ジェンダーレストイレとは、性別にかかわらず誰もが利用できる男女共用型のトイレを指す言葉です。多様性を尊重し、性的マイノリティーや異性による介助が必要な人などにも利用しやすい環境を整える目的で導入されています。一方、女性や子どもが安心して利用できるのか、防犯対策は十分なのかという問題も議論されてきました。
象徴的な事例が、2023年4月に開業した東急歌舞伎町タワーです。2階に設置されたジェンダーレストイレは、導入直後から安全性や使いやすさをめぐって賛否が広がり、同年8月には男女別トイレを中心とする構成へ改修されました。さらに2025年12月の現地取材では、男女別と多目的トイレの現在の姿が改めて確認されています。2026年11月時点の状況と、同年6月に国土交通省が公表した新しいトイレ整備ガイドラインも踏まえ、導入の背景から課題までを整理します。
【基本知識】ジェンダーレストイレとは?仕組みと似た言葉の違い

ジェンダーレストイレは、利用者の性別を問わず使用できるトイレです。英語のGenderless(ジェンダーレス)に由来する呼び方で、日本では男女共用トイレやオールジェンダートイレと近い意味で使われています。
基本的な仕組みは、複数の独立した個室を設け、性別にかかわらず利用できるようにするものです。個室の内部には便器や鍵が設けられ、外側に洗面台などの共用スペースを配置する方式があります。
ただし、ジェンダーレストイレという名称だけで、すべての施設の構造が同じになるわけではありません。
例えば、次のような設計が考えられます。
- 個室ごとに完全に独立した男女共用トイレ
- 男女共用の個室と男女別トイレを併設する方式
- 個室内に洗面台まで設け、共用スペースを最小限にした方式
- 車いす利用者や介助者にも配慮した広めの共用個室を設ける方式
重要なのは、男女共用という利用条件と、実際の設備構造を分けて考えることです。個室が完全に独立していても、出入口や洗面台が共用であれば、利用者が感じる安心感やプライバシーへの評価は異なります。
オールジェンダートイレ・ジェンダーフリートイレとの違いジェンダーレストイレ、オールジェンダートイレ、ジェンダーフリートイレは、日常的な施設案内では似た意味で使われることがあります。しかし、それぞれの言葉には微妙なニュアンスの違いがあります。
- ジェンダーレストイレ:性別による区分をなくした男女共用型トイレを指す日本での呼称。
- オールジェンダートイレ:あらゆるジェンダーの人が利用できることを明確に表現した呼称。
- ジェンダーフリートイレ:性別による区別や差別をなくすという考え方を強調する呼称。
- 男女共用トイレ:性別を問わず利用できることを直接的に示す表現。
日本トイレ協会の2023年10月のセミナーでは、男女共用トイレの表示について、オールジェンダートイレという表現が適切ではないかという意見が紹介されました。同協会の説明によると、JIS(日本産業規格)に示されている男女共用トイレのピクトグラムでは、「男女共用トイレ」または「オールジェンダー」という表記が用いられています。
つまり、施設の名称がジェンダーレスかジェンダーフリーかという点だけで、実際の設備や利用条件を判断することはできません。表示と設計の両方を確認する必要があります。
男女別トイレ・多目的トイレとは何が違う?特に混同されやすいのが、多目的トイレとの違いです。
多目的トイレやバリアフリートイレは、車いす利用者、身体の不自由な人、オストメイト、乳幼児連れの人などが利用しやすいよう、広さや設備に配慮したトイレです。施設によっては介助者が一緒に入れる構造になっています。
一方、ジェンダーレストイレは性別による利用区分を設けないことが中心的な特徴です。車いす対応を必須とするものではなく、両者は目的が異なります。
国土交通省の2026年6月のガイドラインでも、バリアフリートイレとは別に、家族による異性介助や性的マイノリティーなどの利用に配慮した、男女共用の広めの便房を設ける考え方が示されています。
この点からも、多目的トイレだけを設置すれば、あらゆる利用者のニーズに対応できるというわけではありません。
【実態検証】東急歌舞伎町タワーの導入理由から2023年8月の改修まで
ジェンダーレストイレをめぐる日本国内の議論で、特に大きな注目を集めたのが東急歌舞伎町タワーの事例です。
同施設は東京都新宿区歌舞伎町に位置する、ホテル、映画館、劇場、ライブホール、飲食店などを備えた大型複合施設です。2023年4月14日に開業しました。
