『はたらく細胞』の作者として知られる漫画家・清水茜。2014年に第27回「少年シリウス新人賞」で大賞を受賞し、同年に『はたらく細胞』の連載をスタートさせた彼女は、細胞を擬人化する独創的な発想で、医学や人体の仕組みを幅広い読者に届けてきた。
しかし、2026年7月には連載当時の医療監修体制や作画環境、担当編集者の対応、スピンオフ作品の著者クレジットをめぐる問題が公表され、講談社が公式に謝罪する事態となった。2025年には新作『イエローフレイム』も発表されており、清水茜の漫画家としての歩みは新たな局面を迎えている。
【清水茜のプロフィール】漫画家としての経歴とデビューのきっかけ

清水茜(しみず・あかね)は東京都出身の漫画家。代表作は、体内の細胞を擬人化した人気漫画『はたらく細胞』である。
講談社の公式プロフィールによると、1994年生まれ。2014年に新人賞を受賞し、同年から月刊少年シリウスで連載を開始した。
漫画家としての出発点となったのは、人体の仕組みを題材にした作品『細胞の話』だった。この作品が第27回少年シリウス新人賞で大賞を獲得したことが、商業漫画家としての活動につながっている。
妹の疑問から生まれた『はたらく細胞』『はたらく細胞』の企画には、細胞について知りたいという妹の声がきっかけになったという背景がある。
白血球や赤血球など、人体を構成する細胞を人間のようなキャラクターとして描き、それぞれの役割を物語の中で紹介する。この発想によって、専門的な生物学の知識を漫画として理解できる作品が誕生した。
特に特徴的なのは、単純な学習漫画にとどまらない点だ。細胞を主人公にしたドラマやアクションを展開しながら、免疫反応や感染症、血液の循環といった複雑な仕組みを説明している。
人体という目に見えない世界を、読者が感情移入できる物語に変換したことが、清水茜の大きな創作上の特徴である。
【代表作品】『はたらく細胞』全6巻とスピンオフの関係
清水茜の代表作『はたらく細胞』は、講談社の月刊少年シリウスで2014年に連載が始まった作品だ。単行本は全6巻で、最終巻は2021年2月9日に発売されている。
赤血球と白血球が活躍する人体ドラマ物語の中心となるのは、体内で酸素を運ぶ赤血球と、細菌などの外敵から体を守る白血球である。
肺炎球菌やインフルエンザウイルスなど、実際の病気や感染症を題材にしながら、体内で起こる免疫反応をエンターテインメントとして描く。
細胞ごとに異なる役割や特徴がキャラクターの個性に反映されているため、漫画として楽しめるだけでなく、人体の基本的な働きを学ぶ入り口にもなっている。
アニメ・実写映画へのメディア展開講談社の公式プロフィールによると、テレビアニメは2018年からスタートし、2024年には実写映画も公開された。
加えて、作品の世界観を共有する複数のスピンオフも制作されている。
- 『はたらかない細胞』:杉本萌による漫画。
- 『はたらく細菌』:吉田はるゆきによる漫画。
- 『はたらく細胞BLACK』:原田重光が原作、初嘉屋一生が漫画を担当。
- 『はたらく細胞フレンド』:黒野カンナが原作、和泉みおが漫画を担当。
これらの作品には、それぞれ異なる漫画家が参加している。清水茜はシリーズの原作者・監修者として関わってきた。
ここで押さえておきたいのは、シリーズ全体の原作者と、個々のスピンオフ作品の漫画担当者は同一ではないという点だ。作品ごとのクレジットを確認することで、誰がどの役割を担ったのかが理解しやすくなる。
【経歴・作品年表】2014年の新人賞から2026年の最新動向まで
清水茜のキャリアは、『はたらく細胞』の誕生、アニメ化、実写映画化、そして新作漫画への挑戦という流れで発展してきた。
主要な出来事を時系列で整理すると、次のようになる。
| 時期 | 出来事・作品 | 内容と注目ポイント |
|---|---|---|
| 2014年 | 少年シリウス新人賞 | 『細胞の話』で第27回新人賞の大賞を受賞。 |
| 2014年 | 『はたらく細胞』連載開始 | 月刊少年シリウスで連載スタート。 |
| 2018年 | テレビアニメ化 | 漫画の世界観が映像作品へ広がる。 |
| 2021年2月 | 『はたらく細胞』第6巻 | 全6巻の最終巻が発売。 |
| 2024年 | 実写映画公開 | 原作の世界観が実写映画として展開。 |
| 2025年1月 | 『イエローフレイム』 | good!アフタヌーンで短期連載開始。 |
| 2025年7月・10月 | 『イエローフレイム』上下巻 | 新作漫画の単行本が上下巻で発売。 |
| 2026年7月1日~3日 | 連載環境に関する公表 | 清水氏が当時の編集部対応や監修体制などについて発信。 |
| 2026年7月3日 | 講談社が公式謝罪 | 医療監修体制、作画環境、クレジット確認などの不備を認める。 |
| 2026年9月10日 | 病気を学べる図鑑 | 『からだと心を守る! はたらく細胞 病気を学べる図鑑』発売。 |
この年表で注目したいのは、2021年に原作漫画が完結した後も、作品の関連出版物や映像化、新しい漫画作品など、清水茜の活動が続いていることだ。
【2025年の新作】『イエローフレイム』はどんな漫画?
