役割から離れた。
2026年4月のスポニチ報道では、本人が新しいチームに外から加わった選手として、自分の成績に集中したいという趣旨の考えを語っている。
これは松本にとって、責任が軽くなったというだけではない。チームをまとめる立場から、まず自分のプレーで信頼を勝ち取る立場へと変化したということだ。
日本ハムで培ったリーダーシップや後輩への指導経験は、新天地でも生かせる。選手会長という肩書がなくなっても、チーム内での経験値や人間関係を築く力は失われない。
松本剛の評価を考えるなら、打率や本塁打だけでなく、こうしたグラウンド外の貢献も重要な要素となる。
【よくある質問】日ハム松本剛の現在に関するFAQ
Q1:松本剛はなぜ日本ハムから巨人に移籍したの?
A1:国内FA権を行使し、他球団からの評価を聞きたいと考えたためです。巨人の阿部慎之助監督から直接誘いを受け、もう一度自分を鍛え直して挑戦したいという思いが移籍の決め手になりました。
Q2:松本剛の2026年の成績は?
A2:NPB公式記録によると、130試合出場、打率.274、115安打、3本塁打、25打点、17盗塁です。出塁率.324、長打率.337で、OPSは.661です。
Q3:松本剛は2022年に何のタイトルを獲得した?
A3:打率.347でパ・リーグ首位打者を獲得しました。また、外野手部門のベストナインにも初選出されています。
Q4:松本剛の巨人での背番号は何番?
A4:背番号9です。2025年11月27日の入団会見で発表されました。
Q5:松本剛はどこの高校出身?
A5:東京都の帝京高校出身です。高校時代には3度甲子園に出場し、3年時には主将を務めました。2011年ドラフト2位で日本ハムに入団しています。
Q6:松本剛の2025年の成績が悪かったのは本当?
A6:本当です。2025年は66試合に出場し、打率.188、0本塁打、7打点でした。2026年は打率.274まで回復しています。
Q7:松本剛は日本ハムと不仲になって退団したの?
A7:そのような事実を示す公式発表はありません。本人は日本ハムへの感謝と北海道への愛着を公に伝えており、FA権を行使して新しい環境に挑戦する道を選びました。
松本剛が北海道日本ハムファイターズを離れ、読売ジャイアンツへ移籍した背景には、国内FA権の行使、自身の成績への悔しさ、そして新しい環境で再挑戦したいという強い意志があった。
2022年には打率.347で首位打者とベストナインを獲得し、日本ハムの中心選手として活躍。選手会長としても後輩を支え、チームに貢献してきた。
2025年は打率.188と苦しんだものの、2026年には巨人で130試合に出場し、打率.274、115安打まで数字を回復させた。2022年のキャリアハイと比べれば改善の余地はあるが、新天地で再びレギュラーとして戦えることを示したシーズンだった。
今後の松本剛を評価する際には、打率だけでなく、安打数、出塁率、OPS、盗塁、出場試合数を総合的に見ることが大切だ。日本ハムで築いた実績とリーダーシップを、巨人でどこまで発揮できるのか。背番号9を背負う松本の次のシーズンにも注目が集まる。
【プロの結論】 松本剛の移籍は、古巣との決別ではなく、14年間育ててもらった球団への感謝を胸に、自分の可能性をもう一度試すための選択だった。2026年の打率.274と115安打は、その挑戦が結果につながり始めたことを示す数字である。
※主な参照資料:日本野球機構(NPB)個人年度別成績・2022年度パ・リーグ表彰、北海道日本ハムファイターズ公式発表、共同通信、日刊スポーツ、スポーツニッポン、デイリースポーツ。
参照した主な記録・報道
- NPB「松本剛 個人年度別成績」:2026年シーズン終了時の公式記録。
- 北海道日本ハムファイターズ公式「松本剛選手FA権行使について」:2025年11月11日の発表と本人コメント。
- NPB「2022年度パシフィック・リーグ表彰」:ベストナイン初受賞。
- 共同通信・日刊スポーツ:巨人入団会見、移籍理由、背番号9。
- スポニチ:2026年の選手会長時代の評価と後輩との関係。
※本文のOPS.661はNPB公式記録の出塁率と長打率を合算した値です。