グローブ座の座席を調べる際に、最初に押さえておきたいのが、シェイクスピアの時代に存在した歴史的な劇場と、1997年に開館した再現劇場「シェイクスピアズ・グローブ」の違いです。同じ「グローブ座」という名称でも、歴史を解説する資料と、実際に観劇するための座席表では、対象となる建物が異なる場合があります。
現在のシェイクスピアズ・グローブは、ロンドンのサザーク地区、テムズ川南岸のバンクサイドに位置する屋外劇場です。舞台を取り囲む客席や、屋根のない中央の立ち見エリアなど、エリザベス朝時代の劇場文化を体験できる構造が特徴です。この記事では、座席の位置と見え方、座席ごとの比較、1599年の創建から1613年の火災、1614年の再建、1642年の閉鎖までの歴史を、2026年時点の情報を踏まえて整理します。
【まず確認】グローブ座の座席を調べるなら、1997年開館の再現劇場を基準にする

「グローブ座の座席表」を検索したとき、最も実用的なのは、現在のシェイクスピアズ・グローブに設けられた客席配置を確認することです。歴史上の劇場は17世紀に閉鎖されており、当時の客席番号を使って現代のチケットを予約することはできません。
シェイクスピアズ・グローブの公式解説によると、現在のグローブ・シアターは1997年に正式開館しました。初代の劇場があった場所から約230メートル離れた場所に建てられ、当時の建築や上演形式を研究したうえで再現されています。
ここで区別したいのが、次の3つの呼び方です。
- 歴史上のグローブ座:1599年に創建され、シェイクスピアの劇団と深く結びついた劇場。
- シェイクスピアズ・グローブ:現在の劇場や関連施設、運営組織などを含めて指す名称。
- 現在のグローブ・シアター:1997年に正式開館した、屋外型の再現劇場。
また、名称の混同には別の背景もあります。ロンドンにはかつて「グローブ座」の名で知られ、1909年から1994年までその名称を使用していた劇場がありました。現在のギールグッド劇場がそれに当たり、1994年に俳優ジョン・ギールグッドを顕彰する名称へ変更されています。
したがって、座席の位置や見え方を調べるときは、単に「Globe Theatre」と書かれているかどうかだけでなく、ロンドンのバンクサイドにあるシェイクスピアズ・グローブの劇場なのかを確認することが大切です。
【歴史と経緯】1599年の創建から1613年の火災、1642年の閉鎖まで
グローブ座の歴史は、シェイクスピアの作品が上演された場所というだけでは語り尽くせません。劇場の建設、火災による消失、再建、そして政治的な決定による閉鎖という変遷が、当時の演劇文化を理解する手がかりになります。
シェイクスピアズ・グローブの公式歴史解説では、初代の劇場は1599年に、シェイクスピアが所属し、共同出資者でもあった宮内大臣一座によって建てられたと説明されています。土地の所有者として知られるのがトマス・ブレンドです。その土地は息子のニコラス・ブレンド、さらに孫のサー・マシュー・ブレンドへと受け継がれました。
劇場は1613年6月29日、シェイクスピアとジョン・フレッチャーの共作として知られる『ヘンリー八世』の上演中に火災に見舞われます。舞台演出に使われた大砲の火が、茅葺き屋根に燃え移ったことが原因とされています。劇場は焼失しましたが、公式解説によると、この火災で死者は出ませんでした。
その後、劇場は再建され、1614年6月には二代目のグローブ座が同じ場所に完成しました。屋根には瓦が使われ、初代とは異なる点もありました。しかし、二代目も永続したわけではありません。1642年9月6日、議会による劇場閉鎖の決定を受け、グローブ座は営業を終えました。
主要な出来事を時系列で整理すると、次のとおりです。
| 年月 | 出来事 | 歴史的な意味 |
|---|---|---|
| 1599年 | 初代グローブ座が創建 | 宮内大臣一座とシェイクスピアの活動を支えた劇場が誕生。 |
| 1613年6月29日 | 上演中の火災で初代が焼失 | 舞台演出に使われた大砲の火が茅葺き屋根に燃え移った。 |
| 1614年6月 | 二代目グローブ座が再建 | 同じ場所に再建され、屋根には瓦が使用された。 |
| 1642年9月6日 | 劇場閉鎖 | 議会による閉鎖の決定を受け、劇場としての営業を終えた。 |
| 1971年 | 再現計画を進める信託団体が設立 | サム・ワナメイカーが歴史的な劇場の再現を目指して活動を本格化。 |
| 1997年 | シェイクスピアズ・グローブが正式開館 | 歴史研究を踏まえた現代の再現劇場が一般公開された。 |
