介護ベッドの導入を考えたとき、最初に気になるのが月々の費用と介護保険の適用条件です。介護保険を利用すれば、電動ベッドなどの特殊寝台を比較的少ない自己負担でレンタルできますが、すべての要介護度で利用できるわけではありません。要介護1以下では原則として対象外となり、医学的な必要性などを満たした場合に例外給付が認められる仕組みもあります。
2026年10月時点では、介護ベッド本体の料金だけでなく、マットレスやサイドレールなどの付属品、所得に応じた自己負担割合、利用開始前の手続きまで確認することが大切です。厚生労働省の公表資料や介護給付費等実態統計、自治体の案内をもとに、料金相場から事業者の選び方まで整理します。
【料金相場を解説】介護ベッドレンタルは月額いくら?自己負担額の計算方法

介護ベッドレンタルの費用は、選ぶ機種や付属品の数、介護保険の自己負担割合によって変わります。まず押さえておきたいのは、事業者に支払うレンタル料金の全額と、利用者が実際に支払う自己負担額は異なるという点です。
東急ウェルネスの介護情報記事が厚生労働省の介護給付費等実態統計(2026年5月審査分)をもとに算出した全国平均の試算では、特殊寝台の月額レンタル料は約8,700円、特殊寝台付属品は1点当たり約1,310円です。これらは全国平均の目安であり、個々の商品の料金を保証するものではありません。
自己負担割合は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割、特に所得の高い人は3割です。自分の負担割合は、自治体から交付される介護保険負担割合証で確認できます。
以下は、ベッド本体と付属品3点を借りた場合の概算です。付属品3点は計算例であり、すべての利用者に同じ構成が必要という意味ではありません。
| レンタル内容 | 月額の全額目安 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 介護ベッド本体 | 約8,700円 | 約870円 | 約1,740円 | 約2,610円 |
| 付属品1点 | 約1,310円 | 約131円 | 約262円 | 約393円 |
| 本体+付属品3点 | 約12,630円 | 約1,263円 | 約2,526円 | 約3,789円 |
出典:2026年5月審査分の介護給付費等実態統計をもとにした全国平均の試算。付属品3点の組み合わせは説明用の例です。金額は概算で、契約内容や利用期間などにより実際の請求額は異なります。
自己負担額はベッドの料金だけでは決まらない介護保険の自己負担額を見積もる際は、次の3点を分けて考えましょう。
- レンタル料金:ベッド本体、マットレス、サイドレールなど、実際に借りる商品の料金。
- 自己負担割合:負担割合証に記載された1割・2割・3割のいずれか。
- 介護保険の支給限度額:在宅介護サービス全体に設定された月ごとの上限。
介護ベッドのレンタル費用は、原則として居宅サービスの支給限度額の管理対象です。訪問介護やデイサービスなど、ほかのサービスも利用している場合は、ベッドの料金だけでなく、すべてのサービスを合わせて計算する必要があります。支給限度額を超えた部分は、原則として全額自己負担です。
また、介護保険の対象となる商品には、商品ごとの貸与価格の上限が設定されています。厚生労働省は2026年7月22日、2027年1月から適用する福祉用具の全国平均貸与価格と上限の一覧を公表しました。見積もりを比較するときは、単に「電動ベッド一式」と見るのではなく、商品名や商品コード、付属品ごとの料金を確認することが大切です。
【介護保険の適用条件】要介護1が対象外になる理由と利用できる人
介護ベッドのレンタルは、介護保険制度上の「福祉用具貸与」に該当します。介護保険の対象となる特殊寝台は、一般に、背部や脚部の角度調整、床板の高さ調整などの機能を備えた介護用ベッドです。
厚生労働省の福祉用具に関する資料では、特殊寝台とその付属品は、要介護度によって給付対象が区分されています。原則的な扱いは次のとおりです。
- 要介護2~5:本人にとっての必要性などを踏まえ、介護保険によるレンタルを利用できる。
- 要支援1・2、要介護1:原則として保険給付の対象外。ただし、所定の条件を満たせば例外給付を受けられる場合がある。
- 要介護認定を受けていない人:原則として介護保険による福祉用具貸与の対象にならない。自費での利用などを検討する。
