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ニュウドウカジカとは何者?学名・分類・ブロブフィッシュの由来と深海の食性を徹底解説

桜庭 芽衣 桜庭 芽衣 • 更新: • 公開: • 読了約 15 分
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ニュウドウカジカは、丸みを帯びた大きな頭と柔らかな体が特徴の深海魚です。学名は Psychrolutes phrictus。ウラナイカジカ科に属し、北太平洋の深海底付近に生息しています。日本の水族館では英名を「Blobfish(ブロブフィッシュ)」と紹介する例もあり、独特な見た目から関心を集めてきました。

その食性にも特徴があり、クモヒトデ類、軟体動物、甲殻類などが餌として挙げられます。一方、インターネットで有名になった、顔が溶けたように見える魚の写真については、近縁の別種と混同されることもあります。分類・学名・生態・食性を整理しながら、ニュウドウカジカの実像と、ブロブフィッシュという呼び名の背景を解説します。

【基本情報】ニュウドウカジカとは?学名と分類を解説

ニュウドウカジカ

ニュウドウカジカは、カサゴ目に含められることのあるウラナイカジカ科の深海性魚類です。学名は Psychrolutes phrictus で、1978年にSteinとBondによって記載されました。海洋生物の分類情報を収録する海洋研究開発機構(JAMSTEC)の生物情報システム「BISMaL」でも、この学名と和名の対応が確認できます。

分類上の要点は、ニュウドウカジカが単に「ブロブフィッシュ」と呼ばれる珍しい魚なのではなく、学名によって識別できる独立した魚種だという点です。ウラナイカジカ科には複数の種が含まれ、ニュウドウカジカはそのなかのウラナイカジカ属に位置づけられます。

分類を理解するときは、和名・属名・種名を分けて考えると整理しやすくなります。和名の「ニュウドウカジカ」は日本語での呼称、Psychrolutes は属名、phrictus は種小名です。学名全体を確認することが、似た名前の深海魚や海外で使われる通称との混同を避ける基本になります。

【生態と分布】ニュウドウカジカはどこに生息する?

ニュウドウカジカは北太平洋に分布する深海魚です。魚類情報データベースのFishBaseでは、日本周辺からベーリング海を経て、北米のカリフォルニア州サンディエゴ沖に至る分布が記録されています。生息水深はおおむね500〜2,800mとされ、一般的な沿岸魚とは異なる環境で生活しています。

深海は光が乏しく、水圧が非常に高い世界です。ニュウドウカジカのような深海性魚類は、そうした環境に適応した体のつくりを持っています。海底付近で暮らす性質があり、海底周辺にいる小動物を利用できることも、生態を考えるうえで重要です。

日本近海でも採集記録があります。北海道大学総合博物館の標本情報には、宮城県石巻市沖で採集された個体や、北海道苫小牧市沖で採集された個体が登録されています。後者には2019年10月17日の採集記録があり、ニュウドウカジカが日本周辺の深海にも生息していることを具体的に示しています。

ただし、深海に分布することと、自然の海で頻繁に観察できることは別問題です。水深が深く、採集や観察に専用の設備が必要になるため、生きた個体を一般の人が目にする機会は限られます。生態の全容についても、陸上や浅海の魚と同じ密度で観察データが得られるわけではありません。

【見た目の秘密】ニュウドウカジカはなぜ独特な姿をしているのか

ニュウドウカジカの特徴は、大きく丸みを帯びた頭部、比較的小さな目、厚く柔らかな皮膚、頭部や体表に散らばる皮弁です。体色には淡褐色や暗褐色などの変化があり、全体的にずんぐりした印象を与えます。日本大百科全書(ニッポニカ)の解説では、体長はおよそ60cmとされ、海外の魚類データベースでは最大70cmの記録が紹介されています。

和名の「ニュウドウ」は、顔の周囲にある皮弁や、頭部の形状が僧侶を思わせることに由来すると説明されています。「入道」は仏門に入った人を表す言葉です。魚の顔つきと日本語のイメージが結びついた、特徴的な名前といえます。

一方、インターネットで広まった、鼻のように見える部分が突き出し、口元が垂れ下がった魚の写真を、そのままニュウドウカジカの通常の姿だと考えるのは適切ではありません。深海魚を漁網などで水面まで引き揚げると、急激な水圧の変化や採集時の損傷によって体の形が崩れることがあります。

深海魚の見た目と採集後の姿の違いは、ICES Journal of Marine Scienceに掲載された研究でも論じられています。深海から引き揚げられた魚は、体表やひれが傷ついたり、目や口の形が変わったりする場合があります。つまり、陸上で撮影された標本写真だけを見て、自然環境での姿を判断するのは難しいのです。

柔らかな体は、深海の高い水圧がかかる環境との関係で理解する必要があります。水中での体の形と、水圧が大きく変化した水面上での形は同じではありません。ニュウドウカジカの見た目を正しく知るには、生息環境と採集後の変化を切り離さずに考えることが大切です。

【食性と餌】ニュウドウカジカは何を食べる?