『はたらく細胞』のイメージが強い清水茜だが、2025年には新作『イエローフレイム』を発表した。
掲載誌は講談社の「good!アフタヌーン」。2025年1月7日発売の同誌2号から短期連載が始まった。
舞台は古代中国・秦の時代物語の舞台は、紀元前2世紀の秦。初めて天下統一を果たした秦の成立から1年後という設定で物語が展開する。
主人公は奴隷の少年レイ。雷鳴が響く夜、家族を殺された口のきけない幼子とともに脱出を決行する。
作品の軸となるのは、自由を求める少年の行動と、自分の体に宿る不思議な力をめぐる物語だ。講談社の公式紹介では、異能・中華・アクションを組み合わせた作品として紹介されている。
単行本は上下巻で完結単行本の発売日は、上巻が2025年7月7日、下巻が同年10月7日。上下巻の構成で物語がまとめられた。
『はたらく細胞』が人体の仕組みを題材にした作品だったのに対し、『イエローフレイム』は歴史的な舞台設定と異能力アクションを組み合わせた作品である。
この違いは、清水茜が特定のジャンルだけにとどまらず、異なる世界観や物語の構築にも挑戦していることを示している。
2026年の最新活動は?2026年9月10日には、講談社から『からだと心を守る! はたらく細胞 病気を学べる図鑑』が発売された。
同書は清水茜が原作を担当し、講談社とはたらく細胞製作委員会などが監修に参加。医療監修には山本健人も名を連ねている。
細菌やウイルスによる病気、免疫疾患、がん、内臓の病気、脳・神経・心の病気、生活習慣病など、幅広いテーマを扱う。
講談社の紹介では、『はたらく細胞』シリーズの累計発行部数は1000万部を突破している。2026年も関連出版物が刊行されており、作品の教育・学習分野への広がりが続いている。
【2026年7月の問題】清水茜が公表した連載環境と講談社の謝罪
2026年に清水茜をめぐる大きなニュースとなったのが、『はたらく細胞』の連載当時の制作環境に関する一連の公表だ。
2026年7月1日から3日にかけて、清水氏は自身のXで、連載期間中の医療監修体制、作画環境、担当編集者の対応、スピンオフなどのクレジット表記について、当時の資料や記憶に基づく経緯を説明した。
医療監修体制への問題提起清水氏の説明によれば、連載開始前後に担当編集者から医療監修が入ると説明され、その前提で作品を制作していたという。
しかし、2015年に発売された単行本第1巻では、監修者の記載や具体的な監修内容について十分な説明がなされておらず、作品中の医学的な描写に関する指摘も受けたと主張した。
その後、監修体制の改善を複数回求めたものの、十分な改善が実現しなかったという。ITmedia NEWSやJ-CASTニュースも、この一連の投稿内容を報じている。
加えて、清水氏は当時の担当編集者による不適切な発言や対応についても説明した。特に、医学的な正確性を求める漫画家と、制作を管理する編集部との間で認識の違いがあったことが問題の一つとして浮かび上がった。
作画環境と連載中の健康問題問題となったのは、医療監修だけではない。清水氏は、制作に必要なアシスタントの手配など、作画環境の整備についても十分な支援がなかったと訴えた。
また、2026年6月15日のX投稿では、連載期間中にうつ病や抜毛症、その後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受けたことを公表している。
7月の説明では、2018年からの休載期間中に自殺未遂を経験したことも明かした。2021年の連載再開についても、本人は作品を終えることを目的とした再開だったと説明している。
これらは清水氏自身が公表した健康状態と当時の経験に関する内容である。創作活動を支える編集部の体制や、漫画家が心身の負担を抱えた際のサポートのあり方を考えるうえで、重い問題提起となった。
講談社が2026年7月3日に公式謝罪一連の投稿を受け、講談社のシリウス編集部は2026年7月3日、公式サイトに謝罪文を掲載した。
同社は、清水氏から複数回にわたって環境改善の要望を受けていたにもかかわらず、医療監修体制の整備やアシスタント手配などの作画環境を適切に構築できなかったことを認めた。
