「クスノキ」の価値は、音楽作品としての評価だけにとどまりません。楽曲をきっかけに、実際の被爆樹木を守る活動へと発展したことも重要な特徴です。
2014年に始まったクスノキ募金福山雅治の公式発表によると、楽曲を聴いた人々から、被爆クスノキの保存を支援できないかという声が各地から寄せられました。
こうした声に応えるため、福山は2014年に「クスノキ募金」を開設。株式会社アミューズを窓口として、長崎市と連携した支援を行ってきました。
また、長崎市から提供された被爆クスノキの剪定枝を募金活動のモニュメントとしてライブ会場に展示し、樹木の存在を広く知らせる取り組みも実施されました。
KUSUNOKIプロジェクトから長崎クスノキプロジェクトへその後、被爆クスノキだけでなく、長崎に現存する被爆樹木全体の保全と認知拡大を目指す取り組みへと広がっていきます。
長崎クスノキプロジェクトは、被爆樹木を保全・保護し、その存在を広く知ってもらうことで、戦争の記憶や被爆の実相を伝え、命の逞しさと平和への願いを次世代へつなぐことを目的としています。福山雅治は総合プロデューサーを務めています。
2025年の新録版では、楽曲の配信利益の一部を同プロジェクトを通じて長崎市のクスノキ基金に寄付することも発表されました。
これは音楽を聴くことと、被爆樹木の保全活動を結びつける仕組みです。作品のメッセージを伝えるだけでなく、実際の樹木を守る活動にもつなげている点に意義があります。
2025年8月9日、被爆80年の平和祈念式典で児童が合唱2025年8月9日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典では、福山雅治の「クスノキ」が児童合唱曲として披露されました。
歌唱を担当したのは、被爆校である長崎市立城山小学校と山里小学校の児童です。両校が合同で合唱するのは初めてで、約100人の児童が参加しました。
長崎市は選曲の理由について、未来を担う子どもたちが被爆樹木を通して被爆の実相を学び、平和の大切さを感じる機会にしたいという趣旨を説明しています。
福山もこの企画を了承し、式典用に新たな合唱編曲が行われました。
ここには、2014年の作品発表時とは異なる広がりがあります。最初は福山個人の歌として発表された楽曲が、被爆を経験した地域の子どもたちによって歌い継がれる作品になったのです。
被爆体験を直接知らない世代が、樹木の歴史を学び、歌を通じて平和について考える。この継承の仕組みこそ、楽曲が社会に与えた大きな影響の一つです。
【2026年最新情報】被爆クスノキの現在と今後の活動

2026年11月現在、「クスノキ」に関する動きは、楽曲の新録や被爆80年の記念事業から、樹木の長期的な保全と次世代への継承へと続いています。
2026年3月、被爆樹木の保全映像を公開長崎クスノキプロジェクトは2026年3月31日、被爆樹木の状態を確認するパトロールや、山王神社の大クスの剪定、幹の治療の様子を紹介する新しい動画を公開しました。
この取り組みは、樹木を歴史的な象徴として紹介するだけでなく、実際に維持管理していく必要があることを示しています。
被爆クスノキは、原爆による内部損傷や長年の腐朽があり、場所によって幹の半分程度が空洞になっています。2006年には台風で大枝が折れる被害も発生しました。それでも、神社関係者や地域住民、樹木医などの支援によって樹勢を保っています。
2026年6月、平和のバスデザインコンテストを開催2026年6月22日には、全国の小学生を対象にした「平和のバスデザインコンテスト」の開催が告知されました。
子どもたちが考えた平和への願いをバスの車体にラッピングし、長崎市内を走らせる取り組みです。2026年度の募集期間は6月22日から9月4日までで、選ばれたデザインを使ったバスは、2026年12月から2027年3月末まで運行する予定とされています。
2026年3月には過去の応募作品一覧も公開されており、活動が継続していることが分かります。
2026年8月にも山王神社の大クスを紹介する報道2026年8月14日には、テレビ長崎の特集「樹は見ている」で山王神社のクスノキが取り上げられました。
番組では、被爆から81年を経た大クスが青々と葉を茂らせている姿を紹介。1945年の被爆から約2か月後に新芽が出た歴史と、現在も平和や復興の象徴として地域を見守る存在であることが伝えられました。
2026年の動向を整理すると、次の三つが重要です。
- 樹木の保全:剪定、幹の治療、被爆樹木の状態確認を継続。
- 教育・継承:小学生による平和のバスのデザイン活動。
