1987年製作の映画『ラストエンペラー』は、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の波乱に満ちた生涯を描いた、ベルナルド・ベルトルッチ監督による歴史大作です。主演のジョン・ローンをはじめ、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥール、坂本龍一、マギー・ハンなど、国際色豊かな俳優陣が出演しています。
この記事では、映画『ラストエンペラー』のキャスト一覧を役名とともに紹介します。成人した溥儀だけでなく、幼少期から青年期までを演じた3人の子役、日本人キャストの高松英郎や立花ハジメ、坂本龍一の役どころも詳しく解説。加えて、218分の長尺版と劇場公開版の違いについても整理します。
【作品の基本情報】ラストエンペラーは1987年製作の歴史大作

『ラストエンペラー』(原題:The Last Emperor)は、イタリアの映画監督ベルナルド・ベルトルッチが手掛けた歴史ドラマです。1987年に製作・公開され、清朝最後の皇帝となった溥儀の人生を、幼少期から晩年まで描いています。
物語の始まりは1908年。わずか3歳で皇帝に即位した溥儀は、紫禁城という特別な世界で成長します。しかし、辛亥革命による清朝の終焉、日本の大陸進出、満州国の成立、そして戦後の収容所生活と、時代の変化に翻弄されていきます。
本作の大きな特徴は、中国、イギリス、イタリアなど複数の国の映画人が参加した国際共同製作であることです。AFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)の作品紹介でも、複数の俳優による溥儀の演じ分けや紫禁城での撮影が紹介されています。
- 作品名:ラストエンペラー
- 原題:The Last Emperor
- 製作年:1987年
- 日本劇場公開日:1988年1月23日
- 監督:ベルナルド・ベルトルッチ
- 製作:ジェレミー・トーマス
- 上映時間:163分(劇場公開版の作品情報)
- ジャンル:歴史ドラマ・伝記映画
なお、1987年公開という情報と、日本での公開日には違いがあります。海外での作品公開年は1987年ですが、日本での劇場公開は1988年1月23日です。この違いは、作品の公開情報を調べる際に押さえておきたいポイントです。
また、第60回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞など、ノミネートされた9部門すべてで受賞しました。坂本龍一もデヴィッド・バーン、コン・スーとともに作曲賞を受賞しています。
本作の中心人物は、ジョン・ローン演じる成人後の溥儀です。その周囲には、皇后の婉容、イギリス人家庭教師のジョンストン、日本軍関係者、宮廷の人々など、歴史の転換点に関わる人物が配置されています。
以下は、主要出演者と役名をまとめた一覧です。日本語の映画情報と海外の作品クレジットを照合し、人物を確認しやすいように整理しました。
| 役名・人物 | 出演俳優 | 役どころ |
|---|---|---|
| 愛新覚羅溥儀(成人) | ジョン・ローン | 清朝最後の皇帝 |
| 溥儀(3歳) | リチャード・ヴゥ | 幼少期の溥儀 |
| 溥儀(8歳) | タイジャー・ツゥウ | 少年期の溥儀 |
| 溥儀(15歳) | ウー・タオ | 青年期の溥儀 |
| 婉容 | ジョアン・チェン | 溥儀の皇后 |
| レジナルド・ジョンストン | ピーター・オトゥール | 溥儀のイギリス人家庭教師 |
| 甘粕正彦(甘粕大尉) | 坂本龍一 | 日本軍関係者 |
| 川島芳子(Eastern Jewel) | マギー・ハン | 満州国をめぐる重要人物 |
| 菱刈隆 | 高松英郎 | 日本軍の将軍 |
| 張謙和 | ケーリー・ヒロユキ・タガワ | 溥儀を取り巻く人物 |
