マイナビ女子オープンは、日本将棋連盟と株式会社マイナビが共同主催する女流タイトル戦です。最大の特徴は、女流棋士だけでなく、一定の実力を持つアマチュア女性にもタイトル獲得への道が開かれていること。予備予選やチャレンジマッチ、一斉予選、本戦トーナメントを勝ち抜いた選手が、最後に女王への挑戦権を争います。
2026年の最新状況では、5月29日に第19期マイナビ女子オープン五番勝負が決着し、福間香奈女王が西山朋佳女流棋士を3勝2敗で破って初防衛を達成しました。一方、第20期はチャレンジマッチから本戦へと進み、福間女王への挑戦者を決めるトーナメントが進行しています。
【マイナビ女子オープンとは?女王を決める女流タイトル戦の全体像】

マイナビ女子オープンは、女流棋士の頂点を争うタイトル戦の一つです。優勝者には、棋戦名とは別に「女王」という称号が与えられます。
1987年の前身棋戦から発展した歴史そのルーツは、1987年に始まった女流公式棋戦「レディースオープン・トーナメント」にあります。週刊将棋と日本将棋連盟が共同で主催していた同棋戦を発展させ、2007年に株式会社マイナビが主催する新しい棋戦として名称を変更しました。
第1期が行われたのは2008年です。初代女王には矢内理絵子が就任しました。
棋戦の大きな特徴は、女性アマチュア選手の参加枠を設けていることです。プロ棋士だけで争う一般的なタイトル戦とは異なり、アマチュアが予選を突破して本戦に進み、最終的に女王のタイトルを獲得する可能性もあります。
賞金とタイトル戦の基本情報日本将棋連盟が公表している第20期の棋戦情報では、優勝賞金は500万円、準優勝賞金は150万円です。
五番勝負は最大5局で争われ、先に3勝した選手が女王となります。現女王が挑戦者を迎え撃つ防衛戦という形式です。
つまり、マイナビ女子オープンは単なる優勝者決定トーナメントではありません。予選から本戦までの長い競争を経て挑戦者を選び、最後にタイトル保持者との五番勝負で女王を決める二段階の構造になっています。
【参加資格を解説】予備予選・チャレンジマッチから本戦までの仕組み
マイナビ女子オープンを理解するうえで重要なのが、参加者によって予選ルートが異なる点です。
女流棋士は予備予選、アマチュア女性はチャレンジマッチから一斉予選への出場を目指します。そこから本戦へ進むという流れです。
① 女流棋士が参加する予備予選女流棋士は、前期の成績などによるシードや予備予選免除の対象者を除き、予備予選から一斉予選への出場を目指します。
予備予選では持ち時間30分の対局が行われ、勝ち抜いた選手が次の一斉予選に進みます。
普段からタイトル戦や女流順位戦などで活躍する棋士であっても、シードされていなければ予選から勝ち上がる必要があります。
② アマチュア女性が挑戦するチャレンジマッチアマチュア選手に用意されている入口がチャレンジマッチです。
第20期の2026年大会では、5月23日に東京都中央区のマイナビPLACEで開催されました。
参加資格は、研修会所属者を含むアマチュア女性で、将棋道場や将棋教室、普及指導員などから有段者と認められていることです。年齢制限はなく、元女流棋士は対象外とされています。
2026年の大会には53人が参加しました。まず3人または4人のグループで予選リーグを戦い、2勝すれば通過、2敗すれば失格となる方式です。その後、決勝トーナメントを3つのブロックに分け、それぞれの優勝者が一斉予選への出場権を獲得しました。
チャレンジマッチから一斉予選へ進めるのは3人です。アマチュアにとって、女王への道を切り開く重要な関門となっています。
③ 一斉予選で48人が本戦出場を争う2026年7月18日に開催された第20期一斉予選では、女流棋士とアマチュア選手を合わせた48人が本戦出場を争いました。
チャレンジマッチを勝ち抜いたアマチュア3人も、この舞台に進出しています。
一斉予選は12のブロックに分かれて行われ、各ブロックの勝者12人が本戦へ進出します。
④ 本戦トーナメントから挑戦者を決定本戦は、予選を勝ち抜いた12人とシード選手4人の合計16人によるトーナメントです。
