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【まず結論】「フクとマリモ」とフジマリモは同じ?名称の真相

霧島 直人 霧島 直人 • 更新: • 公開: • 読了約 22 分
目次

最初に整理しておきたいのは、「フクとマリモ」と「フジマリモ」は名称として別物だという点です。山中湖村、山梨県、国立科学博物館の公的資料で確認できるのは「フジマリモ」「富士毬藻」という名称であり、「フクとマリモ」という名称の藻類は掲載されていません。

したがって、富士五湖に生息する希少なマリモについて調べているのであれば、検索対象として確認すべきなのはフジマリモです。ただし、2026年時点の研究では、この名前には生物分類上の意外な事情があります。

かつてフジマリモは、阿寒湖のマリモの変種として扱われていました。しかし、国立科学博物館の2024年度山中湖調査報告書では、フジマリモは独立した生物学的分類群ではなく、山中湖に由来するマリモとタテヤママリモを含めた地域名として整理されています。

つまり、歴史的な呼び名としてのフジマリモと、現在の生物学的な分類名は、必ずしも一致しないのです。この違いが、検索情報を読み解くうえで最も大切なポイントになります。

【1956年の発見から天然記念物指定へ】フジマリモの歴史と富士五湖での広がり

フクとマリモ

フジマリモの歴史は、1956年(昭和31年)4月18日にさかのぼります。

山中湖村の公式文化財資料によると、当時の山中小学校6年生だった坂本晋吾さんが、理科の授業で水辺の植物を学んでいた際、山中湖で緑色の球状の藻を発見しました。

発見された藻は、直径約2センチの球状でした。児童から報告を受けた当時の校長・杉浦忠睦氏が調査し、マリモの仲間であることが確認されます。

同年5月には東京大学理学部の本田正次教授がマリモの一種であると確認。翌1957年には、長崎大学水産学部の岡田喜一教授が調査し、北海道・阿寒湖のマリモの変種として学術報告しました。

その際に記載された学名が、Aegagropila sauteri var. yamanakaensisです。和名にはフジマリモが採用されました。

当時、マリモは北半球の寒冷地域に生育する藻類と考えられていました。そのため、北緯35度25分に位置する山中湖で発見されたことは、植物の分布を考えるうえでも大きな意味を持っていました。

フジマリモの発見・指定・調査の年表
時期 出来事 意味・詳細 1956年4月 山中湖で発見 山中小学校の児童が球状の藻を発見 1956年5月 マリモの仲間と確認 東京大学の本田正次教授が確認 1957年 学術報告 岡田喜一教授が変種として記載 1958年6月19日 県指定天然記念物 「フジマリモ及び生息地」として指定 1970年代以降 河口湖でも確認 富士五湖内で分布が広がる 1993年 西湖で確認・追加指定 山中湖・河口湖・西湖の3湖が対象に 2007年 山中湖で再発見 潜水調査で石に付着した藻体を確認 2021年 調査報告書を刊行 タテヤママリモとの関係が明らかに 2024年度 第4次生息調査 生育状況と遺伝的特徴を再調査 2026年 調査報告書を公表 生育環境と保全上の課題を整理

この経緯で注目したいのが、天然記念物への指定です。

山梨県の文化財データベースによると、フジマリモ及び生息地は1958年6月19日に県指定天然記念物となりました。その後、1993年11月29日に河口湖と西湖を含めた追加指定が行われています。

現在、県の指定対象として記録されているのは山中湖・河口湖・西湖の3湖です。富士五湖という名称から5湖すべてが同じ指定を受けていると思われがちですが、文化財指定の対象範囲は区別する必要があります。

【フジマリモの生息地はどこ?】富士五湖とマリモの分布を整理

フジマリモを理解するには、山中湖だけでなく富士五湖全体の分布を知っておく必要があります。

山中湖は最初の発見地であり、歴史的にも研究の中心となってきた場所です。標高約1,000メートルという環境が、寒冷な水域を好むマリモの生育を可能にしてきたと考えられています。

国立科学博物館や山梨県の研究資料では、河口湖、西湖に加え、精進湖と本栖湖についてもマリモ類の生育が報告されています。

特に精進湖と本栖湖については、2012年の精進湖調査、2013年の本栖湖調査によって、マリモ属に属する糸状緑藻が確認されました。2015年に発表された研究論文では、顕微鏡観察と遺伝子解析を通じて両湖での生育が報告されています。

