衣類のタグに並ぶ洗濯表示マーク。洗濯機で洗えるのか、何度まで温度を上げてよいのか、乾燥機や漂白剤を使っても大丈夫なのか、迷った経験はないでしょうか。記号を一つ見落とすだけで、衣類の縮み、色落ち、型崩れにつながることがあります。
2026年現在、洗濯表示を読み解くうえで押さえておきたいのが、2024年8月20日に実施された改正です。日本産業規格「JIS L 0001」が改正され、洗濯表示の記号やアイロンの温度表示などが見直されました。消費者庁の現行資料を基に、洗濯表示マーク一覧と早見表、新旧表示の違い、家庭で失敗しない読み取り方まで整理します。
【まずは基本】洗濯表示マークの意味は5つの形で見分ける

洗濯表示マークをすべて暗記する必要はありません。最初に覚えたいのは、記号の外側の形が何を意味するかという基本ルールです。消費者庁が公表するJIS L 0001の解説では、衣類の取扱表示は5種類の基本記号を中心に構成されています。
- 桶(おけ):家庭での洗濯。洗濯機を使えるか、手洗いが必要か、液温を何度までにするかを判断する。
- 三角形:漂白処理。塩素系・酸素系漂白剤を使えるかを確認する。
- 正方形:乾燥処理。タンブル乾燥や、つり干し・平干しなどの自然乾燥方法を示す。
- アイロンの形:アイロン仕上げの可否と温度の上限を示す。
- 円:商業クリーニング。ドライクリーニングやウエットクリーニングの可否を示す。
加えて、基本記号に重ねられた線や点、×印を読み取れば、具体的な取扱条件が分かります。例えば、同じ桶のマークでも、数字が異なれば洗濯液の上限温度が変わり、下線が付けば洗濯処理の強さも変わります。
覚えておきたいのは、洗濯表示が「どの方法なら衣類に回復できない損傷を与えずに取り扱えるか」を示す情報だという点です。表示が40℃までなら、40℃より低い温度を選ぶことはできますが、表示を超える高温で洗うことは避けます。
【早見表】洗濯表示マーク一覧と洗濯機・手洗い・漂白・乾燥の意味
洗濯表示マークの意味を、家庭で使う場面ごとにまとめました。マークそのものは図形ですが、以下の説明と実際のタグを照らし合わせれば、基本的な判断ができます。
1.洗濯機の温度表示と手洗いマーク桶の中に数字が書かれている場合、その数字は洗濯液の上限温度を示します。例えば「30」は30℃まで、「40」は40℃までです。数字が摂氏温度を示すため、記号に「℃」が書かれていなくても意味は変わりません。
- 桶に30:洗濯液の上限は30℃。洗濯機で洗えるか、手洗いが必要かは、桶の中の手の有無や下線で判断する。
- 桶に40:洗濯液の上限は40℃。通常処理、弱い処理、非常に弱い処理などの違いも確認する。
- 桶の下に一本線:線のない同じ記号より弱い洗濯処理が必要。
- 桶の下に二本線:非常に弱い洗濯処理が必要。
- 桶に手のマーク:手洗いによる洗濯処理ができる。洗濯機の通常コースに入れてよいという意味ではない。
- 桶に×印:家庭での洗濯処理は禁止。
手洗いマークが付いた衣類は、洗面器などに適温の水を用意し、衣類を強くもみ込最初に、押し洗いを基本にします。洗濯機の「手洗いコース」や「おしゃれ着コース」は便利ですが、機種によって動きや脱水の強さが異なります。表示の条件を満たすか分からない場合は、手洗いを選ぶほうが安全です。
なお、桶の中の数字は洗濯機の設定温度そのものではなく、衣類を洗う際の上限温度です。洗濯機の温度設定に表示がない場合でも、記号の数字を上限として考え、必要以上に高温で洗わないことが基本になります。
2.漂白マークの意味と漂白剤の選び方三角形は漂白処理を示します。漂白剤を使うときは、洗濯用洗剤が使えるかどうかとは別に、この記号を確認してください。
- 三角形のみ:塩素系・酸素系漂白剤による漂白処理ができる。
- 三角形の中に斜線が2本:酸素系漂白剤は使えるが、塩素系漂白剤は使えない。
- 三角形に×印:漂白処理は禁止。
漂白剤なら何でも使えるわけではありません。特に塩素系漂白剤は、色柄物の色落ちや生地の傷みを引き起こすことがあります。酸素系漂白剤も製品の種類や使用条件によって適否が異なるため、衣類の表示と漂白剤の使用説明を併せて確認しましょう。
