鈴本演芸場のルーツは、1857年(安政4年)に上野広小路で開かれた「軍談席本牧亭」です。創業の祖となった初代龍助(後の鈴木仙之助)が開いた講釈場が、現在の演芸場につながっています。
その後、1876年(明治9年)に名称を「鈴本亭」へ変更しました。「鈴」は鈴木姓から、「本」は本牧亭から取ったものとされています。
関東大震災後の1923年(大正12年)には現在地へ移転。第二次世界大戦による焼失を経て復興し、1971年(昭和46年)には現在につながるビル型の演芸場へと改築されました。
つまり、鈴本演芸場は単に古い建物を保存している施設ではありません。江戸時代から続く興行の伝統を、現代の都市型劇場で継承している場所です。
落語だけではない!鈴本演芸場で楽しめる演目寄席の魅力は、異なるジャンルの芸が一つの公演に組み込まれていることです。
| 演目 | 内容・楽しみ方 |
|---|---|
| 落語 | 一人の噺家が複数の登場人物を演じ分ける話芸 |
| 漫才 | 二人以上の掛け合いによる笑い |
| 奇術 | 手品や不思議な仕掛けを使った芸 |
| 太神楽曲芸 | 傘や道具を使った伝統的な曲芸 |
| 紙切り | 客席からのお題などに応じて紙を切り抜く芸 |
| 音曲・俗曲 | 三味線などを使った伝統的な音楽芸 |
落語は古典落語だけでなく、新作落語も楽しめます。
また、落語以外の演目は「色物」と総称されます。落語の合間に漫才や奇術、曲芸などが入るため、同じジャンルの芸が延々と続くわけではありません。
落語に詳しくない人でも飽きにくいのは、この構成に理由があります。
鈴本演芸場と落語協会の関係鈴本演芸場の通常興行は、落語協会の出演者を中心に編成されます。
演者の顔ぶれが10日ごとに変わるため、同じ会場でも訪れる時期によって違う舞台を楽しめます。
また、客席は全285席の椅子席。高座との距離が比較的近く、噺家の表情や身振りを見ながら鑑賞できます。
【2026年最新】番組表・出演者・昼の部と夜の部の時間

鈴本演芸場では、毎月の興行を次の3つの期間に分けています。
- 上席(かみせき): 毎月1日~10日
- 中席(なかせき): 毎月11日~20日
- 下席(しもせき): 毎月21日~30日
それぞれの期間で出演者や番組構成が変わります。
そのため、目当ての落語家がいる場合は、来場日を決める前に番組表を確認することが大切です。
また、月末の31日には余一会(よいちかい)などの特別興行が開催される場合があります。通常の定席公演とは異なる料金やチケット販売方法になることもあります。
2026年11月の出演者と公演内容2026年11月3日の公式番組表では、昼の部・夜の部ともに落語だけでなく、漫才や曲芸、奇術、紙切りなどが組み込まれています。
出演者の一例は次のとおりです。
昼の部
- 古今亭雛菊
- 三遊亭志う歌
- 柳家さん喬
- 柳家はん治
- ホンキートンク
- 立花家橘之助
- マギー隆司
- 古今亭菊丸
夜の部
- 柳亭市松
- 柳亭小燕枝
- 林家きく麿
- 古今亭菊志ん
- 桃月庵白酒
- 翁家社中
- 林家楽一
- 松柳亭鶴枝
昼夜で出演者が異なるため、同じ日に両方の公演を観ても違う顔ぶれを楽しめます。
なお、出演者の体調や都合による休演・代演もあります。公式番組表には交代出演者や休演日が記載される場合もあるため、特定の演者を目当てにする場合は当日の情報も確認しましょう。
2026年11月の公式サイトでは、11月5日夜の部について全館貸切公演のため一般客は入場できない旨も告知されています。こうした臨時の変更は、来場前に確認しておきたいポイントです。
昼の部・夜の部の開演時間通常興行の時間を把握する際には、開場と開演を区別しておきましょう。
12:30
開演時間
12:00開場・16:00終演(2026年11月3日の例)
17:00
開演時間
16:30開場・20:15終演(2026年11月3日の例)
この時間は実際の公演日程に基づく一例です。特別興行や企画公演では変更されることがあります。
昼夜入替制とは?両方観る場合の注意点鈴本演芸場では、昼の部と夜の部は原則として入替制です。
昼の部を観たあと、そのまま同じ入場券で夜の部まで鑑賞することはできません。