「医療監修体制の整備」や「然るべき作画環境(アシスタント手配等)の構築」を適切に履行することができませんでした。
これは講談社が公式に公表した謝罪文の一部である。
また、一部のスピンオフ作品や映像化に伴う派生出版物について、清水氏への事前確認が適切に行われていなかったことも認めた。
講談社は当時の担当編集者がすでに清水氏の担当を外れていると説明したうえで、問題は個人だけではなく、編集部の管理・監督体制にもあると表明した。
加えて、過去の経緯の清算に向けて清水氏との協議を継続するとし、現在のサポート体制や新企画については本人の意向を尊重した環境を構築できていると説明している。
スピンオフ作品のクレジット問題もう一つ注目されたのが、原作者としての名前の扱いだ。
清水氏は、2023年に編集部との協力関係を終了したい意向を伝えた後、一部のスピンオフ作品で「原作:清水茜」という表記が、本人の説明によれば事前の了承なく「協力:清水プロダクション」に変更されていたと指摘した。
加えて、2019年に発行された『はたらく細胞図鑑』についても、2026年になって自身の名前が削除され、シリウス編集部の名前が前面に掲載されていたことを知ったと説明している。
これに対して講談社は、謝罪文の中で一部派生著作物のクレジット表記に関する事前確認が不適切だったことを認めた。
ただし、清水氏が個別に説明したすべての経緯について、講談社が詳細を一つずつ公的に認定したわけではない。公式に認めた不備と、本人が説明した個別の経緯は分けて理解する必要がある。
【医療監修体制の真相】監修がなかったという理解は正しい?
2026年7月の問題をめぐって、もう一つ整理しておきたいのが『はたらく細胞』シリーズの医療監修に関する情報だ。
講談社は謝罪文で医療監修体制の整備が不十分だったことを認めた一方、シリーズ全体に医療監修が存在しなかったと認めたわけではない。
この点について、2026年7月7日、J-CASTニュースが講談社広報室に取材したところ、同社はシリーズ全般で医療監修のクレジットが記載されていると説明した。
加えて、2021年6月9日のシリウス編集部の公式X投稿についても、シリーズ全体が医師や専門家の監修を経て制作されているという説明は事実だと回答している。
監修者が存在することと、適切な監修体制は別問題ここで重要なのは、医療監修者の名前が存在することと、実際の制作現場で適切な監修が機能していることは同じではないという点だ。
講談社は7月7日の取材に対し、謝罪文は清水氏にも事前に確認・了承を得たものだと説明。そのうえで、連載当時、監修体制の具体的な運用方法や監修者からの指摘内容について、清水氏への説明が十分ではなかったことを謝罪したものだと明らかにした。
つまり、問題の中心は監修者の存在そのものを否定することではなく、監修の実務がどのように行われ、作者にどのような情報が共有され、作品の正確性をどう担保していたのかという制作管理の部分にある。
医学を題材にする漫画では、専門家によるチェックだけでなく、編集者・漫画家・監修者の間で情報を共有し、修正内容を確実に反映する仕組みが欠かせない。
また、作品がスピンオフや映像化、教育出版物へと広がるほど、原作者の権利や監修範囲、著者名の表記を管理する必要性も高まる。
今回の問題は、人気作品を長期的に展開する出版社にとって、作品の品質管理と作家へのサポートをどう両立させるかという課題を示している。
【プロの結論】清水茜の作品から読み解く漫画家としての評価と今後
清水茜の漫画家としての大きな功績は、難しい医学・生物学の知識を、幅広い世代が楽しめる物語に変換したことにある。
『はたらく細胞』は、人体の中で起きている現象をキャラクターの行動として表現した。その結果、普段は意識することのない細胞の働きが、読者にとって身近なものになった。
2014年の新人賞受賞から、テレビアニメ化、実写映画化、シリーズ累計1000万部突破へとつながった実績は、作品の独創性と広い読者層への訴求力を示している。