3.タンブル乾燥マークと自然乾燥マーク正方形の中に円がある記号は、洗濯後のタンブル乾燥、つまり衣類を回転させながら温風などで乾燥する処理を表します。家庭用のドラム式洗濯乾燥機や衣類乾燥機を使う際に確認したい記号です。
- 正方形の中に円、点が2つ:タンブル乾燥ができる。排気温度の上限は80℃。
- 正方形の中に円、点が1つ:低温でのタンブル乾燥ができる。排気温度の上限は60℃。
- 正方形の中に円、×印:タンブル乾燥は禁止。
ここでいう温度は、アイロンの設定温度や洗濯液の温度とは異なります。点が増えるほど高い温度での処理を示すという考え方は共通していますが、実際の温度は記号の種類によって異なります。
自然乾燥マークは、正方形の中にある線の向きと本数で読み分けます。
- 縦線1本:脱水後につり干しする。
- 縦線2本:脱水せず、ぬれた状態でつり干しする。
- 横線1本:脱水後に平干しする。
- 横線2本:脱水せず、ぬれた状態で平干しする。
- 斜線:日陰干しを示す付加記号。
ニットや型崩れしやすい衣類では、平干しの表示があるかどうかが重要です。濡れた衣類をハンガーに掛けると、自重で肩や身頃が伸びる場合があります。日陰干しの表示がある場合も、直射日光に長時間さらすことは避けましょう。
4.アイロンマークの温度とクリーニングマークアイロンの形の記号は、内側の点の数で温度の上限を判断します。2024年改正後の表示では、点の数と上限温度の対応が従来から変わっているため、新旧のタグを見比べるときには注意が必要です。
- 点が3つ:底面温度210℃まで。
- 点が2つ:底面温度160℃まで。
- 点が1つ:底面温度120℃まで。
- アイロンに×印:アイロン仕上げは禁止。
現行表示には、120℃を上限としてスチームなしでアイロンをかけることを示す記号もあります。スチームの有無まで指定されている場合は、温度だけを見て判断せず、記号の意味を確認してください。
クリーニングマークは円形です。円の中にある文字や、円の下の線、×印によって、利用できる処理や処理の強さが異なります。ドライクリーニングは専用の溶剤を使う処理で、ウエットクリーニングは専門業者が水を使って行う処理です。どちらも家庭での通常の水洗いと同じ意味ではありません。
- 円の中にPやF:指定された溶剤によるドライクリーニングができる。
- 円の中にW:専門業者によるウエットクリーニングに関する表示。
- 円に×印:その記号が示すクリーニング処理は禁止。
- 円の下に線:線のない同じ記号より弱い処理が必要。
クリーニングに出すときは、円の中の文字だけでなく、下線の有無も伝えると判断しやすくなります。家庭で水洗いできない衣類でも、適切なドライクリーニングが可能な場合があります。
【2024年8月改正】洗濯表示マークの新旧比較とJIS L 0001の変更点
2024年8月20日、洗濯表示に関する日本産業規格「JIS L 0001:2024」が発行され、同日付で消費者庁の繊維製品品質表示規程も改正されました。経済産業省の公表資料によると、背景には国際規格ISO 3758の2023年12月改正があります。国内外で使われる表示記号の整合性を高め、衣類の適切な取扱いにつなげることが目的です。
今回の改正は、洗濯表示の仕組みを一から変えるものではありません。基本となる5種類の記号や、数字・線・点・×印の考え方は引き続き使われています。一方で、追加された記号やアイロン温度の上限などに変更があり、以前の表示をそのまま新しい表示に読み替えると誤解が生じる可能性があります。
| 比較項目 | 改正前の表示 | 2024年改正後の表示 |
|---|---|---|
| 規格の位置づけ | JIS L 0001(2014年制定の規格) | JIS L 0001:2024 |
| 記号の種類 | 従来の表示体系 | 追加・見直しを経て43種類 |
| アイロン・点3つ | 底面温度200℃まで | 底面温度210℃まで |
| アイロン・点2つ | 底面温度150℃まで | 底面温度160℃まで |
| アイロン・点1つ | 底面温度110℃まで、スチームなし | 底面温度120℃までを基本とし、スチームなしを示す記号も規定 |