| 陳宝琛 | ヴィクター・ウォン | 溥儀の教育係 |
| 大李 | デニス・ダン | 溥儀の召使い |
| 戦犯収容所所長 | イン・ルオチェン | 収容所の管理者 |
| 文繡 | ウー・ジュンメイ | 溥儀の妻の一人 |
| 西太后 | リサ・ルー | 清朝の権力者 |
| 戦犯収容所尋問官 | リック・ヤング | 収容所で溥儀を尋問する人物 |
| 乳母・阿嬤(Ar Mo) | イエード・ゴー | 幼少期の溥儀を支える人物 |
主人公の溥儀を演じたのは、香港出身の俳優ジョン・ローンです。
皇帝として生まれながら、政治的な権力を失い、時代の変化に翻弄される溥儀の姿を演じています。豪華な宮廷に囲まれた皇帝時代と、戦後の収容所で自分の人生を振り返る姿には大きな落差があります。
本作では、単に皇帝としての威厳を表現するだけでなく、周囲の人々に人生を決められてきた一人の人間としての溥儀も描かれています。ジョン・ローンの演技は、その複雑な人物像を物語の中心に据える重要な役割を果たしています。
ジョアン・チェン:婉容役溥儀の皇后・婉容を演じたのはジョアン・チェンです。
婉容は、皇帝の妻として宮廷に迎えられながら、政治や社会の大きな変化に巻き込まれていく女性です。溥儀との関係だけでなく、皇室という閉ざされた環境で生きる女性の孤独も、作品の重要なテーマになっています。
ジョアン・チェンは、華やかな衣装や宮廷の雰囲気に負けない存在感を見せ、物語に人間的な深みを与えています。
ピーター・オトゥール:ジョンストン役イギリス人家庭教師レジナルド・ジョンストンを演じたのは、名優ピーター・オトゥールです。
ジョンストンは、幼い溥儀に英語や西洋の知識を教える人物です。紫禁城の伝統的な価値観とは異なる考え方を溥儀に伝え、彼が外の世界を知るきっかけを作ります。
ジョン・ローンが演じる溥儀の人生を理解するうえで、ピーター・オトゥールの存在は欠かせません。皇帝としての立場だけではなく、一人の人間として世界を見ようとする溥儀の変化を支える役柄です。
【溥儀の子役は誰?】幼少期から青年期まで3人の俳優が担当
『ラストエンペラー』のキャストを調べる人が特に気になるのが、幼い溥儀を演じた子役です。
本作では、主人公の人生を長い時間軸で描くため、成人した溥儀を演じるジョン・ローンとは別に、3歳、8歳、15歳の溥儀をそれぞれ異なる俳優が演じています。
3歳の溥儀:リチャード・ヴゥ幼少期の溥儀を演じたのはリチャード・ヴゥ(Richard Vuu)です。
1908年、わずか3歳で皇帝に即位した溥儀の姿を担当しています。まだ幼い子どもが、周囲の大人たちによって皇帝という特別な立場に置かれる場面は、作品の印象的な導入部分です。
8歳の溥儀:タイジャー・ツゥウ8歳の溥儀を演じたのはタイジャー・ツゥウ(Tijger Tsou)です。
皇帝としての生活に慣れていく一方、紫禁城の外にある世界を十分に知らない少年時代の溥儀を演じています。
15歳の溥儀:ウー・タオ15歳の溥儀を担当したのはウー・タオ(Wu Tao)です。
少年から青年へと成長し、自分の意思や将来について考える時期を演じています。ジョンストンとの関係や西洋文化との接触など、溥儀の価値観が変化していく時代を担うキャストです。
溥儀役を整理すると、次のようになります。
- 3歳:リチャード・ヴゥ
- 8歳:タイジャー・ツゥウ
- 15歳:ウー・タオ
- 成人:ジョン・ローン
つまり、溥儀という一人の人物を、合計4人の俳優が演じています。年齢ごとに俳優を交代させることで、皇帝としての幼少期から晩年に至るまでの変化を自然につなげているのです。
【日本人キャスト一覧】坂本龍一・高松英郎・立花ハジメの役どころ
『ラストエンペラー』は海外映画ですが、日本人俳優や日本の音楽家も重要な役割を担っています。特に注目されるのが、音楽を担当した坂本龍一の俳優としての出演です。
坂本龍一:甘粕正彦役坂本龍一が演じたのは、甘粕正彦(甘粕大尉)です。