ただし、ここで注意したいのは、富士五湖でマリモ類が確認されていることと、各湖に同じ種類のマリモが同じように生育していることは別問題だという点です。

富士五湖とマリモ類の関係

- 山中湖:1956年の発見地。県指定天然記念物の中心的な調査対象。
- 河口湖:後にフジマリモの生育が確認された湖。
- 西湖:1993年に生育が確認され、県の追加指定対象となった湖。
- 精進湖:2012年の調査でマリモ類の生育が報告された湖。
- 本栖湖:2013年の調査でマリモ類の生育が報告された湖。

このように、富士五湖はマリモ類の分布を研究するうえで重要な地域です。一方、天然記念物の指定区域と、学術調査によって生育が報告された場所は、同じ意味ではありません。

【マリモとフジマリモの違い】学名から分かる分類の意外な事実

「マリモとフジマリモの違い」は、検索する人が特に混乱しやすいテーマです。

一般にマリモというと、北海道の阿寒湖で知られる緑色の球状の藻をイメージする人が多いでしょう。しかし、生物学的にはマリモの仲間は必ずしも球形になるわけではありません。

国立科学博物館の解説によれば、マリモの本体は、枝分かれした糸状の細胞が集まった緑藻です。糸状体が水流などによって絡まり合うことで、球状の集合体をつくります。

石や岩に付着してコケ状に成長するものや、水底でマット状に広がるものもあります。つまり、丸い形だけを見てマリモと判断することはできません。

2026年時点で押さえたい分類上の違い
比較項目 マリモ タテヤママリモ フジマリモ
現在の扱い 独立した種 独立した種 地域名・呼称
学名 Aegagropila brownii Aegagropilopsis moravica 独立した学名なし
形状 球状・糸状・付着型 柔らかく不規則 呼称に含まれる種類による
主な特徴 高温に弱い 比較的高温に強い 山中湖由来の歴史的名称
山中湖との関係 湖内で確認 1960年採集の栽培個体 地域のマリモ類の総称

特に重要なのは、現在のマリモの学名がAegagropila browniiとして整理されていることです。

これは、2023年に発表された分類学上の研究で、従来広く使われていたAegagropila linnaeiに代わり、Aegagropila browniiが正しい学名として示されたことを反映しています。

一方、タテヤママリモはAegagropilopsis moravicaという別属の別種です。

かつてフジマリモに用いられていたAegagropila sauteri var. yamanakaensisという学名は、1957年の歴史的な記載を理解するうえでは重要ですが、現在の分類を説明する際には、その後の研究による整理も併せて見る必要があります。

2024年度調査報告書は、フジマリモを生物学的な独立分類群として扱わず、山中湖のマリモとタテヤママリモを含む地域名として位置付けています。

【2021年に判明したタテヤママリモの正体】60年以上守られた貴重な藻類

フジマリモの歴史を大きく変えたのが、2021年に明らかになったタテヤママリモの存在です。

この発見の背景には、山中湖で採集されたマリモを長年にわたって家庭で育て続けた人物がいました。

国立科学博物館の資料によると、亀田良成氏は1960年(昭和35年)、小学生のころに山中湖のままの森沿岸からマリモ類を採集しました。その後、東京の自宅で長年にわたり栽培を続けていました。

この個体は、通常のマリモとは異なる特徴を持つ貴重な標本でした。2021年の山中湖フジマリモ生息調査報告書などで分類学的な検討が進められ、タテヤママリモであることが明らかになりました。

なぜタテヤママリモだと分かったのか

見た目だけでは、マリモとタテヤママリモを正確に区別することは簡単ではありません。

国立科学博物館の解説では、タテヤママリモは比較的柔らかく、やや不規則な形をしていると説明されています。最大で約3センチ程度になり、糸状体の枝分かれにも特徴があります。

一方、マリモとタテヤママリモの顕微鏡による形態的な違いは必ずしも明瞭ではありません。そのため、正確な同定には遺伝子解析が重要になります。

今回の分類上の発見から浮かび上がったのは、かつての山中湖には、現在の狭義のマリモだけでなく、タテヤママリモも生育していた可能性があるということです。

ただし、2024年度の調査で山中湖の湖底から採取された試料については、タテヤママリモは確認されていません。現在も湖内に生息していると断定できる状況ではありません。

