感染状況を判断するうえでは、患者数だけでなく、どのような変異株が確認されているかも重要です。愛知県は県内の医療機関から提供された検体を用いて、新型コロナウイルスのゲノム解析を実施しています。
2026年11月3日時点で、愛知県公式サイトに掲載されている最新の解析結果は2026年9月分までです。2024年11月以降は月1回の更新となっており、次回の更新は2026年11月中旬頃と案内されています。
2026年9月の変異株解析結果2026年9月に愛知県で実施されたゲノム解析では、15検体の内訳は次のとおりでした。
- BA.3.2系統:12検体(80.0%)
- NB.1.8.1系統:3検体(20.0%)
- XEC系統:0検体
- その他:0検体
この結果では、解析された検体のうちBA.3.2系統が8割を占めています。8月の解析では26検体中23検体がBA.3.2系統で、割合は88.5%でした。
ただし、これは県内の一部医療機関から提供された検体の解析結果です。愛知県自身も、検体の提供元が限定されるため、変異株の割合には偏りが生じる可能性があると注記しています。
したがって、BA.3.2系統が解析検体の中で多かったことと、県内の感染者全体の80%が同系統であることは同じではありません。また、検体数だけから感染力や重症化リスクが高いと判断することもできません。
変異株の動向を調べる場合は、愛知県衛生研究所や県のゲノム解析資料を確認し、解析月、検体数、系統別の割合をセットで読むことが大切です。
【受診の目安】愛知県で発熱や咳が出たらどうする?

新型コロナの症状には、発熱、喉の痛み、咳、鼻水、倦怠感、頭痛などがあります。症状の程度には個人差があり、軽い風邪のような症状だけで経過する人もいます。
一方、高齢者や基礎疾患のある人などは重症化リスクが高いため、軽症に見えても慎重な対応が必要です。厚生労働省の2026年度冬季の急性呼吸器感染症対策でも、特に注意すべき対象として次の人たちが挙げられています。
- 乳幼児
- 高齢者、とりわけ80歳以上の人
- 免疫機能が低下している人
- 末期腎不全などの基礎疾患がある人
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患がある人
こうした人は、体調の変化を早めに医療機関へ相談が必要です。
愛知県での受診方法2024年4月以降、新型コロナの診療は通常の医療提供体制に移行しています。かつてのように新型コロナ専用の外来対応医療機関だけを探す必要はなく、地域の一般医療機関でも診療を受けられる体制です。
発熱や喉の痛みなどの症状がある場合は、まず次の手順で対応しましょう。
かかりつけ医に電話する
症状が出た日時、発熱の程度、咳や呼吸器症状の有無を伝えます。
受診方法を確認する
院内感染を防ぐため、緊急時を除いて、連絡せずに直接医療機関へ行くことは避けます。
医療機関の指示に従う
必要に応じて検査や診察を受け、療養方法や治療について相談します。
かかりつけ医がない場合は、地域で診療可能な医療機関を自治体などの案内で確認してください。
早めに医療機関へ相談したい症状特に注意したいのは、次のような症状です。
- 高熱が続いている
- 息苦しさや呼吸困難がある
- 意識状態がおかしい
- 水分や食事を十分に取れない
- 症状が改善せず、体調が悪化している
呼吸困難や意識障害など、明らかに緊急性が高い症状がある場合は、救急対応をためらわないでください。
新型コロナの抗ウイルス薬には、発症からの経過時間や基礎疾患、服用中の薬などを考慮して使用を判断するものがあります。厚生労働省によると、薬剤によって発症後5日以内、または3日以内といった使用開始の期限があります。重症化リスクがある人ほど、受診を先延ばしにしないことが大切です。
【療養期間と感染対策】発症後5日間・10日間の過ごし方
新型コロナが5類感染症になったことで、陽性と診断された人に対する法律上の一律の外出自粛や自宅療養の義務はなくなりました。しかし、感染性のあるウイルスを排出する可能性は残ります。
厚生労働省と愛知県は、発症後の周囲への感染を防ぐため、一定期間の外出自粛やマスク着用などを推奨しています。
発症後5日間は外出を控える発症日を0日目として、5日間は外出を控えることが推奨されています。
5日目になっても症状が続いている場合は、熱が下がり、喉の痛みや痰などの症状が軽快してから24時間程度が経過するまで、外出を控えて様子を見ることが勧められています。
無症状で陽性となった場合は、検体を採取した日を0日目として考えます。
発症後10日間は周囲への配慮を続ける発症から10日間が経過するまでは、ウイルスを排出している可能性があります。そのため、外出する場合は不織布マスクを着用するなど、周囲への感染防止に努めましょう。