甘粕正彦は、満州国の成立や日本の大陸政策と関係する実在の軍人です。映画では、溥儀が満州国皇帝となる過程に関わる日本軍側の人物として登場します。
坂本龍一は本作で俳優として出演するだけでなく、音楽制作にも参加しました。デヴィッド・バーン、コン・スーとともに担当した音楽は、第60回アカデミー賞の作曲賞を受賞しています。
映画音楽家としての才能と俳優としての存在感を同じ作品で発揮した点は、本作における坂本龍一の大きな特徴です。
高松英郎:菱刈隆役日本人キャストの一人である高松英郎は、菱刈隆を演じています。
英語版のキャラクター表記ではGeneral Hishikariに当たる人物です。日本軍の将軍として登場し、満州国をめぐる政治的・軍事的な背景を担っています。
高松英郎は日本の映画やテレビドラマでも活躍した俳優で、本作では国際的な歴史大作の日本側の人物を演じています。
立花ハジメ:日本人通訳役立花ハジメは、日本人通訳役で出演しています。
日本軍関係者や中国側の人物が関わる場面において、言語や立場の違いをつなぐ役割を担う人物です。音楽家・アーティストとして知られる立花ハジメが映画に出演していることも、キャストの意外な見どころです。
池田史比古:吉岡安直役池田史比古は、吉岡安直役で出演しています。
日本側の関係者を描く場面に登場する人物で、映画の歴史的背景を構成するキャストの一人です。
日本人キャストの主な出演者- 坂本龍一:甘粕正彦(甘粕大尉)
- 高松英郎:菱刈隆
- 立花ハジメ:日本人通訳
- 池田史比古:吉岡安直
- 生田朗:日本人医師
日本人キャストは、単なる脇役という位置づけではありません。満州国をめぐる日本の関与を物語の中に組み込み、溥儀の人生が中国国内だけで完結しないことを示す役割を担っています。
【脇役・重要人物も紹介】マギー・ハンやリサ・ルーらの役柄
『ラストエンペラー』の魅力は、主演俳優だけではありません。溥儀を取り巻く宮廷関係者や政治的な立場の異なる人物にも、個性的な俳優が配されています。
マギー・ハン:川島芳子役マギー・ハンが演じるのは、川島芳子に当たる人物です。
海外のキャストクレジットでは「Eastern Jewel」と表記され、日本語の映画情報では「川島芳子」と紹介されています。異なる役名表記を見かけても、別の出演者や別人物と混同しないように注意が必要です。
川島芳子は、清朝皇族の出自を持ち、日本や満州国をめぐる歴史の中で知られる人物です。映画では、溥儀を取り巻く政治的な人間関係の一部として描かれています。
リサ・ルー:西太后役リサ・ルーは、西太后を演じています。
西太后は清朝末期の政治を語るうえで欠かせない実在の人物です。溥儀が幼少期に皇帝へ即位する歴史的な背景にも関係しており、物語の冒頭を理解するうえで重要な役柄です。
ウー・ジュンメイ:文繡役ウー・ジュンメイ(Wu Jun Mei)は、文繡を演じています。
溥儀の人生に関わる女性の一人であり、皇室の内部にある人間関係を描くうえで重要な存在です。婉容役のジョアン・チェンとは異なる立場の女性として、物語に複数の視点を与えています。
イン・ルオチェン:戦犯収容所所長役イン・ルオチェン(英若誠)は、戦犯収容所の所長を演じています。
映画は溥儀の幼少期だけでなく、第二次世界大戦後の収容所での生活も描いています。そのため、皇帝時代の宮廷関係者とは異なる人物が登場し、溥儀の過去を振り返る物語の軸を作っています。
ヴィクター・ウォン:陳宝琛役ヴィクター・ウォンが演じる陳宝琛は、溥儀の教育係として知られる人物です。
皇帝としての教育を受ける溥儀と、宮廷の伝統的な価値観を象徴する人物との関係を理解するうえで、重要な役柄となっています。
また、デニス・ダンは溥儀の召使いである大李を演じています。皇帝とその周囲で働く人々との関係も、本作の宮廷描写を構成する要素です。
【オリジナル全長版・完全版の違い】218分版は本当にディレクターズカット?