問題となったのは、2階に設置された個室トイレです。性別に関係なく利用できる個室、女性用、男性用、多目的トイレが同じエリアに配置され、洗面台も共用する構造でした。男性用小便器の設備と多目的トイレには別の空間も設けられていました。
なぜジェンダーレストイレを導入したのか施設側が2023年4月19日に公式サイトで公表した説明では、導入の背景としてSDGsの理念と歌舞伎町の街づくりが挙げられています。
「誰一人取り残さない」ことに配慮し、新宿歌舞伎町の多様性を認容する街づくりから、設置導入いたしました。
施設側の考え方は、性別にかかわらず利用できる選択肢を設けることで、多様な利用者を受け入れる環境をつくることでした。
特に、トランスジェンダーなど、男女別のトイレを利用する際に心理的な負担を感じる人にとって、性別を問わず入れる個室は重要な選択肢になり得ます。
また、異性の親子や介助者が一緒に利用できるトイレの需要もあります。性別の区分だけでは対応しにくい事情を抱える人にとって、男女共用の個室があることには実用的な意味があります。
導入から廃止・改修までの時系列歌舞伎町タワーのトイレは、開業直後の反響を受けて段階的に変更されました。単純に開業時の設備を維持したのではなく、表示変更、個室の振り分け、仮設パーティション、全面的な改修へと進んでいます。
| 時期 | 主な出来事 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| 2023年4月14日 | 東急歌舞伎町タワー開業 | 2階にジェンダーレス個室などを配置したトイレを設置。 |
| 2023年4月19日 | 施設側が公式説明を公表 | SDGsと歌舞伎町の多様性を尊重する街づくりを導入理由として説明。 |
| 2023年5月2日 | 表示・個室構成の見直し | フロアガイドの表記を「ジェンダーレストイレ」から「トイレ」に変更。個室の振り分けも見直した。 |
| 2023年5月19日 | 暫定的な区画変更 | 女性用エリアに仮設パーティションを設置。施設側は今後の改修予定を説明。 |
| 2023年7月20日 | 正式な改修工事を告知 | 施設公式サイトが2階トイレの改修を発表。 |
| 2023年7月24日~8月3日 | 改修工事を実施 | 施設公式資料に記載された工事期間。 |
| 2023年8月4日 | 男女別トイレへ変更 | ジェンダーレストイレを廃止し、通常の男女別構成に変更。 |
| 2025年12月11日 | 改修後の状況を再取材 | 施設側が現在は男女別トイレ+多目的と回答。 |
| 2026年6月12日 | 国土交通省がガイドライン公表 | トイレの便器数や待ち時間、安全性、多様な利用者への配慮を整理。 |
この経緯で見逃せないのが、2023年5月の段階です。
J-CASTニュースの2023年5月2日の報道によると、施設側は利用しやすさを考慮して個室の内訳を変更しました。男性用2室、女性用8室、ジェンダーレス2室、多目的1室という構成が報じられています。
さらに5月19日の報道では、女性用エリアを仮設パーティションで区切る措置が確認されました。施設側は利用者からの意見を踏まえ、より安心して使えるトイレを目指して改修工事を実施する予定だと説明しています。
そして7月20日、施設公式サイトが改修工事を告知しました。公式資料に記載された工事期間は2023年7月24日から8月3日までです。
8月4日には、男女別のトイレへ変更されたことが報道されました。開業から約4か月で、当初のジェンダーレストイレという方式は終了したことになります。
【防犯・安全性】当時の対策は十分だった?問題点を検証
ジェンダーレストイレをめぐる議論で大きな争点となったのが、防犯対策と利用者の安心感です。
特に、女性や子どもが利用する空間に男性も入れることへの不安、共用スペースでの視線、犯罪や迷惑行為への懸念などが指摘されました。
東急歌舞伎町タワーが公表した5つの防犯対策施設側は2023年4月19日の公式説明で、次のような警備・防犯対策を実施していると明らかにしました。
- 警備員による巡回:トイレ周辺の状況を確認する。
- 防犯カメラによる監視:トイレの共用部を常時監視し、カメラ画像の解析も実施する。
- SOSボタンの設置:異常が発生した際に警備員へ知らせる。
- 異常検知と駆け付け:長時間の滞在や騒音などを検知した場合、警備員が対応する。
- 清掃・夜間管理:高頻度の清掃を行い、夜間は電子錠でロックして店舗利用者のみが使用できるようにする。
また、施設側は利用者の不安を解消するため、警備員による立哨警備も実施すると説明していました。