この年表で注目したいのは、現在の劇場が単に古い建物を保存した施設ではないことです。初代と二代目はすでに失われており、現在の施設は史料や建築研究をもとに再現された三代目に当たります。歴史的な劇場の記憶を現代の観劇体験につなぐために、建築や上演方法が研究されてきました。
【座席表を解説】ギャラリー席とヤードの位置関係を理解する
現在のグローブ・シアターは、中央に広がる舞台とヤードを、周囲のギャラリー席が取り囲む構造です。一般的な日本の劇場のように、客席が一方向から舞台を眺める形式とは異なります。観客と俳優が互いに視界に入る、円形に近い空間設計が特徴です。
公式案内では、劇場の収容人数は約1,570人で、そのうち約700人がヤードの立ち見客、残りが座席を利用する観客とされています。実際の座席配置や販売区分は公演によって異なるため、購入時には該当公演の座席表を確認してください。
1. ロウアー・ギャラリー(Lower Gallery)
舞台やヤードに比較的近い下段の客席です。俳優の表情や身体の動きを間近で感じたい人に向いています。中央寄りの席であれば、舞台全体と演技をバランスよく見やすいのが利点です。一方、左右の端では舞台を見る角度が大きくなり、柱が視界に入る席もあります。
2. ミドル・ギャラリー(Middle Gallery)
ロウアー・ギャラリーより高い位置から舞台を眺める客席です。舞台全体の動きや、複数の俳優が登場する場面を追いやすいことが魅力です。近さだけでなく全体の構図も重視するなら、中央寄りの席が有力な候補になります。ただし、左右の位置や個々の座席によって視界は異なります。
3. アッパー・ギャラリー(Upper Gallery)
上段に設けられた客席です。舞台を高い位置から見渡せる反面、俳優の細かな表情は近い席ほど捉えにくくなります。左右の端では舞台への視線が斜めになりやすく、柱や舞台上部の構造物が視界に影響する場合もあります。
4. ヤード(Yard)の立ち見エリア
舞台のすぐ前に広がる屋外の立ち見エリアです。ここで観劇する観客は「グラウンドリング」と呼ばれます。舞台との距離が近く、俳優の声や動きを体感しやすいのが最大の魅力です。その一方で、指定席のように自分の位置が確保されるとは限らず、上演中は基本的に立ったまま観劇します。座って休める席を求める人には、ギャラリー席のほうが適しています。
なお、ギャラリー席は伝統的な木製ベンチが中心です。公式案内では、座席用クッションなどの貸し出しも紹介されています。長時間の上演を予定している場合は、視界だけでなく座り心地も考慮して選ぶと安心です。
【見え方を比較】どの座席がおすすめ?視界・臨場感・快適さで選ぶ
グローブ座の座席選びでは、「前の席ほど必ずよい」とは限りません。舞台との距離、視線の角度、柱による遮り、座って観劇できるかどうかなど、複数の条件を組み合わせて判断する必要があります。
舞台全体を見渡したいなら、中央寄りのギャラリー席
初めて訪れる人や、複数の登場人物の動きを追いたい人には、中央寄りのロウアー・ギャラリーまたはミドル・ギャラリーが候補になります。舞台との距離と全体の見やすさを両立しやすいためです。ただし、中央寄りであっても階層や具体的な席番号によって条件は変わります。
俳優の存在感を間近で感じたいなら、ヤード
舞台との一体感や、俳優と観客が同じ空間を共有する体験を重視するなら、ヤードの立ち見席が向いています。歴史的な劇場の観劇文化を体感しやすいエリアですが、観劇中に立ち続けること、周囲の観客の身長や位置によって見え方が変わることには注意が必要です。
座って落ち着いて鑑賞したいなら、ギャラリー席
長時間の上演や、セリフを聞きながらじっくり物語を追う観劇では、指定されたギャラリー席のほうが負担を抑えやすいでしょう。クッションの利用も検討できます。特に足腰への負担が気になる人は、価格だけでなく座席の位置やアクセス条件も確認してください。
柱による視界の制限を避けたいなら、座席番号まで確認
シェイクスピアズ・グローブの公式予約案内では、座席表上で視界制限などの追加情報が付いた席を確認できる仕組みが案内されています。座席の区画名だけを見て判断するのではなく、予約画面で対象席の注記をチェックすることが大切です。
見え方を重視するなら、価格の安さだけで座席を決めるのは避けたいところです。比較的安価な席でも、舞台の一部が見えにくい場合があります。反対に、必ずしも最も高価な席を選ばなければならないわけでもありません。何を優先するかを決めたうえで、実際の座席情報を照合するのが合理的です。
【グローブ座の現在】2026年の観劇前に確認したいポイント
