大坂は2026年9月1日に開幕した女子シングルスで、初戦から安定した勝負強さを発揮した。第13シードとして臨んだ大会では、1回戦と2回戦をいずれもフルセットに近い接戦で勝ち抜き、3回戦では第23シードのメルテンスを撃破。4回戦進出を決めた。
大会公式サイトとWTAの試合記録に基づく全4試合の結果は以下の通りだ。
※スコアは各セットのゲーム数。タイブレークの括弧内数字はタイブレークの得点を示す。
1回戦:アナスタシア・ザハロワにストレート勝ち初戦の相手は、当時世界ランキング101位のアナスタシア・ザハロワ。大坂とは初対戦だった。
試合は7-6(6)、7-6(3)で大坂が勝利。スコアだけを見るとストレート勝ちだが、決して簡単な試合ではなかった。
第1セットでは一時5-2とリードしながら、ザハロワの粘りに遭ってタイブレークに突入。大坂は相手に追い上げられながらも、要点で攻撃力を発揮してセットを奪った。
第2セットではサービスと強烈なグラウンドストロークを生かして主導権を取り戻し、2時間を超える試合を締めくくった。
大会公式サイトによれば、大坂は20本のウイナーを記録し、ザハロワの13本を上回った。初戦特有の緊張感と試合勘の問題を抱えながらも、勝ち切ったことは大きな収穫だった。
2回戦:カテリナ・シニアコバとの接戦を制す2回戦では、チェコのカテリナ・シニアコバと対戦した。シニアコバはダブルスで世界ランキング1位を経験した実力者で、ネットプレーやラリーの組み立てに優れている。
大坂は第1セットを6-2で先取。序盤は強力なストロークで相手を押し込み、主導権を握った。
ところが第2セットでは流れが変わる。4-2とリードしていたものの、シニアコバの粘りと自身のミスが重なり、5-7でセットを落とした。
それでも大坂は崩れなかった。第3セットでは気持ちを切り替え、6-1で圧倒。フルセットの戦いを制して3回戦に駒を進めた。
大会公式サイトの試合レポートでは、大坂のウイナー31本に対してアンフォーストエラーは29本と紹介されている。積極的に攻める姿勢を維持しながら、最後まで勝負を諦めなかったことが印象的な一戦だった。
3回戦:エリーズ・メルテンスを破り、ベスト16進出3回戦の相手は第23シードのエリーズ・メルテンス。安定したストロークと守備力を持つベルギーの実力者だ。
大坂は第1セットを6-3で奪ったものの、第2セットは3-6で落とした。勝負は最終セットにもつれ込んだ。
第3セットでは大坂が身体の不調を訴え、トレーナーを呼んでメディカルタイムアウトを取る場面もあった。それでも終盤に攻勢を強め、7-5で勝利。セットカウント2-1で4回戦進出を決めた。
WTA公式の試合統計では、大坂はサービスエース9本を記録。試合全体で218ポイントを争い、111ポイントを獲得した。接戦をものにする勝負強さが光った一方、身体面の不安が次戦への大きな懸念材料になった。
【脚の負傷の真相】メルテンス戦で明らかになったアキレス腱の不調

2026年の全米オープンで大坂のパフォーマンスと同じくらい注目されたのが、左脚の状態だった。
3回戦のメルテンス戦では、第3セットの途中でトレーナーを呼び、左ふくらはぎ付近の処置を受けた。大会公式サイトの報道によると、問題となっていたのは左アキレス腱付近の慢性的な不調だった。
大坂本人が明かした負傷の経緯試合後、大坂は芝シーズンから続いている不調について説明している。
「大きなけがとは言わないけれど、芝シーズンからずっと付き合っている問題。いつも気になる状態で、完全には消えていない」
これは大会公式サイトが伝えた本人のコメントの日本語訳だ。今回突然発生した負傷というより、以前から抱えていた不調が大会中にも続いていたことが分かる。
試合中のメディカルタイムアウトでは、トレーナーによる処置が行われた。大坂は処置後に3ゲームを連取し、メルテンスを振り切っている。
