2026年10月現在、韓国の大統領は李在明(イ・ジェミョン)氏です。2025年6月3日の大統領選挙で当選し、翌4日に任期を開始しました。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免を受けて実施された選挙であり、韓国政治の大きな転換点となりました。
韓国の歴代大統領を振り返ると、初代の李承晩から現在の李在明まで、経済成長、軍事政権からの民主化、南北関係の変化、そして弾劾・罷免という重大な出来事が繰り返されています。韓国大統領の在任期間や主な政策、退任理由を一覧で整理し、朴槿恵・尹錫悦両氏の弾劾と罷免、2025年の政権交代まで解説します。
【2026年最新】韓国大統領の現在は李在明、2025年選挙で何が起きた?

2026年10月現在の韓国大統領は、革新系の共に民主党に所属する李在明氏です。2025年6月3日に実施された第21代大統領選挙で、李氏は得票率49.42%、1,728万7,513票を獲得しました。保守系の国民の力から出馬した金文洙(キム・ムンス)氏は41.15%でした。選挙結果は韓国中央選挙管理委員会の発表で確認できます。
この選挙は通常の任期満了に伴うものではありません。尹錫悦前大統領が2024年12月に非常戒厳を宣布したことを発端に、国会による弾劾訴追と憲法裁判所の罷免決定へと事態が進み、大統領職が空席となったために実施された補欠選挙です。
韓国中央選挙管理委員会が当選を確定した2025年6月4日午前6時21分、李氏の5年間の任期が始まりました。通常の政権交代で設けられる大統領職の引き継ぎ期間を経ずに就任したことも、今回の政権交代の特徴です。
李在明政権が掲げる主要課題には、経済の成長力回復、半導体産業の競争力強化、人工知能(AI)分野への投資、地域間格差への対応などがあります。2026年2月には韓国政府が2026~2028年のAI行動計画を確定。9月には李氏が半導体の生産能力を5年以内に倍増させる構想を示したと聯合ニュースが報じました。
したがって、2026年の韓国政治を見るうえでは、李在明氏が現職であることだけでなく、前政権の非常戒厳と罷免を経て成立した政権が、経済・技術政策をどこまで実行できるかが重要な焦点となります。
【韓国歴代大統領一覧】初代李承晩から李在明まで14人の任期・政策・退任理由
韓国の大統領を歴代順に並べると、李承晩、尹潽善、朴正熙、崔圭夏、全斗煥、盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博、朴槿恵、文在寅、尹錫悦、李在明の14人です。
以下は、各大統領の在任期間と主な政策、退任の経緯をまとめた一覧です。日付は大統領としての在任期間を基準としています。歴代の代数は個人の人数とは異なり、李承晩氏が初代から第3代、朴正熙氏が第5代から第9代など、複数の代を務めた大統領がいます。
| 大統領・代数 | 在任期間 | 主な政策・功績 | 退任理由・経緯 |
|---|---|---|---|
| 李承晩(第1~3代) | 1948年8月15日~1960年4月26日 | 大韓民国の建国、反共政策、国家体制の整備 | 1960年の四月革命を受けて辞任 |
| 尹潽善(第4代) | 1960年8月13日~1962年3月24日 | 第二共和国期の大統領。議院内閣制への移行期に在任 | 軍事クーデター後の政治的混乱を経て辞任 |
| 朴正熙(第5~9代) | 1963年12月17日~1979年10月26日 | 輸出主導の工業化、経済開発五カ年計画 | 在任中に暗殺される |
| 崔圭夏(第10代) | 1979年12月6日~1980年8月16日 | 朴正熙氏死去後の政治的移行期を担う | 軍部の影響力が強まるなかで辞任 |
| 全斗煥(第11~12代) | 1980年9月1日~1988年2月24日 | 経済安定化、権威主義体制下の国家運営 | 任期満了。退任後、内乱・汚職事件などで有罪判決 |