このトーナメントを最後まで勝ち抜いた選手が、現女王への挑戦権を獲得します。いわゆる女王挑戦者決定戦に相当する最終局面です。
そして、挑戦者と現女王が五番勝負を戦い、新しい女王、または防衛した女王が決まります。
【2026年最新】第19期マイナビ女子オープンの対局結果と第20期の現在地
第19期は福間香奈が西山朋佳を3勝2敗で破る2026年の第19期マイナビ女子オープン五番勝負は、福間香奈女王に西山朋佳女流三冠が挑戦する組み合わせとなりました。
両者は女流棋界を代表する実力者です。福間はタイトル保持者として防衛を目指し、西山は前期に失った女王の奪還を目指しました。
五番勝負は4月7日に開幕し、5月29日の最終局まで続きました。
対局ごとの結果は次のとおりです。
- 第1局・4月7日:西山朋佳が勝利。
- 第2局・4月22日:福間香奈が勝利。
- 第3局・4月29日:西山朋佳が勝利。
- 第4局・5月19日:福間香奈が勝利し、2勝2敗に戻す。
- 第5局・5月29日:福間香奈が勝利し、3勝2敗で防衛。
第3局を終えた段階では西山が2勝1敗とリードしており、女王復位まであと1勝に迫っていました。
しかし、第4局で福間が91手で勝利。シリーズを振り出しに戻すと、最終第5局でも113手で西山を破りました。
これにより福間は女王のタイトルを初防衛。第18期に続く2期連続の獲得となり、通算3期目の女王となりました。
第20期は福間香奈女王への挑戦者を選ぶ本戦が進行中第20期は2026年5月23日のチャレンジマッチから始まり、6月19日の予備予選、7月18日の一斉予選を経て、本戦トーナメントに進みました。
本戦には16人が出場。前期の実績を持つシード選手と予選通過者が、福間女王への挑戦権を懸けて戦っています。
本戦1回戦では、次の8人が勝ち上がりました。
- 加藤桃子
- 中七海
- 北村桂香
- 伊藤沙恵
- 加藤結李愛
- 石本さくら
- 野原未蘭
- 西山朋佳
続く準々決勝の組み合わせは、加藤桃子対中七海、北村桂香対伊藤沙恵、加藤結李愛対石本さくら、野原未蘭対西山朋佳です。
特に注目されるのは、西山朋佳の存在です。第19期で福間に敗れて女王奪還を逃した西山が、再び挑戦者の座をつかめるかどうかは、第20期の大きな見どころです。
一方、加藤桃子や伊藤沙恵、若手の中七海、野原未蘭などにも注目が集まります。実績ある棋士と新しい勢力が交錯する本戦は、五番勝負の顔ぶれを予想するうえでも見逃せません。
【歴代女王一覧】矢内理絵子から福間香奈までのタイトル獲得史
マイナビ女子オープンの歴代女王を振り返ると、長期間にわたってタイトルを保持した棋士が複数いることが分かります。
第1期から第19期までの優勝者は、実人数では6人です。なお、里見香奈と福間香奈は同一人物で、2024年から福間姓で活動しています。
| 期・開催年 | 女王 | 獲得期数・主な記録 |
|---|---|---|
| 第1~2期 2008~2009年 |
矢内理絵子 | 初代女王。2期連続獲得 |
| 第3期 2010年 |
甲斐智美 | 初の女王獲得 |
| 第4~5期 2011~2012年 |
上田初美 | 2期連続獲得 |
| 第6期 2013年 |
里見香奈(現・福間香奈) | 初の女王獲得 |
| 第7~10期 2014~2017年 |
加藤桃子 | 4期連続獲得 |
| 第11~17期 2018~2024年 |
西山朋佳 | 7期獲得。永世女王の資格を獲得 |
| 第18~19期 2025~2026年 |
福間香奈 | 2期連続獲得。通算3期 |
この一覧から分かるように、タイトルの歴史は一人の棋士が長く支配する時代と、新しい女王が誕生する転換期が交互に現れています。
西山朋佳が初の永世女王資格保持者に歴代女王の中でも特筆すべき存在が西山朋佳です。
第11期から第15期まで5期連続で女王を獲得し、2022年に初の永世女王資格保持者となりました。
永世女王の資格は、5期連続獲得、または通算7期獲得によって得られるものです。西山はその後も第16期、第17期でタイトルを獲得し、通算7期という実績も残しています。