亀田マリモの現在と保全の課題

亀田氏が育ててきたタテヤママリモは、2012年に一部が国立科学博物館に寄贈され、その後、山中湖村にも引き継がれました。

2024年度調査報告書によると、山中湖交流プラザきららなどで栽培されてきた個体は一時順調に増殖したものの、組織改編などの影響で現在はその多くが失われています。

さらに2026年には、2014年度の潜水調査で採集された別のマリモが、展示用に管理されていた亀田マリモに混入していたことも確認されました。

これは、単に生きた個体を育てればよいという話ではなく、種類ごとに分離して管理し、遺伝的な特徴を保ちながら継承する必要があることを示しています。

【フジマリモが減少した理由】山中湖の水温上昇と生育環境の変化

山中湖のフジマリモが直面している最も深刻な問題は、生育環境の悪化です。

発見当時は山中湖の北東側で比較的普通に見られ、台風などの際には多数の球状のマリモが湖岸に打ち上げられることもあったと、国立科学博物館の資料は伝えています。

ところが、その後は生育量が減少。1993年以降の潜水調査では確認されない時期が続き、一時は山中湖で絶滅したのではないかと考えられていました。

2007年の潜水調査では、湖底の石に付着したわずかな糸状の藻体が再発見されました。しかし、かつて見られたような球状の集合体が豊富に生育していたわけではありません。

最大の懸念は水温の上昇

2021年に公表された国立科学博物館などの調査では、山中湖の平均水温が約40年間で2度上昇し、夏期の気温も約40年間で4度上昇していたことが示されました。

さらに2026年に公表された2024年度調査報告書では、より長期的な環境変化が整理されています。

同報告書によると、山中湖の夏期(7~9月)の水温は、過去50年間で約4度上昇。山中湖村の夏季平均気温も45年間で約3.5度上昇しています。

2023年8月には湖畔の表層水温が26度を超えていました。

寒冷な水域を好み、高温に弱いマリモにとって、この変化は大きな負担になると考えられています。

シアノバクテリアの増加も無視できない

水温上昇による影響は、マリモ自体への直接的な負担だけではありません。

2024年度の潜水調査では、マリモの生育場所にシアノバクテリア(藍藻)やほかの糸状緑藻が広く確認されました。

これらが湖底の石の表面を覆うことで、マリモが付着して成長する場所を奪っている可能性があります。

つまり、水温上昇がマリモに直接影響するだけでなく、競合する藻類の増加を通じて生育環境をさらに悪化させている可能性があるのです。

水質悪化だけが原因ではない

ここで見落としてはいけないのが、水質の変化についての研究結果です。

2024年度報告書では、透明度や化学的酸素要求量(COD)について、長期的に明確な悪化傾向は認められないと整理されています。

つまり、単純に湖が汚れたからマリモが減ったという説明だけでは、現在の状況を十分に理解できません。

研究者が検討しているほかの要因には、冬季の結氷の減少と湖底への湧水供給の減少があります。

冬に湖面が凍ることは、湖底に届く光の量を抑え、植物プランクトンなどの競合生物にとって厳しい環境をつくる一方、低光量環境に適応したマリモには有利に働いていた可能性があります。

また、かつて確認されていたままの森付近の湧水についても、近年の調査では明確な湧出地点が確認されていません。

こうした複数の変化が重なり、フジマリモの生育に影響していると考えられています。

【2026年最新】山中湖のフジマリモは今どうなっている?保全活動の現状

2026年4月23日、山中湖村は国立科学博物館などと実施した令和6年度の生息調査報告書について公表しました。

今回の調査は、2024年11月13日と14日に実施された潜水調査をまとめたものです。過去の調査と同じ地点を中心に、生育状況や遺伝的特徴を調べています。

その結果、山中湖のマリモ群落には厳しい現状が確認されました。

第4次調査で分かった生育状況

国立科学博物館の報告書によると、湖底で確認されたマリモは石の表面に薄く付着し、糸状体も前回調査と比べて短くなっていました。

礫に巻き付いて球状化している個体も小型化し、量も減少。群落面積は前回調査時の半分以下に減少している可能性が高いとされています。

また、以前の調査でマリモが見つかっていた赤芝湾内や水中島では、今回の調査で確認できませんでした。

遺伝子解析では、調査で得られた試料が2020年に山中湖で採取されたマリモの遺伝子と一致し、タテヤママリモやモトスマリモは確認されませんでした。

これからの保全で必要なこと

今回の報告書では、山中湖の自然環境に残るマリモを守る取り組みに加え、過去に採集されて栽培されてきた個体を適切に管理する必要性も指摘されています。

特に亀田マリモについては、安定した栽培環境を整備することが課題です。少数の個体を水槽に分散して育てると、ほかの微細藻類との競争に負けて消失することがあるため、適切な密度を維持する管理が求められています。

自然環境の保護については、ままの森下の保護水域を継続することも提言されています。

次回の潜水調査は、5年ごとの調査方針を踏まえて2029年度に実施することが妥当とされています。

フジマリモの保全は、単に珍しい藻類を水槽の中で残すことではありません。湖底の環境を守ること、種類を正しく識別すること、栽培個体の遺伝的な特徴を維持することの3つが欠かせない課題となっています。