| 盧泰愚(第13代) | 1988年2月25日~1993年2月24日 | 北方外交、ソ連・東欧諸国との関係改善 | 任期満了。退任後、内乱・汚職事件などで有罪判決 |
| 金泳三(第14代) | 1993年2月25日~1998年2月24日 | 文民政権の確立、金融実名制の導入 | 任期満了。末期にはアジア通貨危機に直面 |
| 金大中(第15代) | 1998年2月25日~2003年2月24日 | 通貨危機からの経済再建、太陽政策による南北対話 | 任期満了 |
| 盧武鉉(第16代) | 2003年2月25日~2008年2月24日 | 地方分権、地域均衡発展、政治改革 | 任期満了。2004年の弾劾訴追は憲法裁判所が棄却 |
| 李明博(第17代) | 2008年2月25日~2013年2月24日 | グリーン成長政策、四大河川整備事業 | 任期満了。退任後、収賄などで有罪判決 |
| 朴槿恵(第18代) | 2013年2月25日~2017年3月10日 | 創造経済政策、経済活性化の推進 | 弾劾訴追を経て憲法裁判所が罷免 |
| 文在寅(第19代) | 2017年5月10日~2022年5月9日 | 南北首脳会談、対話外交、新型コロナ対策 | 任期満了 |
| 尹錫悦(第20代) | 2022年5月10日~2025年4月4日 | 米国・日本との安全保障協力、保守系の経済・外交政策 | 非常戒厳宣布をめぐる弾劾訴追を経て罷免 |
| 李在明(第21代) | 2025年6月4日~現職 | 経済成長の促進、AI・半導体投資、地域成長の強化 | 2026年10月現在、在任中 |
この一覧から分かるのは、韓国の政治史が単純な保守・革新の交代だけでは説明できないことです。経済開発を優先した軍事政権の時代から、民主化によって選出された政権、南北対話を重視する政権、そして弾劾によって退任した政権まで、政治制度そのものが変化してきました。
【韓国政治の流れ】軍事政権から民主化、そして政権交代の時代へ
1.建国と反共体制の確立(1948~1960年)
初代大統領の李承晩氏は、1948年の大韓民国成立を主導しました。冷戦下で反共政策を進めた一方、長期政権化と選挙をめぐる不正への反発が強まり、1960年の四月革命で退陣に追い込まれました。韓国政治において、政権の正統性と選挙の公正さが重要な争点となった出発点です。
2.経済開発と権威主義体制(1960~1987年)
朴正熙政権は輸出産業の育成や工業化を進め、韓国経済の急成長を支えました。一方、維新体制による権力集中や政治的自由の制限も強まりました。1979年の朴正熙氏暗殺後には政治的混乱が続き、全斗煥政権下では1980年の光州民主化運動に対する武力弾圧が大きな歴史的問題として残りました。
1987年には民主化運動が拡大し、大統領直接選挙を実現する憲法改正へとつながります。翌1988年に就任した盧泰愚氏以降、現在につながる第六共和国の政治体制が続いています。
3.文民政権の成立と民主主義の定着(1993~2008年)
金泳三政権では金融実名制などの改革が進められ、軍部の政治的影響力を抑える動きが強まりました。金大中政権は1997年のアジア通貨危機後の経済再建と南北対話を重視し、2000年には南北首脳会談が実現しました。盧武鉉政権では地方分権や地域均衡発展が主要課題となりました。
4.保守・革新の交代と大統領責任の問題(2008~2025年)
李明博政権、朴槿恵政権の保守系政権を経て、2017年には文在寅政権が発足しました。2022年には保守系の尹錫悦氏が大統領に就任しましたが、2024年12月の非常戒厳宣布によって政権は重大な憲政危機に直面します。
2025年の李在明政権誕生は、単なる政党交代ではありません。大統領の権限行使が憲法の枠内に収まっているか、国会と司法が権力をどこまで監視できるかという、韓国の民主主義制度をめぐる問題が改めて浮き彫りになった政権交代でした。
