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【布田川断層帯と日奈久断層帯】2016年と2026年の熊本地震は何が違う?

桜庭 芽衣 桜庭 芽衣 • 更新: • 公開: • 読了約 13 分
目次

熊本県の活断層を理解するうえで、2016年4月の熊本地震と2026年7月の熊本地震を混同しないことが大切だ。

どちらも熊本県内の内陸活断層に関係する地震だが、地震調査研究推進本部が推定した主な震源断層の位置は異なる。

2016年は布田川区間、2026年は日奈久断層帯が中心

2016年の熊本地震について、地震調査研究推進本部は布田川断層帯の布田川区間の活動によるものと評価している。

一方、2026年の熊本地震では、日奈久断層帯の高野-白旗区間の一部と日奈久区間北東部が震源断層の主な部分と推定された。

つまり、2016年と2026年では、同じ熊本県内の活断層系に属していても、主に活動した場所が違う。

両地震の関係を整理すると、次のようになる。

- 2016年熊本地震:布田川断層帯の布田川区間が主な活動対象。
- 2026年熊本地震:日奈久断層帯の高野-白旗区間の一部と日奈久区間北東部が主な震源断層。
- 2026年の地表調査:布田川断層帯の宇土区間でも地表地震断層を確認。

特に3つ目は見落とせない。震源断層の主部と地表で確認された変状の分布は必ずしも一致しないため、地震活動の全体像を把握するには、地震波解析と現地調査の両方が必要になる。

断層帯の区間は別々に活動するのか?

地震調査研究推進本部の長期評価では、布田川断層帯の各区間、日奈久断層帯の各区間は、それぞれ別々に活動すると推定されている。

ただし、隣接する区間が同時に活動する可能性も否定されていない。

日奈久断層帯全体が同時に活動した場合はM7.7~8.0程度、さらに布田川断層帯の布田川区間も同時に活動した場合はM7.8~8.2程度の地震が想定されている。

この想定は、2026年の地震で全区間が一斉に動いたことを意味しない。あくまで将来の地震規模を考えるための評価シナリオだ。

【熊本活断層の30年以内の地震発生確率】2026年最新評価を読み解く

熊本活断層

活断層について調べる人が特に気になるのが、「自分の住む地域で、今後30年以内に大きな地震が起きる確率はどの程度なのか」という問題だ。

地震調査研究推進本部は、主要活断層帯について、過去の活動時期、平均活動間隔、地震規模などをもとに長期評価を行っている。

2026年の熊本地震を考える際にも、この長期評価は重要な基礎資料になる。

日奈久断層帯の発生確率はどの程度だったのか

2026年1月1日を算定基準日とした評価では、日奈久断層帯の各区間は次のように評価されていた。

- 高野-白旗区間:M6.8程度。30年以内の発生確率は不明(Xランク)。
- 日奈久区間:M7.5程度。30年以内の発生確率はほぼ0~6%(S*ランク)。
- 八代海区間:M7.3程度。30年以内の発生確率はほぼ0~16%(S*ランク)。

布田川断層帯については、布田川区間がM7.0程度で30年以内の発生確率はほぼ0%、宇土区間と宇土半島北岸区間は発生確率が不明とされていた。

XランクとS*ランクはどう違う?

確率を読む際には、ランクの意味を正確に理解する必要がある。

ランク 意味
Sランク 30年以内の発生確率が3%以上
Aランク 0.1~3%未満
Zランク 0.1%未満
Xランク データが不足し、確率の評価が困難

S*は、地震後経過率が0.7以上の断層に付けられる記号だ。

例えば、日奈久区間のS*ランクは、発生確率の幅がほぼ0~6%であり、単純に「必ず3%以上」と読み替えることはできない。

一方、Xランクは危険性が低いという意味ではない。過去の活動時期や平均活動間隔を十分に把握できず、確率を算出できない状態を示す。

2026年7月の地震後に確率はどう考えるべきか

ここで注意したいのは、上記の数値が2026年1月1日を基準とした地震発生前の長期評価であることだ。

7月28日のM7.1地震が発生した後、震源断層の一部が実際に活動したことが確認されたため、発生前の確率をそのまま地震後の将来予測として扱うことはできない。

地震調査研究推進本部の2026年年次評価でも、従来の高野-白旗区間と日奈久区間の確率評価が紹介されている。日奈久断層帯を含む九州南部の区域については、M6.8以上の地震発生確率が7~18%と評価されていた。