ニュウドウカジカの食性として挙げられるのは、クモヒトデ類、軟体動物、甲殻類などです。海外の魚類データベースFishBaseでは、ウミエラ類、カニ類、軟体動物が餌として記録されています。モントレー湾水族館の解説でも、カニ類や軟体動物に加え、刺胞動物やウミユリ類などが食物として挙げられています。

それぞれの餌の分類を理解すると、ニュウドウカジカの食性がより明確になります。

  • クモヒトデ類:棘皮動物に属する海産動物です。細長い腕を持ち、海底で生活する種類が多くいます。
  • 軟体動物:貝類やタコ・イカなどを含む動物群です。ただし、分類上のグループが餌として挙げられていても、そのすべての種類を食べるという意味ではありません。
  • 甲殻類:カニ類やエビ類などを含みます。ニュウドウカジカの餌として、海外の資料ではカニ類が具体的に記録されています。
  • ウミエラ類など:海底に生息する刺胞動物の仲間です。海外の魚類データベースでは、こうした底生動物も食物として紹介されています。

ここで注意したいのは、「軟体動物」と「甲殻類」が同じ分類群ではないという点です。また、クモヒトデ類は棘皮動物に属するため、これらとも別のグループです。異なる分類群の生物を食べるという情報から、ニュウドウカジカが海底周辺のさまざまな動物を餌として利用していることが分かります。

「ニュウドウカジカの餌は何か」と検索すると、特定の餌だけを食べる魚のように説明されることがあります。しかし、現在参照できる食性情報は複数の動物群を示しています。自然環境でどの餌をどの程度利用するかは、場所や餌の分布によって異なる可能性があり、単一の餌だけで食性を説明するのは不十分です。

なお、食べる動物の一覧から、捕食の頻度や一日に必要な餌の量まで断定することはできません。食性の記録と、摂餌量や行動の詳細な研究は区別して読む必要があります。

【基本データ一覧】ニュウドウカジカの分類・大きさ・生息水深

ニュウドウカジカの基本情報を、分類・生態・食性に分けて整理しました。分類についてはJAMSTECのBISMaL、分布・水深・最大サイズ・食性についてはFishBaseなどの魚類情報資料を参考にしています。

項目 内容 補足
和名 ニュウドウカジカ 漢字では「入道鰍」と表記
学名 Psychrolutes phrictus Stein & Bond, 1978
科 ウラナイカジカ科 Psychrolutidae
属 ウラナイカジカ属 Psychrolutes
分類上の位置 条鰭綱・カサゴ目・カジカ亜目 JAMSTECのBISMaLに掲載された分類体系
分布 北太平洋 日本周辺、ベーリング海からカリフォルニア沖など
生息水深 約500〜2,800m FishBaseに掲載された範囲
体長 約60〜70cmの記録 資料によって示される最大サイズが異なる
主な餌 クモヒトデ類、軟体動物、甲殻類など 海外資料ではウミエラ類やカニ類も記録
英名・通称 Blobfish、Blob sculpin 資料や地域によって呼称が異なる

表の数値は、種の特徴をつかむための目安です。とくに体長は、資料の測定記録や記載方法によって差が生じます。また、生息水深は観察・採集記録に基づく範囲であり、すべての個体がその全域を移動することを意味するものではありません。

【別名の真相】ブロブフィッシュと呼ばれる理由、展示が珍しい背景

ニュウドウカジカは、日本の水族館の紹介ページなどで英名「Blobfish」と表記されています。たとえば、アクアマリンふくしまはニュウドウカジカの学名を Psychrolutes phrictus、英名をBlobfishと紹介しています。一方、FishBaseなどでは「Blob sculpin」という英名が使われています。通称は資料によって異なるため、名称だけで魚種を判断しないことが重要です。