両方を楽しみたい場合は、それぞれの入場券を購入する必要があります。
一方、昼の部または夜の部の公演時間内であれば、途中入場・途中退場が可能です。遅れて到着した場合でも鑑賞できるのは、初心者にとってうれしい仕組みです。
【2026年最新料金】入場料・割引・当日券の購入方法
通常興行の入場料金一覧鈴本演芸場は2025年6月1日から入場料金を改定しました。2026年11月時点で公式案内に掲載されている通常料金は次のとおりです。
| 券種 | 料金 | 利用条件 |
|---|---|---|
| 一般 | 3,500円 | 通常料金 |
| 学生 | 2,500円 | 中学生以上・30歳まで。学生証提示 |
| 小人 | 1,500円 | 小学生のみ |
| 未就学児 | 入場不可 | 通常興行 |
料金は税込みです。学生料金は専門学校生も対象ですが、31歳以上は学生証を提示しても一般料金となります。
知っておきたい割引制度鈴本演芸場には、通常料金から割引を受けられる仕組みがあります。
1.東京かわら版の提示割引
演芸情報誌「東京かわら版」を提示すると、一般・学生料金から500円引きになります。
2.主任が配布する割引チラシ
公演の主任(トリ)が配布するチラシやWeb、はがきに割引案内が付いている場合があります。
こちらも一般・学生料金から500円引きです。
ただし、これらの割引は正月、5月の大型連休、お盆、襲名披露、余一会などの特別興行期間には適用されません。割引券の利用条件も事前に確認しましょう。
なお、企画公演では仲入りから入場する幕見券が2,000円で販売されるケースもあります。通常興行でいつでも利用できる共通割引ではありません。
当日券の買い方とチケット購入の流れ通常興行は、当日販売・自由席が基本です。
購入から入場までの流れは次のとおりです。
公式番組表を確認する
希望日の昼・夜の出演者、開演時間、休演情報をチェックします。
開場時間に合わせて会場へ行く
昼の部なら通常12時、夜の部なら通常16時30分が目安です。
入口の窓口で当日券を購入する
通常公演は自由席です。2026年11月3日の定席案内では現金払いのみとされています。
入場して好きな席に座る
285席の自由席から空いている席を選びます。
通常興行は10名未満の日付指定予約を受け付けておらず、10名以上の団体については予約制度があります。
一方、独演会や特別興行では前売りの指定席券が販売される場合もあります。通常興行と特別興行では購入方法が異なるため、公式サイトの公演ごとの案内を確認してください。
チケット購入で失敗しないための注意点特に気を付けたいのは、次の3点です。
- 昼夜の入替制なので、両方観る場合は2公演分の料金が必要。
- 通常興行は自由席なので、希望する席に座りたい場合は早めの来場が安心。
- 人気の特別興行は前売り指定席になる場合があるため、通常の当日券方式と思い込まない。
また、出演者の変更があった場合でも、通常の番組表に掲載された内容と実際の出演者が異なることがあります。
【アクセス・飲食・客席ルール】初めての来場前に知りたいこと
鈴本演芸場へのアクセスと最寄り駅所在地は東京都台東区上野2-7-12です。
複数の駅からアクセスできるため、上野・御徒町周辺での買い物や観光と組み合わせやすい場所にあります。
| 最寄り駅 | 出口・改札 | 徒歩の目安 |
|---|---|---|
| 東京メトロ銀座線 上野広小路駅 | A3出口 | 約1分 |
| JR御徒町駅 | 北口 | 約5分 |
| 都営大江戸線 上野御徒町駅 | 駅出口 | 約5分 |
| 東京メトロ千代田線 湯島駅 | 2番出口 | 約8分 |
| JR上野駅 | 不忍口 | 約10分 |
| 東京メトロ日比谷線 仲御徒町駅 | 駅出口 | 約10分 |
最も近いのは上野広小路駅です。初めて訪れる場合は、銀座線を利用すると道に迷いにくいでしょう。
営業時間と電話での問い合わせ通常の昼・夜の公演時間は次のとおりです。
- 昼の部:12時開場、12時30分開演が基本
- 夜の部:16時30分開場、17時開演が基本
- 電話番号:03-3834-5906
- 電話受付:午前11時30分から
