ホーム グルメ・レシピ シェルピンスキーのギャスケットとは?作り方・面積・次元・パスカルの三角形との関係を徹底解説【2026年版】

シェルピンスキーのギャスケットとは?作り方・面積・次元・パスカルの三角形との関係を徹底解説【2026年版】

星野 あかり 星野 あかり • 更新: • 公開: • 読了約 21 分
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三角形の中央を取り除き、残った三角形にも同じ操作を繰り返す。たった一つの単純な規則から、どこまでも細かな三角形の模様が生まれます。これが「シェルピンスキーのギャスケット」です。シェルピンスキー三角形とも呼ばれ、フラクタル図形を代表する存在として、数学やコンピューターサイエンスの教材でも取り上げられています。

この図形の興味深いところは、見た目の美しさだけではありません。穴を増やし続けると面積はゼロに近づく一方、穴の境界まで含めた周長は際限なく増えていきます。加えて、パスカルの三角形に並ぶ数の奇数・偶数を色分けするだけでも、よく似た模様が現れます。2026年時点の数学的な基礎知識を踏まえ、歴史、作り方、計算式、ハウスドルフ次元、カオスゲーム、プログラミングによる描画方法まで順番に解説します。

【シェルピンスキーのギャスケットとは】三角形を繰り返し取り除くフラクタルの正体

シェルピンスキーのギャスケット

シェルピンスキーのギャスケットは、正三角形から始め、中央の逆向きの三角形を取り除く操作を繰り返して得られる図形です。「ギャスケット(gasket)」は、すき間や穴のある構造を連想させる名称で、英語では Sierpiński gasket、Sierpiński triangle などと表記されます。

名前の由来は、ポーランドの数学者ヴァツワフ・シェルピンスキ(Wacław Sierpiński)です。シェルピンスキーは1915年に、この図形につながる数学的な構造を発表しました。現在では、フラクタルや再帰構造を説明する代表的な例として知られています。

図形はどのように作られるのか

基本の作り方は、次の4段階で理解できます。

  1. 正三角形を1つ描く。
  2. 3辺の中点を結び、元の三角形を面積が等しい4つの小さな三角形に分ける。
  3. 中央にできた逆向きの三角形を取り除く。
  4. 残った3つの三角形それぞれに、同じ操作を繰り返す。

1回目の操作では、中央に1つの穴ができます。2回目には、残った3つの三角形の中央にも穴ができ、合計4つの穴になります。3回目にはさらに穴が増え、同じ規則が小さな尺度で繰り返されます。

この操作を無限に続けた極限として定義される図形が、数学的な意味でのシェルピンスキーのギャスケットです。実際に紙や画面で描く場合は、有限回の操作で近似します。

フラクタル図形の仕組みを支える「自己相似性」

最大の特徴は、自己相似性です。図形の全体と、その一部分が縮尺を変えると同じような形になる性質を指します。

シェルピンスキーのギャスケットでは、1回の操作を終えた図形の中に、全体を2分の1に縮小したものと同じ形が3つ残ります。加えて、その3つの内部にも同じ構造が繰り返されます。

この規則を数学的には再帰構造と呼びます。ある図形を定義する際、その図形と同じ規則で作られる、より小さな図形を使う考え方です。コンピューターで描画するときも、この再帰構造をそのままプログラムに置き換えられます。

なお、自己相似性が見られる図形がすべて、シェルピンスキーのギャスケットと同じ形になるわけではありません。縮小の倍率や、繰り返しによって残る部分の数が違えば、異なるフラクタルが生まれます。

【面積はゼロへ、周長は無限へ】数式で読み解く驚きの性質

シェルピンスキーのギャスケットを数学的に理解するうえで、特に重要なのが面積と周長の変化です。穴が増える様子を眺めるだけでは直感に反する結果も、毎回の操作で何が変化するかを計算すれば明確になります。

面積が毎回4分の3になる理由

最初の三角形の面積をA₀とします。辺の中点を結ぶと、元の三角形は面積がそれぞれA₀の4分の1である4つの小三角形に分かれます。そのうち中央の1つを取り除くため、残る面積は元の4分の3です。

同じ操作を繰り返すと、残った部分の面積は次のようになります。

  • 0回目:A₀(元の面積の100%)
  • 1回目:A₀ × 3/4(75%)
  • 2回目:A₀ × 9/16(56.25%)
  • 3回目:A₀ × 27/64(約42.19%)
  • n回目:A₀ × (3/4)ⁿ

ここでnは操作の回数です。0より大きい数である3/4を何度も掛け続けるため、nが大きくなるほど面積は小さくなります。そしてnを無限に大きくした極限では、残る面積はゼロになります。