『ラストエンペラー』には、劇場公開版のほかに218分のテレビ放送版が存在します。このため、DVDやBlu-rayの商品情報を調べると、163分、165分、218分、219分など、複数の上映時間を見かけることがあります。
この違いを理解するうえで重要なのが、劇場公開版と長尺のテレビ版の関係です。
劇場公開版は約163〜165分1987年に劇場公開された本作は、WOWOWやCriterion Collectionの作品情報では163分とされています。一方、Criterion Collectionの制作ノートでは、NTSC版の劇場公開版を165分と記載しています。
作品の上映時間は、収録媒体や再生規格によって表記が異なる場合があります。そのため、163分と165分という数字だけを見て、まったく別の映画だと判断する必要はありません。
218分版はテレビ放送用の長尺バージョンCriterion Collectionの制作ノートによると、映画の製作契約には約4時間のテレビ版を納品する条件がありました。そのため、50分を超えるエピソードを4本構成にした長尺版が制作されています。
この218分版には、劇場公開時には使用されなかった場面が含まれています。戦後の収容所生活など、溥儀の人生をより詳しく描く内容が追加されています。
218分版を正式なディレクターズカットと呼ぶのは正確ではないここが、作品のバージョンをめぐる最も要点です。
Criterion Collectionが2008年に公開した制作ノートでは、撮影監督ヴィットリオ・ストラーロの確認やベルトルッチ監督本人への確認を経て、1987年の劇場公開版こそ監督が承認した最終版であると説明しています。
つまり、218分版は単純に劇場公開版を監督がさらに完成させた「正式なディレクターズカット」ではなく、テレビ放送用に制作された別バージョンです。
長尺版には追加場面を楽しめる魅力がありますが、監督が最終的に劇場公開した作品を見たい場合は、劇場公開版を選ぶのが適切です。
2026年現在、Blu-rayやDVDの商品説明で「完全版」「オリジナル全長版」「ディレクターズカット」といった名称を見かけた場合は、タイトルだけで判断せず、実際の収録時間とバージョン表記を確認するとよいでしょう。
【よくある質問】ラストエンペラーのキャストに関するFAQ
Q1:映画『ラストエンペラー』で溥儀を演じた俳優は誰ですか?
A1:成人した溥儀を演じたのはジョン・ローンです。幼少期から青年期は、リチャード・ヴゥ、タイジャー・ツゥウ、ウー・タオの3人が年齢別に演じています。
Q2:坂本龍一は『ラストエンペラー』で何の役を演じていますか?
A2:坂本龍一は甘粕正彦(甘粕大尉)役で出演しています。また、デヴィッド・バーン、コン・スーとともに映画音楽を担当し、第60回アカデミー賞の作曲賞を受賞しました。
Q3:川島芳子を演じている女優は誰ですか?
A3:マギー・ハンです。英語版のキャストクレジットではEastern Jewel、日本語の映画情報では川島芳子と表記されています。
Q4:高松英郎は何の役で出演していますか?
A4:高松英郎は菱刈隆役で出演しています。英語版ではGeneral Hishikariと表記される日本軍の将軍です。
Q5:『ラストエンペラー』の218分版はディレクターズカットですか?
A5:正確にはテレビ放送用の長尺版です。Criterion Collectionの制作ノートでは、1987年に劇場公開された約165分版がベルトルッチ監督の承認した最終版と説明されています。
Q6:『ラストエンペラー』は日本でも1987年に公開されましたか?
A6:作品の製作年・海外公開年は1987年ですが、日本での劇場公開日は1988年1月23日です。
映画『ラストエンペラー』は、ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥールを中心に、多国籍の俳優が参加した歴史大作です。
溥儀役は成人期のジョン・ローンに加え、3歳のリチャード・ヴゥ、8歳のタイジャー・ツゥウ、15歳のウー・タオが担当しています。年齢ごとに俳優を交代させることで、皇帝としての幼少期から晩年までを一つの人生として描いています。
日本人キャストでは、甘粕正彦役の坂本龍一、菱刈隆役の高松英郎、日本人通訳役の立花ハジメが特に注目されます。加えて、マギー・ハンが川島芳子に当たる人物を演じている点も見逃せません。
バージョンについては、劇場公開版と218分のテレビ版を区別することが大切です。監督が最終版として承認したのは劇場公開版であり、長尺版は追加場面を含むテレビ放送用の別バージョンです。
2026年に改めて本作を鑑賞するなら、まずは主要キャストと役名を押さえ、溥儀を取り巻く宮廷、日本軍、戦後の収容所という3つの人間関係に注目すると、作品の歴史的背景と人物描写をより深く楽しめます。