要介護1の人が介護ベッドを使えないと一律に決められているわけではありません。制度上の考え方は、要支援1・2や要介護1では、寝返りや起き上がりなどの動作を自力で行える人が比較的多く、特殊寝台の使用が想定されにくいというものです。
特殊寝台は、起き上がりなどの動作を補助し、本人の自立を支えるとともに、介助する家族の身体的負担を軽減するための福祉用具です。その必要性を要介護度だけで一律に判断するのではなく、本人の実際の状態に応じて例外給付を検討する仕組みが設けられています。
なお、要介護2以上であれば、どのベッドや付属品でも自動的に保険適用になるという意味ではありません。本人の身体状況や生活環境に照らして必要性を判断し、ケアプランなどに位置付けたうえで利用するのが基本です。
【要介護1でも使える?】介護ベッドレンタルの例外給付の仕組み
要支援1・2や要介護1であっても、身体の状態から特殊寝台が必要と認められる場合には、例外給付の対象となる可能性があります。要点は、要介護度の数字だけでなく、医学的な所見と日常生活における動作の困難さを確認することです。
認定調査の結果で判断できるケース特殊寝台とその付属品について、厚生労働省の基準では、主に次の状態が判断の対象になります。
- 日常的に起き上がることが困難な状態。
- 日常的に寝返りをすることが困難な状態。
要介護認定の基本調査では、「起き上がり」や「寝返り」の項目が判断材料となります。特殊寝台については、基本調査の該当項目が「できない」と判定されることなどが、例外給付の検討に関係します。
認定調査だけでは必要性を判断しにくいケース基本調査の結果だけでは基準に該当しない場合でも、本人の状態によっては例外給付が認められることがあります。厚生労働省の基準や自治体の取扱いでは、例えば次のような状態が判断材料になります。
- 状態が頻繁に変動する:病気の症状などによって、時間帯によって起き上がりや寝返りが難しくなる。
- 状態が急速に悪化している:病状の進行などにより、短期間で介助の必要性が高まることが予測される。
- 重大な危険を避ける必要がある:身体を動かすことで症状の急激な悪化や重大な危険が生じるおそれがある。
ただし、これらの例に当てはまりそうだからといって、必ず給付が認められるわけではありません。主治医の医学的所見を踏まえ、ケアマネジャーがサービス担当者会議などを通じて必要性を判断し、自治体が定める確認手続きを行うことが基本です。自治体によって提出書類や確認方法が異なるため、事前の相談が欠かせません。
例外給付を希望する場合は、まずケアマネジャーに「要介護度は軽いが、起き上がりや寝返りに困難がある」「病状の変化によりベッドの機能が必要」といった具体的な状況を伝えましょう。医師の所見、認定調査の内容、本人の生活状況を確認し、給付の可否や申請方法を検討してもらうのが確実です。
【申請手続きから利用開始まで】介護ベッドレンタルの流れ
介護ベッドを初めて利用するときは、いきなり商品を契約するのではなく、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するところから始めます。介護保険を利用する場合は、本人の状態に合った用具の選定と、必要な手続きを並行して進めることが重要です。
利用開始までの基本的な5ステップ- 相談する:担当のケアマネジャーに、起き上がりや立ち上がりの困難さ、夜間の介助、介護する人の負担などを伝える。担当者がいない場合は、地域包括支援センターや自治体の介護保険窓口に相談する。
- 身体状況と住環境を確認する:本人の動作、ベッドを置く部屋の広さ、出入口の位置、移乗に使う車いすや手すりなどを確認する。
- 福祉用具貸与事業者と商品を選ぶ:福祉用具専門相談員に、ベッドの機能、サイズ、付属品、料金などを相談する。
- ケアプランと契約を整える:必要な用具をケアプランなどに位置付け、契約条件や自己負担額を確認する。例外給付が必要な場合は、自治体の確認手続きを進める。
- 搬入・設置・調整を行う:ベッドを設置し、本人や介助者が安全に操作できるか確認する。使い始めてからも、不具合や身体状況の変化に応じて相談する。
福祉用具貸与は、用具を渡して終わるサービスではありません。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、利用者の心身の状況や希望、生活環境を踏まえた選定支援、取り付け、調整などがサービスの内容として示されています。
