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モズのはやにえとは?作る時期・獲物・冬の保存食と繁殖の関係を徹底解説【2026年最新】

黒田 慎平 黒田 慎平 • 更新: • 公開: • 読了約 15 分
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木の枝先にバッタやカエル、小さなトカゲなどが串刺しになっている。自然の中でそんな不思議な光景を見つけたら、モズが残した「はやにえ」可能性があります。漢字では「早贄」と書き、モズが捕らえた獲物を枝やトゲ、有刺鉄線などに突き刺しておく習性を指します。秋から冬にかけて目にすることが多く、昔から知られてきた野鳥の生態の一つです。

モズのはやにえは、単なる食べ残しでも、奇妙な習性でもありません。2019年には大阪市立大学と北海道大学などの研究グループが、はやにえを多く食べたオスほどさえずりの速度が速くなり、メスを獲得するうえでも有利になることを実験で示しました。冬を乗り切るための食料であると同時に、繁殖期の成功を支える栄養源でもあるのです。2026年の現在、作る時期や獲物、食べるタイミング、行動の仕組み、縁起にまつわる疑問まで、科学的研究と野外観察をもとに解説します。

【モズのはやにえとは】読み方・意味・何を刺すのか

モズのはやにえ

モズのはやにえは、モズが捕らえた獲物を尖った枝やトゲなどに突き刺したり、枝分かれした部分に挟んだりして残す行動です。読み方は「もずのはやにえ」。漢字では「鵙の早贄」と表記され、「速贄」と書かれることもあります。

「早贄」という言葉には、初物の供え物を思わせる意味合いがあります。獲物が枝先に突き刺さった姿が、何かを供えているように見えることから、この呼び名が生まれたと説明されます。辞書類や野鳥の解説書にも記載があり、古くから日本人に知られてきた行動です。

モズはスズメ目モズ科に属する鳥で、全長はおよそ20センチ。小柄ながら、先端がかぎ状に曲がった鋭いくちばしを持ち、昆虫から小動物まで捕食します。枝や杭にとまって周囲を見張り、地上の獲物を見つけると急降下して捕らえる姿も特徴的です。

では、はやにえには具体的に何が使われるのでしょうか。獲物の種類は意外なほど幅広く、昆虫だけに限りません。

  • 昆虫類:バッタ、イナゴ、コオロギ、カマキリなど
  • 地上の小動物:ミミズ、ムカデ、カナヘビ、トカゲなど
  • 水辺にいる動物:カエル、小魚、甲殻類など
  • 小型の脊椎動物:ネズミ類や小鳥など。大きさや種類は状況によって異なる

すべてのモズが同じ獲物を選ぶわけではありません。生息地や季節、その場所で捕まえやすい動物によって、はやにえの内容は変わります。神奈川県立生命の星・地球博物館の野鳥解説や辞書類でも、昆虫から両生類、爬虫類、小型哺乳類まで、幅広い獲物が紹介されています。

【作る時期・食べる時期】秋から冬に集中する理由

はやにえを探すなら、まず注目したいのが秋から冬です。特に10月から1月ごろは、はやにえが見つかりやすい時期として知られています。ただし、モズは一年中はやにえを作ることがあり、春や夏に見つかったからといって不思議ではありません。

日本鳥学会の学術誌に掲載された唐沢孝一氏の研究では、1975年9月から1976年3月にかけて東京都北東部の水元公園で、はやにえの季節変化が調査されました。観察された129個体のうち、120個体、つまり約92%が11月から1月の3か月間に作られていました。消失は12月から2月に多く、特に2月に目立ったと報告されています。

加えて、2019年に公表された大阪市立大学と北海道大学などの研究では、オスがはやにえを作る時期と食べる時期を調べた結果、非繁殖期に蓄えた獲物を繁殖期が始まる直前の1月を中心に消費する傾向が確認されました。2月の消費量は1月に比べて少なく、この季節的な変化が繁殖との関係を調べるきっかけになりました。

この行動を理解するうえで重要なのは、作る時期と食べる時期が必ずしも一致しないことです。秋に捕らえた獲物をその場で食べず、後から利用することで、食料が少なくなる冬を乗り切りやすくなります。さらに繁殖期の直前には、オスが求愛のためのさえずりに必要な栄養を確保することにもつながります。

ただし、はやにえが枝に残っているからといって、必ず後で食べられるとは限りません。長期間放置されて乾燥したり、ほかの動物に食べられたりすることもあります。食べられずに残ったものも含めて、はやにえという行動の全体像を考える必要があります。

【大阪市立大学と北海道大学の研究】さえずりと繁殖の関係を解明

モズのはやにえ研究で大きな転機となったのが、2019年に国際学術誌『Animal Behaviour』に掲載された西田有佑氏と高木昌興氏らの研究です。研究成果は、科学技術振興機構のScience Portalや環境省関連の環境情報メディアなどでも紹介されました。

