高畑勲監督の名作アニメ映画『火垂るの墓』は、テレビ放送で歴代どれほどの視聴率を記録してきたのでしょうか。1989年8月11日の初放送では20.9%を記録し、2001年8月10日には歴代最高となる21.5%を獲得しました。一方、2018年の放送は6.7%、約7年ぶりに地上波へ戻った2025年8月15日の放送は7.2%でした。
2026年11月現在、注目されるのは、かつて20%を超えた作品の視聴率がなぜ一桁台になったのか、そして2025年の放送を最後に次回の地上波放送が予定されているのかという点です。ビデオリサーチの関東地区データ、日本テレビの公式番組情報、過去の放送記録をもとに、歴代ランキング、視聴率の推移、同時上映作品『となりのトトロ』との違いまで整理します。
【歴代ランキング】火垂るの墓の視聴率は最高21.5%!初放送から2025年までの全記録

『火垂るの墓』のテレビ放送で最も高い視聴率を記録したのは、2001年8月10日の21.5%です。初放送の1989年8月11日にも20.9%を獲得しており、当時は夏のテレビ番組として非常に高い注目を集めていました。
その後も1990年代から2000年代前半にかけては、13~19%台を記録する放送が複数回ありました。しかし、2007年以降は一桁台が目立つようになります。
2018年には高畑勲監督の追悼放送として6.7%を記録。2025年8月15日の再放送では7.2%となり、2018年から0.5ポイント上昇しました。
以下は、1989年から2025年までのテレビ放送全14回を、関東地区の世帯視聴率で整理した一覧です。過去の放送記録はビデオリサーチ調べの数値を掲載した放送履歴資料、2018年の報道、2025年のビデオリサーチ公式ランキングを照合しています。
| 放送回 | 放送年月日 | 世帯視聴率 | 主な出来事・背景 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1989年8月11日 | 20.9% | テレビ初放送 |
| 第2回 | 1990年8月17日 | 10.7% | 2年連続の放送 |
| 第3回 | 1993年8月13日 | 14.5% | 終戦時期の放送 |
| 第4回 | 1997年8月8日 | 19.1% | 高視聴率を記録 |
| 第5回 | 1999年8月6日 | 18.8% | 夏の定番作品として放送 |
| 第6回 | 2001年8月10日 | 21.5% | 歴代最高視聴率 |
| 第7回 | 2003年8月22日 | 15.1% | 2桁を維持 |
| 第8回 | 2005年8月5日 | 13.2% | 夏の放送 |
| 第9回 | 2007年9月21日 | 7.7% | 初の一桁台 |
| 第10回 | 2009年8月14日 | 9.4% | 一桁台 |
| 第11回 | 2013年11月22日 | 9.5% | 『かぐや姫の物語』公開時期の放送 |
| 第12回 | 2015年8月14日 | 9.4% | 終戦記念日前日の放送 |
| 第13回 | 2018年4月13日 | 6.7% | 高畑勲監督の追悼放送 |
| 第14回 | 2025年8月15日 | 7.2% | 終戦80年・約7年ぶりの地上波放送 |
※数値は関東地区の世帯視聴率。2025年の数値はビデオリサーチ公式発表による。
この一覧から分かるのは、視聴率が毎年一定の割合で下がってきたわけではないということです。1997年から2001年までは18~21%台を維持していましたが、2007年に7.7%まで低下。その後は9%前後で推移し、2018年には6.7%となりました。
2025年の7.2%は、歴代最高の21.5%には届かないものの、直前の2018年を上回る結果です。したがって、2025年の数字を単純に「過去最低」と説明するのは正確ではありません。
【視聴率の実態】2025年8月15日の7.2%は世帯?個人?