| その他の改正 | 従来の記号体系 | 記号の追加やデザインの微修正などを実施 |
| 経過措置 | 旧表示の衣類も流通・保有されている | 2025年8月19日まで、従来の例による表示が認められた |
上の比較で特に重要なのは、アイロンの温度表示です。旧表示の点3つは200℃まで、点2つは150℃まででしたが、改正後はそれぞれ210℃、160℃までに変更されました。また、旧表示の点1つは「110℃まで、スチームなし」でしたが、改正後は120℃を上限とする表示に見直され、スチームなしを示す記号も規定されています。
このため、旧表示で点1つのアイロンマークを見慣れている人ほど注意が必要です。古いタグに書かれた意味を、新しいタグにそのまま当てはめないようにしてください。
洗濯表示の歴史を振り返ると、国内では2016年12月1日から国際規格に整合した表示体系が導入されました。それ以前は日本独自のJIS L 0217に基づく表示が使われていました。2024年の改正は、その2016年の変更とは別に行われた、国際規格の改訂に伴う部分的な見直しです。
なお、2024年8月20日の改正後も、事業者向けには2025年8月19日まで経過措置が設けられていました。2026年現在、手元の衣類に旧表示が付いていても不自然ではありません。衣類を購入した時期や製造・表示の経緯によって、新旧の表示が混在することがあります。
【縮み・色落ちを防ぐ】洗濯表示マークを失敗なく読む4つの手順
洗濯表示は一つのマークだけを見て判断するのではなく、左から順に処理方法を確認するのが基本です。洗濯、漂白、乾燥、アイロン、クリーニングという順序を覚えておくと、タグの情報を整理しやすくなります。
手順1:まず桶のマークで洗えるかを確認する最初に見るのは桶の記号です。×印があれば家庭での洗濯は禁止です。数字があれば上限温度を確認し、下線があれば洗濯機の標準コースではなく、弱い処理や非常に弱い処理を選びます。手のマークがある場合は、手洗いができるという表示です。
手順2:漂白剤を使う前に三角形を確認する汚れが気になるからといって、すぐに漂白剤を加えるのは避けましょう。三角形の表示が酸素系漂白剤のみを許可している場合、塩素系漂白剤は使用できません。×印がある場合は、漂白剤の種類にかかわらず漂白処理を行わないことが基本です。
手順3:乾燥機を使う前に正方形の記号を見る乾燥機の使用可否は、正方形の中に円があるかどうかで判断します。タンブル乾燥禁止の表示がある衣類は、洗濯機で問題なく洗えたとしても乾燥機に入れてはいけません。自然乾燥の場合も、つり干し・平干し・ぬれ干し・日陰干しの違いを確認します。
手順4:最後にアイロンとクリーニングの表示を確認するアイロンは点の数と上限温度、スチームの制限を確認します。クリーニングは円の中の文字や下線の有無まで確認してください。記号だけで分からない取扱い上の注意が、タグに文章で付記されている場合もあります。「洗濯ネット使用」「裏返して洗う」「あて布使用」などの指示があれば、それも含めて判断します。
衣類の縮みや色落ちを防ぐには、洗濯機のコース名や洗剤の説明だけでなく、衣類そのものの表示を優先することが大切です。例えば「おしゃれ着コース」と表示されていても、すべての衣類に適した処理になるとは限りません。タグの条件と洗濯機の機能が合っているかを確かめましょう。
【よくある誤解】洗濯表示マークで間違えやすいポイント
洗濯表示は一見複雑ですが、よくある勘違いを避けるだけでも、衣類を傷めるリスクを減らせます。
- 「桶に40」とあれば必ず40℃で洗うべき?
いいえ。40℃は上限温度です。必ずその温度で洗う必要はありません。衣類の汚れや洗剤の使い方を踏まえ、表示の上限を超えない温度を選びます。 - 「手洗いマーク」は洗濯機の手洗いコースでもよい?
必ずしもそうではありません。洗濯機のコースごとに水流や脱水の強さが異なるため、表示に合う処理か判断できなければ手洗いを選びます。 - 「乾燥機が使えない」なら自然乾燥もできない?
そうとは限りません。タンブル乾燥禁止と、自然乾燥の方法は別の表示です。正方形の中の円と、正方形の中の線をそれぞれ確認します。 - 「漂白禁止」でも洗剤は使えない?