研究チームが着目したのは、はやにえの消費量とオスのさえずりの速度です。モズのオスは繁殖期になると、縄張り内でさえずってメスに求愛します。先行研究では、栄養状態が良いオスほど速い速度でさえずることができ、さえずりの速いオスがメスに好まれることが示されていました。

そこで研究チームは、繁殖期のオスの縄張りを定期的に調査し、さえずりを録音して、はやにえの消費量との関係を分析しました。その結果、はやにえを多く食べていたオスほど、さえずりの速度が速いことが分かりました。

加えて、単なる相関関係なのか、それとも食料がさえずりに影響するのかを調べるため、3つのグループを設けた実験が行われました。

研究の項目 内容 主な結果
野外観察 オスのはやにえ消費量と繁殖期のさえずりを比較 消費量が多いオスほど、さえずりの速度が速かった
除去群 オスの縄張り内のはやにえを取り除く 対照群よりさえずりが遅く、メスを獲得する成功率も低かった
給餌群 通常の消費量の約3倍に相当する餌を与える 対照群よりさえずりが速くなり、メスをより早く獲得した
対照群 はやにえの数を操作せず、通常の状態で観察 比較の基準となるグループとして用いられた

給餌群では、メスを獲得する成功率も高く、報道された研究結果では約90%前後でした。対照群と比べて成功率が大幅に上がったというより、より早い時期にメスを獲得できた点が重要です。一方、はやにえを取り除いたグループでは、さえずりが遅くなり、メスを獲得する成功率も低下しました。

この結果から、はやにえは冬の保存食であるだけでなく、繁殖前のオスの栄養状態を支え、求愛のためのさえずりの質を高める役割も持つと考えられています。

ただし、実験が示したのは、はやにえの利用と繁殖成績との関係です。モズが人間のように将来の求愛を計画して獲物を蓄えている、とまで証明されたわけではありません。生存に役立つ食料の確保が、結果として繁殖にも利益をもたらしている点に、この研究の重要性があります。

【はやにえの仕組み】なぜ刺すのか、冬の保存食なのか

モズが獲物を枝先に刺す理由として、最もよく知られているのが保存食説です。獲物を確保できたときに一部を残し、食料が乏しくなる時期に再び利用するという考え方です。前述の季節調査や繁殖前の消費傾向は、この説を支持する材料となっています。

もう一つの重要な視点が、獲物を固定するという機能です。モズは獲物を枝やトゲなどに引っかけ、くちばしでついばんだり、肉片を引きちぎったりします。尖った場所に固定することで、大きめの獲物を食べやすくなる場合があります。こうした過程で、食べる途中の獲物がそのまま残される可能性も考えられます。

はやにえの理由については、縄張りに関係する行動ではないかという説や、捕らえた獲物をすぐに食べきれなかった結果ではないかという説もあります。しかし、枝に刺された獲物がすべて同じ目的で残されているとは限りません。保存食として利用されるものもあれば、固定して食べる過程で残ったものもあると考えると、観察される多様な事例を理解しやすくなります。

また、はやにえは時間がたてば必ず保存状態が良くなるわけではありません。水分が失われて硬くなったり、変色したり、ほかの動物に食べられたりすることがあります。水元公園で行われた1970年代の調査でも、作られてから3か月以上たったものは硬化や変色が見られ、食用に適さない状態になっていたと報告されています。

つまり、はやにえは人間の食品保存のように、いつまでも安全に保管できる仕組みではありません。食料を一時的に確保できる利点と、時間の経過によって利用できなくなるリスクを併せ持つ行動なのです。

【見つけたらどうする】観察のコツと注意点

モズのはやにえは、農地や河川敷、公園、林の縁など、開けた場所と木立が接する環境で見つかることがあります。探すなら、秋から冬にかけて、モズがとまりやすい枝や低木、トゲのある植物などを注意深く観察するのがおすすめです。ただし、見つけやすさは地域や環境によって変わります。

はやにえを見つけたら、獲物の種類だけでなく、刺さっている高さや枝の形、周辺の環境にも注目してみましょう。モズが獲物を固定しやすい場所を選んでいる可能性があり、周囲を見渡せば、近くにとまるモズの姿を観察できることもあります。

2025年2月、東京動物園協会が公開した井の頭自然文化園での観察記録は、その具体例です。12月下旬に枝先に刺さったイナゴが見つかり、後日、その場所にはカナヘビが刺さっていました。さらに翌日、観察者はモズがミミズを捕らえ、枝に引っかける様子を目撃しています。枝の形や硬さ、角度などが、獲物を固定するのに適していた可能性も紹介されました。