また、30年以内の発生確率は、明日や来月に地震が発生するかを予言する数字ではない。

確率が低い断層でも大地震が起きる可能性はあり、確率が高い断層でも特定の日に必ず活動するわけではない。

確率の数字だけで安全・危険を判断しないことが、活断層の長期評価を正しく利用するポイントだ。

【2026年最新の活断層調査結果】産総研・国土地理院が明らかにしたこと

2026年の熊本地震では、地震発生後の現地調査、衛星観測、地形解析が進められた。

特に注目したいのが、産総研地質調査総合センターと国土地理院による調査結果だ。

産総研は複数区間で地表地震断層を確認

産総研は2026年7月30日から8月3日までの5日間、益城町から八代市平山新町に至る地域で緊急現地調査を実施した。

調査では、道路の白線、水田の畦道、地面の亀裂などを手掛かりに、地表の変位を確認している。

8月10日更新の第5報では、氷川町宮原の道路で184cmの右横ずれ、八代市上片町の八代ジャンクション付近で約130cmの上下変位などが記録された。

加えて、8月5日には過去のトレンチ調査地点3か所を再調査した。

その結果、甲佐町白旗、宇城市小川町、八代市川田町西の3地点で、過去に断層が確認された場所の近くに今回の地表地震断層が認められた。

この調査は、過去の地震履歴を再検証するうえでも重要な意味を持つ。過去に掘削調査を行った地点と、今回実際にずれた場所を比較することで、断層の活動範囲や地表への現れ方をより詳しく検討できるからだ。

断層の動いた方向まで調査

産総研の第7報では、2026年8月2日から6日までの現地調査についても報告されている。

宇城市豊野町下郷の娑婆神峠付近では、地震時のずれ方向を直接確認できる地表地震断層の露頭が2地点で発見された。

加えて、別の8地点でも断層の動いた方向を示す条線が確認されている。

調査結果からは、北西側の低下を伴う右横ずれという運動像と整合する特徴が確認された。

断層がどちらに、どのように動いたかを把握することは、今回の地震の破壊過程を解明するだけでなく、今後の地震動や地表変位の評価にも役立つ。

国土地理院の活断層図も更新

国土地理院は、2026年7月28日に活断層図を公表し、翌29日に更新した。

公開対象には次の地図が含まれている。

- 阿蘇
- 熊本改訂版
- 八代改訂版
- 日奈久

これらの活断層図は、空中写真や詳細な地形データを使って作成され、活断層に関連する地形を表示している。

また、地震後の空中写真や衛星データを活用し、亀裂や変位境界、斜面崩壊などの情報も公開している。

2026年9月9日には、国土地理院が「だいち2号」「だいち4号」とNISARの観測データを使った3次元解析結果を更新した。

日奈久断層帯の北西側で、最大約1.3mの北東向きの変動と最大約60cmの沈降が示されている。

これは、地上での現地測量だけでは把握しにくい広範囲の地殻変動を衛星データから捉えた成果だ。

2026年11月3日時点で確認できる調査資料を整理すると、現地での変位測量、過去のトレンチ調査地点の再確認、断層のずれ方向の解析、衛星による3次元地殻変動解析という複数の調査が進んでいる。

【熊本県で地震に備えるには】活断層マップの正しい使い方

活断層の位置を知ることは重要だが、地図上で自宅と断層の距離を測るだけでは、地震への備えとして十分ではない。

熊本県では、活断層の位置に加えて、地盤の性質や建物の耐震性も確認したい。

1.国土地理院の活断層図で土地の特徴を確認

まず確認したいのが、国土地理院の活断層図だ。

自宅、職場、学校などの周辺について、次の点を確認する。

- 活断層の位置と分布
- 断層に関連する崖や谷などの地形
- 周辺の土地の成り立ち
- 低地や埋立地などの地形的特徴

活断層図は、地形から活断層と関連する特徴を読み取るための資料だ。必ずしも地下の断層をすべて直接表示しているわけではない。

2.活断層から離れていても地震対策は必要

地震調査研究推進本部は、熊本市や八代市など、島原湾・八代海沿岸の地域について、比較的弱い地盤が分布し、地震時にほかの地域より揺れが大きくなる可能性を指摘している。