【朴槿恵・尹錫悦の弾劾と罷免】2人の大統領はなぜ退任したのか
韓国歴代大統領の退任理由を比較する際、特に重要なのが朴槿恵氏と尹錫悦氏の罷免です。いずれも国会で弾劾訴追案が可決され、憲法裁判所が審理した後に大統領職を失いました。ただし、問題となった行為や事件の経緯は異なります。
朴槿恵氏:2016年の弾劾訴追、2017年の罷免
朴槿恵政権では、長年の知人である崔順実(チェ・スンシル)氏が国政に不当に介入したとされる問題や、大企業からの資金拠出をめぐる疑惑が政治危機へと発展しました。国会は2016年12月9日に弾劾訴追案を可決し、憲法裁判所は2017年3月10日に罷免を決定しました。
韓国憲法裁判所の決定では、大統領の行為による悪影響が重大であり、罷免によって憲法を守る利益が大きいと判断されました。朴氏は韓国で民主的な選挙によって選ばれた大統領として初めて罷免された人物となりました。
尹錫悦氏:非常戒厳の宣布から2025年4月の罷免へ
尹錫悦氏のケースでは、2024年12月3日の非常戒厳宣布が直接の発端です。韓国憲法裁判所の決定文によると、尹氏は同日午後10時27分ごろに非常戒厳を宣布し、国会などに軍や警察を投入しました。
翌4日午前1時2分ごろ、国会では非常戒厳解除要求決議案が採決され、出席議員190人全員の賛成で可決されました。その後、尹氏は戒厳解除を表明し、同日午前4時29分ごろ、国務会議で解除案が議決されました。
国会は2024年12月14日に尹氏の弾劾訴追案を可決しました。憲法裁判所は2025年4月4日、尹氏が職務執行において憲法と法律に違反し、その違反の程度が重大であるとして、罷免を決定しました。判決は裁判官全員一致でした。
その後、2025年6月3日に大統領選挙が実施され、李在明氏が当選。翌4日に大統領職を引き継ぎました。非常戒厳の宣布から罷免、補欠選挙、新政権発足までの一連の出来事が、韓国の政権交代を大きく左右したのです。
弾劾訴追と罷免は同じ意味ではない
弾劾訴追は、国会が大統領の憲法・法律違反などを理由に、憲法裁判所の審判を求める手続きです。訴追案が可決された時点で、直ちに罷免が確定するわけではありません。
実際、盧武鉉氏に対する2004年の弾劾訴追について、憲法裁判所は同年5月14日に訴追を棄却しました。一方、朴槿恵氏と尹錫悦氏の事件では罷免が決定されています。この違いを理解すると、韓国の大統領制における国会と司法の役割が分かりやすくなります。
【韓国大統領の任期は5年】再選禁止の仕組みと歴代大統領の退任理由
韓国大統領の任期は、現行憲法第70条で5年、再選不可と定められています。米国のように大統領が再選を目指す制度とは異なり、現職大統領が選挙で再び選ばれて、次の任期を務めることはできません。
この制度の背景には、過去の長期政権化への反省があります。韓国では建国後、李承晩氏や朴正熙氏が複数の代にわたって大統領を務めました。権力集中を防ぎ、一定期間で政権を交代させることが、現在の一期限りの制度を理解するうえで重要です。
ただし、任期が5年だからといって、すべての大統領が5年間在任するわけではありません。任期途中で辞任した李承晩氏や尹潽善氏、在任中に暗殺された朴正熙氏、弾劾によって罷免された朴槿恵氏と尹錫悦氏のような例があります。
大統領職に空席が生じた場合についても、韓国憲法第68条は後任者の選挙を原則として60日以内に実施することを定めています。2025年の大統領選挙が通常の選挙日程とは異なるタイミングで実施されたのは、このような憲法上の仕組みが関係しています。
なお、韓国大統領の代数と、歴代大統領の人数を混同しないことも大切です。李承晩氏は第1~3代、朴正熙氏は第5~9代、全斗煥氏は第11~12代を務めました。そのため、2026年現在の大統領は「第21代」ですが、歴代大統領を個人単位で数えると李在明氏は14人目に当たります。
【歴代大統領の主な政策と功績】韓国経済・外交・民主主義はどう変わった?