申請前に確認しておきたいこと要介護認定を受けていない場合は、自治体の介護保険窓口で認定申請の手続きを確認します。認定前に自費でレンタルを始めることを検討する場合は、あとから介護保険が適用されると決めつけず、開始時期や給付の扱いを事前に相談してください。
また、要介護1以下で例外給付を希望するときは、通常のレンタル契約と同じ感覚で進めないことが大切です。必要書類や自治体の確認が済む前に契約・利用を開始すると、想定していた保険給付を受けられない可能性があります。ケアマネジャーと事業者の双方に、いつから保険適用になるのかを確認しましょう。
【失敗しない選び方】電動ベッド・マットレス・付属品と購入の違い
介護ベッドを選ぶ際は、モーターの数や価格だけで判断せず、本人がどの動作に困っているのかを基準にする必要があります。起き上がりを補助したいのか、ベッドから車いすへ移乗しやすくしたいのか、介助者が無理な姿勢にならないようにしたいのかによって、必要な機能は変わります。
電動ベッドは必要な機能から選ぶ- 背上げ機能:起き上がりを補助し、上半身を起こした姿勢を保ちやすくする。
- 高さ調整機能:立ち上がりや移乗、介助時の姿勢を調整しやすくする。
- 脚上げ機能:姿勢を調整するための選択肢となる。必要性は本人の状態や医師などの助言を踏まえて検討する。
- 操作性:リモコンの表示やボタンの配置、操作する人の使いやすさを確認する。
機能が多いほど使いやすいとは限りません。本人が操作するのか、家族や介護職員が操作するのかも含め、必要な機能に絞って選ぶと、費用と使い勝手のバランスを取りやすくなります。
マットレスと付属品も一緒に検討する介護ベッド本体と合わせて確認したいのが、マットレス、サイドレール、ベッド用グリップなどの付属品です。これらは特殊寝台付属品として介護保険の福祉用具貸与の対象となり得ますが、必要性や利用条件を確認する必要があります。
- マットレス:寝心地だけでなく、寝返りのしやすさ、身体の沈み込み、床ずれのリスクなどを考慮する。
- サイドレール:転落予防などの目的を確認し、本人の動作や介助方法に合うものを選ぶ。すき間への挟み込みなどの事故にも注意する。
- ベッド用グリップ:起き上がりや立ち上がりを支える必要性を確認する。設置位置が本人の動作を妨げないかも重要。
- その他の付属品:必要なものを個別に選び、各商品のレンタル料と保険適用の扱いを確認する。
特に、マットレスやサイドレールは、ベッド本体との適合性が重要です。厚生労働省の福祉用具選定に関する資料でも、付属品によって背上げ・脚上げ・高さ調整の機能が妨げられないよう、適合機種を確認することが示されています。
レンタルと購入はどちらがよい?介護ベッドのレンタルと購入には、それぞれ異なるメリットがあります。介護保険制度では、特殊寝台は原則として福祉用具貸与の対象です。特定福祉用具販売の対象となる品目とは区分が異なり、介護ベッド本体の購入費が同じ仕組みで保険給付されるわけではありません。
- レンタルが向いている人:身体状況や要介護度の変化に応じてベッドを交換したい人、必要な期間が定まっていない人、初期費用を抑えたい人。
- 購入を検討しやすい人:自費での利用を含め、長期間にわたり同じベッドを使う見込みがあり、購入費用や修理・処分費用も含めて比較したい人。
購入は月額料金が発生しない一方、初期費用がかかり、故障時の修理や買い替え、処分などを自分で手配する場合があります。レンタルは月々の費用がかかるものの、身体状況の変化に応じた交換や調整を相談しやすい点が利点です。
介護保険対象外の費用は契約前に確認する介護保険を利用できる場合でも、すべての関連費用が必ず保険給付の対象になるとは限りません。保険対象外の商品やオプション、支給限度額を超えた利用分、契約に定める特別な搬入条件、紛失・破損などの費用は、条件によって自己負担になることがあります。
契約時には、次の点を確認しておきましょう。
- 搬入・設置・回収・消毒・保守などが月額レンタル料に含まれているか。
- マットレスやサイドレールなどの付属品が別料金か。
- 故障時の交換や、身体状況が変わったときの機種変更に費用がかかるか。
- 中途解約や入院、施設入所などで利用を中止する場合の精算方法。
「ベッド一式で月額いくら」という見積もりだけでなく、各商品の料金と契約条件を確認することが、予想外の出費を防ぐポイントです。
【2026年最新】制度の動向と事業者の評判・口コミを見極める方法