なお、防犯カメラについて公式説明が対象としているのはトイレの共用部です。個室内部を撮影するという説明ではありません。施設側は利用者のプライバシーに配慮し、通路や洗面台エリアも含めて撮影を控えるよう求めていました。
防犯設備があっても不安が解消されなかった理由ここで考えるべきなのは、防犯設備の数と、利用者が感じる安心感は必ずしも一致しないという点です。
例えば、防犯カメラや警備員の配置は、異常を早期に把握したり、迷惑行為を抑止したりするために有効な手段です。しかし、利用者がトイレに入る前に感じる心理的な抵抗や、洗面台で他人と顔を合わせることへの不安まで、自動的に解消するわけではありません。
また、長時間滞在や騒音の検知は、異常の兆候を発見するための仕組みです。すべての問題を事前に防げることを意味するものではありません。
設計上の問題としては、次の点が重要になります。
- 男女別の選択肢が十分に確保されているか。
- 個室の出入口や共用スペースに死角がないか。
- 洗面台や鏡の前で利用者同士が過度に接近しないか。
- 警備員の配置が利用者のプライバシーを損なわないか。
- 緊急時にSOSボタンなどを利用できるか。
2026年6月に公表された国土交通省のガイドラインも、安全・安心の確保をトイレ整備の前提として位置付けています。明るさの確保、定期的な巡回、死角の少ない配置、出入口への監視カメラや個室内の防犯ブザーなどが、具体的な対策として挙げられています。
つまり、防犯対策はカメラや警備員だけで完結するものではなく、設計、設備、運営を組み合わせて考える必要があります。
【評判・賛否】ジェンダーレストイレの実態と利用者が感じた問題点
歌舞伎町タワーの事例では、導入の理念そのものに反対する意見と、理念には理解を示しながらも実際の設計に問題があるとする意見が混在しました。
この2つを分けて考えなければ、ジェンダーレストイレの本質的な課題は見えてきません。
反対・慎重派が指摘した問題開業直後のSNSでは、女性や子どもが安心して利用できるのかという疑問が相次ぎました。
特に多かった論点は、次のようなものです。
- プライバシー:男女が同じ洗面台を使用することへの抵抗感。
- 防犯:性別を問わず入れる空間に対する犯罪リスクへの懸念。
- 表示の分かりにくさ:どの入口から入ればよいのか、案内表示だけで判断しにくい。
- 女性用設備の確保:共用トイレを設けることで女性専用の個室が減るのではないかという不安。
- 運用上の問題:清掃や警備、混雑時の利用ルールが分かりにくい。
注目したいのは、男女共用トイレそのものを否定する意見だけではなかったことです。
オールジェンダートイレを設置することには理解を示しながら、女性専用トイレを残してほしいという意見もありました。つまり、利用者の選択肢を増やすことと、既存の選択肢を維持することを両立してほしいという要求です。
導入を支持する側が重視するメリット一方、ジェンダーレストイレには、男女別トイレだけでは対応しにくい利用者の困りごとを軽減する可能性があります。
例えば、トランスジェンダーの人の中には、男女どちらのトイレを利用するかについて周囲の視線や誤解を気にする人がいます。性別を問わず利用できる独立した個室があれば、そうした心理的負担を軽減できる場合があります。
また、異性介助が必要な家族にもメリットがあります。認知症の親を介助する子ども、異性の子どもを連れた親、障害のある家族を支える介助者などにとって、一緒に入れるトイレは実用的な選択肢になります。
日本トイレ協会のセミナーでも、異性介助や性的マイノリティーの利用を含め、男女共用トイレの必要性が議論されました。
同セミナーでは、男女共用トイレへの抵抗感は一律ではなく、施設の種類や周囲の環境によっても変わるという意見が紹介されています。例えば、飛行機のように利用空間が比較的限られ、プライバシーが確保されやすい場所と、死角の多い駅などでは、利用者の感じ方が異なるという指摘です。
このことは、ジェンダーレストイレの成否を名称や理念だけで判断できないことを示しています。
本当に必要なのは共用化か、それとも選択肢の追加か議論を整理すると、重要なのは男女別トイレか男女共用トイレかという二者択一ではありません。
男女別トイレを必要とする人、性別を意識せず個室を使いたい人、異性の家族を介助する人、車いすを利用する人。それぞれの事情は異なります。
そのため、既存の男女別トイレを維持しながら、独立したオールジェンダー個室や介助用の広めの個室を追加する設計は、検討に値する選択肢です。