韓国歴代大統領の評価では、経済成長、民主主義、外交・安全保障という3つの観点を分けて見ると、各政権の特徴を理解しやすくなります。
経済成長:朴正熙政権から半導体・AI時代へ
朴正熙政権は輸出主導の工業化を進め、韓国を製造業中心の経済へと転換させました。その後の政権も産業競争力の強化を重視し、李明博政権ではグリーン成長が政策の柱となりました。2026年の李在明政権では、半導体、AIデータセンター、AI関連産業などが重点分野になっています。
韓国政府が2026年に公表した政策では、AIの研究開発や産業への導入、半導体の競争力強化、地方の成長基盤づくりが重要な課題として掲げられています。ただし、政策目標を発表したことと、実際に成果が上がったことは区別して評価する必要があります。
民主主義:権威主義から大統領への法的責任追及へ
韓国政治の大きな転換点は、1987年の民主化と大統領直接選挙の実現です。それ以降も政治的対立や権力集中の問題は残りましたが、2004年の盧武鉉氏の弾劾訴追、2017年の朴槿恵氏の罷免、2025年の尹錫悦氏の罷免を通じて、国会と憲法裁判所が大統領の職務を審査する仕組みが実際に機能してきました。
特に朴氏と尹氏の罷免は、選挙で選ばれた大統領であっても、憲法や法律に違反する重大な行為があれば、その地位を失う可能性があることを示しました。一方、盧武鉉氏の弾劾訴追が棄却された事例は、弾劾の申し立てと罷免の判断が別の段階にあることを示しています。
外交・安全保障:南北対話と日米韓協力の間で
金大中政権と文在寅政権は南北対話を重視し、首脳会談などを通じて緊張緩和を目指しました。一方、保守系政権では北朝鮮への抑止力や米国との同盟関係を重視する傾向が見られます。尹錫悦政権は米国・日本との安全保障協力を進めました。
李在明政権にとっても、北朝鮮との関係、米中対立への対応、日米韓協力の維持は重要な課題です。経済政策だけでなく、外交と安全保障を含めて政権の成果を評価することが、韓国政治の全体像を理解する近道です。
【韓国大統領歴代】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:韓国の初代大統領は誰ですか?
A1:初代大統領は李承晩(イ・スンマン)氏です。1948年8月15日に大統領に就任し、1960年4月26日に辞任しました。大韓民国の建国を主導した一方、長期政権化と選挙をめぐる問題への批判が高まり、四月革命を受けて退陣しました。
Q2:2026年現在の韓国大統領は誰で、任期はいつまでですか?
A2:2026年10月現在の大統領は李在明氏です。2025年6月4日に任期を開始しており、憲法上の5年間の任期は2030年6月までとなります。韓国大統領は再選できない制度です。
Q3:韓国ではなぜ大統領の弾劾・罷免が起きるのですか?
A3:大統領が職務の遂行において憲法や法律に違反した場合、国会による弾劾訴追と憲法裁判所の審判を経て、罷免されることがあります。朴槿恵氏は2017年3月10日、尹錫悦氏は2025年4月4日に罷免されました。ただし、2004年の盧武鉉氏のように、弾劾訴追されても憲法裁判所が棄却するケースもあります。
韓国の歴代大統領を初代の李承晩から現職の李在明まで振り返ると、韓国政治は建国、経済成長、民主化、政権交代という大きな流れのなかで変化してきました。歴代大統領の功績や退任理由を理解するには、人物の評価だけでなく、その時代の制度や社会状況を併せて見る必要があります。
韓国政治のニュースを読む際に押さえておきたい判断軸は3つです。第一に、経済政策が掲げた目標と実際の成果を区別すること。第二に、弾劾訴追と罷免を混同せず、国会と憲法裁判所の判断を確認すること。第三に、保守・革新という政党の違いだけでなく、外交、安全保障、経済、民主主義に関する政策を個別に比較することです。
2025年の李在明政権の発足によって、韓国は再び新たな政治局面に入りました。2026年以降は、AI・半導体分野の成長戦略、国内の経済格差への対応、外交・安全保障政策、そして大統領権限に対する制度的な監視が、政権の評価を左右する重要な論点となります。