【プロの結論】フジマリモを正しく理解するための3つの判断基準

フクとマリモという検索語から富士五湖の藻類に関心を持った人が、情報を読み違えないためには、次の3点を押さえると理解しやすくなります。

1. 名前と生物学的な種類を区別する

フジマリモは山中湖を中心とした地域に根付いた歴史的な名称です。2026年時点の国立科学博物館の整理では、独立した生物分類群ではなく、マリモとタテヤママリモを含む地域名として扱われています。1957年の学名だけを現在の分類と混同しないことが大切です。

2. 天然記念物の指定と現在の生息状況を分けて考える

1958年に天然記念物に指定されたという事実は、現在も豊富に生息していることを意味しません。山中湖では生育量が減少しており、2024年度調査でも群落の衰退が確認されています。文化財としての価値と、生態系の中で生き残っている個体の状態は、別々に評価する必要があります。

3. 2021年の発見と2026年の調査をセットで理解する

2021年に判明したタテヤママリモの存在は、かつて山中湖に複数種類のマリモ類が生育していた可能性を示しました。一方、2024年度の湖内調査ではタテヤママリモは確認されていません。過去に存在した可能性と、現在の野外での生息確認は区別する必要があります。

フジマリモの本当の価値は、単に珍しい形をした藻類という点だけではありません。日本の植物分布の歴史を示す学術資料であり、富士山周辺の湖沼環境の変化を映し出す存在でもあります。

【フクとマリモ・フジマリモに関するよくある質問(FAQ)】

Q1:フクとマリモはフジマリモのことですか?

A1:公的な資料で確認できる正式な名称はフジマリモです。「フクとマリモ」は正式な生物名として確認されていません。富士五湖に生息するマリモについて調べている場合は、フジマリモを検索すると関連する研究資料を確認できます。

Q2:フジマリモはいつ発見されましたか?

A2:1956年4月18日です。当時の山中小学校6年生だった坂本晋吾さんが山中湖で発見しました。1957年に学術報告され、1958年6月19日に山梨県指定天然記念物となりました。

Q3:フジマリモは天然記念物ですか?

A3:はい。「フジマリモ及び生息地」として山梨県指定天然記念物になっています。指定日は1958年6月19日で、1993年11月29日に河口湖と西湖が追加指定されました。

Q4:フジマリモと阿寒湖のマリモは違う種類ですか?

A4:1957年当時は阿寒湖のマリモの変種として記載されましたが、現在は分類が整理されています。国立科学博物館の2024年度報告書では、山中湖のマリモとタテヤママリモを含む地域名としてフジマリモを扱っています。

Q5:タテヤママリモは山中湖に現在も生息していますか?

A5:2024年度の潜水調査では、山中湖の湖内試料からタテヤママリモは確認されていません。1960年に山中湖で採集され、長年栽培されていた個体がタテヤママリモと判明しています。

Q6:フジマリモが減少している最大の理由は何ですか?

A6:水温上昇が大きな懸念となっています。過去50年間で山中湖の夏期水温は約4度上昇しました。シアノバクテリアなどの競合生物の増加、冬季の結氷減少、湧水の減少も関係している可能性があります。

Q7:2026年現在、フジマリモを見ることはできますか?

A7:山中湖村では、過去に採集されて栽培されてきたマリモを展示しています。山中湖花の都公園のフローラルドームふららでも展示が案内されています。ただし、展示個体と湖に自然生育している個体は異なります。

「フクとマリモ」という検索語からたどり着く富士五湖の希少な藻類について、重要なのはフジマリモという名称の歴史と、現在の生物学的な分類を分けて理解することです。

1956年に山中湖で発見されたフジマリモは、1958年に山梨県指定天然記念物となり、日本のマリモ類の分布を考えるうえで貴重な存在となりました。

さらに2021年には、1960年に採集されて60年以上栽培されていた個体がタテヤママリモと判明。山中湖には異なる種類のマリモ類が存在していた可能性が明らかになりました。

そして2026年、国立科学博物館と山中湖村による最新の調査報告書は、山中湖の自然群落がさらに衰退していることを示しました。

水温上昇や競合する藻類の増加、湧水や結氷環境の変化など、保全には複数の課題が残されています。

フジマリモは、単なる富士山周辺の珍しい名物ではありません。発見から70年を迎えようとする2026年、富士五湖の自然環境と生物多様性を考えるうえで、今後も調査と保護が必要な貴重な存在です。

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コンテンツディレクター 霧島 直人
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芸能担当15年。事務所の公式リリースと本人の公式SNSを一次情報とし、夕刊紙の報道は複数媒体が一致した場合だけ触れます。

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