この記録が示しているのは、はやにえが単に長期間放置された獲物を眺めるだけの現象ではないということです。獲物が入れ替わることもあり、作る場面を観察できれば、モズの採餌行動をより具体的に理解できます。

観察するときは、次の点を意識してください。

  • 獲物や枝にはできるだけ触れず、自然の状態を保つ。
  • モズが近くにいても、追いかけたり、撮影のために近づきすぎたりしない。
  • 観察した日付、場所の環境、獲物の特徴を記録すると、季節による違いを比べやすい。
  • 有刺鉄線や鋭い枝に近づくときは、けがをしないよう注意する。

はやにえを見つけても、取り除いたり、鳥のために別の場所へ移したりする必要はありません。自然の中でどのように利用されるかを、そのまま見守ることが基本です。

【プロの結論】縁起の良し悪しと2026年に押さえたい科学的理解

枝先に動物が刺さっている姿は、初めて見た人には不気味に映る可能性があります。そのため、モズのはやにえについて「縁起が悪いのではないか」「何かの前兆なのか」と気になる人もいます。

しかし、はやにえが吉兆や凶兆を示すという科学的根拠はありません。獲物を枝などに固定する行動は、モズの採餌や食料確保に関係する生態です。見た目の印象だけで不吉な出来事と結びつける必要はありません。

「早贄」という名称も、モズが何かを祈願して供物を捧げていることを意味するわけではありません。言葉の由来や昔の人々の受け止め方と、現在の生態学的な説明は分けて考えることが大切です。

2026年10月時点で、はやにえを理解するうえで重要なのは、2019年の研究で明らかになった繁殖との関係と、2025年の井の頭自然文化園の観察記録を合わせて見ることです。前者は、はやにえの消費がオスのさえずりやメスの獲得に関係することを実験的に示しました。後者は、実際の現場で獲物が入れ替わり、モズが新たにはやにえを作る様子を伝えています。

一方で、すべてのはやにえが繁殖のために作られると断定することはできません。季節や獲物の種類、残される期間には違いがあります。保存食としての機能、獲物を固定する機能、食べ残しとして残る可能性など、複数の要因を考慮する必要があります。

【プロの結論】モズのはやにえを理解するうえで大切なのは、見た目の奇妙さだけで判断せず、作る時期、食べる時期、獲物の種類、そして繁殖との関係を一体として捉えることです。秋に蓄えた食料が冬の生存を支え、繁殖前の栄養状態にも影響するという研究結果は、野鳥の行動が生存と繁殖の両面に関わることを示しています。身近な枝先に残された小さな獲物から、野鳥の生態を読み解く手がかりが得られるのです。

【モズのはやにえ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:モズのはやにえはいつ作られますか?
A1:秋から冬にかけて見つかることが多く、特に10月から1月ごろが目安です。水元公園での調査では、観察されたはやにえの約92%が11月から1月に作られていました。ただし、春や夏にも作られることがあります。

Q2:モズのはやにえはいつ食べるのですか?
A2:冬の間に食べられるものがあり、2019年の研究では、繁殖期が始まる直前の1月に消費が集中する傾向が確認されました。ただし、すべてが食べられるわけではなく、乾燥したり、ほかの動物に食べられたりすることもあります。

Q3:モズのはやにえを見つけたら、取ってもよいですか?
A3:基本的にはそのままにして、触らずに観察するのがおすすめです。はやにえはモズの食料として利用される可能性があります。取り除く必要はなく、鳥や周囲の環境に配慮して距離を保って観察しましょう。

モズのはやにえは、捕らえた獲物を枝先やトゲなどに突き刺して残す習性です。作る時期は秋から冬に集中することが多く、獲物にはバッタやコオロギ、ミミズ、カエル、トカゲなどさまざまな動物が含まれます。

冬の保存食としての役割に加え、大阪市立大学と北海道大学などによる2019年の研究では、はやにえを多く食べたオスほどさえずりが速くなり、メスをより早く獲得する傾向が示されました。食料を確保する行動が、繁殖の成功にもつながる可能性があるのです。

はやにえを見つけたら、縁起の良し悪しを心配するより、獲物の種類や季節、周囲の環境に目を向けてみてください。枝先に残された小さな獲物は、モズがどのように食料を確保し、厳しい冬を越え、繁殖期を迎えるのかを知る貴重な手がかりになります。

2026年も、身近な公園や河川敷での観察を通じて、はやにえの作られ方や利用されるタイミングに注目すれば、野鳥の生態への理解をさらに深められるでしょう。

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黒田 慎平
デジタルマーケター 黒田 慎平
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リーグ公式記録と大会発表を出典に、選手コメントは会見の逐語録から引用。数値は試合後に公式記録で確認します。

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