そのため、活断層からの距離だけで建物の安全性を判断するのは避けたい。

地盤の揺れやすさ、液状化の可能性、周辺の斜面や造成地の状況なども確認する必要がある。

3.自宅の耐震性と避難経路を見直す

地震への備えとして、次の項目を確認しておきたい。

- 建物の耐震診断や耐震改修の必要性
- 家具や大型家電の転倒防止
- ガラスの飛散防止
- 水・食料・携帯トイレなどの備蓄
- 家族との連絡方法
- 自宅から避難所までの安全な経路

特に、地震直後は道路の亀裂や段差、ブロック塀の倒壊などで、普段使っている道が通れなくなる可能性がある。

避難経路は1つに限定せず、複数の経路を考えておくとよい。

4.確認する公的資料を使い分ける
資料・機関 確認できる内容
地震調査研究推進本部 活断層の長期評価、地震発生確率
国土地理院 活断層図、地形、地殻変動
産総研地質調査総合センター 活断層の地質調査、現地測量、古地震履歴
熊本県・市町村 地域の防災情報、避難所、ハザードマップ
防災科学技術研究所 地震動予測、強震観測データ

活断層図は土地の成り立ちを知る資料、長期評価は将来の地震発生可能性を考える資料、自治体のハザードマップは具体的な避難行動を考える資料として使い分けたい。

【熊本活断層に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:熊本県で特に注意したい活断層はどこですか?

A1:代表的なのは布田川断層帯と日奈久断層帯です。布田川断層帯は阿蘇外輪山西側から宇土半島方面、日奈久断層帯は益城町付近から八代海南部方面に延びています。県内には緑川断層帯や人吉盆地南縁断層などもあります。

Q2:2026年7月28日の熊本地震は日奈久断層帯が原因ですか?

A2:地震調査研究推進本部は、M7.1の震源断層の主な部分が日奈久断層帯の高野-白旗区間の一部と日奈久区間北東部に及ぶと推定しています。一方、産総研の調査では布田川断層帯の宇土区間でも地表地震断層が確認されています。

Q3:熊本県の活断層から離れていれば安全ですか?

A3:必ずしも安全とは限りません。活断層から離れた場所でも地震動は伝わります。また、地盤の性質によって揺れ方が異なります。活断層図だけでなく、地盤情報、自治体のハザードマップ、建物の耐震性も確認してください。

熊本県の活断層をめぐる状況は、2026年7月28日のM7.1地震によって新たな段階に入った。

今回の地震では、日奈久断層帯の高野-白旗区間の一部と日奈久区間北東部が主な震源断層に関係したと推定され、氷川町付近では最大約2mの右横ずれ変位が確認された。

一方、産総研の現地調査では布田川断層帯の宇土区間にも地表地震断層が確認されている。

2026年の調査成果から見えてきた要点は3つある。

1. 熊本の活断層は複数の区間から構成される。 断層帯全体と個々の区間を区別して理解する必要がある。
2. 地震の規模と地表変位は場所によって異なる。 現地調査、地震波解析、衛星観測を組み合わせることが欠かせない。
3. 過去の発生確率だけで将来の安全性は判断できない。 地震後の調査結果や最新の長期評価を継続して確認することが大切だ。

熊本県の活断層を調べるなら、地震調査研究推進本部の長期評価、産総研の地質調査総合センターによる現地調査、国土地理院の活断層図を照らし合わせたい。

2026年の地震が残した地表の変化は、熊本の地下構造を理解するための重要な観測記録でもある。今後の調査によって断層の活動履歴や地殻変動の全体像がさらに明らかになることが期待される。防災に生かすためにも、最新の公的資料を確認し、自分の生活圏に合った備えを進めておきたい。

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経歴・家族構成・活動歴は公式プロフィールと過去の会見記録を突き合わせて記載。確認できない伝聞は本文で明示します。

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