すべての人に同じトイレを使ってもらうことが多様性への配慮なのではありません。異なる事情を持つ人が、それぞれ安心して選べる環境を整えることが本質です。
【2026年最新】歌舞伎町タワーの現在とジェンダーレストイレをめぐる国の動き
2025年12月に確認された歌舞伎町タワーの現在改修後の状況が改めて注目されたのは、2025年12月上旬です。SNSで旧ジェンダーレストイレが男女別のトイレに変わっていることが話題になり、J-CASTニュースが現地取材を行いました。
2025年12月11日公開の記事によると、現地では男性用と女性用の入口が分かれ、内部も床から天井まで壁で仕切られた別々の空間になっていました。
男性用小便器のトイレと多機能トイレも引き続き別に設けられていました。また、新たに多機能トイレとほぼ同程度の広さの空間が設けられ、ベビーチェアや着替え台が確認されています。ドアには男女やジェンダーレスを表すとみられるピクトグラムもあったと報じられました。
同記事の取材に対して、東急歌舞伎町タワーは次のように回答しています。
「2023年8月に改修工事を実施いたしました。現在は男女別トイレ+多目的となっております」
施設側は、改修後の利用者数について、トイレ単体での数値は取得していないと説明しました。また、改修後については、特段の問い合わせを受けていないとのことです。
この回答から分かるのは、2025年12月時点で施設が男女別トイレと多目的トイレを基本とする構成を確認していたことです。利用者数や安全性の改善効果を示す統計が公表されたわけではありません。
2026年11月3日時点でも、施設公式FAQでは2階に多目的トイレがあること、セキュリティ上の認証式で、施設内の店舗を利用する人のみが使用できることが案内されています。個室構成については、2025年12月の施設回答が確認できる直近の具体的な説明です。
2026年6月、国土交通省が新しいガイドラインを公表2026年のトイレ問題を考えるうえで見逃せないのが、国土交通省による「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」です。
同省は2026年6月12日、専門家や関係事業者などの議論とパブリックコメントを踏まえ、このガイドラインを決定・公表しました。
背景には、駅や商業施設などで長年指摘されてきた女性用トイレの行列問題があります。
国土交通省が実施した2025年の調査では、「トイレを利用するために行列に並ばなければならない」ことを不便・不満・不安に感じる人の割合は、次のようになっています。
- 駅:女性55.2%、男性35.3%
- 大規模商業施設:女性47.4%、男性17.7%
これらは調査で該当する不便・不満・不安を選択した人の割合であり、すべての利用者の意見を示すものではありません。それでも、男女でトイレの待ち時間に差が生じている実態を考える材料になります。
ガイドラインでは、利用者構成や個室の占有時間などを踏まえ、男女を問わず快適に利用できる便器数の基準を検討することが求められています。
特に、利用者が概ね男女同数の施設については、原則として女性用便器数を男性用便器数(大便器と小便器の合計)以上とする基準を検討する考え方が示されました。
また、安全面では、トイレ周辺の明るさ、巡回、死角のないレイアウト、防犯ブザーなども重要視されています。
2026年のガイドラインはジェンダーレストイレを義務化したのかここは誤解されやすいポイントです。
2026年6月の国土交通省のガイドラインは、すべての施設にジェンダーレストイレを設置するよう義務付けたものではありません。
主な目的は、トイレの便器数に関する基準の見直し、施設の実態に応じた基準の適用、行列改善に向けた運用上の工夫です。ガイドライン自体にも法的な拘束力はありません。
一方で、同省は車いす利用者、異性介助が必要な家族、性的マイノリティーなど、多様な利用者を想定した整備にも配慮する必要があるとしています。
したがって、2026年の政策動向は、単純な男女共用化ではなく、便器数、待ち時間、安全性、バリアフリー、多様な利用者のニーズを総合的に考える方向へ進んでいます。
【プロの結論】ジェンダーレストイレの問題点を解決するために必要な設計とは
歌舞伎町タワーの事例から見えてくるのは、多様性を尊重する理念と、実際に利用する人の安心感を両立させる難しさです。
導入時に掲げた理念が正しくても、設計や案内表示、利用者の動線、警備体制が不十分であれば、利用者から支持される施設にはなりません。
反対に、利用者の不安があるからといって、男女共用トイレの必要性そのものを否定するのも適切ではありません。