ただし、これは「有限回の操作で面積が完全にゼロになる」という意味ではありません。どれほど細かくしても、有限回の段階では正の面積が残ります。ゼロになるのは、無限回の操作で定義される極限においてです。

周長はどのように変化するのか

周長については、何を測るかを区別する必要があります。元の三角形の外側の輪郭だけを測るなら、辺は取り除かれずに残るため、外周の長さは変わりません。一方、中央にできた穴の境界まで含めて、図形のすべての境界線を測ると、長さは増え続けます。

元の三角形の1辺をL、元の外周をP₀=3Lとすると、n回目までのすべての境界線の合計は、次の式で表せます。

Pₙ=P₀ × (3/2)ⁿ

1回目には、外周3Lに加えて、1辺がL/2の中央の穴の周囲3L/2が加わります。2回目以降も新たな穴の境界が追加され、合計の長さは毎回3/2倍になります。そのため、極限では境界線の合計が無限大になります。

面積はゼロに近づくのに、境界の長さは無限大へ向かう。この対照的な振る舞いこそ、シェルピンスキーのギャスケットがフラクタルの数学的性質を学ぶうえで重要な理由です。

計算結果を一覧で確認

米セント・アンドルーズ大学の数学史資料「MacTutor」や、数学情報をまとめる「Wolfram MathWorld」では、三角形の個数、縮小率、面積、次元といった性質が整理されています。基本となる数値を

観点 計算式・事実 数学的な意味
歴史 1915年にシェルピンスキが発表 再帰的な構造を持つ図形として数学的に研究された
残る三角形の数 3ⁿ 操作のたびに個数が3倍になる
小三角形の1辺 L ÷ 2ⁿ 操作のたびに長さが半分になる
残る面積 A₀ × (3/4)ⁿ 無限回の極限でゼロになる
全境界線の合計 P₀ × (3/2)ⁿ 有限段階では増え、極限で無限大になる
ハウスドルフ次元 log 3 ÷ log 2 ≈ 1.585 線の1次元と平面の2次元の間に位置する

表のnは繰り返し回数、Lは元の三角形の1辺、A₀は元の面積、P₀は元の外周です。周長の式は外側の輪郭だけではなく、各段階で生じた穴の境界も含めた合計を表します。

【1915年の数学とパスカルの三角形】歴史から見える意外なつながり

シェルピンスキ以前にも似た模様が存在した

シェルピンスキーのギャスケットという名前は、20世紀初頭の数学研究に由来します。ただし、似た模様の歴史はそれ以前にもさかのぼります。

Wolfram MathWorldは、シェルピンスキーの図形に似た有限の入れ子状パターンが、13世紀のイタリア美術にも見られると紹介しています。これは、現在の数学で定義される無限のフラクタルが当時すでに完成していたという意味ではありません。幾何学的な模様として似た構造が、数学的な理論化よりも前から現れていたということです。

1915年のシェルピンスキの研究は、こうした構造を数学的に扱ううえで重要な節目になりました。今日では、幾何学、位相、数論、アルゴリズムなど、異なる分野を結び付ける題材にもなっています。

パスカルの三角形を奇数・偶数で色分けすると現れる

シェルピンスキーのギャスケットには、パスカルの三角形との興味深い関係があります。パスカルの三角形とは、各段の両端に1を置き、内側には直上の2つの数を足した値を並べていく数の配列です。

例えば、上から順に並べると、次のようになります。

1

1 1

1 2 1

1 3 3 1

1 4 6 4 1

1 5 10 10 5 1

ここで、奇数を黒、偶数を白に塗り分けてみます。すると、1や3などの奇数が並ぶ位置と、2や4、6などの偶数が並ぶ位置によって、三角形の内部に穴があるような模様が現れます。

加えて、行数を2の累乗に合わせて広げていくと、シェルピンスキーのギャスケットに対応する自己相似的なパターンがはっきりします。Wolfram MathWorldでは、この関係をパスカルの三角形を法2で考えた構造として説明しています。

なぜ奇数・偶数だけでフラクタルになるのか

パスカルの三角形の各項は、二項係数によって表されます。通常は数値の大きさに注目しますが、奇数か偶数かだけに着目すると、数値そのものを細かく計算しなくても配列の規則性を取り出せます。

例えば、2つの数を足す場合、奇数+奇数は偶数、奇数+偶数は奇数、偶数+偶数は偶数です。この単純な規則が各段で繰り返され、三角形全体に規則的な模様を作り出します。

これは、フラクタルが必ずしも図形を直接描き、穴を削り取る操作だけで生まれるわけではないことを示しています。数列や二項係数のような離散的な数学の構造からも、幾何学的なフラクタルが現れるのです。