2025年8月15日に日本テレビ系「金曜ロードショー」で放送された『火垂るの墓』の視聴率について、特に注意したいのが世帯視聴率と個人視聴率の違いです。
ビデオリサーチが公表した2025年8月11日~17日の週間リアルタイム視聴率ランキングでは、同作品の数値は次のように記録されています。
- 平均世帯視聴率:7.2%
- 平均個人視聴率:4.8%
- 放送局:日本テレビ
- 放送日時:2025年8月15日(金)21時~22時54分
ここでいう世帯視聴率は、調査対象となるテレビ所有世帯のうち、番組を視聴していた世帯の割合です。一方、個人視聴率は、調査対象の4歳以上の個人全体のうち、番組を視聴していた人の割合を示します。
つまり、7.2%と4.8%は異なる測定対象を使った数字であり、どちらかが間違っているわけではありません。ニュースで「視聴率7.2%」と報じられる場合、今回のような映画の視聴率では世帯視聴率を指しているケースが多くあります。
また、ビデオリサーチの週間ランキングに掲載されるリアルタイム視聴率は、テレビ放送と同時に視聴した世帯・個人の割合です。録画再生や後日の配信視聴をすべて合算した数字ではありません。
そのため、2025年の7.2%だけを見て、作品を実際に視聴した人全体の割合や、映画への関心そのものを判断することはできません。テレビ視聴率と配信サービスでの視聴実績は、別の指標として考える必要があります。
【視聴率低下の理由】なぜ21.5%から7%台になったのか?
『火垂るの墓』の視聴率が2000年代以降に低下した背景には、作品そのものの性質とテレビ視聴環境の変化という、複数の要因が考えられます。
1.家族で気軽に楽しめる作品とは性質が異なる『火垂るの墓』は、戦争によって両親を失った14歳の清太と4歳の節子が、戦争末期から終戦後の混乱の中で生きる姿を描いた作品です。
美しい映像や印象的な音楽がある一方、空襲、食糧難、幼い子どもの死など、非常に重いテーマを扱っています。
同じスタジオジブリ作品でも、『となりのトトロ』のように家族で何度も楽しみやすい作品とは、視聴する際の心理的なハードルが異なります。
一度見た人が強い印象を受ける一方で、繰り返し視聴することを避ける人もいると考えられます。こうした作品の性質は、毎年のように放送される娯楽作品とは異なる視聴傾向につながる可能性があります。
2.テレビの視聴スタイルが変化した1989年から2001年にかけては、地上波テレビが多くの家庭で主要な娯楽メディアとして利用されていました。
その後、録画機器の普及、インターネット動画、動画配信サービス、スマートフォンでの視聴など、映像コンテンツに触れる方法は多様化しています。
リアルタイム視聴率だけでは、こうした視聴者の行動変化を十分に把握できません。現在は放送時間にテレビの前に座る以外にも、作品を楽しむ選択肢があります。
3.放送時期と番組編成の影響『火垂るの墓』は、1989年から2005年までは主に8月に放送されていました。しかし、2007年は9月、2013年は11月、2018年は4月と、放送時期が一定ではありません。
終戦の日に近い8月の放送と、通常の番組編成の中で放送される場合では、視聴者が作品を思い出すきっかけも異なります。
2025年は終戦80年という大きな節目の8月15日に放送されました。日本テレビは公式番組情報で、平和の大切さを考えるきっかけとして作品を紹介しています。
このように、放送日や社会的な節目が視聴者の関心に影響することも考えられます。
4.視聴率だけでは作品の評価を測れない視聴率はテレビ番組の同時視聴状況を示す数字です。作品の芸術的な評価、後世への影響、海外での評価、学校教育や平和学習での活用までを測定するものではありません。
『火垂るの墓』は、視聴率が20%を超えていた時代から現在まで、戦争の悲惨さを伝える作品として知られています。数字が一桁台になったことと、作品の価値が下がったことは同じではありません。
【となりのトトロと比較】同時上映作品なのに視聴率に大きな差がある理由
『火垂るの墓』を考えるうえで欠かせないのが、1988年の劇場公開時に同時上映された『となりのトトロ』です。
両作品はスタジオジブリを代表する映画ですが、テレビ放送では視聴率に明確な違いが見られます。
『となりのトトロ』は1989年4月28日のテレビ放送で21.4%を記録しました。2024年8月23日にも13.4%、2026年8月21日には10.0%を獲得しています。
一方、『火垂るの墓』は1989年の初放送で20.9%を記録したものの、2018年には6.7%、2025年には7.2%でした。
両作品の近年の放送実績を比較すると、次のようになります。
- 『火垂るの墓』2018年:6.7%
- 『火垂るの墓』2025年:7.2%
- 『となりのトトロ』2024年:13.4%
- 『となりのトトロ』2026年:10.0%
特に2026年8月21日の『となりのトトロ』は、ビデオリサーチの関東地区ランキングで世帯視聴率10.0%、個人視聴率6.7%でした。
2025年の『火垂るの墓』の世帯7.2%と比較すると、2.8ポイントの差があります。ただし、放送年も作品も異なるため、完全に同じ条件での比較ではありません。
両作品の違いとして大きいのは、物語のテーマと視聴体験です。
『となりのトトロ』は、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめるファンタジー作品です。登場人物や音楽、物語の世界観に親しみやすく、何度見ても楽しめる要素があります。
それに対して『火垂るの墓』は、戦争によって日常を奪われた兄妹の姿を通じて、観客に深い感情的な負担を与える作品です。
両作品の視聴率の違いは、単純な人気の優劣というより、テレビで繰り返し視聴されやすい作品の性質が異なることを示していると考えられます。
【7年間放送されなかった理由】火垂るの墓はなぜテレビで放送されないのか?