2026年の介護ベッドレンタルを考えるうえでは、現在の利用条件だけでなく、介護保険の費用負担をめぐる制度の議論にも目を向けておきたいところです。
厚生労働省が公表した「経済財政運営と改革の基本方針2026」では、介護保険の2割負担の判断基準の見直しについて、2026年度中に結論を得る方針が示されています。2026年10月26日の社会保障審議会介護保険部会でも「持続可能性の確保(給付と負担)」が議題となりました。
これは、介護ベッドのレンタル料が一律に引き上げられたという意味ではありません。2026年10月時点で見積もりを作る際は、現在の負担割合証、実際に借りる商品の料金、保険適用の条件を基準にし、今後の制度変更については自治体やケアマネジャーから最新情報を得ることが重要です。
事業者の評判や口コミは何を基準に見るべきか福祉用具貸与事業者を比較するときは、口コミの評価点だけでなく、相談から設置後の対応までを確認しましょう。介護ベッドは、本人の身体状況や住宅環境に合っているかどうかが、使いやすさや安全性を大きく左右するためです。
- 説明のわかりやすさ:複数の機種と料金を比較でき、保険適用の条件も説明してくれるか。
- 設置・調整の対応:部屋の広さや移乗動作を確認し、本人に合わせて高さや位置を調整してくれるか。
- 故障・交換時の対応:不具合が起きたときの連絡先や対応時間、交換の条件が明確か。
- 契約内容の透明性:付属品の料金、解約時の精算、対象外費用などを事前に説明してくれるか。
事業者の基本情報を調べる際は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」が参考になります。事業所の情報やサービス内容を確認できる公的な仕組みですが、掲載情報だけで個々の利用者の満足度がすべて分かるわけではありません。実際の評判を調べる場合は、複数の口コミを読み、対応の速さや説明の丁寧さなど、具体的な評価内容を比較するのが有効です。
可能であれば、ケアマネジャーから複数の事業者を紹介してもらい、見積もりや対応を比べてみましょう。価格の安さだけではなく、設置後に相談できる体制や、身体状況の変化に応じて用具を見直せるかどうかまで確認すると、長く安心して利用しやすくなります。
【介護ベッドレンタル】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:介護ベッドレンタルは要介護1でも利用できますか?
A1:介護保険では、要介護1は原則として特殊寝台の貸与対象外です。ただし、起き上がりや寝返りが困難な場合など、所定の基準や医学的な所見、ケアマネジメント、自治体の確認手続きによって例外給付が認められることがあります。まずはケアマネジャーに相談してください。
Q2:マットレスやサイドレールも介護保険の対象ですか?
A2:特殊寝台付属品として貸与対象になり得ます。ただし、本人の状態や必要性、商品区分などによって扱いが異なります。ベッド本体とは別に料金が設定されている場合もあるため、見積もり時に付属品ごとの料金と保険適用の条件を確認しましょう。
Q3:介護ベッドはレンタルと購入のどちらがお得ですか?
A3:必要な期間や身体状況の変化によって異なります。介護保険の対象となる人で、機種変更や調整の可能性がある場合はレンタルが選択肢になります。購入する場合は、初期費用に加えて修理・買い替え・処分などの費用も含めて比較してください。介護ベッド本体の購入費は、通常の福祉用具貸与と同じ保険給付の対象ではありません。
介護ベッドレンタルは、介護保険の対象となる人にとって、初期費用を抑えながら本人の身体状況に合ったベッドを利用できる方法です。2026年の統計をもとにした全国平均の試算では、ベッド本体は月額約8,700円、1割負担なら約870円が目安となります。ただし、実際の支払額は機種や付属品、負担割合などによって変わります。
特に注意したいのは、要介護1以下では原則対象外となることと、例外給付には所定の判断や手続きが必要なことです。対象条件を確認せずに契約すると、想定していた自己負担額と実際の費用が異なる可能性があります。
まずはケアマネジャーに本人の状態や介助の悩みを伝え、必要な機能、マットレス、付属品、事業者の対応、契約条件を一つずつ確認しましょう。料金の安さだけで決めず、本人の安全と自立、介助する人の負担軽減を両立できるかどうかが、介護ベッド選びの重要な判断基準です。