2022年10月、北海道札幌市東区のアパートで、当時22歳だった女子大学生・瀬川結菜さんの遺体が発見された。事件で逮捕されたのは、当時53歳の小野勇被告。2人はSNSを通じて知り合ったとされ、小野被告は瀬川さんを殺害したとして嘱託殺人と死体損壊の罪に問われた。
事件をめぐってインターネット上では、2人の年齢差や接点の不透明さから「パパ活をしていたのではないか」という説も広がった。しかし、報道で確認できる出会いの経緯はSNSを通じた接触であり、金銭の授受やパパ活関係を裏付ける確かな情報は公表されていない。裁判でも、パパ活を前提とした認定はされていない。
2026年11月現在、裁判は最高裁判所による上告棄却を経て、懲役6年の実刑判決が確定している。事件発覚から逮捕、起訴、札幌地裁の判決、札幌高裁の控訴棄却、最高裁の決定までを振り返り、ネット上の噂と司法手続きで明らかになった事実を整理する。
【最初に結論】北海道女子大学生殺害事件にパパ活の事実はあったのか?

最も検索されている疑問である「瀬川結菜さんと小野勇被告はパパ活関係だったのか」という点について、結論から整理する。
2人がパパ活をしていたと認定できる証拠や、公的な発表は確認されていない。
事件発生当時、2人の年齢差は大きく、女子大学生と中年男性という組み合わせに注目が集まった。そのため、金銭的な援助を伴う交際だったのではないかという推測がネット上に現れた。
しかし、年齢差があることとパパ活をしていたことは別問題だ。パパ活という関係を裏付けるには、金銭の授受や対価を伴う関係性など、具体的な根拠が必要になる。
毎日新聞が2023年2月17日に報じた札幌地検の起訴内容では、2人はSNSを通じて知り合い、殺害依頼に関するやり取りがあったとされている。起訴された罪名も嘱託殺人と死体損壊であり、パパ活や売買春に関するものではない。
また、その後の裁判報道でも、パパ活を事件の背景として認定したという情報は確認できない。
なぜパパ活説が広がったのか噂が広がった背景には、いくつかの要素が重なっていた。
- 瀬川さんが当時22歳、小野被告が53歳という大きな年齢差。
- 2人がSNSで知り合ったという、当初は詳しく知られていなかった接点。
- 事件発覚当初、交際関係や面識の有無について情報が限られていたこと。
- 殺害依頼という特殊な事件の経緯が、ネット上でさまざまな推測を生んだこと。
こうした要素が重なると、説明のつかない関係性に対して、既存のイメージを当てはめた推測が生まれやすい。
ただし、パパ活説は事件の事実関係を説明する確定情報ではない。現在確認できる事件の中心的な事実は、SNSを通じて知り合った2人の間で殺害依頼に関するやり取りがあり、小野被告がその依頼に基づいて瀬川さんを殺害したとして有罪判決を受けたという点にある。
【SNSでの接点と関係者】瀬川結菜さんと小野勇被告の関係を整理
北海道女子大生嘱託殺人事件で重要なのが、瀬川さんと小野被告がどのように知り合い、どのような関係を築いていたのかという問題だ。
捜査関係者への取材を基にした報道では、2人はSNSを通じて知り合ったとされる。当時の報道ではTwitter(現在のX)を通じた接点も取り上げられていた。
小野被告は、瀬川さんと知り合った後、事件前にも会ったことがあると供述していたと報じられている。つまり、事件当日に初めて顔を合わせたという関係ではなかった。
事件に関係する人物・情報の相関関係| 人物・論点 | 関係・確認された内容 | 事実関係の位置づけ |
|---|---|---|
| 瀬川結菜さん | 北海道小樽市に住んでいた当時22歳の女子大学生 | 事件の被害者 |
| 小野勇被告 | 瀬川さんとSNSで知り合い、殺害したとして起訴された | 嘱託殺人・死体損壊で有罪判決が確定 |
| 2人の接点 | SNSを通じた知り合いで、事件前にも面会していたと報道 | 捜査関係者への取材報道などで確認 |