大会公式サイトの記事では、処置に使われたタイガーバームにも触れられている。本人は、トレーナーに塗ってもらったことで助けになったと話していた。
6月の右足の負傷とは別に考える必要があるもう一つ押さえておきたいのが、2026年6月末のバート・ホンブルク大会で起きた負傷だ。
大坂は同大会のカロリナ・ムホバとの決勝戦で、右足の負傷によって途中棄権していた。これは全米オープンで報じられた左アキレス腱の不調とは、左右の部位が異なる。
したがって、6月の右足の負傷と9月の左アキレス腱の問題を、同一のけがとして扱うのは正確ではない。
全米オープンのメルテンス戦で重要なのは、左脚の不調が試合中の動きや回復に影響する可能性を抱えながら、フルセットの接戦を戦い抜いた点だ。
負傷を抱えた状態でリバキナ戦に臨んだ影響メルテンス戦からリバキナ戦までは、回復に使える時間が限られていた。大会公式サイトも、次戦まで48時間を切る状況でのコンディション調整に注目していた。
もちろん、4回戦の敗因を負傷だけに求めることはできない。リバキナはサーブ、リターン、攻撃の精度で大坂を上回っており、試合統計にも実力差が表れている。
ただし、全米オープンのように短期間で複数の試合をこなすグランドスラムでは、1試合の激闘が次の試合に影響する。大坂の2026年大会は、技術面だけでなく、連戦を戦い抜く身体の管理という課題も浮き彫りにした。
【4回戦リバキナ戦の詳細】1-6、4-6で敗れた理由を分析
2026年9月7日、大坂は第2シードのエレナ・リバキナと4回戦で対戦した。
リバキナは強力なサーブと、ベースラインからの攻撃力を武器とするカザフスタンのトップ選手。2026年の全豪オープンを制しており、今大会でも優勝候補の一角だった。
試合はリバキナが6-1、6-4で勝利。大坂は準々決勝進出を逃した。
第1セットはわずか22分で決着第1セットはリバキナの一方的な展開になった。
大坂は最初のサービスゲームで時速122マイル(約196キロ)のエースを決めたが、その後のゲームではダブルフォルトが重なり、早い段階でサービスをブレークされた。
リバキナは強烈なショットでコートの左右に大坂を走らせ、主導権を渡さなかった。大会公式サイトによると、第1セットはわずか22分で終了。リバキナが10本のウイナーを決めたのに対し、大坂は3本にとどまった。
第2セットは反撃するも、リバキナのサーブを崩せず第2セットでは大坂もラリーで粘りを見せた。第1セットより長いポイントが増え、試合の流れを変えようとする場面もあった。
しかし、リバキナのサービスゲームを崩すことができず、大坂はブレークポイントを生かせなかった。3-5からのサービスゲームではマッチポイントを2度しのいだものの、最後はリバキナがエースを決めて試合を締めくくった。
第1セットの勢いを第2セットでも維持したリバキナの完成度が際立つ試合だった。
試合統計で見る両者の差WTA公式の試合統計を比較すると、リバキナが優位に立ったポイントが明確になる。
- サービスエース:大坂2本、リバキナ7本
- ダブルフォルト:大坂5本、リバキナ1本
- 第1サーブでのポイント獲得率:大坂66.7%、リバキナ87.1%
- 第2サーブでのポイント獲得率:大坂29.4%、リバキナ50%
- ブレークポイント獲得数:大坂0/1、リバキナ3/8
- 総獲得ポイント:大坂41、リバキナ60
特に注目すべきなのは、第1サーブのポイント獲得率だ。リバキナは87.1%という高い数字を残し、大坂にリターンから試合を組み立てる余地をほとんど与えなかった。
加えて、第2サーブでもリバキナが50%を獲得したのに対し、大坂は29.4%。サーブで押し込まれたことで、ストローク戦でも守勢に回る場面が増えた。
総ポイントでもリバキナが60対41と大きく上回っている。単にスコアが2セットで終わっただけではなく、試合全体を通じてリバキナが優勢だったことを示す数字だ。