特に混同されやすいのが、世界一醜い生き物として話題になった魚です。一般に、2013年に「世界一醜い動物」として知られるようになった有名なブロブフィッシュの写真は、Psychrolutes marcidus という別種と結びつけて紹介されます。ニュウドウカジカの学名は Psychrolutes phrictus です。どちらもウラナイカジカ科に属する近縁の魚ですが、学名が異なる以上、同一種として扱うべきではありません。

この違いは、検索結果やSNSで深海魚の画像を調べるときにも役立ちます。「ブロブフィッシュ」という通称だけが掲載されている場合は、学名や掲載元の説明を確認すると、ニュウドウカジカと別種の情報が混ざるのを防げます。

実物を観察できる機会が少ないことも、ニュウドウカジカの特徴です。アクアマリンふくしまは2024年5月1日、北海道知床沖の水深675〜1,200mで4月下旬に採集されたニュウドウカジカの展示開始を発表しました。同館の発表では、展示は6月10日に終了しています。深海魚の生きた姿を見られる機会が限られることを示す具体例です。

同館は、ニュウドウカジカの長期飼育が難しく、生きた姿を見られる機会は非常に稀だと説明しています。深海の高圧環境から水面へ運ぶ過程では、体への負担や損傷が生じることがあり、採集できた個体を継続して飼育・展示することも容易ではありません。

また、FishBaseの保全情報では、IUCNレッドリストの評価欄は「Not Evaluated」とされています。これは評価が実施されていないことを示すもので、個体数が十分に多いことや、絶滅の危険がないことを意味するわけではありません。深海魚の保全状況を考える際には、知名度や写真のインパクトと、実際の生息状況・評価データを分けて捉える必要があります。

【ニュウドウカジカ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ニュウドウカジカの学名は何ですか?
A1:学名は Psychrolutes phrictus です。ウラナイカジカ科ウラナイカジカ属に分類される海水魚で、北太平洋の深海に生息しています。

Q2:ニュウドウカジカは何を食べますか?
A2:クモヒトデ類、軟体動物、甲殻類などが餌として挙げられます。海外の資料ではカニ類やウミエラ類なども食物として記録されています。具体的な餌の種類や摂餌量を、すべての個体に共通するものとして断定することはできません。

Q3:ニュウドウカジカとブロブフィッシュは同じ魚ですか?
A3:日本の水族館などでは、ニュウドウカジカの英名としてBlobfishが使われる例があります。ただし、ブロブフィッシュという通称は別種の Psychrolutes marcidus にも広く使われます。魚種を正確に区別したい場合は、学名を確認してください。

Q4:ニュウドウカジカはどのくらい深い場所にいますか?
A4:FishBaseでは、おおむね水深500〜2,800mの範囲が示されています。日本周辺の深海にも採集記録があり、北海道沖や三陸沖などで標本情報が確認できます。

Q5:ニュウドウカジカはなぜ飼育展示が珍しいのですか?
A5:深海の高圧環境から水面へ運ぶ際に体へ負担がかかるうえ、長期飼育も難しいためです。アクアマリンふくしまも、2024年の展示紹介で長期飼育の難しさと、生きた姿を見られる機会の少なさを説明しています。

ニュウドウカジカを理解するうえで、押さえておきたい要点は3つあります。第一に、学名 Psychrolutes phrictus とウラナイカジカ科という分類です。通称や見た目の印象だけではなく、学名を基準にすれば、似た深海魚との混同を避けやすくなります。

第二に、深海という生息環境と、柔らかな体や独特な頭部形状との関係です。水面上で撮影された姿が、そのまま自然環境での姿を表すとは限りません。深海魚の写真を読み解くときは、撮影状況や採集後の変化にも目を向ける必要があります。

第三に、食性を分類学的に捉えることです。ニュウドウカジカは、クモヒトデ類、軟体動物、甲殻類など、異なる分類群の動物を餌として利用します。餌の種類を知ることは、深海の海底環境における生態を理解する手がかりになります。

「世界一醜い魚」という話題性だけでは、ニュウドウカジカの本質は見えてきません。学名、分布、水深、食性、そして採集後の見た目の変化を組み合わせて理解することが、深海生物を正確に知るための判断基準です。2026年に情報を調べる場合も、写真や通称だけで結論を出さず、博物館・水族館の解説や海洋生物データベースに記載された分類情報を照らし合わせることが、確かな知識につながります。

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経歴・家族構成・活動歴は公式プロフィールと過去の会見記録を突き合わせて記載。確認できない伝聞は本文で明示します。

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