今後のトイレ整備で重視すべき6つの判断基準今後、商業施設や公共施設がジェンダーレストイレを導入する場合、特に重要になるのは次の6点です。
- 男女別の選択肢を維持する:男女別トイレを必要とする人が安心して利用できる環境を確保する。
- 個室の独立性を高める:鍵付きの完全個室を基本とし、プライバシーを確保する。
- 死角を減らす:入口や洗面台の配置、照明、通路の見通しを設計段階から考える。
- 防犯設備を適切に配置する:共用部の監視、SOSボタン、巡回、異常検知などを組み合わせる。
- 利用者に分かりやすく案内する:ピクトグラムや多言語表示を工夫し、利用できるトイレを迷わず選べるようにする。
- 利用実態を定期的に調査する:利用者数、待ち時間、清掃状況、問い合わせ、利用者の意見を確認して改善する。
ジェンダーレストイレは、すべての人にとって同じように便利な設備ではありません。
例えば、男女別の区分によって心理的負担を感じる人、異性の家族や介助者と一緒に利用したい人にとっては、男女共用の独立個室が大きな助けになる可能性があります。
一方、男女が同じ洗面台を使用することに抵抗がある人、子どもの安全やプライバシーを特に重視する人にとっては、男女別の空間を選べることも重要です。
そのため、施設の利用者層や立地、混雑状況、建物の構造を踏まえて、複数の選択肢を用意することが望ましいと考えられます。
歌舞伎町タワーの改修は、利用者の声を受けて設備構成を見直した事例です。ただし、これだけを根拠に、あらゆる施設で男女共用型のトイレが失敗する、あるいは男女別トイレだけが最適だと結論付けることはできません。
施設ごとに利用実態を調べ、設備と運営の両面から改善を続けることが必要です。
【ジェンダーレストイレ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ジェンダーレストイレとオールジェンダートイレは同じ意味ですか?
A1:基本的には、性別を問わず利用できる男女共用型トイレを指す似た表現です。オールジェンダートイレは、あらゆるジェンダーの人が利用できることを明確にした呼称です。ただし、施設によって名称や設備の構造が異なるため、実際の利用条件を確認する必要があります。
Q2:東急歌舞伎町タワーのジェンダーレストイレは現在もありますか?
A2:開業当初のジェンダーレストイレは2023年8月の改修で廃止されました。施設側は2025年12月のJ-CASTニュースの取材に、現在は男女別トイレ+多目的と回答しています。2026年現在、公式FAQでも2階の多目的トイレが案内されています。
Q3:ジェンダーレストイレには防犯カメラが設置されているのですか?
A3:東急歌舞伎町タワーは2023年4月、トイレの共用部を防犯カメラで常時監視し、画像解析やSOSボタン、警備員の巡回などを行うと説明していました。これは共用部に関する対策であり、個室内部を撮影するという説明ではありません。現在の設備状況は施設への確認が必要です。
ジェンダーレストイレは、性別を問わず利用できるトイレとして、多様な利用者の困りごとを軽減する可能性を持っています。性的マイノリティーへの配慮だけでなく、異性介助や家族の付き添いなど、幅広い場面で必要とされる設備です。
一方、東急歌舞伎町タワーの事例では、2023年4月の開業直後から安全性や使いやすさに関する意見が相次ぎ、同年8月に男女別トイレを中心とした構成へ改修されました。2025年12月の取材でも、施設側は男女別トイレ+多目的という現在の構成を説明しています。
そして2026年6月には、国土交通省がトイレの便器数や待ち時間、安全性などを整理したガイドラインを公表しました。これからのトイレ整備では、単に男女共用にするか、男女別にするかという議論だけでは不十分です。
本当に求められるのは、誰かの選択肢を増やすために、別の誰かの安心や利便性を犠牲にしない設計です。
男女別トイレ、独立したオールジェンダー個室、多目的トイレを適切に組み合わせ、利用者の実態に応じて改善する。その積み重ねこそが、多様性と安全性を両立するトイレ環境につながります。
主な根拠資料
- 東急歌舞伎町タワー公式発表(2023年4月19日・7月20日)
- J-CASTニュース(2023年4月・5月、2025年12月11日)
- 琉球新報(2023年8月4日)
- 日本トイレ協会「男女共用トイレはあり?全員参加型で議論しよう!」
- 国土交通省「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」(2026年6月12日)