『火垂るの墓』が地上波で最後に放送されたのは、2018年4月13日です。それから2025年8月15日まで、約7年間にわたってテレビ放送がありませんでした。
この空白期間について、2024年8月24日付のマグミクスは、視聴率の低下が放送間隔に影響している可能性を指摘しています。
実際、2013年の9.5%、2015年の9.4%、2018年の6.7%と、2010年代の放送では一桁台が続いていました。
ただし、視聴率低下が日本テレビによる放送見送りの公式理由として発表されたわけではありません。放送されなかった理由を視聴率だけに限定することはできません。
放送されなかった背景として考えられること視聴率と番組編成の判断
テレビ局にとって、映画の再放送は番組編成の一つです。過去の視聴率や放送時期、他作品とのバランスなどが、放送するかどうかの判断材料になる可能性があります。
『火垂るの墓』の場合、近年の視聴率が一桁台だったことは、編成上の判断に影響した可能性があります。ただし、これが実際の決定理由だったとする公式説明は公表されていません。
作品が扱うテーマの重さ
戦争、空襲、飢餓、幼い兄妹の悲劇を描く作品は、娯楽番組として気軽に視聴するタイプの映画とは異なります。
終戦記念日や平和について考える特別な機会に放送する意味は大きい一方、通常の映画枠でどのように編成するかという問題もあります。
放送のタイミングと社会的意義
2025年の再放送は、終戦から80年という歴史的な節目に合わせて行われました。2018年の高畑勲監督追悼放送から時間が経過していたこともあり、改めて作品を届ける機会となりました。
日本テレビの公式番組紹介では、2025年8月15日の放送について、終戦80年の日に平和の大切さを考える機会として作品を紹介しています。
したがって、放送の空白期間については、視聴率、番組編成、作品のテーマ、社会的な節目などを分けて考える必要があります。
【2026年最新】火垂るの墓の次回放送予定は?金曜ロードショーの現状
2026年11月3日時点で、『火垂るの墓』の次回地上波放送日は発表されていません。確認できる直近の地上波放送は、2025年8月15日の日本テレビ系「金曜ロードショー」です。
2025年の放送は、2018年4月13日以来となる約7年ぶりの地上波放送でした。しかも、終戦80年を迎えた8月15日という特別な日であり、ノーカットで放送されました。
2025年8月15日に放送された意味日本テレビの公式番組情報によると、2025年8月15日の放送では、1945年8月15日の終戦から80年という節目に合わせて『火垂るの墓』を編成しました。
作品の原作は、作家・野坂昭如の同名小説です。自身の経験をもとに執筆された小説は第58回直木賞を受賞し、高畑勲監督によって1988年にアニメーション映画化されました。
物語では、14歳の清太と4歳の節子が戦争末期の神戸で生きようとする姿が描かれています。
日本テレビの公式紹介でも、当時の神戸の町や人々の生活、B29による空襲などの描写が取り上げられています。
2026年は『となりのトトロ』が放送2026年8月21日の「金曜ロードショー」では、宮崎駿監督の『となりのトトロ』が放送されました。
ビデオリサーチの週間リアルタイム視聴率ランキングによると、関東地区の平均世帯視聴率は10.0%、個人視聴率は6.7%です。
これは2026年のジブリ作品の地上波放送実績として確認できる数字ですが、『火垂るの墓』が2026年に放送されたことを意味するものではありません。
次回放送はいつになる?次回放送を予測するうえで注目されるのは、終戦記念日や戦後の節目、スタジオジブリ作品の特別編成です。
2025年のように終戦に関する大きな節目に合わせて放送する可能性は考えられます。しかし、2026年の次回放送日や2027年以降の編成について、確定した情報はありません。
放送を待つ場合は、日本テレビの「金曜ロードショー」公式番組表や公式発表を確認するのが確実です。
【火垂るの墓の視聴率】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:火垂るの墓の歴代最高視聴率は何%ですか?