| パパ活説 | 金銭的援助を伴う関係だったという推測 | 裏付ける公的情報・確かな報道は確認されていない |
| 札幌地検 | 嘱託殺人と死体損壊の罪で起訴 | 2023年2月17日に起訴 |
| 札幌地裁・高裁・最高裁 | 懲役6年、控訴棄却、上告棄却 | 2024年5月に判決確定 |
今回の事件で注目すべきなのは、SNSというオンライン上の接点が、実際の面会につながり、重大な事件に発展したことだ。
インターネット上では、普段の生活圏では接点のない人同士でも、共通の関心や悩みをきっかけに交流が始まる。2人の場合も、SNSを介して接触し、事件前に実際に会っていたことが報じられている。
ただし、SNSで知り合ったという事実だけで、恋愛関係、金銭関係、あるいは特定の交際目的があったと判断することはできない。
また、事件に関するSNS投稿や第三者の証言には、瀬川さん本人との直接的なやり取りではない情報も含まれる。別の女性との接触についての報道を、そのまま瀬川さんとの関係に当てはめることもできない。
【事件発覚から逮捕まで】2022年10月に何が起きたのか
札幌女子大生殺害事件が明るみに出たのは、2022年10月だった。
瀬川さんが自宅を出た後、家族と連絡が取れなくなり、警察への届け出をきっかけに捜査が進展。札幌市東区にある小野被告の自宅アパートから瀬川さんの遺体が見つかった。
事件発覚から起訴までの時系列- 2022年10月3日:瀬川さんが自宅を出た後、連絡が取れなくなる。
- 2022年10月7日:家族が警察に連絡が取れないことを届け出る。
- 2022年10月8日:北海道警察が小野容疑者を銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕。自宅アパートの捜索で瀬川さんの遺体が発見される。
- 2022年10月10日:小野容疑者が死体遺棄容疑で再逮捕される。
- 2022年10月12日:死体遺棄容疑で送検されたと報じられる。
- 2023年2月17日:札幌地検が嘱託殺人と死体損壊の罪で起訴する。
瀬川さんは事件当時22歳の大学生で、小樽市に住んでいた。10月3日ごろから連絡が取れなくなり、家族が心配して警察に届け出たことが捜査のきっかけとなった。
警察は瀬川さんの足取りや交友関係を調べ、小野容疑者の存在を把握した。
10月8日、小野容疑者は刃物を所持していたことから銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された。その後、自宅アパートの捜索で瀬川さんの遺体が発見された。
司法解剖では、瀬川さんの死因は首を圧迫されたことによる窒息死と判明したと報じられている。
当初は死体遺棄事件として捜査が進められたが、小野容疑者が殺害についても供述したことなどから、警察は殺人の疑いも視野に捜査を進めた。
この段階で事件は大きく注目され、2人のSNS上の接点や事件に至るまでの経緯が社会的な関心を集めることになった。
【嘱託殺人と死体損壊】殺人罪ではなく嘱託殺人で起訴された理由
この事件を理解するうえで、特に重要なのが起訴された罪名だ。
小野勇被告は当初、殺人容疑などで捜査されていた。しかし、札幌地検が2023年2月17日に選択した罪名は、通常の殺人罪ではなく、嘱託殺人と死体損壊だった。
札幌地検が発表した起訴内容毎日新聞が報じた起訴状の内容によると、小野被告は2022年10月3日から6日までの間に、自宅アパートで瀬川さんから依頼を受けて首を絞め、窒息死させたとされる。
加えて、死亡後には浴室で刃物を使って瀬川さんの身体を損壊したとして、死体損壊罪にも問われた。
札幌地検は、殺人罪については立証できる証拠を集められなかったと説明している。そこで、瀬川さんからの依頼に基づく殺害という構成で、嘱託殺人罪による起訴に至った。
なお、当初の捜査対象だった死体遺棄と銃刀法違反については、札幌地検はいずれも不起訴処分としている。処分理由は公表されていない。