第17期では大島綾華を3勝0敗で破り、女王を防衛しました。長期にわたってタイトル戦線の中心に立ち続けたことが、西山の大きな実績です。
福間香奈は旧姓の里見香奈としても優勝歴代記録を見る際に注意したいのが、里見香奈と福間香奈の表記です。
日本将棋連盟の発表によると、里見香奈は2024年から福間香奈として活動しています。そのため、第6期の優勝記録にある里見香奈と、第18期・第19期の福間香奈は同じ棋士です。
第19期の優勝によって、福間は通算3期の女王獲得となりました。歴代記録を調べる際には、改姓前後の名前を別人として数えないことが大切です。
【持ち時間・対局ルール】五番勝負と棋譜中継・速報の見方
予選と本戦では持ち時間が異なるマイナビ女子オープンでは、対局の段階によって持ち時間が異なります。
- チャレンジマッチ:各15分。使い切ると1手30秒未満の秒読み。
- 予備予選・一斉予選:各30分。使い切ると1手1分未満の秒読み。
- 本戦トーナメント:各3時間。使い切ると1手60秒未満の秒読み。
- 五番勝負:各3時間。使い切ると1手60秒未満の秒読み。
いずれもチェスクロックを使用します。チャレンジマッチでは短時間での判断力が求められる一方、本戦や五番勝負では長時間にわたる読みと集中力が勝負を左右します。
五番勝負は先に3勝した側がタイトルを獲得タイトル戦は最大5局の五番勝負です。先に3勝した選手が女王となるため、必ずしも第5局まで行われるわけではありません。
例えば、第17期では西山朋佳が大島綾華を3連勝で退け、3局で防衛を決めました。対して第19期は福間香奈と西山朋佳が2勝2敗となり、最終第5局で決着しました。
この違いがシリーズの面白さです。短期決着になる場合もあれば、最終局まで勝敗が分からない展開になる場合もあります。
マイナビ女子オープンの棋譜中継・速報はどこで確認できる?対局結果や棋譜を追いかける場合は、主催者の将棋情報局と日本将棋連盟の棋戦情報が基本になります。
主な確認内容は次のとおりです。
- 日本将棋連盟の棋戦情報:期ごとのトーナメント表、歴代女王、五番勝負の日程と対局結果。
- マイナビ女子オープン中継ブログ:対局開始、昼食休憩、局面の進行、終局、感想戦などの速報。
- 将棋情報局の棋譜中継:実際の指し手を追いながら対局内容を確認。
- マイナビニュース:対局後の詳細な解説や勝負を分けた局面の振り返り。
特に棋譜中継は、勝敗だけでは分からない対局者の狙いや形勢の変化を知るのに役立ちます。公式の棋戦紹介では、全局の棋譜を専用サイトで無料公開する方針も案内されています。
【福間香奈と西山朋佳】マイナビ女子オープンを面白くするライバル関係
2026年のマイナビ女子オープンを語るうえで欠かせないのが、福間香奈と西山朋佳の存在です。
両者は女流将棋界を代表するトップ棋士であり、マイナビ女子オープンでも複数回にわたってタイトルを争ってきました。
福間香奈:防衛を重ねる現女王福間香奈は1992年生まれ、島根県出身の女流棋士です。2004年に女流棋士としてデビューし、若い頃からタイトル戦線で実績を積み重ねてきました。
第6期マイナビ女子オープンでは、当時の里見香奈名義で初めて女王を獲得しています。その後、第18期で再びタイトルを獲得し、第19期では西山朋佳を破って初防衛を果たしました。
日本将棋連盟の棋士データベースでも、女王の獲得歴は通算3期と記録されています。
西山朋佳:永世女王の資格を持つ実力者西山朋佳は、マイナビ女子オープンで7期の女王を獲得した実績を持つ女流棋士です。
第11期から第17期までの長期にわたりタイトルを獲得し、永世女王の資格も保持しています。第18期、第19期では福間香奈にタイトルを譲りましたが、実績と実力の両面で女王戦線の中心にいる存在です。
第20期でも本戦を勝ち上がっており、再び福間との五番勝負が実現する可能性があります。
ネット上の情報で間違えやすい3つのポイント1つ目は、マイナビ女子オープンは女流棋士だけの大会ではないという点です。アマチュア女性にも参加資格があり、チャレンジマッチを突破すれば一斉予選に進めます。ただし、誰でも無条件に参加できるわけではなく、有段者としての実力要件があります。