【カオスゲームとプログラミング】ランダムな点から図形を作る方法

シェルピンスキーのギャスケットは、三角形を分割する方法以外にも生成できます。その代表例が「カオスゲーム」です。名前にはカオスとありますが、操作は難しくありません。ランダムに選んだ頂点へ向かって、現在の点を少しずつ移動させる方法です。

カオスゲームの基本ルール

用意するものは、三角形の3つの頂点と、最初の点だけです。次の手順を繰り返します。

  1. 三角形の内部などに、最初の点を1つ選ぶ。
  2. 3つの頂点から、ランダムに1つを選ぶ。
  3. 現在の点と選んだ頂点の中点を求め、その位置に点を打つ。
  4. 新しい点を現在の点として、同じ操作を繰り返す。

この操作を数千回、数万回と繰り返すと、点の集まりがシェルピンスキーのギャスケットの形に近づいていきます。各頂点を等しい確率で選ぶ標準的な方法では、中央の大きな領域や、その内部に繰り返し現れる穴には点が集まりません。

三角形を分割して穴を明示的に取り除く方法と違い、カオスゲームでは図形の輪郭を直接描く必要がありません。簡単な確率的操作から、複雑な幾何学構造が浮かび上がる点が特徴です。

Pythonでシェルピンスキー三角形を描画する

プログラミングで作る場合は、再帰関数を利用する方法が分かりやすいでしょう。以下は、Pythonの標準ライブラリであるturtleを使い、3つの頂点に対応する小三角形を再帰的に描く例です。

import turtle

pen = turtle.Turtle
screen = turtle.Screen

screen.setup(800, 700)
pen.hideturtle
pen.speed(0)
pen.penup

def midpoint(p, q):
return ((p[0] + q[0]) / 2,
(p[1] + q[1]) / 2)

def draw_triangle(points):
pen.goto(points[0])
pen.pendown
pen.fillcolor("black")
pen.begin_fill

for point in points[1:] + [points[0]]:
pen.goto(point)

pen.end_fill
pen.penup

def sierpinski(points, depth):
if depth == 0:
draw_triangle(points)
return

a, b, c = points
ab = midpoint(a, b)
bc = midpoint(b, c)
ca = midpoint(c, a)

sierpinski([a, ab, ca], depth - 1)
sierpinski([ab, b, bc], depth - 1)
sierpinski([ca, bc, c], depth - 1)

sierpinski(
[(-300, -230), (300, -230), (0, 290)],
5
)

screen.mainloop

このコードでは、最初に大きな三角形を設定し、中央を描かずに、3つの角に残る三角形だけを再帰的に描画します。depthが0になった段階で塗りつぶしを実行するため、繰り返し回数を変えるだけで模様の細かさを調整できます。

depthを1増やすと、描画される小三角形の個数は3倍になります。例えば、depthが5なら最終段階の小三角形は3⁵=243個です。さらに大きな値にすれば細部は増えますが、描画処理にも時間がかかります。

カオスゲームと再帰描画は、同じ図形を異なるアルゴリズムで生成する例です。前者はランダムな点の反復、後者は幾何学的な分割を利用します。目的に応じて手法を選ぶことで、フラクタルの構造とプログラムの設計を同時に学べます。

【ハウスドルフ次元で比較】ほかのフラクタル図形と何が違う?

1次元でも2次元でもない「1.585」という値

シェルピンスキーのギャスケットのハウスドルフ次元は、次の式で表されます。

D=log 3 ÷ log 2 ≈ 1.58496

この値は、自己相似な図形が縮小されたときに、いくつの同じ形が残るかという規則から導かれます。ギャスケットは、元の図形を2分の1に縮小したコピー3つから構成されるため、3=2ᴰという関係が成立します。この式をDについて解くと、上の値が得られます。

通常の線の次元は1、平面の次元は2です。シェルピンスキーのギャスケットはその間に位置するため、整数ではない次元を持つ図形として説明されます。

ただし、1.585という数字は、普通の三角形の面積が約1.585平方単位あるという意味ではありません。ハウスドルフ次元は、図形の細部がどのように増え、縮小されるかを捉える尺度です。面積や周長とは異なる概念として理解する必要があります。

カントール集合やコッホ雪片との違い

フラクタルには、シェルピンスキーのギャスケット以外にも多様な種類があります。共通するのは、細かな構造に繰り返しの規則が見られることですが、どのように構成されるか、面積や境界がどう変化するかはそれぞれ異なります。