嘱託殺人とはどのような犯罪なのか嘱託殺人は、刑法202条の「自殺関与及び同意殺人」に規定されている犯罪の一つだ。
被害者本人から殺害の依頼を受け、その依頼に基づいて殺害した場合に成立し得る。通常の殺人罪とは異なる構成だが、本人が望んだという事情があっても、殺害行為そのものが合法になるわけではない。
本件の犯行当時、刑法202条は、嘱託を受けて人を殺した者について、6か月以上7年以下の懲役または禁錮を定めていた。
つまり、被害者本人の依頼が認められたとしても、実行した側には刑事責任が生じる。
なぜ通常の殺人罪と区別されるのか通常の殺人罪と嘱託殺人罪の大きな違いは、被害者の依頼や承諾が犯罪の成立に関わる点だ。
- 通常の殺人罪:本人の依頼や承諾がない状態で人を殺害する犯罪。
- 嘱託殺人罪:本人から殺害を依頼され、その依頼に基づいて殺害する犯罪。
- 死体損壊罪:死亡した人の遺体を損壊する行為を処罰する犯罪。
今回の事件では、札幌地検が嘱託殺人として起訴し、裁判所も有罪判決を言い渡した。したがって、事件を単純に「通常の殺人事件」とだけ説明すると、司法上の重要な違いを見落とすことになる。
【裁判の経緯】札幌地裁の懲役6年から最高裁の上告棄却まで
事件の刑事裁判は、2023年に札幌地方裁判所で始まり、2024年には札幌高等裁判所、最高裁判所へと進んだ。
最終的には小野被告側の主張が認められず、懲役6年の実刑判決が確定している。
2023年9月22日:札幌地裁が懲役6年を言い渡す2023年9月22日、札幌地方裁判所は小野勇被告に懲役6年の実刑判決を言い渡した。
検察側は懲役9年を求刑していた。一方、弁護側は被告の精神状態や瀬川さんからの依頼を考慮するよう主張し、執行猶予付きの判決を求めていたと報じられている。
裁判では、小野被告の責任能力が争点の一つとなった。札幌地裁は心神耗弱を認めず、刑事責任を負う能力があったと判断した。
一方で、被害者からの依頼に基づく犯行だったという事情も量刑判断に関係した。しかし、遺体を損壊した行為などについては厳しい評価が示され、実刑判決となった。
2024年2月14日:札幌高裁が控訴を棄却小野被告側は一審判決を不服として控訴した。
2024年1月30日に札幌高等裁判所で控訴審の初公判が開かれ、弁護側は精神状態の評価や量刑について争った。
しかし、2024年2月14日の控訴審判決で、札幌高裁は一審判決を支持。判決に不合理な点はないとして、被告側の控訴を棄却した。
これにより、懲役6年の一審判決が維持された。
2024年5月24日:最高裁が上告を棄却し判決確定小野被告は札幌高裁の判断も不服として最高裁判所に上告した。
しかし、最高裁判所第2小法廷は2024年5月24日付で上告を棄却する決定をした。
この決定により、懲役6年の実刑判決が確定した。HBC北海道放送も同月、最高裁の判断と判決確定を報じている。
2026年11月現在、確認できる刑事裁判の最終結果は、この2024年の最高裁決定である。事件について、懲役6年の判決が覆ったという公表情報は確認されていない。
【事件が残した社会的な問題】SNSでの出会いと希死念慮をどう考えるべきか
この事件が社会に突きつけた問題は、パパ活説の真偽だけではない。SNSを通じて知り合った相手との関係が、どのように重大な犯罪へと発展したのかという点にもある。
インターネット上の悩み相談と危険な接触SNSには、日常生活で打ち明けにくい悩みや精神的な苦痛を発信する利用者がいる。匿名性が高く、普段の人間関係から離れて交流できることは、相談先を見つけるきっかけにもなる。
一方、相手の身元や目的を十分に把握できないまま、個人的な関係に発展する危険もある。
今回の事件では、SNSを通じて知り合ったことが捜査関係者への取材報道などで明らかになった。事件の特殊性を踏まえると、SNS上での接触が現実の安全にどのような影響を与えるか、改めて考える必要がある。