2つ目は、本戦優勝と女王獲得は同じではないという点です。本戦トーナメントの優勝者は挑戦者となり、その後に現女王との五番勝負を戦います。本戦を勝ち抜いただけでタイトル獲得が決まるわけではありません。
3つ目は、里見香奈と福間香奈を別人として扱わないことです。2024年から活動名が変更されているため、過去の記録と現在の記録を照合する際には注意が必要です。
【プロの結論】注目すべきは勝敗だけでなく予選からの成長マイナビ女子オープンの魅力は、トップ棋士同士のタイトル戦だけではありません。
アマチュア選手がチャレンジマッチを突破し、プロの女流棋士と同じ舞台に立つまでの過程にも大きな価値があります。
観戦する際には、次の3点を意識すると棋戦をより深く楽しめます。
- 予選から追いたい人:アマチュア選手や若手女流棋士がどのように勝ち上がるかに注目する。
- トップ棋士の実力を比較したい人:福間香奈、西山朋佳、加藤桃子、伊藤沙恵らの対局内容を比較する。
- 将棋の内容を詳しく知りたい人:棋譜中継で序盤の作戦、中盤の攻防、終盤の寄せまで確認する。
逆に、勝敗だけを短時間で確認したい人は、日本将棋連盟の対局結果や公式速報を中心にチェックすると効率的です。
棋戦の本当の面白さは、挑戦者が決まるまでの競争と、そこから始まる五番勝負の両方にあります。
【マイナビ女子オープンに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:マイナビ女子オープンの第19期で優勝したのは誰ですか?
A1:福間香奈女王です。2026年5月29日の最終第5局で西山朋佳を破り、3勝2敗で女王を初防衛しました。
Q2:第20期マイナビ女子オープンは現在どうなっていますか?
A2:2026年11月1日時点では本戦トーナメントが進行中です。予選を勝ち抜いた選手とシード選手が福間香奈女王への挑戦権を争っています。
Q3:アマチュアでもマイナビ女子オープンに参加できますか?
A3:参加できます。2026年の募集要項では、研修会所属者を含む、有段者と認められたアマチュア女性が対象でした。チャレンジマッチで3つの決勝トーナメントのいずれかを制すると、一斉予選に進めます。
Q4:マイナビ女子オープンの持ち時間は何時間ですか?
A4:本戦と五番勝負は各3時間です。予備予選と一斉予選は各30分、チャレンジマッチは各15分となっています。
Q5:歴代女王で最も多くタイトルを獲得したのは誰ですか?
A5:第11期から第17期まで7期の女王を獲得した西山朋佳です。5期連続獲得によって永世女王の資格も保持しています。
Q6:マイナビ女子オープンの棋譜や速報は無料で見られますか?
A6:主催者の将棋情報局では棋譜や中継ブログが公開されています。日本将棋連盟の棋戦情報では、対局結果やトーナメント表も確認できます。
マイナビ女子オープンは、1987年から続く前身棋戦の歴史を受け継ぎ、2008年に第1期が始まった女流タイトル戦です。
予備予選、チャレンジマッチ、一斉予選、本戦トーナメントという複数の段階を設け、女流棋士だけでなくアマチュア女性にも女王への道を開いている点が大きな特徴です。
第19期では、福間香奈が西山朋佳を3勝2敗で破り、女王の初防衛を達成しました。そして第20期では、次の挑戦者を決める本戦トーナメントが進行しています。
歴代女王の実績を振り返ると、矢内理絵子、甲斐智美、上田初美、里見香奈(現・福間香奈)、加藤桃子、西山朋佳という6人がタイトルの歴史を築いてきました。
今後の注目要点は、第20期の挑戦者が誰になるのか、そして福間香奈女王が2度目の防衛を果たすのかという点です。
対局結果だけでなく、予選から本戦までの棋譜や勝ち上がりにも目を向けることで、マイナビ女子オープンの奥深さをより楽しめます。
主な参照資料・事実確認先
- 日本将棋連盟の棋戦情報・歴代対局結果
- マイナビ将棋情報局の棋戦概要・参加資格
- 第20期一斉予選・本戦情報
- 第19期五番勝負の最終結果
- 西山朋佳の永世女王資格に関するマイナビ公式発表
- 福間香奈の棋士データベース