清水茜の作品をおすすめできる読者- 人体や免疫、細胞の仕組みを漫画で楽しく知りたい人。
- 子どもと一緒に科学や健康について学びたい保護者。
- 歴史や異能力を組み合わせたアクション作品が好きな人。
- 漫画家の創作活動や作品のメディア展開に興味がある人。
一方、医学的な診断や治療方針を正確に判断したい人にとっては、漫画や図鑑だけで情報を完結させることはおすすめできない。『はたらく細胞』はフィクションであり、学術的事実と異なる表現もあると編集部自身が説明している。医療情報は専門家や公的医療機関の情報と併せて確認したい。
今後注目すべき3つのポイント第一は、講談社との協議の進展。 2026年7月3日の謝罪文では、過去の経緯の清算に向けた協議を続けると発表された。その後の具体的な合意内容や最終的な解決については、公式発表による続報が注目される。
第二は、新作漫画の展開。 『イエローフレイム』では、従来の人体を題材にした作品とは異なる世界観に挑戦した。今後も新たなジャンルや物語に取り組むのかが関心を集める。
第三は、原作者の権利と制作環境。 人気漫画のアニメ化やスピンオフが進むほど、原作者のクレジット、監修範囲、制作への関与を明確にすることが重要になる。今回の問題は、漫画業界全体にとっても考えるべきテーマを提示した。
【清水茜と『はたらく細胞』】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:清水茜はどんな漫画家ですか?
A1:東京都出身の漫画家です。2014年に第27回少年シリウス新人賞で大賞を受賞し、『はたらく細胞』で知られるようになりました。
Q2:『はたらく細胞』は全何巻ですか?
A2:全6巻です。最終巻は2021年2月9日に発売されました。
Q3:清水茜の2025年の新作は何ですか?
A3:『イエローフレイム』です。good!アフタヌーンで2025年1月に短期連載が始まり、同年7月と10月に単行本の上巻・下巻が発売されました。
Q4:清水茜は連載中に病気を患っていたのですか?
A4:本人は2026年6月のX投稿で、連載期間中にうつ病や抜毛症、その後PTSDの診断を受けたことを公表しています。7月には休載期間中の自殺未遂についても明かしました。
Q5:講談社はなぜ清水茜に謝罪したのですか?
A5:連載当時の医療監修体制やアシスタント手配などの作画環境が十分に整備されなかったこと、一部のスピンオフ作品や映像化関連出版物のクレジット確認が不適切だったことなどを認めたためです。2026年7月3日に公式謝罪文を発表しました。
Q6:『はたらく細胞』の医療監修は存在しなかったのですか?
A6:一概にそうとはいえません。講談社はシリーズ全般に医療監修のクレジットが存在すると説明しています。一方で、連載当時の具体的な監修の運用や作者への説明が不十分だったことについて謝罪しています。
Q7:2026年現在、清水茜は何をしていますか?
A7:2025年には『イエローフレイム』を短期連載し、2026年9月には『からだと心を守る! はたらく細胞 病気を学べる図鑑』が発売されています。また、講談社とは過去の経緯について協議を続けていると公表されています。
清水茜は、2014年の新人賞受賞を出発点に、『はたらく細胞』という独創的な作品を生み出した漫画家だ。全6巻の原作漫画はアニメ化や実写映画化を経て大きなシリーズへと発展し、2025年には新作『イエローフレイム』にも挑戦した。
一方、2026年7月に明らかになった連載当時の医療監修体制や作画環境、クレジット表記の問題は、作品の成功だけでは見えにくい漫画制作の現場に光を当てた。
講談社は編集部の管理体制の不備を認めて謝罪し、清水氏との協議を継続すると発表している。2026年11月3日時点では、過去の問題に関する最終的な解決内容は公表されていない。
清水茜の今後を考えるうえでは、作品の新展開だけでなく、漫画家が安心して創作に取り組める環境がどのように整備されるかにも注目したい。『はたらく細胞』が多くの読者に届けた人体への興味と同じように、今回の問題も漫画業界の制作体制を考える重要な契機となっている。