  • カントール集合:線分から中央の3分の1を繰り返し取り除いて作ります。自己相似次元はlog 2 ÷ log 3で、約0.631です。
  • コッホ雪片:線分の中央部分を三角形状に置き換える操作を繰り返します。境界の長さは無限大に増えますが、囲まれた面積は有限値に収束します。
  • シェルピンスキーのカーペット:正方形を9等分し、中央を取り除く操作を繰り返します。自己相似次元はlog 8 ÷ log 3で、約1.893です。
  • シェルピンスキーのギャスケット:三角形を4分割し、中央を取り除く操作を繰り返します。面積はゼロに近づき、ハウスドルフ次元は約1.585です。

コッホ雪片とシェルピンスキーのギャスケットを比べると、同じフラクタルでも面積の極限が異なることが分かります。コッホ雪片は境界が無限に長くなりながら面積は有限に収まります。一方、ギャスケットは中央の領域を繰り返し取り除くため、残る面積がゼロに向かいます。

よくある誤解を整理する

シェルピンスキーのギャスケットを学ぶ際には、次の3点を混同しないことが大切です。

  • 「穴が増えると、有限回でも面積はゼロになる」:誤りです。有限回の段階では面積は正の値を保ち、ゼロになるのは無限回の極限です。
  • 「周長が無限大なら、外側の三角形も大きくなる」:誤りです。外周は一定です。無限大になるのは、穴の境界を含めた全境界線の合計です。
  • 「カオスゲームは、どのように点を打っても必ず同じ形になる」:単純化しすぎた理解です。標準的な方法では頂点を等確率で選び、中点へ移動します。移動規則や選択確率を変えれば、分布や生成結果も変わり得ます。

【プロの結論】シェルピンスキーのギャスケットから学ぶべき3つの視点

シェルピンスキーのギャスケットを理解するうえで、最も重要なのは、見た目の複雑さではなく、単純な規則がどのような数学的性質を生み出すかに注目することです。

第一に、自己相似性と再帰構造を区別せずに結び付けて考えること。図形の全体と部分に同じ形が現れるという幾何学的な特徴を、コンピューターでは関数の繰り返しとして実装できます。数学とプログラミングが自然につながる好例です。

第二に、面積と周長を別々に扱うこと。面積がゼロに近づくことと、境界線の合計が無限大になることは矛盾しません。面積は平面上の広がり、周長は境界の長さを測る量であり、フラクタルでは両者が直感どおりに振る舞わない場合があります。

第三に、幾何学だけでなく数論やアルゴリズムにも目を向けること。パスカルの三角形を奇数・偶数で色分けする方法と、カオスゲームで点を打ち続ける方法は、まったく異なる操作から同じ構造が現れることを示します。複雑な形を生む規則を発見することが、フラクタルを理解する核心です。

初めて学ぶ人には、まず手描きで3回ほど操作を繰り返し、面積がどのように減るかを確かめる方法が向いています。数式に慣れてきたら面積・周長・ハウスドルフ次元を計算し、さらに深く学びたい場合はPythonで再帰描画やカオスゲームを実装すると、理解を段階的に深められます。

【シェルピンスキーのギャスケット】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:シェルピンスキーのギャスケットは何回で完成しますか?
A1:数学的には、無限回の操作を行った極限として定義されます。実際の手描きやプログラムでは有限回で近似し、繰り返し回数を増やすほど細かな構造を表現できます。

Q2:シェルピンスキーのギャスケットの面積は本当にゼロですか?
A2:無限回の操作を行った極限では面積はゼロになります。ただし、有限回の操作で完全にゼロになるわけではありません。n回目の面積は、最初の面積の(3/4)ⁿ倍です。

Q3:パスカルの三角形から、なぜ同じ模様が生まれるのですか?
A3:各項の奇数・偶数を色分けすると、二項係数の偶奇にある規則が三角形状の模様として現れるためです。特に、2の累乗に対応する行数で区切ると、シェルピンスキーのギャスケットに似た自己相似構造を確認できます。

シェルピンスキーのギャスケットは、正三角形の中央を繰り返し取り除くという単純な操作から生まれる代表的なフラクタル図形です。全体と部分に同じ構造が現れる自己相似性を持ち、再帰関数による描画やカオスゲームによる生成にも適しています。

数学的な見どころは、面積がA₀ × (3/4)ⁿに従ってゼロへ近づく一方、穴の境界を含めた周長は無限大へ向かうこと、そしてハウスドルフ次元が約1.585という非整数になることです。加えて、パスカルの三角形の奇数・偶数の配置にも同様の構造が現れます。

図形を作って規則を確かめる、数式で極限を計算する、プログラムで反復を再現する。この3つの視点を組み合わせれば、シェルピンスキーのギャスケットは単なる美しい模様ではなく、幾何学・数論・計算機科学をつなぐ数学の教材として理解できます。

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星野 あかり

栄養情報は公的食品データベース、調理法はメーカー公式表記で裏取り。体験談は取材の了承を得た範囲でのみ引用します。

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