漂白禁止は漂白処理をしないという意味です。通常の洗濯ができるかどうかは、桶の記号で別に判断します。 - 「洗濯禁止」ならクリーニングも禁止?
必ずしもそうではありません。桶の×印は家庭での洗濯処理を禁止する表示です。円のクリーニング表示を確認し、可能な処理があれば専門業者に相談できます。
もう一つ注意したいのが、衣類の素材名だけで洗い方を決めてしまうことです。同じ綿素材でも、織り方、加工、裏地、装飾などによって適切な取扱方法は変わります。素材の一般的な特徴よりも、個々の衣類に付いている洗濯表示を優先してください。
【プロの結論】洗濯表示マークは「温度・強さ・禁止」の順で読む
洗濯表示を素早く読み解くコツは、記号を丸暗記することではなく、何を示す記号なのかを順番に理解することです。桶なら洗濯の可否と温度、三角形なら漂白、正方形なら乾燥、アイロンなら仕上げ温度、円ならクリーニングという基本を押さえます。
続いて、数字、点、下線、×印を確認します。数字は洗濯液の上限温度、点は乾燥やアイロンの温度、下線は処理の弱さ、×印は処理禁止です。ただし、点の数が示す温度は記号の種類によって異なるため、アイロンと乾燥機を同じ温度基準で判断しないことが重要です。
2024年8月改正の影響を受けるのは、特に新旧のアイロン表示を比較するときです。旧表示と現行表示では上限温度が異なるため、タグに記された規格や表示内容を確認する必要があります。衣類に旧表示が付いている場合は、消費者庁の旧表示資料と現行資料を照らし合わせると、誤読を避けやすくなります。
洗濯表示は、衣類を長く着るための実用的な情報です。洗濯機のコースや洗剤の性能だけに頼らず、衣類のタグを基準に温度、処理の強さ、乾燥方法を選ぶこと。それが、縮み、色落ち、型崩れを防ぐための最も確実な出発点です。
【洗濯表示マーク】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:洗濯表示マークの一覧はどこで確認できますか?
消費者庁の「新しい洗濯表示」ページで、現行の記号一覧と早見表を確認できます。2024年8月20日以降の表示に加え、2016年12月から2024年8月19日までの旧表示も掲載されています。
Q2:2024年8月改正で洗濯表示はすべて変わったのですか?
いいえ。基本となる5種類の記号は維持され、記号の追加やアイロン温度表示の変更などが行われました。新旧の表示を比較する際は、特にアイロンの点の数と上限温度に注意してください。
Q3:洗濯表示に「30」とあれば、必ず30℃で洗うのですか?
いいえ。桶の中の数字は洗濯液の上限温度を示します。「30」であれば30℃まで洗濯処理ができるという意味で、必ず30℃に設定する必要はありません。
Q4:桶に×印がある衣類は、クリーニング店にも出せませんか?
桶の×印は家庭での洗濯処理ができないことを示します。クリーニング店での処理が可能かどうかは、円形のクリーニング表示を確認してください。判断が難しい場合は、衣類のタグを見せて専門業者に相談するのが安全です。
Q5:タンブル乾燥禁止の衣類は、どう乾かせばよいですか?
正方形の中の円に×印がある場合、タンブル乾燥はできません。正方形の中に縦線や横線がある自然乾燥の表示を確認し、つり干し、平干し、ぬれ干し、日陰干しなど、指定された方法を選んでください。
洗濯表示マークを読むときは、5種類の基本記号を起点に、温度、処理の強さ、禁止の有無を確認することが大切です。洗濯機の温度表示、手洗いマーク、漂白マーク、タンブル乾燥マーク、自然乾燥マーク、アイロンの温度、クリーニング表示を順番に見れば、取扱方法を判断しやすくなります。
2024年8月20日のJIS L 0001改正では、記号の追加やアイロンの上限温度などが見直されました。旧表示と現行表示は同じ意味とは限らないため、古い衣類を扱うときは消費者庁の新旧資料を参考にしてください。
洗濯表示は、単なるタグの記号ではありません。お気に入りの服を縮ませず、色落ちや型崩れを防ぎ、長く着続けるための判断材料です。洗濯を始める前にタグを確認する習慣をつけることが、衣類を大切に扱う第一歩になります。