今回のリバキナ戦は、負傷によるコンディションの問題と、相手の技術的な優位性を分けて評価する必要がある。大坂にとって厳しいコンディションだったことは確かだが、リバキナのサーブとショットの精度も勝敗を左右する大きな要因だった。
【2018年・2020年の優勝歴】大坂なおみの全米オープン歴代成績
大坂なおみを全米オープンの歴史で語るうえで欠かせないのが、2018年と2020年の2度の優勝だ。
日本女子テニス界にとっても歴史的な快挙であり、大坂の名前が世界的に知られるきっかけとなった大会でもある。
2018年:セリーナ・ウィリアムズを破って初優勝2018年9月8日、大坂は決勝でセリーナ・ウィリアムズと対戦。6-2、6-4のストレートで勝利し、グランドスラム初優勝を果たした。
当時20歳だった大坂は、日本人選手として初めてグランドスラム女子シングルスを制覇。世界のテニス界に大きな衝撃を与えた。
決勝は試合内容だけでなく、セリーナへの警告やペナルティーをめぐる審判とのやり取りも注目を集めた。表彰式で観客からブーイングが起きるなど、感情的な場面も多かった。
そのような状況でも大坂は冷静にプレーを続け、憧れの選手を相手に初めてのグランドスラムタイトルを獲得した。
2020年:ビクトリア・アザレンカを逆転で下し2度目の優勝2度目の優勝は2020年9月12日。決勝の相手は、元世界ランキング1位のビクトリア・アザレンカだった。
大坂は第1セットを1-6で落とす苦しいスタートとなったが、第2セットを6-3で取り返し、最終セットも6-3で勝利。セットカウント2-1で逆転優勝を決めた。
2018年の初優勝が攻撃力と精神的な強さを示した大会だったとすれば、2020年は劣勢から立て直す修正力を印象づけた大会だった。
WTA公式記録でも、2018年と2020年は大坂の全米オープン優勝年として記録されている。
全米オープンの主な歴代成績大坂の全米オープン女子シングルスにおける主な成績を整理すると、次のようになる。
- 2018年:優勝
- 2019年:4回戦
- 2020年:優勝
- 2021年:3回戦
- 2022年:1回戦
- 2024年:2回戦
- 2025年:準決勝
- 2026年:4回戦
2023年は出場していない。WTA公式の大会記録では、2026年大会終了時点で全米オープンの通算成績は31勝8敗、優勝2回となっている。
2025年には準決勝まで進出しており、2026年はそこから一歩後退した結果となった。ただし、4回戦進出はグランドスラムで上位16人に入ったことを意味する。2度の優勝実績だけでなく、長期的に大会で勝ち上がってきた経験も大坂の大きな強みだ。
【大坂なおみの現在2026年】世界ランキングと今後の復活への課題
2026年11月3日時点で注目したいのは、全米オープン終了後も大坂がツアーで競争力を保っていることだ。
WTA公式選手データの11月2日付のランキング情報では、大坂は世界ランキング16位。全米オープン出場時の第13シードからは順位を下げたものの、世界トップ20の位置を維持している。
2026年はグランドスラムでも存在感を示した全米オープンだけを見ると4回戦敗退という結果だが、2026年の大坂は他のグランドスラムでも上位進出を果たしている。
大会公式サイトの報道では、全仏オープンでベスト16、ウィンブルドンでは自身初の準々決勝進出を記録。ウィンブルドンでは当時世界ランキング1位だったアリーナ・サバレンカを4回戦で破る活躍も見せた。
また、ワシントン大会では準決勝、トロント大会では準々決勝に進出している。ハードコートだけでなく、芝やクレーでも結果を残している点は、競技面での成長を示す材料だ。
2026年の評価で見るべき3つのポイント今後の大坂を評価するうえでは、単純な勝敗数だけでなく、次の3点が重要になる。
1. サーブの安定性