本人の依頼があれば殺害してもよいのかこの事件では、嘱託殺人という罪名が適用されたことで、本人の意思と刑事責任の関係が注目された。
しかし、本人が死を望んでいたという事情と、第三者がその意思を実行してよいかという問題は同じではない。
刑法が嘱託殺人を犯罪として処罰するのは、本人の依頼が存在しても、人の生命を奪う行為について社会が無条件に認めることはできないためだ。
今回の判決でも、被害者からの依頼という事情があった一方で、被告の刑事責任や行為の悪質性が判断された。懲役6年という実刑判決は、依頼があれば責任を免れるという考え方を否定するものでもある。
事件の情報を見極めるための判断基準事件について調べる際には、情報を次のように区別すると理解しやすい。
- 公的に確認された事実:起訴内容、判決、最高裁の決定、警察や検察の発表。
- 報道された捜査情報:捜査関係者への取材に基づくSNSの接点や事件発覚までの経緯。
- 第三者の証言:知人や関係者が報道機関に話した内容。
- ネット上の推測:パパ活説、交際説、金銭関係など、裏付けが示されていない情報。
特に、SNSでの接触が確認されていることを理由に、金銭関係や恋愛関係まで事実として扱うのは適切ではない。
事件の全体像を理解するには、捜査段階の報道と、最終的に裁判で認定された内容を分けて読むことが大切だ。
【北海道女子大学生殺害事件】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:瀬川結菜さんと小野勇被告はパパ活をしていたのですか?
A1:パパ活をしていたと裏付ける公的情報や確かな報道は確認されていない。報道で確認できる2人の接点はSNSを通じたものであり、金銭的援助を伴う関係だったと断定することはできない。
Q2:瀬川結菜さんと小野勇被告はどこで知り合ったのですか?
A2:捜査関係者への取材報道によると、2人はSNSを通じて知り合った。当時の報道ではTwitter(現在のX)も接点として取り上げられている。事件前にも面会していたと報じられた。
Q3:小野勇被告はなぜ殺人罪ではなく嘱託殺人罪で起訴されたのですか?
A3:札幌地検は殺人罪について立証できる証拠を集められなかったと説明し、瀬川さんからの依頼に基づく殺害として嘱託殺人罪で起訴した。併せて死体損壊罪でも起訴されている。
Q4:小野勇被告の判決は何年ですか?
A4:2023年9月22日に札幌地裁が懲役6年の実刑判決を言い渡した。札幌高裁は2024年2月14日に控訴を棄却し、最高裁は同年5月24日付で上告を棄却したため、懲役6年が確定している。
Q5:2026年現在、事件の裁判はまだ続いていますか?
A5:刑事裁判については2024年5月の最高裁の上告棄却によって判決が確定している。2026年11月現在、確認できる最終的な司法判断は懲役6年の実刑判決である。
北海道女子大学生嘱託殺人事件では、当時22歳の瀬川結菜さんが亡くなり、小野勇被告が嘱託殺人と死体損壊の罪で有罪となった。
事件をめぐっては、2人の年齢差やSNSでの接点からパパ活説が広がった。しかし、パパ活をしていたという事実を裏付ける公的情報や確かな報道は確認されていない。
確認できるのは、2人がSNSを通じて知り合い、事件前にも接触していたこと、そして札幌地検が嘱託殺人と死体損壊の罪で起訴したことだ。
裁判では2023年9月に懲役6年の実刑判決が言い渡され、2024年2月に札幌高裁が控訴を棄却。さらに同年5月、最高裁が上告を棄却し、判決が確定した。
2026年現在、この事件を理解するうえで大切なのは、ネット上の刺激的な噂と、捜査・起訴・裁判を通じて確認された事実を混同しないことだ。瀬川さんの死という重大な結果を、根拠のない交際説や金銭関係の推測だけで説明することはできない。
事件の経緯と司法判断を正確に把握することが、同様の悲劇を繰り返さないために社会が考えるべき問題を見失わない第一歩となる。