A1:歴代最高は2001年8月10日の21.5%です。関東地区の世帯視聴率として記録されており、1989年8月11日の初放送でも20.9%を獲得しています。
Q2:2025年8月15日の火垂るの墓の視聴率は何%でしたか?
A2:平均世帯視聴率は7.2%、平均個人視聴率は4.8%でした。ビデオリサーチの関東地区データで、終戦80年の日に約7年ぶりに地上波放送された際の数字です。
Q3:火垂るの墓はなぜ7年間もテレビ放送されなかったのですか?
A3:日本テレビから、放送されなかった理由について公式な説明は確認できません。過去の視聴率低下や番組編成、作品のテーマなどが背景として考えられますが、視聴率低下だけが原因と断定することはできません。
Q4:火垂るの墓ととなりのトトロではどちらの視聴率が高いですか?
A4:近年のテレビ放送では『となりのトトロ』のほうが高い数字を記録しています。2026年8月21日の『となりのトトロ』は10.0%、2025年8月15日の『火垂るの墓』は7.2%でした。ただし、放送年が異なるため、同一条件での比較ではありません。
Q5:火垂るの墓は2026年に再放送されますか?
A5:2026年11月3日時点で、次回の地上波放送日は発表されていません。2025年8月15日の放送が、現時点で確認できる直近の地上波放送です。
『火垂るの墓』のテレビ視聴率は、1989年の初放送20.9%、2001年の歴代最高21.5%から、2018年の6.7%へと変化してきました。そして2025年8月15日、約7年ぶりの地上波放送では7.2%を記録しています。
この推移から分かるのは、テレビでのリアルタイム視聴が減少してきた一方で、終戦80年という節目に再放送された作品が、現在も一定の視聴者を集めているということです。
『となりのトトロ』との比較では、作品のテーマや繰り返し視聴しやすいかどうかという違いも見えてきます。視聴率だけで作品の価値を判断することはできません。
また、7年間の放送空白についても、視聴率低下だけを理由とする公式発表はありません。番組編成や社会的な節目など、複数の要素を考える必要があります。
【プロの結論】
『火垂るの墓』の視聴率を正しく読み解くには、最高21.5%という過去の記録だけでなく、2025年の世帯7.2%・個人4.8%という最新の測定結果、そして2026年現在のテレビ視聴環境まで見ることが大切です。
2026年11月現在、次回の地上波放送は未定です。しかし、戦争の記憶を次の世代へ伝える作品として、終戦記念日や歴史的な節目に再び放送されるかどうかは、今後も注目されるテーマです。
21.5%という歴代最高記録と、2025年の7.2%。この数字の差は、単なる人気の変化だけではなく、テレビの視聴環境と作品の受け取られ方が変わってきたことを映し出しています。
視聴率の数字と作品が持つ歴史的・文化的な価値を分けて考えること。それが『火垂るの墓』という作品を理解するうえで大切な視点です。
主なデータ確認先
- ビデオリサーチ「2025年8月11日~17日週間リアルタイム視聴率ランキング」
- ビデオリサーチ「2026年8月17日~23日週間リアルタイム視聴率ランキング」
- 日本テレビ「金曜ロードシネマクラブ」2025年8月15日公式番組情報
- スポニチアネックス(2025年8月18日)
- マグミクス(2024年8月24日)