リバキナ戦では第1サーブのポイント獲得率に大きな差が生まれた。大坂の強みであるパワーテニスを生かすには、サーブで相手を押し込み、主導権を握る展開を増やす必要がある。
2. 長期的な身体のコンディション
メルテンス戦で明らかになったアキレス腱の不調は、連戦の多いツアーで無視できない要素だ。短期間の勝利だけではなく、複数大会を通じて安定したプレーを続けられるかが重要になる。
3. トップ選手との試合での対応力
リバキナのようにサーブとストロークの両方で圧力をかける相手に対して、どのようにリターンの位置やラリーの組み立てを調整するか。上位進出には、強打だけでなく相手のプレーに応じた戦術的な変化も求められる。
【プロの結論】2026年の4回戦敗退は復活の終わりではない2026年の全米オープンで大坂が得たものは、4回戦進出という結果だけではない。
ザハロワ戦では初戦の難しさを乗り越え、シニアコバ戦では第2セットを落としても立て直した。メルテンス戦では身体の不調を抱えながら、最終セットを勝ち切った。
一方、リバキナ戦ではトップ選手との対戦において、サーブの精度やポイント獲得率に課題が残った。
2018年と2020年の優勝は、大坂が世界最高峰の舞台で頂点に立てる選手であることを証明している。しかし、過去のタイトルと現在の実力は別々に評価すべきだ。
今後の判断基準は、単にグランドスラムで何回戦まで進んだかではない。身体の状態を整えながら、上位選手との試合で自分の攻撃的なテニスをどれだけ再現できるか。その点に、大坂の次の飛躍を占う鍵がある。
【大坂なおみの全米オープン2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大坂なおみは2026年の全米オープンで何回戦まで進みましたか?
A1:4回戦まで進出しました。ベスト16に相当するラウンドでエレナ・リバキナに1-6、4-6で敗れ、準々決勝進出を逃しています。
Q2:大坂なおみとリバキナの試合結果・スコアは?
A2:2026年9月7日の4回戦で対戦し、リバキナが6-1、6-4で勝利しました。大坂は第13シード、リバキナは第2シードでした。
Q3:大坂なおみの脚の負傷は何だったのでしょうか?
A3:全米オープン3回戦のメルテンス戦で明らかになったのは、左アキレス腱付近の慢性的な不調です。本人は芝シーズンから続いていると説明しました。なお、6月のバート・ホンブルク大会で途中棄権した際は右足の負傷でした。
Q4:大坂なおみは全米オープンで何回優勝していますか?
A4:女子シングルスで2回優勝しています。2018年はセリーナ・ウィリアムズを6-2、6-4で破り、2020年はビクトリア・アザレンカを1-6、6-3、6-3で下しました。
Q5:2026年11月現在の大坂なおみの世界ランキングは?
A5:WTA公式選手データの2026年11月2日付の情報では、シングルス世界ランキング16位です。
大坂なおみの全米オープン2026は、第13シードとして初戦から3連勝を飾り、4回戦で第2シードのエレナ・リバキナに敗れる結果となった。
初戦のザハロワ戦、シニアコバ戦、メルテンス戦と、いずれも簡単ではない試合を勝ち抜いたことは評価できる。特にメルテンス戦では左アキレス腱の不調を抱えながら勝利し、粘り強さを示した。
一方、リバキナ戦ではサーブと攻撃力の差がスコアに表れた。2018年、2020年の優勝者として期待される大坂だが、2026年大会では3度目のタイトル獲得には届かなかった。
それでも2026年はウィンブルドンで初のベスト8に進出し、11月初旬には世界ランキング16位を維持している。全米オープンの4回戦敗退だけで現在の実力を判断するのは早い。
次に注目されるのは、負傷の不安を抑えながら、かつての武器である強力なサーブと攻撃的なストロークをどこまで高い水準で発揮できるかだ。2度の全米女王が再びグランドスラムの頂点を目指す過程は、2027年以降のテニス界でも大きな注目を集めそうだ。