公演時間や休館日は変更される場合があります。団体予約や出演者の確認など、細かい質問は電話で問い合わせる方法もあります。
客席で飲食できる?鈴本ならではの楽しみ鈴本演芸場の特徴の一つが、上演中でも客席で飲食を楽しめることです。
公式Q&Aでも、お弁当やお菓子、ビールなどを楽しみながら演芸を鑑賞できると案内されています。
椅子の背もたれには小さなテーブルが取り付けられているため、飲み物や軽食を置きやすい構造です。
売店では、次のような商品を購入できます。
- 井泉本店のかつサンド
- お菓子
- おつまみ
- 自動販売機のジュース
- ビール
特に井泉本店のかつサンドは、鈴本演芸場の名物として知られています。演芸を楽しみながら食事ができるのは、映画館や一般的な劇場とは違う寄席らしい魅力です。
途中入場・途中退場はできる?公式Q&Aでは、途中入場・途中退場のどちらも可能と案内されています。
ただし、演目の途中で客席を移動すると、演者やほかの観客の集中を妨げることがあります。
おすすめの行動は次のとおりです。
- 遅れて到着した場合は、客席後方で一席終わるのを待つ。
- 出演者が交代するタイミングで着席する。
- 途中で帰る場合も、演者の交代時に移動する。
- 携帯電話の着信音やビニール袋の音などに気を配る。
寄席では出演者が比較的短い時間で交代するため、映画や芝居とは異なる柔軟な鑑賞スタイルが成立しています。
【鈴本演芸場と浅草演芸ホール・新宿末廣亭を比較】
東京には複数の落語定席があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
鈴本演芸場だけにこだわる必要はなく、鑑賞したい芸人や劇場の雰囲気、昼夜の使い方で選ぶと寄席巡りがさらに楽しくなります。
東京の代表的な寄席の違い| 比較項目 | 鈴本演芸場 | 新宿末廣亭 | 浅草演芸ホール |
|---|---|---|---|
| 所在地 | 上野 | 新宿 | 浅草 |
| 歴史 | 1857年開席 | 伝統的な木造寄席 | 1964年開業 |
| 興行の特色 | 落語協会中心 | 2つの落語協会が交互に出演 | 2つの落語協会が交互に出演 |
| 昼夜の運用 | 原則入替制 | 通常興行は原則入替なし | 原則入替なし |
| 通常一般料金 | 3,500円 | 3,500円 | 公演ごとの案内を確認 |
| 特徴 | 落語と多彩な色物 | 江戸情緒のある建物 | 浅草観光と組み合わせやすい |
鈴本演芸場は、落語を中心にさまざまな演芸をバランスよく楽しみたい人に向いています。
特に、上野や御徒町周辺で観光する予定がある人、落語協会の出演者を中心に鑑賞したい人、昼と夜で別々の公演を楽しみたい人には便利です。
285席の椅子席という比較的現代的な環境も魅力です。
新宿末廣亭がおすすめの人は、伝統的な寄席建築の雰囲気を味わいたい人におすすめです。
通常興行では昼夜入替が原則なく、昼の部から夜の部まで続けて鑑賞できる点も特徴です。公式案内では一般料金3,500円、夜の部の時間帯割引も設定されています。
浅草演芸ホールがおすすめの人は、浅草観光と演芸鑑賞を組み合わせたい人に向いています。
1964年に開業した劇場で、落語だけでなく漫才、漫談、マジック、紙切り、曲芸、ものまねなど幅広い演目を上演しています。
昼夜の原則入替なしという仕組みもあり、時間をかけて演芸を楽しみたい人に適しています。
選び方の要点は、料金だけでなく、観たい出演者と昼夜の入替制度を確認することです。 同じ3,500円前後でも、劇場ごとに鑑賞スタイルが異なります。
【初心者向け】鈴本演芸場を120%楽しむための5つのコツ
初めて寄席に行く人は、落語の知識がないと楽しめないのではないかと不安になる可能性があります。
しかし、鈴本演芸場は初心者でも気軽に楽しめるよう、落語以外の演目も組み込まれています。
1.最初は昼の部から観る初めてなら昼の部がおすすめです。
12時開場、12時30分開演を目安に予定を組めば、夕方までの時間を使ってゆっくり鑑賞できます。
夜の部は17時開演が基本なので、仕事帰りに立ち寄る選択肢にもなります。
2.出演者を事前に調べすぎないもちろん、好きな落語家がいるなら出演日を調べておくべきです。