特に、高齢者や免疫機能が低下している人など、重症化リスクの高い人との接触はできるだけ控えることが推奨されています。10日を過ぎても咳やくしゃみが続く場合は、引き続き咳エチケットを心がけてください。
なお、学校については学校保健安全法施行規則に基づき、発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで出席停止となります。一般の人に対する外出の推奨期間と、学校の出席停止基準は区別して理解する必要があります。
家族が感染した場合の対応同居家族が新型コロナに感染した場合、保健所が濃厚接触者を特定して法律に基づく外出自粛を求める仕組みはありません。
ただし、家庭内での感染を防ぐため、可能であれば感染者と生活する部屋を分け、手洗いや換気を徹底することが推奨されています。
感染した家族の発症日を0日目として、特に5日間は自分自身の体調にも注意しましょう。7日目までは発症する可能性があるため、高齢者などとの接触にも配慮が必要です。
2026年秋冬に実践したい基本的な感染対策愛知県では、日常生活における基本的な感染対策について、個人や事業者の主体的な判断を尊重する方針を取っています。マスクの着用も原則として個人の判断ですが、感染リスクが高い場面では対策を取り入れる価値があります。
厚生労働省が2026年度の急性呼吸器感染症対策で示している主な予防方法は次のとおりです。
- 換気: 窓や換気設備、換気扇を活用して室内の空気を入れ替える。
- 手洗い: 外出後や食事前などに流水と石けんで手を洗う。
- マスク: 咳やくしゃみがある場合、人混みなどでは不織布マスクを活用する。
- 室内環境: 乾燥しやすい時期には適切な湿度を保つ。
- 体調管理: 発熱や咳などの症状があるときは、無理に出勤・登校しない。
- ワクチン: 接種対象や時期を確認し、重症化予防について医師に相談する。
厚生労働省は、乾燥しやすい室内では湿度50~60%を保つことも有効としています。また、常時換気設備や換気扇を適切に使用することも勧めています。
【新型コロナウイルス愛知県】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年11月現在、愛知県の新型コロナ感染者数は何人ですか?
2026年11月3日時点で愛知県が公表している最新の第43週(10月19日~25日)の定点当たり報告数は0.72人です。入院患者の報告数は8人でした。現在は定点把握方式のため、以前のような県内の全感染者数は週報の数字だけでは分かりません。
Q2:名古屋市の新型コロナ感染状況は愛知県全体より低いですか?
第43週の名古屋市の定点当たり報告数は0.64人で、愛知県全体の0.72人を0.08人下回っています。名古屋市では第38週の2.52人から第43週の0.64人まで減少しています。
Q3:新型コロナに感染したら何日間仕事や学校を休む必要がありますか?
一般の人に対して法律で一律の自宅療養期間が定められているわけではありません。ただし、発症日を0日目として5日間は外出を控え、症状が続く場合は軽快後24時間程度が経過するまで外出を控えることが推奨されています。学校は別途、学校保健安全法施行規則に基づく出席停止基準があります。勤務先については就業規則も確認してください。
2026年11月3日時点で確認できる愛知県の最新データは、第43週(10月19日~25日)の週報です。県全体の定点当たり報告数は0.72人、入院患者の報告数は8人、名古屋市は0.64人でした。
名古屋市では第38週から第43週にかけて定点当たり報告数が低下しており、直近の感染動向は下降傾向にあります。一方、定点把握は全感染者を集計する方式ではないため、数字が低いことだけを理由に感染対策を完全にやめるのは適切ではありません。
今後の状況を把握する際には、次の3つを継続して確認することが有効です。
1. 愛知県の週報: 定点当たり報告数と入院患者数の変化を確認する。
2. 変異株のゲノム解析: 解析月、検体数、系統別の割合を確認する。
3. 厚生労働省の最新情報: 受診の目安、療養期間、予防策を確認する。
特に高齢者、乳幼児、基礎疾患のある人がいる家庭では、感染者数の増減にかかわらず、換気や手洗い、体調不良時の外出自粛を続けることが大切です。
愛知県の新型コロナウイルス感染状況は、週ごとの数字だけでなく、医療機関への負担や変異株の動向も含めて総合的に見る必要があります。次回の週報と11月中旬頃に予定されているゲノム解析の更新が、今後の県内の状況を判断するうえで注目されます。
主な情報源:愛知県感染症対策課、愛知県衛生研究所、名古屋市感染症情報センター、厚生労働省。データ基準日:2026年11月3日。