- 歴史の発信:テレビ番組や映像を通じて被爆クスノキの存在を広く伝える。
2026年の動向まで踏まえると、「クスノキ」は単に原爆の悲惨さを歌った作品として読むだけでは、その本質を十分に捉えられません。
理解を深めるためには、次の三つの視点が重要です。
第一に、歌詞と実際の歴史を切り離さないこと。
歌の主人公となったクスノキは、実在する山王神社の大クスです。被爆したこと、約2か月後に新芽を出したこと、現在も樹木医などの支援を受けていることを知ると、楽曲の言葉が単なる比喩ではなく、現実の歴史と結びついていることが分かります。
第二に、2014年版と2025年版を別々の時代から聴くこと。
2014年版は、福山雅治が長崎の歴史と向き合い、樹木の視点で生命を表現した原点です。一方、2025年版は戦後80年という節目に、そのメッセージを合唱やオーケストラとともに次の世代へ届けようとした作品です。優劣を決めるより、発表された時代と表現の違いに注目することが大切です。
第三に、平和への願いを具体的な活動まで含めて理解すること。
募金、被爆樹木の保全、平和のバス、児童合唱。これらはすべて、楽曲が社会に広がった結果として生まれた、あるいは結びついた取り組みです。
歌を聴いて感動することと、歴史を学び、実際の保全活動を知ること。その両方を大切にすることで、「クスノキ」という作品の意味はさらに深まります。
【クスノキと福山雅治の歌詞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:福山雅治の「クスノキ」は誰について歌った曲ですか?
A1:長崎市の山王神社にある被爆クスノキを題材にした楽曲です。1945年8月9日の原爆投下で大きな被害を受けながらも、約2か月後に新芽を出して生き続けた樹木の視点から、生命の尊さや平和への願いを表現しています。
Q2:「クスノキ」の歌詞の意味は何ですか?
A2:中心となるテーマは、生命の尊さ、再生する力、平和への願いです。人間ではなく樹木を歌詞の主語にすることで、長い時間を生き抜く生命の力と、戦争の記憶を次世代に伝える意味を表現しています。
Q3:「クスノキ」はいつ発売されましたか?
A3:2014年4月2日発売のアルバム『HUMAN』のDISC1、1曲目に収録されました。福山雅治が作詞・作曲を担当しています。
Q4:「クスノキ-500年の風に吹かれて-」は原曲と何が違いますか?
A4:2025年6月30日に配信された11年ぶりの新録版です。新たにボーカルをレコーディングし、合唱隊やオーケストラを加えたアレンジになっています。戦後80年に合わせて制作されました。
Q5:山王神社の被爆クスノキは現在も見られますか?
A5:はい。長崎市坂本2丁目の山王神社境内に現存しています。二本の大クスは長崎市指定天然記念物で、長崎クスノキプロジェクトの情報でも見学可能とされています。樹木の保全が続けられています。
Q6:長崎クスノキプロジェクトとは何ですか?
A6:福山雅治が総合プロデューサーを務める、長崎に残る被爆樹木の保全と認知拡大を目的とした活動です。被爆の記憶や平和への願いを次世代に伝えるため、樹木の保全、教育活動、平和のバスなどを展開しています。
Q7:2026年現在、「クスノキ」に新しい動きはありますか?
A7:あります。2026年3月には被爆樹木の保全活動を紹介する動画が公開され、6月には平和のバスデザインコンテストが告知されました。12月から2027年3月末まで、選定デザインを使ったバスの運行も予定されています。
福山雅治の「クスノキ」は、長崎・山王神社に現存する被爆クスノキを題材に、生命の尊さ、再生する力、そして平和への願いを描いた作品です。
2014年4月にアルバム『HUMAN』の1曲目として発表されて以来、楽曲をきっかけとした募金活動や被爆樹木の保全活動にもつながってきました。
そして2025年6月30日、戦後80年を迎える節目に「クスノキ-500年の風に吹かれて-」として11年ぶりに新録。合唱隊やオーケストラを加えた新しい表現によって、作品のメッセージがさらに広がりました。
2026年には被爆樹木の保全映像や平和のバスの取り組みも進んでいます。楽曲の背景にある歴史が、今も現実の活動として受け継がれているのです。
「クスノキ」の本当の価値は、過去の悲劇を歌にしたことだけではありません。原爆を生き延びた一本の木を通して、今を生きる人々に命の尊さを伝え、未来の世代に平和を考えるきっかけを残していることです。
山王神社の大クスが今も長崎の地に立ち続けるように、この歌もまた、世代を越えて歌い継がれていく意味を持っています。