ただし、初めての鑑賞なら出演者全員を把握する必要はありません。
落語、漫才、曲芸、奇術など、目の前で次々と変わる芸を楽しむだけでも十分です。
3.落語のオチが分からなくても気にしない落語には江戸時代の生活習慣や昔の言葉が登場することがあります。
現代の感覚では分かりにくい部分があっても、話し方や人物の演じ分け、表情、間の取り方に注目すると楽しみやすくなります。
4.仲入りを上手に利用する公演の途中には「仲入り」と呼ばれる休憩時間があります。
トイレや飲み物の購入などは、この時間を活用すると便利です。
長時間の鑑賞に慣れていない人は、休憩を挟みながら楽しみましょう。
5.帰りの予定を詰め込みすぎない寄席は生の舞台なので、出演者の交代や公演内容によって時間が変わる場合があります。
終演後に食事や買い物を予定する場合は、少し余裕を持ったスケジュールがおすすめです。
こんな人におすすめ・おすすめできない人| おすすめできる人 | あまり向いていない人 |
|---|---|
| 生の落語や漫才を楽しみたい | 映画のように決まった映像作品を観たい |
| 日本の伝統文化に触れたい | 長時間座って鑑賞するのが苦手 |
| 一人で気軽に出かけたい | 静かな環境で完全に音のない鑑賞を望む |
| 上野観光と組み合わせたい | 昼夜を通して同じ入場券で観たい |
| いろいろな演芸を体験したい | 特定の演目だけを確実に観たい |
特定の出演者や演目が目的なら、番組表を確認してから訪れることが大切です。
【鈴本演芸場に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:鈴本演芸場の入場料金はいくらですか?
一般3,500円、学生2,500円、小人1,500円です。学生は中学生以上・30歳までで学生証が必要です。小人料金は小学生のみで、未就学児は通常興行に入場できません。特別興行では料金が異なる場合があります。
Q2:鈴本演芸場の当日券は何時から購入できますか?
通常興行は開場時刻から窓口で販売されます。2026年11月3日の例では、昼の部が12時、夜の部が16時30分からでした。
Q3:昼の部と夜の部は両方観られますか?
観られます。ただし昼夜入替制なので、それぞれの入場券が必要です。
Q4:途中から入場しても大丈夫ですか?
可能です。ただし、演目の途中で移動するのは避け、出演者の交代時に入場するのがマナーです。
Q5:客席で飲食できますか?
できます。お弁当、お菓子、飲み物、ビールなどを楽しめます。売店では井泉本店のかつサンドも販売されています。
Q6:最寄り駅はどこですか?
東京メトロ銀座線の上野広小路駅A3出口が最も近く、徒歩約1分です。JR御徒町駅北口からも徒歩約5分で到着します。
Q7:予約なしでも入れますか?
通常興行は当日券の自由席なので、基本的に個人での事前予約は不要です。ただし特別興行は前売り指定席になる場合があります。
鈴本演芸場は、1857年に始まった長い歴史と、現代でも気軽に楽しめる演芸文化を兼ね備えた上野の名所です。
2026年現在、押さえておきたい基本情報は次のとおりです。
- 創業: 安政4年(1857年)
- 一般料金: 3,500円
- 学生料金: 2,500円
- 小人料金: 1,500円
- 昼の部: 12時台開演が基本
- 夜の部: 17時開演が基本
- 最寄り駅: 上野広小路駅、御徒町駅
- 通常公演: 当日券・自由席が基本
- 飲食: 客席で可能
- 昼夜の運用: 原則入替制
鈴本演芸場の魅力は、落語の知識がなくても、生の話芸や多彩な演芸に触れられることです。途中入場にも対応しているため、初めての人でも予定に合わせて鑑賞できます。
一方、昼夜入替制や特別興行の料金変更、出演者の代演など、事前に知っておきたい点もあります。
失敗しないためには、来場日を決めたら公式番組表で出演者・開演時間・料金・販売方法を確認すること。 これだけでも、当日の満足度は大きく変わります。
江戸時代から続く笑いの文化を、テレビや動画では味わえない距離感で体験できる鈴本演芸場。上野を訪れる際には、観光コースに寄席鑑賞を加えてみる価値があります。