2026年現在、シェイクスピアズ・グローブはロンドンのバンクサイドで公演やガイドツアーを行う現役の文化施設です。シェイクスピア作品だけでなく、ルネサンス期の劇作家の作品、現代の新作、音楽イベント、教育プログラムなども扱っています。
ここで押さえておきたいのは、現在の劇場が歴史的な外観や舞台形式を再現しながらも、現代の安全基準に合わせて設計されている点です。公式の建築解説によると、木材には当時の建築を参考にしたオーク材が用いられ、木組みの技法も研究されています。一方、避難口や防火設備などは現代の規則に沿って整備されています。
客席の使い方にも違いがあります。歴史上の劇場では観客が密集して観劇していたのに対し、現在の劇場ではベンチ席に番号が付けられ、指定された位置で鑑賞できます。つまり、歴史的な雰囲気と現代の観劇環境を両立させた施設なのです。
観劇前には、次の項目を確認しておくと、座席選びの失敗を減らせます。
- 公演ごとの座席表:演目や販売区分に応じた最新の配置を確認する。
- 視界制限の表示:柱や舞台の角度など、視界に関する注記を確認する。
- 天候への備え:ヤードは屋根がなく、ギャラリー席も雨や直射日光の影響を受ける場合がある。
- 観劇時間と座り心地:長時間の上演なら、立ち見か座席かを慎重に選ぶ。
- アクセシビリティ:車いす対応席や移動経路、補助サービスについて事前に劇場へ確認する。
料金についても、公演や座席区分によって変わります。過去の公演料金をそのまま2026年の別公演に当てはめるのではなく、予約対象となる演目の公式案内で確認することが必要です。
【プロの結論】グローブ座の座席選びで失敗しない判断基準
グローブ座の座席選びで重要なのは、単純な前後の位置よりも、自分が何を重視して観劇するかを明確にすることです。舞台全体の動きや物語の理解を優先するなら中央寄りのギャラリー席、俳優との距離や臨場感を優先するならヤード、座り心地や身体への負担を重視するなら指定席が候補になります。
ただし、中央寄りの席でも個別の視界条件は異なり、ヤードでは周囲の観客によって見え方が変わります。購入時には、区画名や価格だけでなく、座席表に示された具体的な位置と視界制限の情報を確認することが欠かせません。
また、歴史を知ることは座席選びにもつながります。1599年に創建された初代グローブ座、1613年の火災後に1614年に再建された二代目、1642年に閉鎖された歴史上の劇場、そして1997年に開館した現代の再現劇場は、同じ名称を共有しながらも異なる存在です。この違いを理解すれば、歴史資料と現在のチケット情報を混同せずに済みます。
【グローブ座座席】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:グローブ座の座席表は、どこを確認すればよいですか? A1:ロンドンのシェイクスピアズ・グローブ公式サイトに掲載される、観劇予定の公演の予約用座席表を確認してください。席ごとの視界制限や販売状況も、該当する予約画面で確認するのが確実です。
Q2:グローブ座で見やすい座席はどこですか? A2:舞台全体を見渡したい場合は、中央寄りのロウアー・ギャラリーやミドル・ギャラリーが候補です。ただし、具体的な見え方は席の位置や柱の影響によって変わるため、座席表の注記まで確認してください。
Q3:グローブ座の立ち見席は座れますか? A3:ヤードのチケットは立ち見用です。上演中は立ったまま鑑賞することが基本となるため、長時間立つのが難しい人はギャラリー席を検討してください。
Q4:1599年のグローブ座と現在の劇場は同じ建物ですか? A4:同じ建物ではありません。1599年創建の初代劇場は1613年に焼失し、1614年に再建された二代目も1642年に閉鎖されました。現在のシェイクスピアズ・グローブは、旧劇場のあった場所から約230メートル離れた場所に建てられ、1997年に正式開館した再現劇場です。
グローブ座の座席を選ぶ際は、まず現在のシェイクスピアズ・グローブと歴史上のグローブ座を区別し、そのうえで公演ごとの座席表を確認することが出発点になります。
見やすさを重視するなら中央寄りのギャラリー席、臨場感を重視するならヤードの立ち見席が候補です。一方、柱による視界の制限、天候、長時間の観劇による負担など、席ごとの条件も見逃せません。
1599年の創建、1613年の火災、1614年の再建、1642年の閉鎖という歴史を知ることで、現在の劇場が受け継いでいるものと、現代の観劇環境に合わせて変わったものが見えてきます。歴史的な劇場文化への理解を深めながら、最新の座席情報を確認し、自分に合った位置を選んでください。